第15章 水の国を想いながら、のろまな日々に考え事が増えること
水の国を後にし、ルダ島に戻る。
フェイオヤジとの再会
3日後
ポートモレスビーに戻る
ここでこの旅で初めて宿に泊まる。
久々のシャンプー、クーラーの聞いた部屋
「るろうに剣心」が「SAMURAI X」という名で放送されていた。
文明の産物に囲まれた時間
(日本と比較してはいけないけど)
キャリーオヤジとの再会
帰国までの間、近郊の観光に行ってみたりもした。
貧困という名の悪魔の爪が
また残酷にも俺の肩に食い込んでくる
「異国文化にどっぷりつかってくる」
だとか
「日本人的価値感を払拭」
だとか
バックパッカーたちはよく言うかもしれない。
「日本人は・・・」
なんて物知り顔で言うかもしれない。
でもやっぱり俺は日本人だ。
生まれ、育った、この日本。
俺はヒトとして生まれ、日本人に育った。
20年近くにわたって染み付いたものは
やはりあまりにも大きい。
おれはCITY BOYだ。
「学校も、テストもない、そんな縄文時代に生まれたかった」
そんなことをいってるやつはまだまだあまちゃんだ。
野の中で生きること、
PNGですら、現代は完全な野生ではない。
人々は服を着て、いざとなれば食糧も買える。
それでも、俺はいやというほど自らがCity Boyであると身にしみた。
有史以前の生活など、できないと思った。
そして、それは同時に自然界への畏怖となった。
弱肉強食に生きる野生動物への尊敬となった。
彼らを愛おしく思った。
「のんびり、時間を気にせずに生きたい」
日本という国で生まれ育った俺に、それはあまりにも無理な注文だ。
忙しい日常だからこそ、たまの非日常、のんびりが心地よいのだ。
1年中あんな暇な日々かとおもうと、やっぱり俺は気が狂いそうになる。
知恵の苦しみ。
生まれた時からそうだったのなら、なにも知らないのなら、
幸せなのかもしれない。
だけど、
ハンパに身についたその知恵は
またも心臓を握る。
生きることをせかす。
日本は忙しすぎる。
いや、自らで忙しくしているのだ。
それはこわいから。
暇な時間、自分自身と向き合うのがこわいから、
だから「忙しさ」を「社会的美徳」という名の隠れミノにして生きてんだろ?
俺は日本人だ。
20世紀が生んだ、都市型人間だ
経済大国のぬるま湯にふやけたあまちゃんだ。
1000円
それがあれば物乞いなどしないでいいかもしれない
だが俺はそれをラーメン1杯に使ってしまう
10000円
それがあれば強盗殺人なんてしなくてもよいかもしれない
だが俺はその金でボロボロのジーンズを衝動買いしてしまう。
分かってはいる、分かってはいるが
だからってどうする?
俺は日本人だ
俺の価値観を捨てたりはしない
仲良しこよしで相手にあわせ、多少のボラれるのも我慢(or 気づかないのか?)、
「本当に最高の旅でした〜。皆さんほんとにいい人でした〜」
そう思う(or思い込もうとする)
それもアリかもしれない。
でも俺は違うと思う
郷に入り手は郷に従え?
俺の逆鱗に触れるなら、そこでキレるのも正しい”国際交流”ではないのか?
「へぇ、こういうことは日本人は怒ることなんだ」
そういうことを相手に伝えるのもまた意味あることと思う。
「相手を理解する」のと「自分を曲げる」のは違うと思うから。
シロイヒトをチカヅキガタイとおもい
クロイヒトをキタナクヤバンとおもい
キイロイヒトをシツコクウザイとおもう。
卑下することもない。
ある意味必然かもしれないな。
ゆりかご島国日本人だから。
「人類皆平等」だと?
寝言も休み休み言え
違うものは違うのだ
不平等だ、全ては不平等だ
だがその不平等に上も下もないと信ずる。
生きるため、食うために必死で物乞いをする人々と
死んだような目で、あふれかえる工業製品を胃に流す我々と
どちらが「人らしい生き方」だろうか?
