「 年寄りの冷や水


「年寄りが、年齢不相応な危ないことや、差し出た振る舞いをすること」 の意だ。

この場合の 「冷や水」 とは、冷水を身体に浴びる、すなわち心身の鍛錬のために寒中などに行なう行為を指しているのだろう。
年を考えずにいつまでも若いつもりでそのようなことをすると、心不全などを発症する恐れがあり、極めて危険だ。
賢明な高齢者はそのような行為は避けねばならぬ。

聖域でもっとも高齢なのはむろん老師だ。
そのようなことは万が一にもないと思いたいが、我々は常に老師の居場所を視野に入れ、危険行為をなさらぬように留意せねばならぬ。




老師のことを気にする必要などないっ!

お前は、嘆きの壁に我々黄金聖闘士が結集したときにすでに魂だけの存在となっていたから知らんのだろうが、
老師が261歳というのはこの世を忍ぶ仮の姿!
その実体は紛れもなく18歳、人間の肉体がもっとも美しく光り輝くといわれている肉体年齢を有しているのだぞ!
俺が冥界で見た老師は、ライブラの聖衣を身にまとい、力強さあふれる若い聖闘士だったのだ!
今はまた、何をお考えか知らんが、年寄りの身体で聖域を散歩などしているが、いつまた若い身体になって俺たちの前に現れるか知れたものではないっ!

年寄りなら年寄りらしく木陰で碁でも打っていればいいものを、やたらと出歩き、この間は腰を痛めたと称して、宝瓶宮に長居を決め込み、俺たちの仲を邪魔してくれたのだぞ!
あれは、俺たちのことにやたら興味を持ってあれこれと詮索した挙句、からかいたくなったのに違いない!
みんな、老師の年寄りの姿に幻惑されて、つい油断して普段の姿を見せているが、その実、じっと観察されているのだ!

その老師が冷や水を浴びようと、五老峰の大滝でバンジーを挙行しようと、お前が気にかける必要は一切ない!
悔しいことに俺たちよりも若い18歳の肉体を持っているのだからな。
いいか、老師が温泉に湯治に来ても、一緒に風呂には行くな!
「年寄りが一人で入浴するのは不安じゃのぅ……」
とかいうだろうが、ほうっておけ! 中身は18歳だ!
俺は、お前を18歳の男と風呂に行かせたくないっっっ!!!!

いいか、よく聞けよ。
老師は、きっと、聖域一、いや宇宙一の美しさを有するお前の素肌と、「もっとも美しく光り輝く」という強烈なキャッチフレーズを冠せられた自分の肉体を比較検討して、真に美しいのはどちらなのか、自分の目で判断しようとするに相違ないのだ。
そんな老師と風呂に行ったら、どれほど熟視されるかわからんぞ?
もし、老師がお前を風呂に誘ったら、なんとか理由をつけて俺が同行するから安心しろ。
決して、お前の肌を老師の好奇の目にはさらさせんからな♪





老師の261歳の肉体が18歳に若返るというその生体メカニズムについて、非常に興味関心があります。
よろしければ、そのメタモルフォーゼの過程を観察したいのですが。
なお、この件は、ミロには内密に願います。





委細承知じゃ♪



                  大滝でバンジーって………!
                  老師はともかく、童虎なら飛び込んで浮かび上がったところで
                  にっこり笑って白い歯がきらりと光る感じ。

                  老師の腰痛の話 ⇒ こちら
                  老師が湯治に来た話 ⇒ こち