6.Mongol 1300

〜こちらモンゴル珍道中〜







「明日には夢叶う 夢叶う いい風が吹く〜♪」 

モンゴル800、「夢叶う」を口づさみながら、こんにちわ。

ワタクシは今、ウルギーから東へひた走っております。

空が青いです。

非常に、広いです。

代わり映えがしない景色が永遠と続きます。

アホになってきました。

アヘヘ、超気持ちいいっす〜♪







そんな苦笑いをしてバスに乗っております、ごきげんよう。








ウルギーのドライバーとひと悶着あった翌朝、

俺たちはチョロートへ向けて行動を開始した。

一刻も早くこの“地の果て”から抜け出したかったので、空港へ行ってみる。

お母さんにはとりあえず死んでもらって(笑)、首都への飛行機チケットを頼み込んだよ(笑)


しかしながら当然、

当日に乗れるようなことはなく


まぁ陸路でチョロートへ向かわなければならないことが、確定した。






ドライバーを雇うのはうんざりしてたので、

今度は乗り合いバス探しってわけだ。








とりあえず西、首都へ向かうバスに乗り・・・、

途中下車し・・・・

別の車に乗り換え乗り換え・・・、







「・・・はぁ、ここから、この最果ての地からの直線距離でも約1300キロ。

途上国の、それもこんな僻地からの道路事情を考えると、

いつになったら大地の裂け目にたどり着けるのだろう・・・」







気ばかりが重くなる。

今日もあいも変わらず鉛色の空だゼ。




ヤになっちまう。




自分が紹介したドライバーが不義理を出したので責任を感じたのだろう、

例のテンパリ通訳ちゃんが、朝からバス探しを手伝ってくれたよ。




超長距離により、クルマを1台チャーターするわけにはいかない。

ガソリン代だけでバカにならない。

そのクルマの帰り道のガス代なども払わなければならないことを考えると、


これは乗り合いバスしかないからさ。

















運よく首都へ戻る学生さんたちが数多く乗った、

旧ソ連製激安バス(首都まで5000円)を通訳ちゃんが見つけてきてくれた!

午後に出発という。




ひょいとのぞくと女の子がいっぱい乗っていたし(笑)、

ほかの候補は全部明日朝の出発だったので、

午後発のこのバスで即決。



とにかく、一刻も早くこの町を離れたかったのさ。




かわいい子ちゃん発見(モンゴル娘比)!
「偏狭の地美人度現象」ってのがあって偏狭ではいろんな人のポイントが上がる。
晴れ着の成人式、浴衣の花火大会…そんな感じ!?笑
しかしその周囲にはいつもバカ男(ばかお。後述)が目を光らせているのである・・・
バカ男よ、君、俺に似てるね・・・
ちょこまかちょこまか・・・・君の言動を見ていると、
自分のいままでの言動を反省しきりだよ・・・
もうちょい落ち着きます、自分。









午後3時、出発(予定)。


2泊3日、このバスで走りっぱなしということになるみたい。


・・・失礼、間違えました。


“最低”2泊3日だ。



現在午後四時、予定時間を1時間たって、

まだ出発のそぶりすらなし



いきなり先が思いやられるヨ・・・。





加えて

やはりというか、予想通りというべきか…

途上国の長距離移動にはよくあることだケド、


「とりあえず積めるだけ積め!人も、物も…」


出発時間が近づくにつれて、どんどん乗ってくる乗客と、

アホみたいに運び込まれる輸送品・・・






明らかに定員オーバーかつ、座席の上には輸送品があり、


その上に座るなり寝るなりするわけだ。











おまけにここはモンゴル。


輸送品は大半が毛皮だの乳製品だのと猛烈に獣くさい。





カチコチに乾燥したモンゴル風チーズ(?)が入ったズタ袋の上で寝る夜は

砂利道で寝ているかのようで…





日本風に言えば

「敷き詰めた高野(こうや)豆腐の上で2泊3日過ごしなさい」

そんな感じ?

