あなたの重症度チェック!
化学物質過敏症(CS)の重症度をはかるためのスケールを作ってみました。重症度をはかる上で指標となるのは、「身体の状態」と「生活用品の使用状況」です。体の状態がすごく悪いのに、生活用品の使用制限がそれ程多くない人もいるし、その逆の人もいます。
また、どちらも重い方、軽い方、いろんなタイプの人がいます。 あなたの重症度はどのくらいでしょうか?
身体の状態 | 生活用品の使用状況 | ||
健康 | S | 何でも使用できる | |
ぐあい悪いが学校・仕事に行ける | A | 生活上、時々体に合わないものがある | |
学校・仕事を休みがち | B | 体に合わないものがあって、人の中にいるのが困難 | |
学校・仕事に行けない | C | 生活必需品はほとんど使えるが、日用品の使用に大きな制限がある | |
ほとんど外出できない | D | 生活必需品で使えないものがあり、生活するだけでやっと | |
ほとんど寝たきり | E | 生活必需品にも事欠く。ライフラインが確保できない |
S | A | B | C | D | E | |
健康 | CSの疑いあり | 軽度 | 中程度 | 重度 | 他の病気が考えられる | (想定外) |
注) 様々な重症度の人がいるのだということを表したくて分類してみました。
「こんなに大変な思いをしているのに『軽度』だなんて・・・」と思われた方もいると思います。ごめんなさい。
便宜上、「軽度」「中程度」「重度」に分類しましたが、重度の人より軽度の人の方が楽だとか言うつもりはありません。
人の悩みは1つ1つがそれぞれで重大なことです。軽重はありません。
このスケールは1つの目安としてとらえてみてください。
私の場合は、次のような経過を辿ってきました。(2006年5月現在)
1985年(14歳)〜1999年(28歳) | 発症 。その後、1〜3、A〜Bをいったり来たり(自分が化学物質過敏症だという認識がなかった。) | |
1999年(28歳)〜2001年(30歳) | 化学物質過敏症だと気づく | 3B |
2001年(30歳)〜2003年(32歳) | 電磁波過敏症を発症。化学物質過敏症は急速に悪化 | 4E |
2003年(32歳)〜2005年(34歳) | 少しずつ回復 | 3C |
2005年(34歳)〜2006年(35歳) | さらに回復 | 3B |
1999年に自分が化学物質過敏症だと気づいてから、2001年に急激に悪化する前までは、私は化学物質過敏症のことをそれ ほど深刻に受けとめていませんでした。 化学物質過敏症だと気づいてから、いろいろ身の回りの対策を行ううちに、少しずつ回復していきました。「このまま治っていくのかな」と思った矢先、急激に悪化しました。そのときの状況は、体の状態といい、生活用品の使用制限といい、それまでの想像を絶するものでした。身の回りのものすべてに反応してしまいました。水も外気もだめです。外出はできないし、換気して外気を取り込むこともできませんでした。水道水がものすごい刺激を帯びており、浄水器も使えなかったので、飲み水、洗濯、シャワー、調理(皿洗いを含む)すべてに支障をきたしました。水道の蛇口から硫酸か何かが流れ出てきているような激しい刺激でした。衣食住すべてに困窮していきました。
そんなどん底を体験した私ですが、様々な対策と工夫を積み重ねていった結果、現在はかなり回復しました。「身体症状」については、「身の置き場のないような苦痛」を感じることはなくなっています。自律神経症状はかなり回復して、10年来の不眠症は完治しました。体が軽くなって動きやすくなりました。日用品に対する過敏性も下がってきて、以前より使えるものが増えました。以前はめまいがひどくて車を運転できなかったのですが、現在は一人で運転して出かけられるようになりました。スーパー、ホームセンター、歯科医院にも行けます。
「私の方法」は有害物質をよく管理し、できるだけ曝露を減らすということが基本になっています。ですから、現在「どうしようもない体の苦痛」に耐えていらっしゃる方(かつての私もそうでした)には、ぜひ試してみていただきたいです。しかし、「現在それほど体は苦しくはないが、社会復帰できなくて困っている」という方のためにはあまりお役に立てないかも知れません。有害物質を避けていては仕事にならないからです。これについては、私のこれからの課題です。
なぜこのような重症度チェック表を作ったのか、ということをお話したいと思います。私は、症状が中程度だったときには、自分のその時の状態を基準に「化学物質過敏症とはこういう病気なのだ」と認識していました。その後、急激に悪化したときには、それまでは全く想像しなかった生活が待っていました。悪化する前とは全く次元が違う世界です。しかしこれも「化学物質過敏症」なのです。この体験から導き出される結論は、「いろいろな重症度の人々が 、「化学物質過敏症」という1つの病名で呼ばれているが、それぞれの生活状況は大きく異なっている。 」ということです。
そのため、対策法について考えるときには、それぞれの重症度に合った方法を選んでいかなければなりません。例えば、1Aの人であれば、対策するのに様々なものを使うことができますが、5Eになると駒の数がずっと減ります。私が重症だったときには、対策を行うために使用するもの(例えば炭など)にも反応を起こしていました。このサイトで紹介していく対策方法は、どちらかというと重症者向けのものになりますが、「軽度」「中程度」の人もアレンジすれば有効に活用できる内容になっています。
(2004.8.26)