1)鳥見神社の分布


注:平成22年3月に印旛村・本埜村は印西市に合併編入されました。
 左図は鳥見神社と宗像神社分布図である。(赤字は鳥見神社、青字は宗像神社を示す、但し宗像13社の内、東部2社は図に示されていない)千葉県北西部地方、いわゆる下総国の中央部である。鳥見神社は、東西約17km・南北約7.5kmの中に合計21社確認されている。6.5Kuに1社存在する計算になる。東から旧印旛村1・旧本埜村4・印西市6・白井市7・柏市3である。但し、この21社の中には、他社との合祀が3社と末社が1社含まれていることを明記しておく。
また、地形的な特色としていずれの鳥見神社も河川近くの高台に位置している事も上げられる。左図では印西市の中部と旧本埜・旧印旛村の分布が河川から離れているように見えるが実際は手賀水系や印旛沼水系の河川が細かく入り込んでいる。但し、白井市の小名内だけは高台に無く、金山落し沿いの低地脇に存在している。
<詳細分布図はここをクリック>


2)鳥見神社一覧
 さて次に簡単ではあるが各鳥見神社の名称・呼称などの一覧を附しておこう。ここで重要な点は、呼称に「トミ」と「トリ
ミ」の2通り存在することである。(祭神等に付いては別項で取り上げる)
所在地 名称 呼称 由緒 御祭神 神紋 芸能 その他
柏市金山 鳥見神社 トリミ 左三ツ巴
柏市泉 鳥見伊津美神社 トリミ 左三ツ巴 神社名鑑では鳥見単独
柏市布瀬 香取鳥見神社 トリミ 698年 ニ・經主命 一六菊・五三桐 神楽
白井市富ヶ谷 鳥見神社 トリミ 不明 丸に立ち沢潟
白井市富塚 鳥見神社 トリミ 左三ツ巴 神楽
白井市白井 鳥見神社 トリミ 江戸初期? 不明
白井市小名内 稲荷神社 不明 1757年 不明 不明 稲荷神社内に末社あり
白井市名内 鳥見神社 トリミ (*面足尊) 左三ツ巴
白井市神々廻 鳥見神社 トリミ 1602年鎮座 ニ・日本武命・應神天皇・
市杵嶋姫命
左三ツ巴
白井市平塚 鳥見神社 トリミ 右三ツ巴
印西市浦部 鳥見神社 トリミ 1648年 *ウ・ミ 左三ツ巴 神楽
印西市小倉 鳥見神社 トリミ 不明
印西市和泉 鳥見神社 トリミ 1650年再興 右三ツ巴 獅子舞
印西市大森 鳥見神社 トリミ 紀元前93年? ニ・ウ・ミ 左三ツ巴
印西市小林 鳥見神社 トミ 紀元前93年? ニ・ウ・ミ・火産霊命・
天日鷲命
一六菊
左三ツ巴
オコト祭り
印西市平岡 鳥見神社 トミ 1678年 *ニ・ウ・ミ 左三ツ巴 獅子舞
旧本埜村長門屋 鳥見神社 トミ 江戸時代以降 ニ・ウ・ミ(*面足尊) 左三ツ巴
旧本埜村中根 鳥見神社 トミ 紀元前93年? ニ・ウ・ミ 左三ツ巴 神楽・オビシャ・獅子舞
旧本埜村萩原 鳥見神社 トミ 江戸時代以降 (*面足尊) 左三ツ巴
旧本埜村笠神 鳥見愛宕両社 トリミ ニ・火産霊命 左三ツ巴
旧印旛村萩原 鳥見神社 トリミ ニ・ウ・ミ 左三ツ巴

@祭神 ニ:饒速日命、ウ:宇摩志真知命、ミ:御炊屋姫命 
 *邇藝速日命(ニギハヤヒノミコト)・登美夜毘賣命(トミヤヒメノミコト)・宇麻志麻遅(ウマシマジのミコト)は古事記での名称。
A御祭神は「千葉県神社名鑑」より。
 *面足尊は、印波郡誌に記載されており、饒速日命・宇摩志真知命・御炊屋姫命等の記載は印波郡誌には無い。


3)宗像神社一覧

所在地 名称 由緒 祭神 神紋 芸能 その他
白井市清戸 宗像神社 876年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴 オビシャ・湯立て 下総で最初の鎮座と伝う
印西町戸神 宗像神社 不明 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴
印西町船尾 宗像神社 1737年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴
旧印旛村吉田 宗像神社 不明 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 右三ツ巴
旧印旛村岩戸 宗像神社 1806年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 右三ツ巴
旧印旛村大廻 宗像神社 不明 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 八菊
旧印旛村造谷 宗像神社 1632年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴
旧印旛村師戸 宗像神社 1623年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴
旧印旛村鎌刈 宗像神社 不明 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴
旧印旛村瀬戸 宗像神社 985年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 左三ツ巴 奉謝祭・おこと祭
旧印旛村山田 宗像神社 111年? 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 不明
旧印旛村平賀 宗像神社 201年? 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命・素盞鳴命
旧印旛村吉高 宗像神社 948年 市杵島姫命・多岐都姫命・多岐理姫命 奉謝祭・祇園祭

4)その他神社の分布と比較

 実は鳥見神社同様に、狭い地域に集中している神社は他に3社程ある。下図は、その神社の分布を表したものであるが、印旛沼を中心に東西とまたその中で南北に分布が分かれている。印旛沼東北部に埴生神社、東南部に麻賀多神社、南西部には宗像神社があり北西部に鳥見神社がある。この分布状況から見て、現在古代氏族の勢力範囲説などが見られるが、呪術(風水)説なども考えても面白い。


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