もちろん、水で戻す前のカチコチの奴ね(汗)




すごい悪路だから、ガタンガタンゆれると冗談抜きに背中に突き刺さるかと思うよ・・・






すれ違った、ひっこしトラック。
ウルギー周辺では結構な数の家族が引越しをしていた。
冬に備え、“遊牧”なのでしょう。
それはトラックを使えるようになった今でも変わることの無い伝統。
「天空の少女ナンサ」(だっけ?)っていうモンゴルの映画を帰国後見たけど、まさに被るなぁ。


















加えて4人分のシートに6人乗っているから足も伸ばせない。

みんな、自分の場所の確保で必死。


…もう散々。





過積載は、もともとないに等しい鉄板重ね式サスペンション(日本のトラックみたいな奴)を限りなくゼロにし、


大量に荷物の積み込まれた後部座席、寝場所はもうそこしかない。

その上で、申し訳程度に寝る。


頭と天井の距離は50センチもない




案の定というか、当然か、


跳ね上げられた際に


天井激突&頭から流血…







その悪路ぶりは

テルさんの雷魚竿がバズーカーに入れた状態で折れた

というエピソードからも想像がつくというもの。








うぃうぃ、とりあえずハイテンションってよいと思うでござんす。
途中、ヒッチハイクで乗ってきたフランス人女性が、すぐに降りていきました・・・。
とりあえずネタのために我慢します。汗















そんな状態で3泊4日、



え?3泊4日?




そうなのよ、いや、はじめっからおもってたけど、


予定通りつくわけないじゃん・・・


1日増えただけでたどり着けたのは、

まだ幸運だったと思うよ。







そんなわけで昼夜走りっぱなし…

ならよいケドだ、10キロも走ればすぐトラブル発生&立ち往生。




旧ソ連製のこのバス、このタイヤ、


このご時勢でチューブ式








何でやねん・・・
この時代にチューブ式タイヤ・・・アジアの発展は遠いぞ・・・。













パンクすれば乗客みんなで交代しながら空気を入れて進み、

またパンクしてはシュコシュコ…。




バスはもう馬鹿になってる。

だましだまし走ってる。


喘息のおじいさんにおんぶされてるみたいだ・・・。
















ボケーっとしながら日が昇り、くだっていくのを眺めていたら

夜になった。当たり前だけどね。













月明かりの下やさしく眠る
思い出は夏の星空となる

(モンゴル800)





















左から俺、“朝青龍”、テルさん。
昼間はまだよいが、眠くなってみんな譲り合いの心を忘れだす夜は
とんでもなく過酷な場所取り合戦になった。
初日、この“朝青龍”のバカみたいな力により、元寇に敗北した俺は
結果的に体育座りみたいな格好にまで場所を追われ、折りたたまれてほとんど眠れなかった。
ゴミ箱を開けると端っこにくっついてる固まったティッシュ・・・そんな感じ。
だが2日目、俺は自分のバックを背中にしいて、空間的段差によって絶妙なポジショニングをとるという反則技にでた。。
バッグの厚み分だけ高い位置に体をキープできたので
「リベンジじゃ!倭寇をくらえ!」と上から朝青龍に圧迫をかけることに成功!
快眠という安息を得たのだった・・・。
しかし、場所を追われたのは“朝青龍”本人ではなく、その横にいたテルさんだった(笑)
“朝青龍”の背中と、カチコチチーズに挟まれ圧死寸前(笑)マジで呼吸音がおかしかったが・・・
まぁいい、俺さえ生き残れれば。笑
モンゴル人の身体能力(というか力)の根源を見た思いだった。
寝た状態であの力・・・70キロ近い俺があっさり押しのけられるんだから
とんでもない背筋力なんだと思います。


















俺のちょうど前、助手席の「まる男」(まるお
足を伸ばしたら、爪を立てて握ってきたので
背中を蹴ったら、一触即発となりかけました・・・
でもね、すぐ忘れるの(笑)
お互いバカで助かりました・・・カメラを向けるとこの表情(笑)
ずっといいたかったけど、帽子、無駄に似合ってるぞ!(笑)






















左手前の席の2人。
手前の子はいいとして、奥の子!
あなたのうなじのおかげで、ボクは生きていることが出来ました。
あなたのうなじを見ると、元気が出ました。
1300キロ、
ありがとう、うなじちゃん・・・。




























起床!

眠れた、眠れないにかかわらず日はまた昇るノダ!!







「ブッ」









いきなり立ち往生!




超寒い夜間走行は調子がいいんですがね・・・


ラジエーターが逝ってるんでしょうか?

朝からストレスたまるぜ!

もう慣れたけどなっ!!


