2003年3月25日

グランマ州での人民稲作

 「グランマ州は、稲作に必要な条件をすべて兼ね備えており、東部をはじめ400万のキューバ人民に食料を供給できています」。グランマ州のホセ・アベレイラ(José Aveleira)農業省の副代表は、そう語る。

シエラ・マエストラの何百mもの標高で貯水された水を利用し、稲作が拡大し続けている。エルネスト・チェ・ゲバラ部隊は、グランマ市のブエイ・アリバ(Buey Arriba)の丘陵地に配置されている。

「我々には、肥沃な多くの土地や山岳地域のダムから重力で流れ落ちる水があり、その水量は無限と言えるほどです。ですが、さらに付け加えることがあります。ホセ氏は、ベテランの農学者なのだが、こう指摘する。「政府が働く準備ができたものには誰でも土地を与えるという決定をしたため、それが、人民の栄養保障上で、大きなインセンティブとなっているのです」。

 グランマ・インターナショナルの特派員は、国連開発計画(UNDP)の支援を受け、一部はスイスとキプロス共和国からの資金提供で進んでいる農業プロジェクトをバヤモ(Bayamo)で目にしている。そのプロジェクトは、キューバ最東部の州での人民稲作用の高品質種子の大量配付を含んでいる。キューバ東部は、ハリケーン・ホルヘや引き続く干ばつにより打撃を受け、1990年代後半に農業生産が崩壊した。この三年間のプロジェクトは、100万ドル以上の資金で、稲作研究所により実施され、稲に加え、トウモロコシや植物油用のヒマワリとあわせ、様々な豆の栽培も含んでいる。

 FAOは、生産者の訓練を支援しているが、Liliana Dimitrova野菜穀物研究所は、国立研究所と共に、収量を向上させるための技術援助を行っている。FAOは、キューバに経験を積んだ海外のコンサルタントも呼んでいる。

グランマのどこまでも続く平原で栽培される米。それは、若き鉱山技師、Argimiro Leyvaの労働の賜物だ。彼は、以前に失業していた若者たちに雇用をもたらした。その経済結果には目覚しいものがある。

 グランマでの農民の会合は、成功と問題点を明らかにした。プロジェクトは、米乾燥機、脱穀機、ナタ、ファイル、摘み取り用のゴム長靴その他の不可欠な農具を供給している。よい穀物のために本質的に必要な脱穀機を含め、最も高価な設備のうちのいくらかを地元の工場はなんとか生産している。稲作に取り組む生産者の年齢や職業はまちまちだ。耕作地の増加、失業中の若者や女性の参加も増えている。会合では、参加者は、生産や技術と社会的な進歩を学ぶことができた。そして、それ以上に重要なことは、何千人もの労働者が技術トレーニングを受けていることだ。Manzanilloでは、小学校の子どもたちでさえ、稲作と関連した課題のことを知っている。

 プロジェクトの成功事例の一つは、以前は地域で普及していた籾のバラマキを田植え栽培に転換したことだ。キューバ西部の専門家によれば、田植えは、収量を高めるだけでなく、病害虫の発生も減らすという。バヤモのグループは、UNDP、スイス、キプロス政府に生産援助に対する感謝状を送る計画を立てている。

 プロジェクトを全国的に管理するミゲル・ソコロ(Miguel Socorro)農学博士は、その結果にとても満足している。

 「収量を増やすには、基礎的な必要条件が二つあります。種子資源とノウハウです。この二つが、プロジェクトに欠かせない要素なんです。私は、今では、各産地が穀物生産向上のための基礎的な意識づくりが準備できたと思っています。この結果から、我々は、この高貴な目標を支援し続けることでしょう」。

 プロジェクトのUNDPプログラムの職員、アルナウド・ペラル(Arnaud Peral)氏は、こう指摘する。

 「私に印象的だったのは、地元経済へのその効果です。何千もの新たな仕事が東部4州で創出され、人民へのコメの販売価格を㎏当たり平均3.3ペソまでなんとか引き下げました。さらに嬉しいのは、以前は遊休化していた何千ヘクタールもの土地が、今では食料を生産していることなんです」。

 ペラル氏は、新技術が地元に定着していることに感動したが、それは専門的なセンターとFAOからの貴重なトレーニングによるものだ、と氏は考えている。そのすべてはプロジェクトの持続可能性に寄与している。グランマ州は、この生産的な道に沿って前進している。山地の中で、そして平原で、キューバの独立闘争が出現したのと同じ土地の上で、新たな戦いのシンボルとしてコメが栽培されているのだ。

(グランマ・インターナショナルの記事)
  Alberto D.Perez,Popular Rice Cultivation in Granma new battles in the mountains and on the plains,2003 .

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