「わたしは中国人です〜」 「韓国からきました〜」
確かに強盗の目はいくらかかいくぐれるかもしれない。
だが、俺は誇りにかけてそんなことは絶対にしない。
このヘンコ人間のままで、
日本人として
「俺」という人間は世界の人々にどう写るのか?
それが知りたかった。
好む、好まざるにかかわらず、
俺は「日本人」という看板を下げて歩いている
「金もってまっせ、言いなりですよ」
そういう看板を下げて歩いている。
ある大病院、入り口の看板が「日本の援助で建ちました」
でかでかバカ面さげていた。
経済援助がわるいとは言わないけれど・・・
わざわざ「Japan」「Japan」いう必要があるのだろうか?
「日本はすばらしい国」
そう思ってくれる人もいるだろう、たしかに。
でもその裏にわき上がる黒い感情、
お偉いさんもすこしは考えてみたら?
中古車ディーラー
トヨタ、ホンダ、ニッサン・・・・
新品同様の日本車がずらりと並ぶ。
「XX温泉」とかかれたミニバンが間抜け面して走っていく。
「雪印ハム」と書かれたトラックが通り過ぎていく。
盛者必衰、笑えないブラックジョークだ。
その一方で俺は日本をほこりに思う
技術大国、日本。
日本しか、日本人しかできないこと。
爺さん達の世代、「お国のために」と流した汗
ジャングルの奥地で、ヤマハは今日も笑顔を運ぶ。
向こうの人々を尊重するということ
ジャングルの夜、ワビルが話してくれたっけ。
「村に今まで来た外国人はいけ好かねぇな。
”自分達だけ”のテントを張り
”自分達だけ”の持参した飯を食う。
これじゃぁ俺たちの生活がバカにされている様なもんじゃねぇか」
無防備の備
滞在中、俺は荷物を開けっぴろげにしていた。
人ん家に来て、荷物に鍵かけたりしてたら向こうはどう思うだろう?
日本での倫理観、外国でも俺は変わらない。
「これで盗られるのならば、その時はその時だ」
そもそも自分の一人の力では帰れないほどの奥地にいる。
装備的にも、彼らを信じ、協力を得なければ俺は何もできなかった
騙されたくはない。
でも
騙されやすい人でありたい
俺は人を信じたい。
たくさんの笑顔に会いたかった。
俺は鬱になっていた。
詳しくは書かないし、
人に話す気もないけれど、
いい事ばかりではないし、美談だけで終わるほど「旅」はあまくはないのだ。
「旅」の限界を感じることもあった。
金で解決できることってなんてラクなんだろう。
こういうバックパッキングという行為自体が、経済格差を見せ付けることになっていることを思いながら・・・
上記の高級リゾートでであった日本人は言った
「あんたが友達と思ってるだけで、向こうはお財布としか思ってないよ。」
(うるせーよ、ブスが。ブスは顔ににじみ出んだよ!
ちなみに俺、「友達」にはかかった必要経費以外金払ってないし!
ワビルやフェイやジョージさんを卑下されたようで、すっげームカついた。)
後述する高級ホテルで出会った初老の日本人は言った
「ここの国は全部泥棒だ。誰一人信用できるものか。
ガードマンを雇ってもそいつらからして泥棒集団さ。」
(ネタか真実かどうかもわかんない、事情の分からない人々にそんなことをやたら大げさに吹聴している時点でアンタ、かっこわりぃよ。
ステレオタイプの固まり、そうやって上から見てりゃ、俺だってパクってトンズラ&手榴弾で爆撃でも考えるわ。
後、むやみに人の恐怖をあおる知ったかぶり。
だまされる奴もアホだけど、首都のホテル内にマラリヤ蚊がいるわけないだろ、バーカ!)
毒吐いてやるぜ。
そんな考えしてる時点で、お前ら2流なんだよ!
さびしい人生歩んできたんだのう。ご愁傷様。
類は共を呼ぶ。クズの周りに集まんのはクズ
己が黒けりゃ、回りも黒くなる
俺は、ふと人類絶滅の日を思った。