分業ですな。男は修理、女はただそれを見守るのであります。
空だけは無駄にテンション高いのが疲れるのでございます。
誰かヤングマガジンでも持ってきてください・・・暇で死にそうです。
どうでもいいですけど、最近はリアディゾンがでてる雑誌はとりあえず手が伸びてしまいます・・・。


























ダリ〜よ〜
こんなに脱力感が似合う人も少ないなぁ・・・
まぁ俺がテルさんの生気を吸い取ってるのは間違いないでしょう。
そういうのはMrトラブルメーカーの俺と行動を共にする時点で、諦めてください・・・笑
ただ、ネタには事欠きませんけど(笑)

楽しい冒険をとるか、堅実な安定をとるか
人生はそのどちらかなんでしょう。
・・・・もちろん俺は後者ですけど!笑

ご愁傷様でした・・・でも楽しかったでしょ?笑















「エンジンの寿命が縮む」「タイヤが傷む」




過積載もなにも、そういう先のことなど考えない

その一瞬、その一瞬、限界までフル活用、後のことなど知るか!











彼らには「今」しかないのだナ。



バカバカしくも愉快に毎日やっている。















エンジンをようやく修理したかと思うと


即フルアクセル&焼きつかす…。





たしかに、いい意味でも悪い意味でも、

こんな何もない国では


「明日のことなどわからない」







よって

「今がすべて」











シンプルかつアホらしい、そんなモンゴル気質がなんとなくうらやましかった。 







俺、余計なこと考えすぎだぞ!って、思った。



「あ〜アホになりてぇ」




































朝青龍以外にも敵は多い・・・
右隣に上をとられ、背中のカチコチチーズで圧死寸前。
でももっと死に掛けているハズのテルさんがいつの間にか撮影。
すんません、テルさん・・・。でもいつからこんなに日本人は弱くなってしまったのでしょうか・・・汗






































そんな中、前述の「バカ男」(ばかお)が魅せてくれました!















































時間は前後するけど、別れ際に撮ったバカ男全図。
もう、全身から品性の無さがにじみ出ていました。
・・・すごく仲良くなれそうな気がします(笑)
モンゴル語がもう少し話せたらな、って。
あばよ、ばかお。
























道中、いつものように草原の真ん中でエンジンが止まった。
そんな時、バカ男が「ちょっときて!」と服を引っ張るから、
いっしょに連れられて、草原の真ん中に来たよ。
バスがあんな遠くに見えるよ。
地球ってでっかいんだな〜。










・・・で、“話”って何よ?




























































































は?




















































































































































ついて来た俺がバカだったよ。


残念な気持ちになったよ。




俺にその一部始終を見届けよとでもいうのだろうか?




・・・死ねばいい(笑)




でも、ちょっと気持ちよさそうだ・・・。















うら〜〜!またまたスタックだ!
おせ!おせ!・・・でも俺はヤだ!笑
だって、運転無茶過ぎるんだもん・・・自業自得!
でも押さないと進めないしね・・・手伝うよ。
はぁ・・・。先行き不安・・・。
























青空とウンコ

ウンコと青空



ロックやな〜。

ホンマにロックやわ。




うん、コれこれ。

ウン、この青空こそパンクロックや(笑)










・・・こういう品性下劣な奴、俺は大好きです!笑






































































草原にはこんなトカゲがうろちょろしてた!
とりあえず生き物なら何でも好きな俺&テルさんは無駄にはしゃいで追いかけてました。
・・・バカってうつるみたいです。
でもそれでいいんじゃないでしょうか・・・。





















































ノゴトイシュル(でしたっけ?)、モンゴル風羊肉焼きウドンを「ゴアンズ」と呼ばれるパーキングの食堂(?)で待つ我々。
「家畜の血を大地に落としてはならない。大地が汚れるから」
そんなモンゴルの風習を聞きましたが、
そういう点で“血抜き”の習慣がないのでしょうか?
モンゴルの羊肉はとんでもなく臭う、決して日本のラム肉とは違いました・・・
ケチャップをかけまくって、空気を鼻に通さず胃に流し込みます。
あ、このとき必ず「スーテーツァイ」ってミルクティーが出てきますが

塩味です
始めは戸惑ったけど、なれるとスープのような感覚です。
でも、日本に帰って作ってみようとは思わない・・・
馬乳酒しかり、道端で少年が売ってるのですが、意味不明な味でした・・・。
同じモンゴロイドなのに、モンゴルの人々の味覚はちょっと突出してます。
とにかく乳製品、とにかく羊、そんな感じです。






















































