2003年6月4日

新自由主義で何百万もの農民が破滅

■新自由主義で何百万もの農民が破滅

 開発途上国での輸出農産物の価格が落ち込み、何百万人もの農民が破滅しているのは、新自由主義政策の有害な結果である。米国のフード・ファーストのピーター・ロゼット(Peter Rosset)教授は、ハバナで開催された有機農業国際会議でこう強調した。

「多国籍企業は補助金交付された廉価な食料を市場に氾濫させており、それが開発途上世界のみならず、先進諸国内でも何百万もの農民を破綻に駆り立てているのです」そうロゼット氏は、グランマ・インターナショナルに述べた。

 ロゼット氏は、米国では、毎週平均2,000人の割合で生産者が破産登録しており、その後、農民たちは資産を抵当権に入れなければならないことを説明した。支払いが受けられないと、銀行は農民たちの土地をとりあげ、それを多国籍企業に賃貸ける。この現象は、ヨーロッパでも同様で、そこでは、毎週約400人の農民が彼らの資産を売らなければならない。こうフード・ファーストの代表は断言した。

 ラテンアメリカでは、貧困が農村市域を蝕んでおり、何百万人もの小作農たちが、農産物の国際市場価格の下落によって都市へと移住している。ロゼット氏の見解によれば、キューバは、人間が生きのびるうえで避けられないこの変動の枠組みの中で、国家支援により、発展をとげている世界で唯一の国家のひとつである。ロゼット氏は、土地へのアクセスや組織化された人民と有機農業の必須条件がキューバにはすべてあるため、キューバは国際レベルで有機農業のビーコンとなっていると考える。米国の農業開発に関しては、ロゼット氏は、有機農業が年率20%で成長しつつも、慣行農法にとらわれるようになっていると考えている。ロゼット氏は、米国でも都市農業が伸びており、社会から疎外された地域で発展し、その取り組みが失業や貧困を緩和する一助となっていることを明らかにした。こうした都市農家は自分たち自身の空間を救うために戦っているのだ。

■土地なし農民運動、キューバ工業短大と協働

 ブラジルの土地なし農民運動MST(Sin Tierra Movement) のリーダー、フリオ・セサル・バスコンセロス(Julio César Vasconcelos)氏は、教育や技術トレーニングのシステムが、スラム街で組織化され、キューバのポリテクニック(工業短大)センターとの協力体制が確立されたと説明した。闘争を通じてMSTは800万haを手にしており、3,000のスラム街やほぼ100万人の住民を支援している。

 バスコンセロス氏は、土地が劣化しているので、慣行農法が用いられれば、収量があがらないが、アグリ-エコロジー運動と有機農法の導入以来、収穫が改善されたことを強調した。氏は、生物的に自然な企業とエコロジカルな種子を生産するために働いたことを告げ、40人のブラジルの若者がキューバで医学を勉強しており、卒業後にはMSTのメンバーの面倒をみてくれるだろうと、キューバの連携に感謝した。

■モンサント、ダイズ独占

 ヨーロッパの特許オフィスは、米国の多国籍企業モンサントの遺伝子組換えダイズのすべてに排他的な独占を与えた。ハバナでの第5回都市農業全国会議のスピーチで、キューバ科学アカデミーの会長、イスマエル・クラーク(Ismael Clark)博士はこう述べた。この決定は、特許が無効にされるべきだという9年間の抗議を無視したものである。ダイズは世界で最も消費される食料のひとつである。そこで、食料セキュリティを守る組織は、遺伝子の巨人に与えられた権利が廃棄されるべきであると考えている。クラーク博士は、モンサントは特許を所有しなければ、その不当を呼びかけると見ていた。だが、ひとたび別の企業を買収し独占権を得ると、モンサントはダイズの独占を再主張しており、現在、ヨーロッパの特許オフィスにより支持されている。モンサントは、世界市場で遺伝子組換え種子の91%を販売している。ヨーロッパの反対運動は、世界で最も使われている豆の合法と認める独占に反対デモを行った。キューバ科学アカデミーの代表は、人権に真っ向から反するこの不正な決定を非難するよう国際科学コミュニティに要求した。

(グランマ・インターナショナルの記事)
  Raisa Pages,Millions of farmers ruined by neoliberalism,2003.

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