標本の整理と保管

標本を購入または採集した後、どのように整理して保管するかが問題となります。 購入したままのビニール袋入りの状態で置いておくわけにはいきませんし、むき出しのまま机やチェストの上において置くのも埃がかぶってしまって良くありません。 みなさんはどのように保管していますか? 私は、下の写真のように標本の大きさにあわせたケースや紙箱を購入して保存しています。

標本保存の写真

左下の2つを除いて、いずれも購入時には紙箱やケースがついていなかったものばかりです。 それでも左下の2つも、紙箱をふた付きの物に変えたり、アクリルケースに入れた上で紙箱に入れたりしました。 こうしたアクリルケースや紙箱はいろいろな種類があるので、標本の大きさや整理・保管の方法にあわせて利用しましょう。


鉱物標本を1つずつしまう
@、箱各種。 下、白黒の底の浅い紙箱。標本屋さんやフェアに行くと標本はこの紙箱に入れられて販売されていることが多いです。 保存用品の定番の一つです。この箱は少し厚めのボール紙と製本テープがあれば、自作することも可能です。 ここ数年はお中元などの空き箱を再利用して自作しています。 標本箱を自作してみる

浅い紙箱


下左、ガラス窓つきの箱。分厚い厚紙で出来ており丈夫で、ふたの上部にガラス板が張ってあり、中がみえるように出来ています。大きさは3種類あるようです。 写真は入手しやすい中・小。左の黒い箱はクリスタルワールドでバラ売りになっていたものを購入。 右側の箱は益富地学会館のスペースで5個入り1セットで販売されています。 硬度の低いものや壊れやすいものを主に入れています。
下右、左側プラスチックの箱。色はグレーと黒の2色で、箱の大きさと深さがいくつかあります。 12月のミネラルショーでこの箱のばら売りをしている出展社さんがあります。
下右、中右2点、普通のボール紙で作られている組み立て式の紙箱。大小と特大と大きさが3種類あります。 特大の組み立て式の紙箱を除き、いずれも大小ほぼ大きさが浅い紙箱・ガラス窓つきの箱と同じなので大きさ別に保存することが出来ます。 この組み立て式の箱はクリスタルワールドで売られています。1点から販売しているのでまとめ買いしました。

ガラス窓つきの箱  プラスチック標本箱と組み立て式紙箱



A、サムネイルケース各種。 左側4つの黒白のケースは浅い紙箱と同じく標本がこのケース入りで販売されているのをよく見ます。 大きさはいろいろあり、値段は1個105円ぐらいからで売られています。 クリスタルワールド・ホリミネラロジーの実店舗・ネットショップで購入できます。
右側の2つもよく見かけ、標本がこのケース入りで販売されているのを見ます。 こちらはばら売りしているところはなさそうです。 なのでフェアで出展社さんに頼んで売ってもらったことがあります(このケースのばら売りは普段はしていない、ネットショップで購入が可能)。
右下はふたがルーペになっているアクリルケース。大きさはいくつかあるようです。 いずれも標本をミネラルタック(標本固定用の粘土)で固定して入れます。 他には、私は使ってはいませんがドーム型のケースもあります。

サムネイルケース



B、ルースケース類各種。 カット石や小さな粒の結晶を入れるのによく使われています。 フェアでよく見かけるのは左側の四角いルースケースで、私が知る限りでは空ケースで買える大きさはこの2種類、色は白・黒・赤の3種類があります。 最近はケース1つずつのバラ売りはしていないようで、およそ15〜20個前後が一包みになって売られています。 これらのケースは標本の大きさや色に合わせて選ぶと良いでしょう。 右側の丸型ケースも、ときおり標本がこのケース入りで販売されているのを見かけます。 これに近い丸型ケースは益富地学会館のスペースで販売しているのを見ました。 アルミ製の丸型ケースもあります。

ルースケース類


その他には、アクリル製(アクリルベース)や木製の台の上にミネラルタックで標本を固定する方法もあります。 お気に入りの標本を部屋の中に飾る際にはこの方法を使うのもいいでしょう。


これらのケースやミネラルタックは好物標本店(下記等)で手に入ります。 ミネラルタックの色は白と青があります。入手しやすいのは白。練り消しみたいな感じです。
私は主に五反田のTOCにあるクリスタルワールドと、池袋のミネラルショーの会場内を探して買っています。 私個人の意見ですが、新宿のミネラルフェアでケースや粘土を販売している出展社さんは少ないです。 池袋のミネラルショーなら会場内をじっくり探せばいくつか見つかります。 通常は店舗でアクリルケースや紙箱・鉱物用粘土などの保存用品を扱っている出展社さんは、 近くに標本屋さんがない!という方のためにもブースに標本だけではなく保存用品も置いてほしいと思います。 これは標本屋さんに行く時間が取れない、という方にとっても大いに助かると思うのですが。 この項目を最初に作ってから数年たった今ではネットショップ(下記)で購入可能な時代になりました。世の中便利になりました。


普段、ふた付きの紙箱に保存している標本は落としてしまったときのことを考えて、下の写真のように紙に包んで保存しています。 中が見えるようにミネラルタックで固定して保存してもかまわないと思います。