実はテルさんはイケメンなんです(笑)本当ですよ。
でも最近は女性に飽きて、俺や武さんに惚れているらしいんです。
はぁ・・・ダルっ笑

「男からモテるのはもうお腹いっぱいだ!笑」




























































道中、壮大すぎる万年雪のアルタイ山脈を越えたり、

「草の海」という表現がぴったりのゆったりうねった草原を走ったりするケド…




何時間たっても変わらぬ景色にすぐ飽きちゃうのでした・・・(汗)




アルタイ山脈って奴ですか?
このモンゴルの空の青さって、ほんと、日本じゃなかなかないよ。
青空って“広さ”が重要なんだって、思った。




































こいつ、スーホって名前だと思います。
絶対そうです。
モンゴルの白い馬は全部スーホです。

































キス顔って時に間抜けだよね・・・。
そんなことを牛を相手に思いました・・・汗
だいぶ疲れてます。はよ帰国して彼女つくらねばっ!(爆笑)
我こそは、って人はtakuya198597@hotmail.comまで。
※写メール必須、3サイズは任意、でもこの牛以下は無条件で却下(笑)














遠くから撮影するとこんな感じ
バター飴でも食いたい写真です。
ハイジが空想科学読本バリの猛スピードで飛んできそうです(笑







































そんなこんなで3泊4日、

100回以上のエンジン&タイヤトラブルの末、

予定より1日以上おくれて

目的地のチョロート川まで後数百キロの分かれ道近く、

アルバイヘールという街までたどり着いた。





首都へ向かうこのバスとはここでお別れ。

よかったとこといえば、運転手は料金徴収も忘れるほどのアホだったことくらい(笑)


「首都まで一緒に乗っていけよ!」

そういい握手を求めてきた運転手サン、笑顔で手を握り返す。





睡眠不足と疲弊でボロボロになりながら

「この人、ほんまアホやな(笑)ま、タダ乗りできたしOKっしょ?」とプラス思考で考えた。








バカお、マルお、朝青龍・・・昨日の敵は今日の友(笑)、みんなと握手。

うなじちゃんたちシャイなモンゴルの女の子は、車内から手を振ってくれた。






愛すべきおばかさんにいっぱい出会えて、ボクの心はだいぶ落ち着いてきたヨ。


























“炎”には刹那的な赤、橙に加え

更に熱をまとい安定した“青”を宿した。






モリゾーさんで言うところの


COOL HEAD WARM HEART









もう大丈夫。








お金を徴収し忘れた運転手サン。
ホント、日本人と顔が変わりません。
え?比較対象がテルさんだからだって?
た、確かに・・・。
えぇ人でした&でもお金のことはしっかりしましょう♪
俺の頭の流血の慰謝料と言うことで、
浮いた5千円、ありがたく使わせていただきます!










…なんだかんだで苦楽をともにした車内には不思議な一体感が出来上がっており、

みな別れを惜しんでくれた。







「ま、貧乏珍道中的においしいネタかな?もう2度とゴメンだけれど・・・」













相席になったみんな、アリガトね☆

俺、きっとやりとげっから。




















ゴミの回収&処理システムの無いところへの
資本主義と製品の流入。
“釣旅”は考えることの多い旅でもある。
幹線道路横、日本で言う「道の駅」のような、
ゴアンズと呼ばれる簡易食堂周辺のひとコマ。
風に惑うゴミはやはりワイの美学に反するっ!笑































「夢ならば覚めないで 夢ならば覚めないで
あなたと過ごした時 永遠の星となる」



広い宇宙の数あるひとつ 青い地球の広い世界で…

小さな恋は生まれはしなかったけどよっ!(笑)



あばよっ!


(♪モンゴル800「小さな恋のうた」)











































