第13章 シーラカンスの海で



何とかかんとかダルエスサラームまで戻ってこれた俺。

気候は一気に乾燥帯から亜熱帯へとかわった。

湿っぽい空気はどこか南国タイを思わせる



帰国までは時間が無い!

大急ぎで数日後のナイロビ行き国際バスを手配し、


俺は船に乗り込んだ。






外国人の俺は即VIPルームに通される。

クーラーの効いたそこには白人がいっぱいいた。

黒人は基本的に中に入れない。



・・・なんとなくいづらい雰囲気だ。





「特別扱い」、なんにしろ、俺はそんなのが嫌いだ。


元イジメられっ子の俺。


やっぱり蒸し暑い甲板のほうが性に合ってる気がする。












俺はVIPルームの外に出た


甲板では黒人が思いおもいにくつろいでいる。


隣りに座った男の子がガムをくれた。


小さな石鹸ほどもあるガムは、すぐにパチンコ玉ほどの大きさになった。


徹底的に甘ったるい。



クソ不味い。でも嬉しい。



俺はその少年に日本語の「ありがとう」を教えた。








しかし、俺自身、


荷物はVIPルームに預ける。


街で道に迷っても、視界に白人が入れば彼に聞く。








・・・なんなんだろうなぁ。








船はインド洋を進んでいく。




そんな矛盾、違和感をのせて。









青い海、青い空




髪を抜ける風、日差しが気持ちいい。





























最終目的地、向かうはタンザニア領ザンジバル島


昔、「ザンジバル島」という一つの国として独立主権を持っていた島である。



アラブ社会やインドとダウ船によるスパイス交易で栄えた、かつての東アフリカの窓である。



今なお島民は、ザンジバルを一つの国とおもっているようで・・・



港に着けば、入国審査(?)があった。





まぁ、テキトーに言うなら、中国における台湾みたいなもんかしら?


















屋台街。




魚介が素揚げで売られてた。














タンザニア1の観光地、





屋台のおっちゃんが





「ボチボチデッカ?」





と日本語で話しかけてくる。









にぎやかで、






旨くて。






そんな空気が嫌じゃない。







サトウキビを圧搾し、レモンを絞っただけのシンプルなジュースがうまい。






蒸し暑いこの島で、旅の疲れを癒してくれた。

















この島に来た2つの理由。

















その1つ目

















旅の最後にこの目で見ておきたいところがあった。














たった30年前まで、人が売り買いされていたその場所を。













「奴隷市場」


















アフリカ全土では毎年数十万人が新大陸へと“運びだされた”

















そのなかで生きて海を越えたのは1500万人




















その5倍以上の人が航海中に死亡し、海に投げられたと言う。






















そう思うと、きれい過ぎるあの海がなんだか悲しい色に思えてきて・・・































現在、市場跡には教会が立っている。


































正にここがその場所



































教会の十字架が、

俺には大きな墓に見えた。












誤解を招くのを承知で書くが、

北朝鮮拉致問題がちっぽけに見えてくるほどのスケールの犯罪だ。


モノとして扱われ、死に、捨てられた人々。

俺が遺族なら・・・、


間違いなく奴隷商人達の墓を突き止め、爆撃してやる。


国家規模の保障や謝罪はどうなっているのだろうか?

俺が知らないだけなのか?




・・・それでも、そんな過去を持ってさえも、

白人やインド系住民に“普通に”接することができる黒人諸氏を

不思議に思い、また尊敬もする。



奴隷市場の案内ですら、パッと見、気丈に振舞う彼ら。



その黒い肌にみせる白い笑顔は、本当に白なのだろうか?




亡くなった方には冥福を、

まだ健在の方には“新天地”での幸せを祈るほかない。





俺は無意識に手を合わせていた。













・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





































そして2つ目の理由
























あの“最高のロマン”が住む海へ・・・・





















































































朝、俺は小冒険へと繰り出した。





60キロ先、




島の対岸




インド洋がでっかくでっかく見える場所へ


















「やっぱこれだね!」





俺は迷うことなく自転車を借りた。

















始まりのチャリンコ


















今度は俺一人だけど・・・























「君と夏の終わり、将来の夢・・・」

(ZONE♪secret base〜君がくれたもの〜)



































夏の日差しをキコキコ走れば、








熱すぎたあの17歳の夏がよみがえる。









全てが最高だった、神戸への道のり











・・・気付いたら俺はこんなとこまできてたよ。













「君がいた夏は遠い夢の中、空に消えてった打ち上げ花火・・・」
(ホワイトベリー♪夏祭り)











口ずさむBGMもあの夏のままだ。



















STAY GOLD!!!!!!!














