2001年

キューバの農業生産とその流通販売

 キューバは、長い間、抜きん出た農業国だった。今では、観光、バイオテクノロジー、原材料産業やその他の産業も発展しているが、いまだにキューバは、その豊かな土壌から種々様々な農産物、果物、野菜、根菜類、豆、穀類等を生産している。

■生産

 キューバの農業生産には様々なタイプがあり、個人とグループの双方によってなされている。販売にも様々なタイプがあるが、それを理解するには、まず、様々な生産者がいることを考慮しなければならない。

個人生産者 自分で農地を所有し、自分たちや家族とともにそれを耕す農家である。

協同組合 個人生産者と二種類の協同組合、農業協働協同組合(CPA=Cooperativas de Produccion Agropecuaria)とクレジットとサービス協同組合(CCS=Cooperativas de Credito y Servicio)に参加する土地所有農家の協会で、それは経済団体の別の形式である。組合は個人農家から構成され、一緒に土地を耕作することで、より生産をあげることを決定し、最終的な成果は全員でわかちあうものである。組合は、組亜員の中から自分たちで組合長や管理者を選んでおり、国は肥料や耕作機械その他の需要品の購入を保証している。

サンクティ・スピルトゥス市の都市農業

協同生産基礎単位 (UBPC=Unidades Basicas de Produccion Cooperativa)は、生産にともに参加したいと望む個々の農民からなるグループである。国は、協同組合を運営する形で、土地を提供し、参加者は自分たちで管理者を指名し、仕事を監視する。土地の所有権は国にあるが、労働の成果は協同組合員たちの中で、わかちあわれている。UBPCの生産が悪い場合は、農地は国から没収され別のグループに貸与供給される。

 前述した3ケースの各々では、生産者たちが、政府に計画された生産の70~80%を販売するように義務づけられている。生産の残りと余剰産物は、生産者の個人利用に使えるか、農業市場で販売することができる。

パルセレロス(Parceleros)二つの基本型がある。タバコ、コーヒーやその他の産物のように戦略的な生産が必要な場合に、個々の生産者に農地が与えられ、こうした農産物を生産する。土地は国が所有するが、仕事の成果は生産者が所有する。生産物はすべて国に販売しなければならない。

 第二のタイプは、主に野菜だが、それ以外の農産物を栽培するために都市内の土地を耕作することを許されている場合である。この場合も土地は国有だが、政府になにも提供せず、一般に農産物をすべて販売できるし、自分たちでそれらを消費することもできる。

青年労働軍 軍は、彼らが自給自足できるように農業に専念する特別ユニットを持っており、生産余剰は様々な方法で市民に売られている。土地と生産結果は国家に属する。

国営農場 これらは国営の生産単位で、そこでは農場労働者は給料を得て働く。牛、豚、鶏生産のように国の利益に役立つ生産やその他の農産物の補足生産に専念しており、土地や生産成果は国に属する。

■販売

 キューバでの農産物の販売は、農産物の出所に応じて、販売形態も様々であれば、価格も様々である。こうした農産物販売システムは多様で、農業市場、青年労働軍市場、統制価格市場、「理想的」流通市場、生産場所でのパルセレロス(parceleros)販売(それらには、有機菜園オルガノポニコも含まれる)、国営規準の市場、そして農業フェアがある。

ハバナ大学による小さな農業市場

農業市場 農業市場は、個人農家、農業協同組合(CPA、CCS、UBPC)、そして、ときたまは国営農場がそれらの農産物を販売する場所である。価格は需要と供給の法則により、上限価格はない。農産物を販売する農民や農業協同組合は、販売を行うための代表を利用でき、販売税を国に支払わなければならない。一般的に価格は高く、ハバナ市には、少なくとも、ひとつの地区にひとつの農業市場がある。

青年労働軍の市場 ハバナ市内に自分たちの市場を持っているが、農業市場でも販売を行い、近隣で売るために、農産物のほとんどをトラックから取り出す。生産では果実類を重視しており、産物価格は比較的安く、時には農業市場の産物価格の10%だけである。

ハバナ市のオルガノポニコ(有機菜園)。こうした菜園が、地方から生鮮野菜を輸送する必要性をなくしている

統制価格市場 特定の農業協同組合(CPA、CCSおよびUBPC)と関係する様々な地区で設立された市場である。こうした市場では、地区の人民権力管理委員会が、最高価格を設定し、上限価格以上では農産物を売ることができない。上限価格は、つねに農業市場の価格以下で、この市場で売られる農産物は高品質で、基本的には果実類、野菜、根菜類、米、豆、缶詰製品とその他の産物である。

「理想的」流通市場 これらは、米、豆、植物油、豚肉、鶏とその他の品目を販売する国営店である。この流通価格も農業市場以下である。

パルセレロス この生産者は、農産物を生産するのと同じ場所で、自分たちの農産物を販売している。一般に納税義務がないため、その価格はより廉価で、一般に売られているのは野菜である。この種の販売には、一般にオルガノポニコ(有機菜園)も含まれる。オルガノポニコは、興味深い生産形態である。近年「都市農業」と称される、都市内での狭い土地での生産が発展しているが、こうした土地のいくつかでは、積極的に有機農業が活用されており、そのため、それらは「オルガノポニコ」と称されている。一般に、オルガノポニコはUBPCにより運営されている。こうしたオルガノポニコでは、新たに収穫された生鮮野菜、果樹、調味料とその他を簡単に購入できる。価格は農業市場と国営との中間である。

レグラ(Regla)の農業市場の売り子

国の規準による市場 リブレータ(libreta)を通じて販売する市場で、こうした市場を通じて、国は、一人月あたり6.75㎏の根菜類や野菜、コメやマメの割当て配給を保証している。いずれも、補助金が交付された価格となっている。

農業フェア 月に一度、通常は月末の日曜日に、ハバナの全地区ではフェアが開催されている。そこでは、地方からやってきた個人農家、農業協同組合、そして国が、果実類、根菜類、野菜、肉、ソーセージ、その他と様々な農産物をもちより、安値で大量に売られている。

 要するに、今、キューバでは、農産物の生産や販売の様々な形態を目にできるのだ。

(CubamigoのHPからの記事)
 Gilda Vega Cruz,Agricultural Production and Salesin Cuba,2001.

Cuba organic agriculture HomePage 2006 (C) All right reserved Taro Yoshida