金融不安と不良債権 朗研のHP  金融危機と不良債権・推薦文献(平成16年3月15日改定)

不良債権処理日記(日付順)
リレーションシップバンキングとは何か(平成16年3月15日付け
 金融庁金融審議会(堀内昭義委員長)は、中小企業金融については大銀行と同じ扱いをすることはむずかしいと述べている。委員会は、表看板では中小企業金融の特殊性を認める表現をしているが、その中味は従前からの金融ビッグバン路線をさらに推進するものとなっている。詰まり、金融ビッグバンを強力に推進し、間接金融を遅れた制度としてきた金融自由化論者は、まだその失敗を認めていない。
黒田朗著「不良債権処理と企業再生」同友館、2004年2月刊(平成16年3月6日付け)
 不良債権処理と企業再生の問題を歴史的、国際的視野に立って解説した。
平成不況の大きな原因は、米国追随の勝ち組支援と規制緩和にある。不良債権処理は一体誰のために進めるのか、今こそ大企業や富裕層優遇の構造改革をやめ、中小零細企業向け不良債権の棚上げ、債権放棄、あるいは破産・免責による再生が必要なときだ。そのために、公的資金注入を行い、中小企業金融、地域金融、庶民金融の体制強化が必要だ。
「新会計基準の問題点-自己資本比率規制が地域社会に与える悪影響」PDFファイル(平成14年8月27日付け)
   同上(8表、10図)PDFファイル
   同上(金融庁機構図、会計の利害調整機能と根拠法)PDFファイル

解説 「不良債権問題と自己資本比率規制」PDFファイル(平成14年8月8日付け) 
   
同上(図表PDHファイル

意見具申 「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編等の作成、整備等について」の意見(PDHファイル)(平成14年5月20日付け)

朗研の発足(14年3月4日) 
地域社会の再構築を目指して研究し行動するグループを結成。このグループは、他の研究会、NGO、NPOなどと緩やかな提携をしつつ、中小企業活躍の現状分析とその広報活動を行うことを目指す。

問題提起(平成14年2月28日黒田記)
あと1ヶ月でペイオフ制度に移行する。かって竹中平蔵氏は、不良債権処理の引き伸ばしのために日本経済回復が遅れていると主張。これに対して柳沢伯夫氏は、事実認識に誤りがあると反論(日曜日のテレビ討論会)。
物価下落や失業率増加のもと、最近では、公的資金を注入せよとの議論が増えており、これに消極的な柳沢伯夫氏に対して批判の声が上がっている。


金子勝氏(朝日新聞平成14年2月27日記事) 平成13年10月に破綻した宇都宮信用金庫の債務超過額は僅かに24億円。これを潰して何になるのか。公的資金が1,2兆円あればかなりの数の中小金融機関が救えるはずと主張。信用金庫の多くは担保を取らないで融資をしている。金融庁のマニュアルは、無担保貸出を分類債権として償却を迫るもの。これでは、中小企業への融資が絞り込まれるのはやむをえない。地方銀行の貸し金庫は、札束で一杯と言う。金融制度への信頼と言う「市場経済の基盤」が崩れ始めている。

地域社会研究会の設立趣旨(平成14年2月2日黒田記)
1990年代、アメリカの影響下で規制緩和、市場原理導入策が強行され、日本の社会は混乱状態に陥った。オリックス宮内氏に代表される日本のリーダーは、弱者救済をやめ強者を支援すれば、日本経済は立ち直ると主張した。弱者救済の代表が、中小企業政策。農業政策も、弱者救済として、国際市場の競争にさらせと言うことになった。消費者のためと言うことで、大店法が廃止され、国内企業保護が悪とされた。終身雇用、年功序列、企業組合が、目の敵とされ、日本的雇用慣行は崩壊に向かった。倒産件数、破産件数が増加し、失業率が上昇し、犯罪件数が増加した。市場原理の導入で、破壊が積極的に行われ、その上に新しい創造が生まれるとばら色の夢を描いた。金融ビッグバンは、大詰めを迎え、弱小金融機関の整理淘汰が進んでいる。
本研究会の目的は、第一に、地域社会の現状を正確に把握すること。果たして、現政府が推し進めるアメリカ主導の規制緩和、自由競争が、日本社会を本当に良くするのか。そのことを明確にすることが我々の任務である。

第一に、我々は、地域中小企業問題を今日の不良債権処理問題に焦点を当てて研究する。そして、地域社会における金融機関の存在意義を考える。

中小企業金融機関は、第2次大戦への参戦さらには戦後の経済再建の局面において政策機関として重要な役割を果たしてきた。現在、組織維持が第1になっており、個々の金融機関の組織目的は不明瞭になっているかも知れないが、我々は、公益に合致した組織目的を明確に認識して行動する必要があると思う。雪印食品のように、利益を求め会社が儲かれば良いということではない。以上のような観点を忘れず、本研究会は、特定金融機関の延命目的ではなく、日本人の伝統と文化に合致した効果的、効率的な地域企業のあり方、地域金融制度のあり方を真摯な気持ちで議論する人の集まりとしたいと思う。実態を把握することなく、政策提言はできない。

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