こうしてウルギーから1300キロ、

馬鹿バスとの道中がようやく終わった。



チョロート川の流れる「アルハンガイ県」のおとなり、「ウルハンガイ県」のアルバイヘールまできた俺たちは、

またも市場に行き、交渉開始。

なんとかチョロート川付近まで送ってもらう話を取り付けた。

もうロシア製はこりごりだったので、車を入念に選んだ。

出来れば日本製、とおもったが韓国車で妥協。





それでもきちんとサスペンションがきき、「寝れる。」

ヒュンダイ、いい仕事するぜ。

数キロ先、やっぱりスタックしている馬鹿バスを猛スピードで追い抜いて、

草の海を切り裂くように俺たちは進む。


まるで、これまでの遅れを取り戻すかのように。









日本での当たり前がすべて幸せに感じるんだ。

贅沢すぎてバチがあたりそうだよ。

選択肢も可能性も無限大。

求めればすべてがそろう国、日本。

そんな日本ですら何も出来ない奴は、本当に地球からのお払い箱なのだろう・・・。



がんばります、自分。




















“ノントラブルで走り続ける”という、

車としての最低限の性能に感動し、そして思った。







「本当にあんな車を作った旧ソの技術で45年も前に月にいけたのか?」





ガガーリンさんよ、

ちょっと生意気言わせてくれ。









「地球はアホだった。」



…いや、はや。


























らいらいら〜!
水があったらとり合えず竿を出してみろ、でしょ?
よくわかんねぇ珍魚をこのヒュンダイとの道中またGET!
草原オイカワと名づけよう!
写真が紛失したけど、日本のアブラハヤそっくりな奴も釣れました!
隣はドライバーさん。いい人でした。
「タリアトまで送って」って言ったけど、「ラフロードで車がもたない」と断られました。
そうです、クルマは大切にしてあげてください・・・バイルッラ!!





















でもね、やっぱりここはモンゴル。

マフラーが「ボトッ」と落ちて、引きずり走行・・・

様子がおかしいのに気がつき、

車体の下に入り込んで

自転車のチューブのようなゴムひもで縛りつけ、

無理やり走行続行(笑)



・・・まぁこれぐらいはモンゴルにしては序の口。



テルさんは爆睡して気づきもしてなかったですけど・・・汗








それぐらい“馬鹿バス”の車内は過酷だった分、このヒュンダイは最高だった。




























さてさて、



そんなわけでアルバイヘールから更に200キロ、

チョロート川までの最後の“都市”、「アルハンガイ県」の県都ツェツェレグに着いたのは夜だった。

とりあえず近くの安ホテルにチェックインすると、

その階段は明らかに水平ではない。

ボールをのせると、明らかに手前に転がってくるだろう・・・

鉄筋コンクリート建てなのに。

足の弱い人の中には降りるとき、足を滑らせる人もいるだろう。

・・・姉歯さんがかわいそうになるくらいの超適当設計だ。



「日本は細かすぎるよな〜」



とりあえずお湯のシャワーが出て、久々に体が洗えただけで十分です。

欲しがりません、勝つまでは。

「撃滅、鬼、鬼、鬼!笑」








でもまぁこのホテル、ネットもできたし、

近くの電話局からもおかんに電話できた





「通信技術ってすごいよなぁ〜。」







荒野に浮かぶ、ひとつの島のような“都市”でそう思う。

お世辞にも“都市”と呼べる規模ではないのだけれど。



モンゴルの人口密度は日本の何百分の1かだったはず。

日本はその国土の6,7割が森林であり、残りの3,4割の平野部に人は住み、

その中でも“都市”の面積は限定されているだろうからその密度は跳ね上がる・・・






そう考えると、

このツェツェグなんて町は

日本にあれば

何のためらいもなく市町村合併で消えるのだろうな・・・








そんなことを思いながら、寝た。









足を伸ばせて寝れる幸せって、ホント、すばらしい。
























旅は、小さな幸せに謙虚になれるよ。

なんか、やさしくなれる気がするよ。












































起床。





ここからは更なるラフロードとなる。

乗用車ではなく、ジープで進まねばならない。

狙いはジープ

出来れば韓国製が望ましい!笑

・・・いや、ランクルならそれでベストですけど(笑)







市場へGO!!







ツェツェレグからタリアト村への乗り合いジープを探し、値段交渉開始!

去年、とりあえず単身、チョロートにやってきたテルさん。

ここは1度来た事のあるテルさんにすべて甘えた。

「テルさん、俺、“Mr.谷口教授”となるべく調味料でも買ってますので、車はよろしくです♪」



そう言おうとしたとき、1つ目のキセキは起きる。


テルさんが去年お世話になったタリアット村の方と、市場で偶然の再会!




所用でツェツェレグに出てきており、

偶然にもその日の午後、タリアト村に帰るという。

車にはタリアトに向かうというフランス人が既に何名かいたが、偶然にも席が2人分空いていた。、


その人の車に乗せていただき、一路「タリアット村」を目指すことで話は即決!



・・・トントン拍子に事が進み始めたゼ。



















―――偶然が重なり始めた。―――





















・・・・前兆・・・・



アフリカで読んだ「アルケミスト」と言う本で印象に残った言葉だ。



「物事にはなににでも“前兆”と言うものがある。
ヒトが運命に忠実に生きているとき、ソレは確実におとづれて、
そしてソレに気づくことが出来る」




確かそんな内容が書いてあった。

宗教めいた、ちょっとヤバい本だ(笑)





また“シンクロシニティー”が近づいてんじゃねぇの〜、おぃ?笑









俺サマの“炎”に終にチャンスの女神も気づいたかっ?











