1997年5月

農薬行動ネットワーク会議、ハバナで開催

 1997年5月18~22日。「農業には農薬が必要である」というものの見方を転換するため、キューバのサンタ・クララで、第4回「国際農薬行動ネットワーク(Pesticide Action Network)会議」に40ケ国以上から、100人もの実践家、研究者、政府の役人たちが集まった。PANとは、5つの地域センターで運営される400以上もの活動グループの国際協働ネットワークである。

 プレゼンテーションやワークショップでは以下のことが論じられた。

PANグループの国際会議への参加や政策提言をもっと広める必要がある

農薬の健康や環境への影響についての情報、とりわけ南側の地域での情報利用を増やす必要がある

グローバルな農薬貿易に規制をかける取り組みを強化すること

農薬やバイオテクノロジー産業による持続可能な農業への脅威に対応すること

 社会的な公正や地域、国、国際機関を通じて持続可能な病害虫管理を促進させることも焦点となった。さらに、会合では、病害虫防除技術の改良、農薬規制の強化、国際貿易への規制への対応、農薬のオルターナティブの促進というNGO活動の多様なフレームワークとして「毒なき世界を養おう」という新たな国際PANキャンペーンも進展された。

 ワークショップは数多くあったが、メチルブロマイドへのオルターナティブ、バイオテクノロジーは新しい緑の革命か?、農業に基づく生物多様性、有機コットンといったものだった。

 PANの会議は、キューバで、有機・低投入型の持続可能な農業が幅広く導入されていることに光をあてた野外調査から始まり、会議には、キューバでエコロジー的に健全な農業への劇的転換に関わる10名以上の研究、教育、農業者グループの代表が出席した。

 いま、キューバでは、国家によって、慣行農業から、有機もしくは準有機農業への最大規模の転換の最中にある。1990年代はじめの社会主義圏との貿易の崩壊によって、農薬や化学肥料、石油や家畜飼料の輸入量は50%以上も低下し、同じく、食料輸入も劇的に落ち込んだのだが、そのかわりに、生物防除に取り組んでいる。キューバの研究者や農民たちは、以前に大きく依存していた輸入農業機械や化学資材、食料をどう代替するかのために働いている。土壌改良資材、作物と牧草との輪作、複合耕作、土壌保全、有機的な土壌改善、生物的防除を用いることで、収量を高めている。そして、有機都市農業も急速に広まっているのだ。

キューバでの第4回PAN国際会議は、カリフォルニアで食料確保や有機農業問題で活動するNGO、フード・ファーストとの共催で行われ、キューバ有機農業協会(ACAO)の「第三回国際有機農業会議」とも連動した。次回の会議は1993年末に開かれ、第4回PAN国際会議は、2000年にセネガルで計画されている。

(PANのHPからの記事)
 PAN Meeting in Cuba,1997.サイト消滅

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