キューバ有機農業グループ(The Grupo de Agricultura Organica)は、キューバで工業的な農業から有機農業への転換の先陣を切ってきたが、この度、偉大な国際賞「ラブリーフッド・ノーベル賞」(一般的にはオルターナティブ・ノーベル賞として知られる)を受賞指名を受けた。1999年には、40ケ国の80以上の候補の中から、4つがラブリーフッド・ノーベル賞を受賞したが、キューバ有機農業協会はそのひとつとなったのだ。
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フェルナンド・フネス博士 |
キューバ有機農業グループは、農民、農場長、現場の専門家、研究者、政府の行政官とともに、有機農法を開発してきた。それ以前の高投入型の農業モデルは、輸入に依存し、持続可能であるには環境にダメージを与えすぎている。有機的なオルターナティブこそが、望ましく、かつ同じ収量をあげるポテンシャルを持っている。このようにキューバの農民や政策立案者を確信させることが、団体の目的だった
「この受賞は、ほんとうにキューバと、キューバ有機農業グループ、そして、キューバで有機農業を行うために苦闘しているすべての農民、研究者、政策立案者にとっての誇りです。私どもの努力が、他の国々にとって、慣行的な化学物質に依存した農業だけが国に食料を供給する唯一の方法ではないという実証となることを希望します」
キューバ有機農業グループの代表フェルナンド・フネス(Fernado Funes-Aguilar)博士は語った。
旧ソ連圏との貿易関係が崩壊し、それに引き続く米国の経済封鎖によって引き起こされた深刻な食料不足を、キューバは1990年代の間に克服した。有機農業での自給が危機を乗越える上で重要な役割を果たしたのだ。
キューバ有機農業グループは、1993年にキューバ有機農業協会(ACAO=Asociación Cubana de Agricultura Organica)として設立された。だが、最近はその名称を変えている。法律的にキューバ農林技術協会(ACTAF=Asociación
Cubana de Téchnicos Agrícolas y Forestales )の一部としてあることが相応しくなくなったからである(注:1999年にACAOは、さらに大きな組織、農林技術協会の一部になった)。
過去5年以上、キューバ有機農業グループは、印象的なプログラムやトレーニング・コース、ワークショップ、記録センター、実証農場、農民たちのための視察を組み立て、国際会議も3回開催してきた。
フード・ファーストの持続可能な農業プログラムの代表、マルチン・ボルクエ(Martin Bourque)氏はこう語る。
「この受賞で、キューバが有機農業と食料確保で驚くべきことを成し遂げたことに、世界が気づくことを期待しています。厳しい仕事と、イノベーション、そして卓越した科学を通じて、低投入の持続可能な農業が国家規模でも機能しうることをキューバ有機農業グループとキューバの全農業部門は示したのです」
この数年というものフード・ファーストは、 キューバ有機農業グループと科学技術的なプログラムを通じて交流してきた。そして、2000年の5月にはキューバ有機農業グループの主催で第4回有機農業大会が開催される(注:2001年に延期)。
ラブリーフッド・ノーベル賞の受賞は、キューバでは初めてのことである。そして、その受賞金約225,000ドルを、COAMA(人権と生物多様性のために働いているコロンビアのネットワーク、アマゾン地域同盟)、以前のチリの独裁者ピノチェ(Pinochet)将軍に公正な働きかけを長年努力し続けてきたチリのスペイン系法律家フアン・ガルセス(Juan
Garces)氏、ソーラー・エネルギーの世界的な推進者の一人、ヘルマン・シューア(Hermann Scheer)氏とともにわかちあった。
通常のノーベル賞の受賞式が行われる1日前の12月9日に、スウェーデン議会で受賞式典が行われる。ラブリーフッド・ノーベル賞は1980年に設立され、これまで世界のより良き未来のために貢献した卓越した80以上の個人や組織を表彰してきた。
フード・ファーストの代表ピーター・ロゼット(Peter Rosset)氏はこう語っている。
「この受賞は、他の国ではまだ開発されていない持続可能な農業の凄まじいポテンシャルを示すものです。世界中がキューバから学ぶべきです。そして、キューバでは有機農業はみんなのためのものなのです。それを手にできる人々のためだけのものではありません」
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