ハイスタが加速する












自転車もどんどん加速する。
































ただひたすらの1本道。





































道端の子供達が声をかけてくる。

決して人見知りすることも無く、大声で。











「ジャンボーーー!!(こんにちは)








俺も走りながら大声で返す

「ジャンボーーー!!
(こんにちは)






「Where are you from ?」

「Japan!」









自転車は走り続ける。


「クワヘリーーー!!
(さようなら)


「アサンテ・サナ!
(どうもありがとう)


「カリブ・サナ!
(どういたしまして)





自転車は離れていく。



「アサンテーー」

「クワヘリーーー!!」




「アサンテーー」

「クワヘリーーー!!」



「アサンテーー!!!!!」


「クワヘリーー!!!!」
















































ほんの10秒ほどの会話が元気をくれる。


















俺はこの「アサンテ・サナ」という、スワヒリ語の“ありがとう”の言葉が好きだ。



すごく透明で、すごくきれいなひびきがする。




































痩せた牛が草を食っている。



俺は露店のパパイヤ(1個10円)で道草食って。






さぁ、もうひとふん張り!





































こぐ、こぐ、こぐ











ひたすらこぐ



















ただただまっすぐな一本道を走りながら、この旅を振り返った。


















「あきらめることをあきらめて、本当によかった・・・」






























風が気持ちいい。























60キロなんてすぐさ。












































































地平線に青が見えた






































着いた!





































Running By The Beach
High Blue, High Sky・・・wonderful !

























日本人女性のミウラさんが経営する宿に今夜は泊まることにした。


何人かの日本人が集まっていた。






夜のビーチ


いろんな話をした。


自らが大きくした会社を投げ打って、現在チャリンコでアフリカ縦断中の方や、


学生時代、インドの若者の日本就職の支援活動に日印間を飛び回られた方




・・・そしてこの地に宿をかまえるようになったミウラさん。











人にはそれぞれのドラマがある。










「遠慮しないで。私、日本人じゃないから・・・」



そんなミウラさんのふとした言葉の含蓄が、いまも強く印象に残ってる。











ミウラさんが個人的に仲良くなり、ガードマンを頼むと一族で移住してきたというマサイの人々



夕食のあとにはあの有名(?)なマサイダンスを見せてくれた。



はじめてみたマサイダンス。







独特のメロディーに



その日に起こった楽しかったこと、面白かったこと、悲しかったことをのせ、跳躍する。





高く、高く、跳ぶ。




空気を震わせるような、魂の声。





高く、高く、跳ぶ。





夜の浜辺、異世界の空気がそこにはあった。

























翌朝、一緒に記念撮影していただきました。(俺も結構とんでるでしょ?笑)
彼らはその驚異的な身体能力を買われ、この宿で警備の仕事をしているのだ。


















































帰国まで時間が無い。





翌朝、最後に俺は海に出た。










超細かなサンゴ砂、白すぎる浜



それはちょうど石灰まみれの小学校の体育倉庫のような・・・



いや、それより全然広くて綺麗で



息をふきかければ舞い上がる、





粉雪のようなやわらかな砂。










































どこまでも続く白



そしてそれを覆う青



光を集めた水は、エメラルドに輝いて・・・

































溶けたダイヤが空を映す


























黄色のチョウチョウオや、



オレンジのクマノミがルアーにじゃれついてくる。















暑い!
























俺は“溶けた宝石”に飛び込んだ
















見上げた水面(みなも)の輝き。

















水、陸、空・・・無限大
(by19)







光よ、すべてを突き抜けてゆけ!


































































ヒラヒラ舞う色とりどりの天使たち。










































ザンジバル島











ここは天国に一番近い島
















ちゃっかり釣りもする俺(笑)
シーラカンスの海の宝石
泳ぎながらの遊泳釣法(笑)
珊瑚の穴釣りでスプーンを上下させてGET!
















































































1969年、人類は月を踏んだ。





現在





その活動は宇宙規模へ、その技術は神の域へ・・・







だけど、そんな人類も







この海の最深部へは、とてもまだ行けない。

































その海は5大陸を抱き











今日もめぐる


















この海の水もまた、地球一周2000年という長い旅の途中なのだ。











































巡り、移ろい、揺らぎ、





そして・・・
















「この海のどこかにシーラカンスがいるのだな?」












きっと、遠い、遠いところに。





















































































長かった放浪もそろそろおわり。



























































・・・帰ろう、日本へ。












Fish on in ZANZIBAR (TANZANIA)

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