第6章 星野道夫のゴンベの森に〜二十歳の船出〜 (タンザニア)
船長との激動の夜を越えて、
それでもめげることなく(笑)
俺は湖に流れ込む支流の開拓をはじめた。
地図を片手に道と川の交差する場所を目指す。
乗り合いトラックの荷台に揺られること数時間
苦労してたどり着いてはみたものの・・・
「水ないやん 汗」
乾季のアフリカ、小河川は水が枯れていた・・・。
そして帰り道のことなど考えずトラックを飛び降りたわけで・・・
・・・・冒頭の一枚となりました(汗)
アフリカは厳しいのぅ。
そして、
でっかいのぅ。
ひったすらの一本道でございます。
乾燥によるホコリと日差しでそこは“白き大地”
夜はディスコに繰り出し、リューマチのピノキオのように踊った。
期待したほど凄いダンサーは大しておらず、
昔「学校へ行こう」のBラップ・ハイスクールにでてたコイケ宜しく、
なんとな〜く腰振ってる
そんな中酔って来た俺はパークマンサー宜しく
「そうだよアホだYO−!!」
と壊れていったのだった・・・。
黒人女性にラブコールを受けたりもしたが・・・
すまん、ボン・ボン・ボン至上主義のアフリカ女性は俺には荷が重い。
俺はポン・キュッ・ポンの華奢な大和撫子がすきなの・・・。
気の無い女性にやさしくしてはなりませんな!
ね、まんちゃん>笑
(アフリカ女は腰が砕ける、と会う奴会う奴アフリカ男は嘆いてましたわ 笑)
そんなこんなの珍道中で
俺の気持ちは固まっていた。
やるべきことは一つ
「南下して“牙”を、タイガーフィッシュを釣る!」
・・・しかしそのための次の交通手段、タンガニーカ湖縦断フェリーまでは数日の時間があった。
そうだ、確かこの近くには・・・
タンガニーカ湖の北部に位置するこのキゴマの町。
確かその近くに“とある国立公園”があったはずだ。
ゴンベ・ナショナルパーク
チンパンジー達の小さな楽園
・・・それはかつて星野道夫が生前最後に旅したところ・・・
星野道夫
写真家
主にアラスカで野生動物を撮り続けた。
そして45歳(44かも)でTV取材中、熊に襲われ急逝。
・・・そして彼は旅人だった。
部活もひと段落し、本を読む暇ができた受験期
心ばかりが焦る日々
その中で出合った彼の著作、「旅をする木」は衝撃だった
(有名だけど、超オススメです)
彼にだけ見える世界があった。
彼ほど透明な文章を書く人を俺は知らない。
「できることなら氏の足跡をたどってみたい」
アフリカに来る前、わずかな時間の合間を縫って1冊だけ読んだアフリカ紀行文が
「アフリカ旅日記 ゴンベの森へ」
(星野道夫著、メディアファクトリー)
星野道夫がグードル女史(後述)と共にアフリカのゴンベストリームを旅したドキュメンタリー。
・・・それは結果として彼の遺稿となった
簡単にこのゴンベナショナルパークについて書こうと思う。
薄識ながら知ったかぶりするのをお許し願いたい。
(訂正があればメールなりなんなりで教えてください)
45年前、グードルという英国女性が訪れた事に全ては始まる
当時学識も何もなかった彼女
しかしながら何日も何日も、彼女は森に分け入った
そしてその熱意はチンパンジー達に確かに届く。
群れに近づくことができ、そして彼女が見たものは道具を使うチンパンジーだった。
「蟻釣り」をご存知だろうか?
当時の人間の定義は「道具をつかう事」だった。
小枝を使い、蟻塚のから蟻を釣って食べるチンパンジーの発見、
道具を遣う動物の発見
それは人類の定義を根底からひっくり返した。
そして次に彼女がしたこと・・・
それは失われゆくこの小さな森を、チンパンジジーたちの森を
彼女は世界を駆け回り、保護、基金をうったえ続けた。
・・・そして現在、ゴンベには研究所がたち、霊長類研究のシンボルとなっている。
ゴンベへの交通手段はタンガニーカ湖を利用した船だけだ。
(ゴンベに限らず、キゴマの街から北の湖畔の村へ行くには船しかない。
宿でチャーター船も手配できるが・・・俺には経済的に無理 汗)
・・・俺は現地人とともに船に乗り込んだ。
誰が呼んだか奴○船
たくさん乗せればその分儲かる・・・。
さすがカローラに7人乗る国だけのことはあるネ!(笑)
水中に小魚が走る。湖底の影がそれを追う。
ただただ、透明で、でかい。
男たちが口げんかを始めた。
ツバが俺まで飛んでくる。
たとえるなら
うざってぇゾマホンがぎゅうぎゅう詰めでわめいてる。
赤ちゃんが泣き出した。
ペットボトルの水をあげたら。ママがお礼にサトウキビをくれた。
皮をはぎ思いっきりかみしめると甘いジュースが染み出して。
「あの男ども、五月蝿すぎるぜ!」とジェスチャーで伝える
ママも肩をすくめて苦笑い。
それから俺は湖だけを見てぼーっとすごした。
・・・数時間後、ボートはゴンベに着いた。
超偶然にもその日、日本人ツアー御一同様とロッジではちあわせ、
翌日からチンパンジー探しに連れて行ってもらえることなる。
僥倖、正に運だけで生きてるな、俺(笑)
・・・しかしながら予約無しでいきなりやってきた俺に部屋はあまっているはずもなく、
物置で寝る羽目になったのだった(汗)
「か、かび臭い・・・」
ロッジ敷地内にも動物は入ってくる。
バブーンといわれる猿。どこにいるかわかりますか?
