学校キューバは再生可能資源が豊かである。私たちの土地は、日々、m2あたり、0.5㎏のディーゼルと同等の太陽エネルギー量を受けとっている。このエネルギーは、年間を通じても目につくほどは変わらない。だから、利用上、理想的なエネルギー源なのである。
キューバの領土には約19,000 km2の山岳地域があり、こうした僻地にはkm2あたり約500人が暮らしている。現在、キューバの経済資源の50%はエネルギーを生み出すために使われており、それは、1日あたり約300万USドルにもなっている。
この論文では、私たちは、現在の適用されている再生可能エネルギーの使用概要を示し、さらにキューバで再生可能資源を大規模に活用するうえで存在する大きな可能性について示す。とりわけ、太陽光発電や風力発電の適用やこうしたシステムの特性、エネルギー消費量と地理分布について説明する。
■太陽光発電システム
キューバでは、農村部の電化のため、約300の太陽光発電システムが活用されており、これらは主に診療所や農村の病院に導入されている。1989年にはキューバの95%が電化されていたが、農村や丘陵地では電化率は80%にすぎなかった。都市から遠方に位置する280以上の診療所が、太陽光発電システムを通じて電力を得ており、こうしたシステムは典型的には400~425Wのソーラー発電力を持っている。2001年4月までには、307の診療所に太陽光発電を導入するプログラムがあり、将来的には203の診療所を電化することが計画されていた。同時に、6つの農村部の病院に太陽光発電プログラムが導入された。現在のところ、農村部の病院にさらに導入する計画は確認されていない。
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診療所の太陽光発電システム |
農村地域には送電線に接続されていない小学校が1,942校ある。こうした学校にもすべてには、何らかの形式での太陽光発電システムがある。こうした学校にパーソナル・コンピュータを導入し、テレビ利用も増やす計画があるが、それはさらに大型の太陽光発電システムを新たに設ける必要があることを意味する。
現在のところ、典型的な学校は80Wのカラーテレビ、15Wの2つの省エネ蛍光ライト、30Wのビデオテープレコーダ持つことになるだろう。そして、教育番組を見るためのビデオやテレビは、一日に4~5時間まで使われると見積もられている。可能性としてはかなり将来的になるが、新たな太陽光発電システムをキューバで製造することも計画されている。暫定的なシステムのデザインは、
現在の輸入されたシステムは、充電コントローラーを含んでいるが、キューバでの製造されたデザインはこれらを含まず、キューバのデザインは、その代わりに、直接に太陽光発電モジュールと接続するため、電圧を慎重に選択することになるだろう。
厳しく経済的に制限を受けていることはキューバの欠点だが、政府は農村部の学校に欠かせない資源を提供している。その資源で最も重要なのは、専門教育のための視聴覚のサポートとひとつのテレビの5時間のサービスと15wの2個の照明を保障する電化プログラムだった。そして、この設備で使われるエネルギーは、ソーラー・パネルによって生み出されている。
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キューバでの太陽光発電導入の分布
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こうしたプログラムはエコソル・ソラールにより実施され、2000年9月に開始された。プログラム立ち上げには、Copextel社からの専門家や労働者、大学教授や学生を含め、様々なグループからの25人がかかわった。
グアンタナモ州では農村部の3つの学校がソーラーと風力とのハイブリッド・システムを使うことで電化された。こうしたハイブリッド・システムは、視聴覚教育プログラムの一部として、リオ・セコ(Rio
Seco)、ボカ・デ・ハルコ(Boca de Jaruco)、ラ・リアナ(La Llana)に導入された。ソーラーと風力のハイブリッド・システムにより、テレビとビデオは夜間にも使えるようになっている。ハイブリッド・システムでは、1日に1時間あたり2,500Kwを発電する蓄電器を備えた風力発電機があり、エネルギーの30%はソーラー・パネルからのものである。こうしたハイブリッド・システムを他のコミュニティに広げるためのプランも進行中である。
こうしたプログラムはすべて、科学技術環境省下のソーラー・エネルギー・グループの技術的適用の専門家による指導を受けており、グアンタナモ市をキューバのソーラー・エネルギーの首都とすることを目的としている。
■風力エネルギーの適用
現在、国内のほぼ全州に8,000以上の風力エネルギーが導入されている。最近のプロジェクトは伝統的な機械導入だけでなく、揚水ポンプを発電用に活用するよう開発された新型も導入されている。こうしたプログラムの開発や導入は、サンティアゴ・デ・クーバにあるソーラー・エネルギー・センターやハバナにある再生エネルギー研究センター、ソーラー・エネルギー・グループ等の多くのグループのコラボレーションのおかげでうまくいっている。
国立気象研究所は、キューバの風力エネルギーマップを刊行しているが、それから多くの場所で年間に2 ms-1以上の風が吹くことが示されている。2事例は、年間に平均3.9ms-1の風速があるバイノア(Bainoa)と3.4ms-1の風速があるフロリダである。こうしたデータは10m高でテストすることで得られている。
今後のキューバでの風力エネルギーの適用
場所
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Cayo Guillermo
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Santa María
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Punta del Maisí
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Cayo Sabinal