・・・チャンスの女神と言えば、中学時代の恩師のお話が記憶に残っている。

「チャンスの女神には前髪しかない」

通り過ぎてしまった後では、どう頑張っても掴めないのだ。



ならば・・・



カウンターで押し倒せ!

でしょ?笑




バックだと髪の毛無いんだもんね・・・。


















・・・・道中は暇なんでね。


こういう妄想をしてるんですヨ。






日本でこういうことばっか考えてたら、ちょっとヤバい人と思われるかも知れんけど・・・









長期で世界を旅してきた人って、だいたい夢想家でしょ?(笑)


・・・単純に旅が暇だったんだよ。




そんなもんさ。







社会からどんどん遠いトコロへの解脱(げだつ)が始まり、

挙句、今度は精神世界を旅するようになる(笑)








テルさんもそんな一人(笑)














「タリアトにはさ〜、去年仲良くなったアナックっていう奴がいてさ〜。
見た目はどう見ても小学生のガキなんだけど、よく気の効くいい奴なんだよ!!
いや〜楽しみだよ!!早く再会したいな〜。





テルさんがだんだん元気になってきた。

正直、中国〜ここまで「ダルっ」な感じだったテルさんが、

急に頼もしく見え出した!(笑)

カザフとかでは


「すべて俺まかせにすんなよ!置いてくゾ!」


って思ったりしてたけど、

「これからはついて行きます!アニキ!」

ってかんじ(笑)








アナックはな天性の釣りキチだよ・・・

アナックは・・・」




テルさんのアナック話は永遠続いた。

俺にとってのワビルやゴートンみたいな存在かな?早く俺も会いたいナ。


※アナック君は9章で出てきます。バカで、とんでもなくいい奴でした、と先に言っておきます(笑)









すんません、俺、気を許した人には誰に対しても同列です。
「バカ」だの「アホ」だのイヂリ始めると、気を許した証拠です。
年上だからって必要以上にへりくだらないし(もちろん敬語は基本ですけど)、年下にだって偉ぶらないし全然タメ口でOKです。
所詮自分はダメ人間だと思ってますし、周りの人もダメ人間だと思ってます(笑)
俺に興味を抱いた時点で、貴方もダメ人間仲間です(笑)

仲良くしましょう。ヒヒヒ。

















テルさんにとっての初めての“釣り旅”は去年のモンゴルという。

その後、アマゾンに3ヶ月行き、究極の“オーパ”を体験した後でさえ、


テルさんは言う。


「魚ってさ、やっぱりどんな魚でもうれしいし、でっかい魚はそれだけで驚愕だよ。
でもね、ピライーバとか、でかい魚は釣ったけどさ、
そういう単なるサイズとは別に魂を揺さぶる“名魚”っていると思う。
南米ならやっぱピーコック&ドラドなんだよね〜。そして・・・」



「間違いなくタイメンは、そういう“魂”の名魚なんだよ」


 って。

「魂の」というのは、テルさんの口癖だ。

























食料品を買出し、いよいよタリアト村へ向けて出発だ!






車内、


フランス人たちとの会話は俺の英語力なりに進む(汗)


なんだろう、アフリカでもいろんな国の旅人と出会ったけど


イタリアや、特にフランスの旅人は浮世離れしてたな。


ドイツ人はなんか難しい本を読んでいることが多かったけど、


イギリス人はコミュニティーを作って俺みたいな黄色いのは寄せ付けない雰囲気だったけど、


ゲルマンやスラブではないラテン系


フランス人旅人は結構親しみやすい。







俺の隣にいたフランス人の男から、

たくさんの松の実をもらった。

彼らは永遠、それを割っては中の種子を食べていた。

ほんと、永遠。

何百個の単位で。


俺も両手いっぱいもらったけれど、

「ニキビが悪化するんじゃないかな?」とか思いながらも、

することも無いのでモクモクと、

ハムスターのように食い始めた。



隣の“男”はそんな俺を見て満足そうだった・・・。









でも何かおかしいんだ。


この人、笑うとき、手を口元に持っていくんだよ。

そして無駄な上目遣い。








上手くいえないけど、

単純に雰囲気が違和感







「もしかしてホモなんじゃない?」



逆どなりのテルさんが言う。








俺たちは彼のことを

親愛なるアナックをもじって













「アナック」









そう勝手に銘名し、警戒態勢をひくことにした・・・笑。











タリアト村へ向け、ジープに乗り合わせた人々と。
なぜかモンゴルにはフランス人が多い。
「なんか有名な小説でもあったりするの?」って聞いたけど、
そういうわけでもないらしい。謎だ・・・。
左から2番目が
アナック












