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市町村と高齢者住宅事業 A

 

優良な高齢者住宅を安定的に増やす制度・システム作りが大きな課題となっています。

団塊の世代の高齢化によって、要介護高齢者、高齢者世帯は急増し、これに長期入院の削減が加わります。行き場のない高齢者は、右肩上がりで増えていきます。

現在のように、『民間の事業者の増えるがまま』『指導監督もできない』『よくわからないのでとりあえず規制』というような状況では、その財政・サービスが破綻し、その地域で高齢者が生活できなくなることは目に見えています。

まず、各市町村単位でやらなければならないことは、それぞれの地域性に合わせた『高齢者居住安定確保計画』の策定です。これまでも同様の整備計画が策定されていますが、その多くは指定数を定めるといった量的な視点からの検討しかなされていません。そのため、訪問介護・訪問看護・通所介護等、サービス種類単位で、要介護高齢者数の総数・増加に合わせて、参酌標準で作られています。特定施設入居者生活介護に対する総量規制も同じ考え方です。

しかし、同じ要介護高齢者数であっても、都心部や東京のベッドタウンとして急成長してきた市と、山間部・農村部の市町村とでは、必要なサービス内容・サービス量は全く違います。資産階層、地域ネットワーク、人口密度、独居率等についても、勘案しなければ、本当にそのエリア内に必要なサービスは見えてきません。

これからは『必要な量を検討する』という視点ではなく、その市町村・エリアで生活する高齢者の生活をサポートするために、どのようなシステムを構築するのかという視点で策定されなければなりません。言い換えれば、それは高齢者住宅のみの整備計画ではなく、限られた財源・人材を最も効率的・効果的に活用するための、地域の高齢者介護・福祉・医療ネットワーク見据えた計画でなければならないのです。

 

@ 地域性に合わせた制度利用

事業計画策定のための一つのポイントは、地域性に合わせた制度利用です。

現在は、厚労省の有料老人ホーム、国交省の高専賃と大きく二つの制度に分かれており、それぞれの基準に従って、全国どこでも同じような建物・サービスの高齢者住宅が作られています。しかし、これからは、このような国の作った制度に依存するのではなく、地域事情に合わせて制度を利用するといった発想の転換が必要です。

例えば、特別養護老人ホームを作るよりも、高優賃の制度を使って要介護高齢者を対象としたシステムを整えた住居を建設し、家賃補助等でサポートするほうが、財政的には効率的な運営が可能です。特養ホームのような福祉施設は、単価が高くなりがちですが、建物や制度は有料老人ホームの規格にして借家権方式にすれば、居室内も小さくて済み、かつ住宅扶助等での対応も可能となります。

 

A 管と民の役割分担

2点目は、官と民との関係・役割分担の見直しです。

これまでのような認可や指定を受けたり、指導や監査を行うといった一方的なものではなく、行政と民間が一体となって、住民に喜ばれる高齢者サポートシステムを作っていくという新しい関係が必要となります。

地域によっては、市営住宅や県営住宅が古くなり、空室が多くなっているところも多いのですが、今後、これらを高齢者対応に転換・改築するところもでてくるでしょう。建物建設や入居者募集、入居リスク等は行政が担当し、実際の介護・看護サービスは、地域の社会福祉法人や医療法人が担当するという役割分担も可能です。

また、介護サービスの量は増えてきましたが、事業所間、異業種間の連携は、十分に行われておらず、それぞれのケアマネジャーや相談員等の、個人の人間関係や調整力に依存しているケースがほとんどです。

ネットワークとしてサービスを効率的に運用するには、在宅介護サービス間の連携網の整備や、老人ホームと病院との連携体制の確立等が不可欠です。スムーズにサービスが提供できるよう行政が積極的に関与し、官民一体となって、ネットワークや情報提供システムを構築する必要があります。

 

A 特定施設入居者生活介護の一定管理

今後、不可欠となるのが特定施設入居者生活介護の指定見直しです。

特定施設入居者生活介護は、訪問介護や通所介護といった在宅サービスとは基本的に違います。単純に指定数が増えるだけでは、地域の介護福祉ネットワークには全く関与しない可能性があるからです。

訪問介護・訪問看護は、民間企業が行っても、社会福祉法人が行っても、サービス内容に大きな違いはありません。しかし、介護付有料老人ホームを見るとわかるように、同じ特定施設入居者生活介護の指定を受けても、その価格・サービス内容は、それぞれに大きく違います。また、同程度の介護サービス内容であっても、その価格設定、契約内容は事業者によって大きく違ってきます。

意味のない一律の総量規制を撤廃し、特定施設入居者生活介護の指定数を増やさなければなりませんが、民間だけに任せておくと、価格やサービス内容が、その地域性に合致しない可能性があります。低所得〜中所得層の住宅不足が問題となっている地域に、入居一時金が数千万円の介護付有料老人ホームが開設されても、その地域に暮らす高齢者はほとんど入居することができません。

私は、特定施設入居者生活介護の必要数の内、一定枠は行政が管理する必要があると考えています。価格帯・ターゲット・サービス内容・運営指針について、一定の基準を定めて指定すれば、その地域性にあった高齢者住宅を作ることができます。同時に、『特定施設の増加は介護保険財政悪化の一因』ということはなくなり、高齢者住宅の増加が介護保険財政の効率的利用に寄与することにもなります。

 一定数については行政管理によって計画的に増やしていく必要があるのです。

 


 

 

 


 

 

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