第10章 Fang&Fun !! オブリガードfrom...

「ドラマがおこんねぇのは・・・ aaaaaaaaaaaaaaaa

aaaaaaaaaaaa・・・初恋だけで充分なんだよ!」






























その後・・









































































俺達は一旦キャンプ場に戻った。































そこにはギターを弾く管理人さん。


ジャンベと呼ばれるヤギ皮を張ったローカル太鼓が音を重ねる








「ハ〜レルヤ〜♪、ハ〜レルヤ〜♪」




神を称え、人は歌う。

踊り、そして笑う。





子供達が踊ってる。

楽しそうにうたいながら。


キラキラ輝く時間。



神も俺の挑戦を祝福してくれているのかしら?
















俺の釣果を手放しに喜んでくれた管理人さん





喜びを共有できることの素晴らしさ。













ふとギターを手渡された俺



正直“弾く”なんてレベルではないけれど・・・。



それでも俺は弦を叩きつける。クランクベイトのリップをピックの代わりにして・・・。





モザンビークらしくポルトガル語で言っておこう。


唯一ひけるこの曲を・・・




「世界の裏側で“バカ”を叫ぶぜ!オブリガードFrom・・・」





(♪ありがとうfrom/ 作詞:俺、作曲:ワタル)





・・・トンチなギター、歌声とはとてもいえない叫びだ。







なんだってできる気がした。







全てが霞がかった非現実のようで







それでも手に残る“牙”の匂いは








“今”を浮かび上がらせた。








ボディーの振動を下腹に感じながら







空さえも飛べる気がしてた。































ウンチクはなしだ。



写真で全てカタがつく。






















FANG & FUN !

これがザンペジタイガー!
“牙”と呼べる魚だ!
しつこくなんかいもいくよ!(笑)
それづらい嬉しかったのよ!




































































本当にこういう水浴び場or洗濯場のRun&Gun!!
チ○コをあらうオヤジと・・・・
「黒人のペ○スはデカいってホント?」「A:自身で御確認ください 汗」















































































ヤベェ、既に妖怪レベル!
これが俺が追いかけた
“地上最凶の牙”だ!






































































以後数日、おれは“牙”釣りを楽しんだ。














もう気負いも何もない。



















冷静になってふと気づく。









考えてみると 


水浴び場や洗濯場となっているところはすなわち

「岸辺に葦がないところ」





言い換えれば

「岸辺に葦が生えられないところ」








流れが岸を削るところ、

岩盤や

急深の落ち込みや・・・






それらは全て魚釣りのグットポイントと一致する。




「ははは、なんだそういうことか・・・」




偶然の必然





俺はその後ものんびり牙と“遊んだ”。












朝一や夕まずめはオリノコやトリプルインパクトにも飛び出してくる。



しかし、針がかりはしない。



リッピング中のミノーにカウンターでバイト、35ポンドPE直結をブチ切っていく魚もいた。



しかしあの1匹で満足しきっていた。



ストイックに釣りすることもなく、



ものめずらしげに寄ってくる子供達にルアーを見せたり、



背後を通る痩せたコブ牛やヤギを観察したり・・・



「あれ以上の魚は釣れなくていい。感動が色あせることのないように・・・」























































その後も何本か釣ったが、40前後のこれぐらいの“トゲ”がアベレージだね。
○イブ○ーション○ックスウルトラにてGET!!(笑)
これまた水浴び場にて。
後のオッサンがちと怖い(笑)








































































ザンペジ川本流(右手前から右奥に流れてる)に左下からの流れ込みで粘る俺。
乾季のため、支流からの流れはほぼない。
水が流れてたらかなりもっといい感じだと思う。
それでもオリノコ&バイブでそれぞればらす・・・マジこの魚フッキング悪すぎ!!
この川でのウェーディングはワニの脅威と隣り合わせ。
支流は水深1メートルほどで「正にワニが潜んでまっせ!」な雰囲気をかもし出してる。
1投ごとに周囲を確認・・・運の悪い奴はマジで食われるでしょう。
一応新天地を求めてキャンプ場上下数キロは開拓してみました



































































テテに架かる橋
ここから下流200キロは橋がない。





















































































キャンプ場にて記念撮影。左からエマニエル君、俺、管理人さん。
見えるだろうか?
こちら側はカヤブキ屋根の立ち並ぶ住民居住区だが、
対岸は近代都市なのだ



































































































開拓に付き合ってくれたエマニエル君と&その友人
日が暮れれば今日も寝るだけ。
「あぁ、腹へった。タク、帰ろう。ママさんが飯を用意して待ってるよ」






















































ってなわけで


















































虎飯
お決まりのトマト煮込みぶっ掛けご飯に煮豆(塩味)を添えたアフリカのおふくろの味。
虎の味はターポンに似てる。
調理器具を何も持ってない俺は食材調達係を請け負い、ただメシを食わせてもらってました(笑)
一人で安食堂にいくより、よっぽどいいや。エマニエル君や管理人さん一家との食卓は楽しかったナ。
・・・どこからか六甲おろしが聞こえてきそうなメニューやね(笑)






















