研究所で働いているマイケル博士。
なんとあのハーバード卒だとか・・・笑顔の素敵な方でした。
夜、ろうそく明かりの中で皆さんと話をした
このツアー、どうやらJGI(ジェーン・グードル・インスティチュート)、
前述のグードル女史が設立した団体の日本支部が企画し、
新聞記者さんを交えての取材ツアー。
恐縮しながらも、旨い飯を食い、ビールを飲みながら、みなさんからいろんな話を聞くことができた。
グードルさんさんの研究秘話(彼女はまだ存命です)・・・
日本のJGIで働くTさんのお話・・・
そして長年にわたる生態研究について・・・・
45年にわたる継続研究で、このゴンベの森に住むチンパンジーの系統、
血縁関係はすべて把握されているそうだ。
周囲の森から隔離されたこのゴンベ国立公園、俺はマイケル博士に聞いてみた
「現在の85頭もこの隔離状態が進めば近親相姦の影響もでてくるんじゃないですか?」
近親相姦の影響:遺伝子がちかい固体同士間にできた子は異常遺伝子が蓄積し障害がおきやすくなる。
人間でも日本では従兄弟より近い親戚間での結婚が禁止されているのはそのため
「・・・計算上は100年後には40頭に減るだろうね」とはマイケル博士
「そのうち、ゴンベ外から人為的にチンパンジーを入れなきゃいけないと思う・・・」
ろうそくの灯りが揺らめく。
・・・自然とは“管理”されるものなのだろうか?
管理されねば消え行くのか?
壊すも、守るも、それはすべて我々のさじ加減ひとつなのか?
アフリカを旅しててそれは常に思ってたこと
「ヒトはでかくなり過ぎちまった・・・」
翌早朝
俺たちは森へ入った。
グードル女史が過ごし、星野道夫が歩いた森へ。
途中、チンパンジーのウンコやら食べ残しの木の実を見つけ、気分は高まる。
食べ残しの果物の反対側に食いつく俺、当然厳重注意を受ける(汗)。
(感染症の問題とか。クリとリンゴを足して2で割ったような味がしました)
丘の上まで来た。
谷にかかる霧
quiet & mist
耳を澄ますと、チンパンジーたちの声が聞こえてきた!
「ホ〜ウ、ホ〜ウ、ホ〜ウ・・・・」
「あっちだ!!」
同行したマイケル博士が歩き出す。
それを追って、自分達もヤブをこぎ、崖を下った。
(ほんまに、一般人にはかなり過酷だと思います。
「一般向けのツアーじゃないな・・・華々しい記事の裏には過酷な取材があるんやね」
釣り(一緒に行ったことがある人ならわかるけど、かなり無茶な釣り方します)
やら山菜採りやらで慣れてる俺でも息が上がったよ。
翌日の再入山を前に、「もう充分。ほんとに死にかけた」とは宿に戻ったある女性ツアー参加者の談)
そして山道をかけずり回ること数時間・・・
うっほほ〜い!!
ようやく会えた森の住人たち。
親子連れも見れたよ〜かわい〜わ。
地元の動物園のウンコ投げてくる下衆チンパンジーとは大違い!
動物に最も近い日本人は蟻釣りを試みた!
チンパンジーフェイスでこの一枚(笑)
その日、乾季のゴンベに珍しく雨が降った。
夕暮れ時、ロッジの側の湖畔へ向かった。
茜さす空
俺はタバコに火を着けた。
「10代も今日で終わりか・・・」
「“自由”と叫びながら、逃げ回るだけだった」
(byジャパハリネット)
受験期にシンクロさせたこの言葉。
今はちょっと違う風に感じてる。
“イイワケ”が一つ減る。
“セキニン”が一つ増える。
それは“自由”と言い換えられようか?
ツアーメンバーのNさんが話しかけてくる。
「10歳になったとき、何か感慨はあったかい?」
「30になるときは、仕事の忙しさに忘れているさ」
・・・・だけど・・・だから・・・・
「色々あったけど・・・“悔い無し”とは口が裂けてもいえないけれど・・・」
forever my teendays!!
「・・・そして20代はもっと楽しくしていくさ!」
↓バカ全開ショット(笑)やってて既にアホらしい(汗)
10代最後の日が沈む。
時差を考えれば、日本ではハタチになった瞬間。
こんな形で誕生日を迎えるとは・・・
海外の空気は脳を溶かし、旅は人をロマンチックにするらしい。
「星野道夫さん、あんたみたいにイカしたオトナになるゼ!」
・・・・う〜ん、我ながら気持ちいいほどのアホやの〜(笑)
(小学生の頃のグレート人生計画的にはハタチの誕生日に結婚式やったのにね 笑)
翌朝、フェリーの関係で一人先にキゴマに戻る俺を皆さん総出で送り出してくれた。
別れ際、ロッジ前で皆さんと記念撮影。
電池、醤油せんべい他、補給物資本当にありがとうございました!
・・・・byミヤギ君(笑)
その日の午後、タンガニーカ湖横断フェリーは岸を離れた。
ハタチの船出だ。
船は一路4か国目、湖南端のザンビアへと向かう。
まだ見ぬ“牙”の面影を追って・・・。
・・・Fish on in TANZANIA
←前へ アフリカ編TOPへ 次へ→