ラドン温泉が放射能を含んでいるのを
|
鳥取県の三朝温泉、山梨県の増富温泉、秋田県の玉川温泉などがラドン温泉としてよく知られ、「がんを始め、どのような難病をも治す奇跡の温泉」としてマスメディアでも紹介されています。また、イタリアのイスキア、ドイツのバーデン、オーストリアのバドガシュタイン、アメリカのボウルダーなどのラドン温泉やラドン洞窟では、各国から病気の治癒を目的とした人々でいつも賑わっているようです。 |
ラドンの発ガン抑止効果の研究報告 |
放射線ホルミシスという言葉は、当時米国ミズーリ大学教授で生化学の分野で著名なトーマス・D.ラッキー博士が、1982年12月号の米国保健物理学会誌で発表した論文の中で使ったのが最初です。これは「少しの放射線は、免疫機能の向上などをもたらし、身体のあらゆる活動を活性化し、病気を治したり、病気にかからない強い身体にしたり、老化を抑えて若々しい身体を保つなど、あらゆる良いことをする」という、少しの放射線でも有害であるとする社会通念や放射線から人を防護する規制概念とは全く異なる画期的ものでした。 これをきっかけに、世界中でその真偽を確かめる研究や調査が始まり、日本では10数年前から大学や研究所などで動物実験を中心とした研究が始まっています。ここでは今まで得られている研究成果の中からいくつかを紹介します。 古元嘉昭・岡山大学教授(現名誉教授)や山岡聖典・(財)電力中央研究所上席研究員(現岡山大学助教授)らは、鳥取県の三朝温泉に近い池田鉱泉水で、ウサギにラドンを吸入させる実験を行いました。 その結果、インシュリン(糖分代謝)、メチオニンエンケファリン(鎮痛効果)、ベータエンドルフィン(爽快感)、アドレナリン(積極行動)などの健康を維持・持続するために大切なホルモンの分泌の増加が確認されました。 坂本澄彦・東北大学医学部教授(現名誉教授)は、長年にわたって放射線基礎医学の研究をしてきました。その研究成果を踏まえて、死亡率が高く難病とされている悪性リンパ腫について、がん組織に放射線を直接当てる従来の治療を行った患者と、従来の治療を行う前に少しの放射線を全身に当てる治療を複数回行った患者の治療効果を比較しました。 その結果、治療後10年を超える追跡調査で、従来の治療法では生存率が50%であるのに対し、少しの放射線を全身に当てる方法を併用した治療法の場合では、生存率が84%という高い実績が得られました。 奈良県立医科大学の大西武雄教授は、坂本澄彦教授が用いた治療で効果があったのは、がん抑制遺伝子p53が活性化したからではないかと考えました。そこで、マウスの全身に少しの放射線(エックス線)を当てた後、6時間あるいはそれ以上経過してから、がん抑制遺伝子p53の作るタンパクが、各臓器の細胞内でどのように増減するのかを調べました。 その結果、マウスのあらゆる臓器内の細胞でこのタンパクが飛躍的に増加することがわかりました。このことにより、がん抑制遺伝子p53が活性化していることが確かめられました。 |