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高齢者住宅事業は、長期の安定経営が必要である反面、事業ノウハウや実績値が確立されている訳ではなく、制度やニーズの変化に大きく左右される、非常に難しい、特殊な事業です。制度や労働市場などの経営環境は、介護保険発足当時と比較すると大きく変化していますし、今後もその変化は続いていきます。経営者は、『需要は増えるから大丈夫』といった思考停止から脱却し、事業リスク・将来性をしっかり見据え、事業の方向性を再検討しなければなりません。今後、倒産や事業閉鎖する事業者も増えてくると予想されており、その再建や事業提携、事業譲渡を行う上でも経営状態や将来性の分析は不可欠です。

しかし、高齢者住宅事業の経営内容を把握することは容易ではありません。有料老人ホーム等、利用権を入居時の一時金で購入させるという特殊な価格システムを採っている場合、決算内容が現在の経営状態を表しているとは言えませんし、経営に大きな影響を与える制度や報酬体系が流動的であることから、将来性の検討が難しいという側面もあります。

また、対象者や価格システム、サービス内容が多様化しており、地域性や周辺環境によっても、その事業者の抱えるリスクや課題は違います。表面的な数値や一律の基準だけで、事業の経営内容やその安定性・将来性を明らかにすることはできません。有料老人ホーム等の高齢者住宅の経営診断・開設診断は、何を目的に診断するのか、どの視点に重点を置いて診断するのかによって、その結果は大きく違ってきます。 

日本シニアリビング新聞の経営診断・開設診断は、単純な事業評価ではなく、長期安定経営の視点を中心に、以下の4点から、経営内容・事業内容の診断を行うプログラムを策定しています。

経営診断・開設診断プログラムの指針

@   事業特性、経営環境の変化・特殊な事業リスクの理解
 

A   『経営力』『サービス力』『情報公開度』など、これからの経営に大きな影響を与える900の項目を抽出し、現状を詳細に分析

 

B     現在の経営内容・サービス内容の単純評価ではなく、経営課題、将来性、事業リスク等、『これからの経営』に主眼を置いた診断

 

C   短期的利益確保ではなく、長期安定経営に主眼をおいた診断・アドバイス

まず、第一点目は、制度の方向性、事業リスクなど、経営環境の変化、方向性を理解していただくということです。高齢者住宅事業は、目先の利益を確保することではなく、長期的な事業リスクを回避することが、安定した経営を続けるためには重要です。特に、事業リスクやその回避のために行うべき課題について説明させていただきます。

第二点目は、それぞれの事業特性の検証・事業リスクの診断です。例えば、有料老人ホームと高専賃はどちらも制度名称ですが、居住者の権利に大きな違いがあることから、基本的な事業リスクは違ってきます。また、入居一時金の償却期間の関係、長期入居リスク等の収支に係るリスク、入居者や家族とのトラブル発生のリスク等、検討すべきポイントは数多くあります。そのリスクは、事業者毎に違いますので、これを細かく検証していきます。

第三点目は、現状分析と事業リスク診断を基礎として、現在発生している諸問題と、将来、発生しうる課題を抽出し、その発生原因や現在の経営の問題点等について分析します。開設診断の場合は、その計画に基づいて事業運営した場合、開設後どのような問題が発生するのか、中長期的に分析致します。

そして第四点目に、課題分析を基に、その対応策や方針についてアドバイスさせていただきます。これは、早急に改善すべきポイントと、中長期的に改善すべきポイントに分けて、また、開設診断の場合は、どのような点に注意して経営を進めていくのかについてアドバイス致します。
 
この経営診断・開設診断は、外部に公表することを目的としたものではなく、また、ランキングや事業の優劣をつけるために行うものでもありません。また、その現在の経営内容を第三者の目から評価するために行うものでもありません。大きく変化する経営環境の中で、経営者が、現状をしっかり把握し、その方向性を検討・検証するために行う『診断プログラム』なのです。

 

 

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