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Cayo Romano
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Cayo Coco
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電力(MW)
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0.32
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0.26
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0.28
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0.27
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0.24
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0.3
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コスト (米ドル)
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38,000
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34,000
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32,000
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31,000
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26,000
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35,000
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実施年
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2004
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2005
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2001
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2003
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2006
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2002
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キューバには風力発電機を使ううえで適切な状態にある場所が多くある。最も重要な適用例のひとつはツリグアノ(Turiguano) のウインド・パーク(注:複数の風車を設置する集合設置型の風力発電所。ウインドファームとも呼ばれる)である。ここはキューバで最初のウインド・パークだった。シエゴ・デ・アビラ(Ciego
de Avila)州のツリグアノ島では、パークは0.45MWの電力を供給している。海外の政府機関からの援助のもと、プロジェクトはクーバ・ソラールにより融資された。パークは、海から800mはなれ、ツリグアノからココ島へと向かう道路のそばにある。その場所は、2年間風力を研究した後に選択された。
この研究は、Electricity Engineers社とクーバ・ソラールにより実施された風力探索のための仕事の一部であり、これまで、彼らはキューバ内の様々な24ヶ所を研究し、多く地域に風力エネルギー活用のための大きなポテンシャルがあることを示した。
ツリグアノ・ウインド・パークの主な技術的な特性は、450Kwの総発電力があり、年間に998.5MWを発電し、その利用率で25.3%であることである。パークには、Ecotecnia社により製造された二つの28/225タイプ風力発電機があり、2つの中型の風力タービンは送電線と接続している。将来的には、こうしたマシンのパワーを増加させることが可能である。プロジェクトは、以下の目標のためにローカルでも全国でもともに重要である。
- ツリグアノの実際の年間消費需要の40%に相当する年間998.5MWを発電するため。これは大気中に年間215トンの汚染物質が放出されることを避けるだろう。
- 発電に風力を活用するため、さらにキューバの状態を調査し、それ以外の再生可能エネルギーのポテンシャルや遠隔地用の従来のシステムを研究するため
- キューバのエネルギー専門家にこの新技術の利用を容易にし、さらに異なった適用をするためこの技術を開発に向けて働くため
ツリグアノ・ウインド・パーク・プロジェクトは、過去4年間、他州のElectric Union等の当局とシエゴ・デ・アビラ州政府により支援されている。このプロジェクトは、風力エネルギープログラムの一部であり、国会に構成されている国家エネルギー資源プログラムを支援している。
■結論
キューバでは、近年、再生可能エネルギーの利用、とりわけ、太陽光発電や風力エネルギーの適用で大きな発展をしていることが目にできる。こうした再生可能エネルギーの利用は多くの社会的なメリットを提供し、多くのキューバ人民に、多くの改善された生活水準やより安全な環境を保証しているのだ。
メルセデス・メネンデス・ゴンサレス(Mercedes Menendez Gonzalez)さんとアントニオ・サルミエント・セラ(Antonio Sarmiento Sera)氏は、ハバナのホセ・アントニオ・エチェベリア(Jose Antonio Echeverria)の技術大学の再生エネルギー技術研究センター(CETER)の教授である。 |