1997年2月13日

エネルギー大臣のキューバ視察をご提言

総理大臣への公開状

Chretien総理大臣殿

 数週間前、私どもは、ハバナでLloyd Axworthy外相と少しだけですがお話しする機会を持ちました。私どもは、外相に、1989年にソ連の崩壊で、キューバがいかにエネルギー危機の打撃を受けたかについて告げました。突然にして、エネルギー供給量が、50%以上カットされたのです。キューバ人たちは、交通手段として200万台を超す自転車を投入し、有機農業に転換し、再生エネルギーに投資することで、すみやかに、かつ創造的に対応いたしました。真実であるにしては、素晴らしすぎるようにも聞こえますが。

 カナダに戻りますと、アンネ・マクリーラン(Anne McLellan)エネルギー大臣のグローバルな気候変動問題への対処がいかに遅いかにセルギオ・マルチ(Sergio Marchi)環境大臣が苛立ったいるとの話をメディアが伝えておりました。これに国会議員が歯に布を着せない賛同をしていたので、それは爽快でありました。

 おそらく、マクリーラン大臣は、問題を避けていれば、問題がどこかに行ってしまうのだろうと、お考えになられたのでありましょう。ですが、北極と南極の氷山や永久凍土は深刻に変化しており、すでに地球の気象パターンは気候変動を引き起こしております。世界中の科学者たちが、何かを、それも、速やかになされなければならないことに合意しております。私どもの国では、明らかに、かつ、遅延なく、多くの必要なことがなされるべきなのです。

 二酸化炭素排出削減に向けた国際合意に同意しないことは容認が出来ません。最悪ではないとしても、気候変動に対して一人あたりが悪い貢献をしている国の一人として、私どもは、マクリーラン婦人が、公共善を先取りしようとする力を持った個人的な利益、すなわち、石油のロビー活動によってそれが邪魔されたり、インスピレーションの不足に悩むことがないことを信ずるだけです。

 私どもは、あなたがアンネ婦人をキューバに送ることを提案いたします。私どもは、これほど急激に、かつ、効果的にエネルギー問題に対処している国をほかに知らないからです。

再生可能エネルギー

 石油が劇的にカットされた後、キューバは再生可能エネルギーへの投資の一大キャンペーンをはじめました。日光で発電する太陽光発電システムが建設され、発電や揚水用に何千もの風車が導入されました。そして、精糖工場では廃棄物が発電用に燃やされております。3万人以上の需要に応じるため、小規模水力発電も導入されております。

■交通

 キューバの人々は、いま交通をバスと自転車に頼っています。1990年代のはじめに、キューバは100万台以上の中国製自転車を輸入し、今は何百万台も自分で製造するために、6つの自転車工場を設立しました。いま、都市や町では、通勤から物資の輸送まで、どこでも自転車が使われています。ハバナの通りには、自転車タクシーがどこにでもあるのです。

■有機農業

 エネルギー危機とともにやってきたのは、双方とも石油製品である輸入化学肥料と農薬が半分以上減ったことでした。この危機に対して、キューバはどの地上の国も越える、大規模な有機農業への転換をはじめました。機械から牛耕に転換することで、排気量は少なくなり、土の締め固めも減りました。そして、化学肥料や農薬から離れることで、農業化学物質流出による水質汚染を減少させました。

 キューバの有機農業政策は、土壌の自然な健康さを保ち、化学合成農薬ではなく天然の農薬を用いて害虫への抵抗力を付けることを目的としています。自然に分解された有機物や輪作、コンパニオンプランツ、生物防除とミミズが、健康な土壌を回復する助けとなっているのです。都市菜園への関心も同様に一新されました。

■二酸化炭素削減

 キューバがエコロジー面で成し遂げたことには印象的なものがあります。1988年以来、世界の国々は、いかにして私たちのやり方を変え、気候変動の問題に対処するかという問題に取り組んでいます。私たちが協同して安定させなければならないこと。そして、温暖化ガスの排出量を、とりあえず、20%、最終的には60%削減しなければならないことは一般的に合意されています。こうしたガスは、石油、石炭、天然ガスといった化石燃料を燃やした副産物です。

 目標に到達することがいかに困難であるかについては、多くが書かれ不満もありますが、キューバ人たちは、典型的な北米人の4%以下のエネルギーでなんとかやりくりしているのです。私ども、一人あたり年間59バレルの石油を消費していますが、キューバ人たちは経済危機以前は一人あたり4バレルを消費し、いまでは2バレルまで消費量を下げているのです。これは96%が電化された国のことなのです。

 キューバへ訪問することで、国家が実際にその全人民に対し情熱を持って、最高の関心を持ったとき、そのGNPにかかわらず、国家が驚くべきものごとをなしえ、危機を解決しうることをおそらくマクリーラン大臣に示すことでありましょう。

 マクリーラン婦人は、タール砂産業の操業が拡大するよう何十億ドルもの税を与えている応援団長の一人なのですが、ごくわずかであれ、それをもっと魅力的なことに使われたらいかがでしょうか。サイクリストが私どもの都市内でも自転車に乗れるように、有機農業を拡大するように、ピンチャー・クリークやアルバータの風力農場のようにたくさんの再生エネルギープロジェクトを増やすようにです。

 もしも、カナダが、キューバ人たちがすでに成し遂げたことの一部ですら試みたとしたら、全世界が鼓舞されうることでしょう。カナダは、数多くの国際会議で行動することを委ねられているのです。そして、風表に立つとき、総理、あなたは少なからぬあなたの同胞を印象づけるのです。

私どもはあなたの対応をお待ちしております。

Tooker GombergとAngela Bischoff


 Tooker Gomberg,Angela Bischoff,Cuba has lessons for Canada's Energy Minister.1997.サイト消滅

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