ほんとに偶然だよ、

ホントにいま、上の写真の倍率を変えながら気づいてしまった・・・。








一部を拡大!












































・・・・恐ろしいことだ。

まさかとは思っていたが、証拠写真が写りこんでいるとは・・・







怖くない?






今改めて思うよ。



真性だ、絶対!








俺はホモは嫌いだ。というか、どう扱っていいか分からんのだ。

“男”と違うのだから、おもいきり殴るのもためらわれる。

かといって気にするなと言っても、やっぱ気持ち悪い。

「ダリっ、寝よっ・・・」

俺に出来るのはそれだけだ。





かつて、本当の真性ホモ(タメ年)と運悪くカラオケで相席するハメになったが・・・

「タクのお尻はホントに締まりが良さそうだ〜」って言ってきて、

トイレに逃げて鍵をかけても、

上のわずかな隙間からアメーバのように入り込んできたんだ・・・・



真の恐怖を感じたとき、俺は諦める。



いつものように「フテ寝する」という逃避をしたら、

目覚めるとトイレットペーパーでグルグル巻きにされ、奴は隣でニコニコ笑っていた・・・。



弱ホモっ気のある万世とでも、比べもんにならん位の恐怖


それが“真性”・・・







どうでもいいが俺の恐怖レベルは

女>オカマ>年下の男>年上の男

となる。

なぜ年下の男が年上の男より怖いかと言えば、情けない姿を見せられないからだ。

どんなダメ人間でもオレとおなじ歳にどうなってるかわからん“可能性”を持っているからだ。

年上の男は俺よりも長く生きているのだから“当然”人間的に俺より深いと言う尊敬を前提として、

駄目だと思えば切り捨てればいい。



女が一番怖いのは自明の理、でしょ?

「誰か尻に敷いてください・・・騎上位と言う意味で(笑)」








ちなみに俺が、世界一怖いものは


「・・・あの、話しあるんだけど。」


という付き合っている子からのメール(笑)

あれは恐怖以外の何ものでもない・・・。

赤紙、死刑宣告と同等なのである。















ひょおおおおおおおお!!!!



ぜんぶアナルックのせいだ!!

ホモは怖い、ホントに怖い。















































〜話を元にもどします〜
















































「タリアット村」

そこは開高健のオーパにも出てくる、“鬼狩り”のへの最終中継地。

ジープはそこへ向かってへひた走る。






























オボー。
旅の安全を祈願した、このようなものが道路わきのところどころにある。
こんな感じで木を集めたり、石を積み重ねたり・・・それに小銭を投じ、青い布を縛る。
モンゴルの伝統的な土着信仰のようなもの?おまじない?
ちなみにこのオボーはかなり大型です。

石ころと同じように羊が転がっています
ほんと、いっぱいいます。
岩や砂利の上にあるわずかな表土は、家畜たちのフンによって作られたのではないか?
そんなことを思いました。

空の青さに対して、草原はだいぶ色あせてきています。
色調補正しているわけではありません、草と比較すれば、どれだけ空が青いか分かるでしょ?
昼はまだ20度近くありますが、夜にはすでに相当寒い、息が白いです。
比熱が大きい水が無い、だから海から遠い大陸内部は昼夜の温度差が大きいです。
中学の社会の時間を思い出します。





















































道中、“轍”が終にチョロート川の崖の上に差し掛かった。



初めて見るチョロート川。

「オーパ」&「世界怪魚釣行記」

偉大なる2人の先人達の足跡が、交互に見え隠れする。

初めて「世界怪魚釣行記」をみた3年前、

今とはHPのデザインは変わってしまったが、

たしかその頃、「チョロート川」として紹介されていた写真は

ここで撮影したものではないだろうか?