淡々と、そして穏やかに時間は流れた。













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






























































月曜日、エマニエルと町の銀行へ両替に行った。


大学へのアコガレを語るエマニエル。





「タクはいいよな・・・」

「・・・。」




たしかに日本人は金持ちだ。

豊かな日々を生きている。

しかし、その裏に

「働かざるもの食うべからず」

残業、接待、愛想笑い・・・

稼ぎ続けなきゃならない、そんな重い十字架を背負いながら・・・。




「・・・どっちもどっちだぜ?」

やっぱりその言葉は贅沢すぎる、答えておいてそうもおもった。


























ありすぎる時間。


通じない言葉。


旅は必然的に自身と向かい合うことになる。











与えられすぎて、


わかんなくなって、


繰り返して、繰り返して・・・







シンプルでいい。






「被害者意識のカタマリ」


そんな情けない、言い訳製造機だけにはならぬよう





与えられた条件の中で俺には何ができるか?














優等生の劣等感、


多忙な暇人、


ボンボンは親の束縛を・・・






















赤い尾がルアーを追いかけてくる。


足元でUターンして消えてゆく。


そのゆく先、対岸には中途半端な“近代都市”が浮かんでる。







コンクリートで押し固められた“自然”という虚像







釣りが俺を惹きつけるのは、


そんな失われ行くノスタルジーに何とかつながりたくて


自ら放つ“蜘蛛の糸”なのかもしれない。









大秘境でも、大都会でもない。


メディアも誰も、気にも留めない。


何の変哲もないありふれた途上国の町の川辺で釣竿を振りながら










“逆”浦島太郎はそんなことを思った。


































「上を向いて歩けって言うから、僕は落とし穴に落ちた」
(by 友人タナコー)









































































夕暮れ時









女性用水浴び場で釣りをするバカの姿があった。


黄色いサルを“男”と意識していないが・・・まぁ、いい。



彼女たちの子供達がものめずらしげに俺を取り囲む。




「だるまさんがころんだ」状態である。



ルアーを投げる際、危ないので下がるようジェスチャーで促すも、

ルアーが足元に戻ってくるころにはすぐ後を取り囲んでいるのだ。








































来た












上流から下流にバズベイト(ルアー名)をひいてくる、



落ち込みに差し掛かるその直前、


爆音と共に水面が炸裂した。


魚は流れに乗って落ち込みを下り、そして大きく跳躍


「WOW〜!」


子供達が歓声を上げる。おばさん(おねぇさん)たちも驚ろきの声を上げた。







周囲に子供がいっぱいいるので、すっぽ抜けたときに飛んでくるルアーのことを考えるといつものように強引には引き寄せられない。



“牙”が跳躍するたびに子供達ははしゃぎ、歓声を上げ、



おばちゃん達の黒くて大きなおっぱいはユサユサ揺れた。




口を全開にし、華麗な跳躍を繰り返す“牙”。



「WOW〜」・・・ 「WoW〜」



何度目だろう、奴が今度は口を閉じて飛んだとき、ふと俺の脳裏にある魚がよぎったた。





「・・・ドラード」





普段プラチナ色の“牙”は夕日をうけて、


黄金色に躍り上がった。







それはこの国のポルトガル語の響きとあいまって、


南米を、もう一つの「河の虎」を,


“黄金の魚” ドラード(Dorado)を猛烈に想起させた。


コイツがドラード。マジでイカス!!







真っ赤な尾が夕日にとける。


黄金色に錦を返す“牙”。








でかい。


もしかすると1匹目よりもでかいかもしれない。



しかし、あせりも、気負いも何もなかった



不思議とその黄金の跳躍と、背後の歓声に浸る俺がいて。



「・・・釣れなくてもいいや」



ふとそんなことを思ったとき、竿は抵抗を失った。


「OH〜〜〜〜」

・・・振り返ると、そこには少し残念そうな、たくさんの笑い声があふれていた。


真っ黒な顔に、真っ白な歯を輝かせて。






















































明日の朝にはここを去る




















帰り際、茜さす大河に、俺は知ってる限りのポルトガル語でこう言った。





「オブリガード モザンビーク!

オブリガード リオ・ザンペジ!


・・・from ペケーニョ ペスカトーレ Takuya

                     
                          (オブリガード:ありがとう リオ:〜川、ペケーニョ:小さな ペスカトーレ:釣






















































キャンプ場に着くころには周囲は既に真っ暗になっていた。














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















































この夜は風が強かった


暑苦しく、蚊の多い小屋を抜け出し、


俺は川辺でズタ袋に包まった。


夜風が少し肌寒い。







「月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也。」
(松尾芭蕉)







転石苔むさず、また転がろう。









ズタ袋の中で聞く風は、寂しくもどこか凛として。






























長かったタイガーフィッシュ編






そろそろまとめねばならない。







ひとつの円を閉じねばならない。







氏の言葉を借りて、この“フェニックス作戦”の終わりとしよう。

































































































































「冒険とは、可能性への信仰である。」
(上温湯隆)




サンキュー、タカシ・カミオンユ。

あんたのおかげでここまでやれたゼ。



Fish on in MZANBIQUE 

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