通常の保存はこんな感じ



標本整理用品を買ってみた店舗。
 ・クリスタルワールド五反田店 TOC B1F http://www.crystalworld.jp/ ボール紙の組み立て式箱とガラス窓付きの標本を購入箱を購入。
 ・ホリミネラロジー http://www.hori.co.jp/ サムネイルケースと紙箱を購入。
 ・益富地学会館 http://www.masutomi.or.jp/ ガラス窓付きの標本を購入箱を購入。

標本整理用品がネットで買えるサイト。
 ・タケダ鉱物標本 http://takeda-mineral.com/
 ・N's Mineral エヌズミネラル http://www.ns-mineral.jp/ 左側商品Main Menuのコレクション整理用品へ
 ・東京サイエンス http://www.tokyo-science.co.jp/
 ・株式会社ニチカ http://www.nichika-kyoto.com/index.htm
 ・MINERAL STREET http://mineralstreet.jp/index.html 左側下のサプライ品へ
 ・ラピス - Yahoo!ショッピング http://store.shopping.yahoo.co.jp/specimen-lapiz/ 左側商品カテゴリの標本整理展示用品へ
 ・J・STELLA http://www.j-stella.com/ 左ミネラルコレクション下のその他/コレクター用ケース/コンテナへ


ケースに入れた標本をどう収納するか
練馬にあるホリミネラロジーさんの所のような、丈夫な引き出し付きの木製の表本棚があれば理想です。 現実には部屋のスペースには限りがあり、大きな棚は置けません。 私の場合は部屋に引出しを置くスペースがないので、デパートの小さい取っ手のある紙袋に箱を積んで収納していました。 小さい紙袋のマチが標本箱の縦幅のサイズに近く、収納しやすかったんです。 標本数が少ないうちはそれでいいですが、標本数が増えると紙袋もどんどん増えていっていい方法とはいえません。
増えた標本をどうにかすべくいろいろ探して行き着いたのがこの2つ。
@文房具屋で手に入れやすいA4サイズの書類を入れる引き出し。
A無印良品で見つけた、A4サイズ収納の引き出し。
  「PPケース引出式・薄型・縦 (V)約幅26x奥行37x高さ9cm」
  「PPケース引出式薄型2段 26x37x16.5cm」
  「PPケース引出式・浅型 (V)約幅26×奥行37×高さ12cm」
  「PPケース引出式浅型3段 26×37×32.5cm」
いずれも幅と奥行きが同じなので積み重ねられ、下にキャスターを取り付けることが可能です。 キャスターがあれば棚の移動も楽になります。 買う前に無印良品に行って標本箱を10個ばかり持っていってうまく収まるか見てみました。 下は実際の収納の様子です。「PPケース引出式浅型3段」+「PPケース引出式・浅型」2段を乗せる。

実際の収納、標本紙箱小   実際の収納、標本箱大


引き出しケースの素材がポリプロピレンなので、これ以上の積み重ねは無理です。

保存に関して、標本によっては硫黄や岩塩など保存に気をつけなければならない物もあります。 購入した標本が保存に気をつけなければならない物なのかどうか、どのように保存すればいいのかは、購入時に出展社さんに聞いてみましょう。


ラベルをつける
鉱物標本は購入するとラベルが付いて来ることが多いです。 ラベルが付いてこなかった場合は、購入の時点で出展社さんからこの鉱物は何なのか、産地はどこなのか詳しく聞いておきましょう。

たとえば単にガーネットと言われてもガーネットは14種類の鉱物のグループの名前なので、ガーネットの中の何なのかを聞いておく必要があります。 アルマンディン(鉄ばんざくろ石)なのかスペサルティン(満ばんざくろ石)なのかグロッシュラー(灰ばんざくろ石)なのか。 海外からの出展社さんから購入する場合は、英語が出来なくても物を指して「スペサルティン、グロッシュラー…ええと」なんて言っていると、 こちらがどの種類のガーネットなのかを知りたがっているとわかってもらえて種類を教えてもらえることがあります。 トルマリンも10種類の鉱物のグループ名なので、ガーネット同様注意が必要です。

産地と鉱物の種類を聞いたらメモをとり、それを元にラベルを作ります。 ラベルは標本店で売られているラベル用紙に記入するやり方(左)と、パソコンで自分でデザインして作る(右)、 文房具屋で売っているキャラクター物などのメモ用紙やミニカードを利用して作る方法があります。

ラベルはこんな感じで…

ラベルには、鉱物名(和名・英語名)、産地、採集した標本の場合は採集年月日を記入し、わかれば結晶系、科学組成式なども記入します。 結晶系と科学組成式はなくても差し支えないと思います。 ミネラルフェアなどで購入した場合は、いつ、どのフェアで購入したのかラベルの裏に記入した置いた方が良いと思います。
私は手帳サイズのミニノートを見開きにして、通し番号を振り、鉱物名・産地名・購入年月日・写真撮影が終了したかを記入して一覧表のようにして使っています。 ラベルかケースに通し番号を振っておけばノートと照合しやすくなります。




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