=水俣病未認定患者、集団申請へ動き出す=

水俣病出水の会、環境省に「早期救済」など要請

尾上会長、「4月には1000人規模に」



「未認定患者救済を早急に行なえ」との要請書を読み上げる尾上会長(右)。左が灰谷次官

いつもながら冒頭、頭を下げる環境省首脳。最近はやり慣れたためか動作が揃っている………
「この水を飲む勇気はありますか!」と前日、梅戸で採取してきた海水を環境省側に迫った有馬さん。しかし誰も勇気を持ち合わせていなかった……… 「4月には1000人に達しよう」と、初めて1000人発言をした尾上会長
=いずれも2005年2月8日午後、環境省会議室で

「関西水俣病事件訴訟」の最高裁判決を踏まえ、鹿児島、熊本両県の未認定患者が集団申請に向っていよいよ立ち上がった。
鹿児島県出水市や周辺地域の患者団体・水俣病出水の会(尾上利夫会長)の代表14名は2005年2月8日午後、東京・霞が関の環境省を訪れ、「水俣病未認定患者救済の要請」を行なった。尾上会長はまた交渉後、「4月頃には未認定患者の申請はいまの560人から1000人規模に達するだろう」と明らかにした。
患者側は尾上会長ら鹿児島、熊本両県の代表14名が上京、環境省交渉に臨んだ。これに対し環境省側は灰谷事務次官、滝澤環境保健部長、柴垣企画課長らが対応、民主党の川内博史、松野信夫両議員が立会った。

冒頭、尾上会長が「熊本・鹿児島両県の未認定患者の早期救済と小池大臣の不知火海沿岸の被害地への現場視察・被害者住民の生の声を聞く場を早急に実現して欲しい」旨の要請文を読み上げ、手渡した。
これに対し、灰谷次官は「最高裁判決を踏まえ、国として何をすべきか、何が出来るかの検討を進めている。要請を真摯に受け止めて対応したいと考えている」と答えた。

その後、約1時間にわたり話合いがもたれたが、環境省側は患者側が要請した認定基準の変更、大臣の現地視察などの何一つ具体的に答えず、立会人の国会議員からも促されたものの、事実上のゼロ回答に終始した。

席上、尾上会長は「今回は最終的には訴訟に踏み切ることも辞さない」と表明。また、交渉終了後、記者団の質問に対し、未認定患者の集団申請は鹿児島・熊本両県合わせて現在560人だが、4月には1000人になろう」と、初めて1000人単位の未認定患者が認定申請などに立ち上がる見通しを明らかにした。




チッソ本社にも要請
水俣病出水の会一行は同日午後4時過ぎ、原因企業のチッソ本社を訪れ、岡田修一社長宛てに「社長自ら被害地に来て、被害者住民の生の声を聞け」との要請書を渡すとともに、約1時間にわたって交渉した。

席上、尾上会長らはこもごも未認定患者の苦渋を訴え、原因企業としての責務を果たすこと、患者タ側の要請にキチンと向き合うことを強く要望した。
チッソ側は石田紀生専務らが応対したが、具体的な回答は出さなかった。

なお、チッソは交渉の場に報道陣の同席を拒んだ。


(C)2004. ≪環っ波≫ All rights reserved