そんなことをフと思った。



タリアット村への道中、終に憧れのチョロートのそばを通りかかった!
テルさん曰く、去年はここからもタイメンらしき影が見えたそうだが・・・俺には無理。
こういうとき、受験少年院の代償を思うんだな。
両目とも、今では裸眼で0,7。昔は両目とも2,0以上楽にあったのに、今や運転できる限界となってしまいました・・・。
でも旅してると、ちょっと目がよくなった気がするんです。
「過去に戻りたい」とか、そんなダサいことはもういわないけれど、
目だけは、昔の視力を返してほしいなぁ。





























いよいよ来たんですねぇ、えぇ。
来たんですよ、えぇ。
「世界怪魚釣行記」で初めてチョロートを知り、「オーパ」でため息を漏らした“聖地”に。
3年越しの夢、ここで吸うラッキーストライクは格別ですな。
あと1m前に出れば、三途の川はすぐそこです(笑)
マジ、“大地の裂け目”という言葉がぴったりです。




















・・・・・ツェツェレグを発って5時間、もっとも最寄の“村”、タリアット村に着いた。















しかし、チョロート川の、それも開高先生の釣りをした確実なタイメンの生息域までは、

非舗装溶岩帯を、残りまだ60キロある。

草原に、30センチ〜ひと抱えほどもあるような岩が、ボコボコでているのだ。

舗装路の60キロとはわけが違う。




「武さんの初めての年、氏はこんなところを馬で60キロも疾走したのか・・・しかも初めての乗馬で・・・」



“草原を馬と駆けてくる”そんなカッコつけた言葉をプロローグで残して旅立った俺だけど、


・・・こればかりはさすがにひいた(笑)




「ヤベ、マジ死ぬかも知らん。俺にはサントリーとチャータージープが似合うぜよ(笑)」




ツェツェレグからタリアットまで乗せてくれたテルさんの知人に交渉すると、

「OK、明日あさチョロートに送ってやろう!」




と言うことで話が落ち着いた。




馬鹿バスを降りてから、話はトントン拍子にここまで来た。





























・・・時すでに夕暮れ。

今夜はこの村で1泊を決めた。




村の裏手にある“テルヒンツァガーン湖”、

開高先生がパイクを爆釣した湖の湖畔、ゲストハウスに宿をとる。









後述するが、タリアット村からは電線が伸び、かつての

“パイクがやたら釣れた”「白き湖」も、確実に現代化の波が洗っているのが分かった。




観光地化が進むこの地に一抹の寂しさを感じながら、

そんなゲストハウス用に立ち並ぶゲルの1つに、俺たちは荷物を降ろした。























































・・・なんと、あのアナルックと相部屋だ(汗)


















































多大なる恐怖を感じていたが、

直後、

そんなこととは別の“物理的”“直接的”恐怖が俺たちを襲った。








「く、臭い・・・」









アナルックがブーツを脱いだとたん、嫌なにおいが充満するゲル内。








ウげっ

























たまらずゲルの外に出た。








































































生前、開高先生も訪れオーパにも出てくるこの村、この湖。

氏の足跡を探そうと思ったが…






徐々に迫りくる酷烈なる冬の影。

みなぎるような緑色した草の海にも、ややニゴリが入ってきた。






過去に思いを馳せるのはすべてが終わった後でいい。

先を急ごう。











テルヒンツァガンノール、“白い湖”の夕焼け。
パイクはとりあえず後回しだ。
“炎”が消えぬうちに、さぁ“鬼のすむ川”へ。














「今夜はゆっくり休もう。明日はいよいよ“鬼の住む川”に立つ。
大鯰には“温存”しておいた酷使無双竿を、今こそ振り回せる。
俺本来の“型”を“打てる”。」

(またも剣道&居合い的表現ですいません)





























電気の無いゲルの中、

闇に中央のルンペンストーブの薪がハゼる。

パチパチと、ハゼる。





音と、色と、熱を提供している。





俺の“炎”も燃える。

あの日から約1週間、いいあんばいに落ち着き、安定している。






焦燥ではなく覚悟、

意思ではなく意志、

決意。






うまく立ち回る顔や口先とは裏腹に、

己を鼓舞し、追い込む言葉を心に並べ、眠った。






・・・アナルックの足に、殺意を抱いて(笑)


「近づいてきたら容赦しない。絶対テルさんは寝たフリをして助けてくれないから・・・汗」








風に吹かれ 雨に打たれて
あるがままでいいことに気づいたよ
月の枕 太陽の歌
やさしく包むは紺碧の海

あるがまま
(mongol 800)



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PS 俺のCD、「MESSAGE」(モンゴル800)を借りパクしてる人、早く返してください(笑)