徒然絵巻

2004年06月13日

竹株流 オナギとり 再現
竹株流トバシのレッスンを切り上げ 古川から オナギとりにむかった。


著書 「紀州のテンカラとふるさと」に掲載されている“オナギとり” がどういうものか非常に興味があった。

紀州山間部では、ウナギのことを 少しなまって、オナギという。
つまり“オナギとり”とは、紀州山間部につたわる“ウナギとり”のことである。

オナギとりは、竹株先生が子供のころは、女・子供の夏の楽しみだったそうだ。
しかし、初老の先生には、体力的にすこしきびしいとのこと。

お手伝いしますので、無理を承知でなんとかお願いしますということで、
なかば嫌がる竹株先生に無理をいい 当時のオナギとりを再現してもらうことになった。

オナギとりの仕掛けは、自宅にあるということで、古川を引き上げ、尾鷲竹株邸に向かった。

オナギとりの準備: 
アマゴ・鮎を3枚おろしにし、ひとくちサイズに切り、
30〜40セット分の仕掛にセットする。
(上)針に餌をつけたところ。黄色の物は仕掛け巻き

(下)竹の棒に、餌のついた針を、仮止めする。
≪オナギとり≫

・仕掛けは、全長2メートル程度の 吸い込み糸(編糸)に、なつめオモリを通し、 ウナギ針 もしくは チヌ針5号を結んだものである。これを木製もしくは発泡スチロールなどの水に浮く仕掛け巻きに巻く。 

・餌は、鮎・アマゴの内臓や切り身を使う。 

・夕暮れ前、うなぎが通りそうな穴を 竹の棒で探しながら、穴の中に餌を仕掛ける。

・仕掛けがはずれないよう漬物石ほどの大きさの石をおもしにし、仕掛け巻きを 固定する。

・翌朝仕掛けの回収をする。

オナギとりの準備 ≪餌付け≫ 30個から40個の仕掛けを準備し、ひとつづつ餌をつけていく。 

尾鷲竹株邸にもどり、オナギとりにむかった。

餌として、今回は、やや大きめのカワムツを3匹用意した。(アマゴ・鮎の方がよいらしい。)

魚をさばくことにはなれていることから餌つくりは私がおこなった。

 三枚におろし、片身から4切れとり、頭も2つに割った。
 一匹から、10個の餌がとれる。

竹株先生には、当時の思い出話をしながら、餌つけをしていただいた。

「オナギとりは、そこにすんどる魚をえさにするんがええんさぁ、鮎がおるところは鮎、アマゴがおるところはアマゴがええんさぁ。東の川ではアマゴがいちばんよかった。」

「子供らも、オナギとりに行くぞといったら、朝はよおから、飛び起きて行ったもんさぁ
前の日仕掛けた餌に、ウナギがかかっとるかどうか 一本一本仕掛けの糸をたぐるんが、クジをひいてるようで、わくわくしたんさな」

 
餌をつけた仕掛け30個分を持ち、川にむかう。
仕掛けを岩の下に仕掛けた。

※岩の上に漬物石ほどの石をおき、
  仕掛け巻きを 固定する。(右手のあたり)
 

30個分の仕掛けに餌をつけおわり、川に下りていった。

竹の棒で
ウナギの穴をさがす。
ウナギの穴に竹棒でえさを挿入 穴の奥まで挿入 しかけ巻きを
石で固定する

現場につき、体力的にきびしいという意味がわかった。

ウナギは意外と神経質らしく、巣穴のまわりの石の位置が変わると警戒するとのことで、穴の周りから2メートル以上離れた場所から 漬物石ほど石を運ばねばならなかった。

中腰で、うなぎの通りそうな穴をさがし、しかけた数だけ漬物石ほどの石を運ばねばならず、かなり重労働だった。


日がとっぷり暮れるまで、川あそびをした。

翌朝 「大きいうなぎが、一匹かかっていたよ」 と 竹株先生から電話があった。



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