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ペンキ


 ペンキは、日常生活ではあまり遭遇することのない化学物質です。外壁や屋根の塗装、マンションの塗り替え、家のリフォームのときに問題になってきます。私はこれまでペンキに接触した機会はあまり多くないのですが、これまでの曝露歴と症状の出方を振り返ってみたいと思います。

[ペンキを積んだ車]
 2000年頃、夫の会社の車に乗せてもらったことがありました。工事現場に乗り入れるワゴン車で、脚立やペンキが積んであります。乗る前から、「ぐあい悪くなるんじゃないだろうか…?」と思いましたが、短時間だけなので、乗ってみることにしました。乗り始めから10分くらいした時点で、頭痛がしてきました。こめかみの上が締めつけられるような鋭い痛みです。その痛みが時間と共に頭全体に広がっていって、耐えられない痛みになりました。このように、ペンキによる反応は、この頃は頭痛が主な症状であり、体の他の部分には出ませんでした。このときは、何とか最後までその車に乗っていましたが、次回からはもう無理だと思いました。

[屋根塗装]
 次のペンキ体験は2002年の夏のことです。隣家で屋根のペンキ塗りが行われました。工務店に依頼するのではなく、隣家の主人が屋根に上がって塗っていました。このときはCSが重症だったので、症状がひどくならないかとても心配でした。しかし、予想したよりはぐあい悪くならなくてすみました。ペンキのにおいはしていましたが、家の窓を閉めれば何とかしのぐことができました。ペンキの種類が私にとって負担の少ないものだったことと、よく晴れた日に行ったので、成分の揮発が早かったのが幸いだったようです。

 ほとんど同時期に道路を挟んで斜め向かいの家でも屋根の塗装をしました。このときのペンキの刺激は隣家のものよりずっと強かったです。私は目の痛みと頭痛を感じました。家の窓を閉めていても、隙間から家の中に、少しずつペンキの成分が入ってくるのがわかります。2〜3日窓を開けずに、濃度が下がるのを待ちました。やはり夏だったので、揮発が早くて助かりました。ペンキの種類によって、これだけ症状の違いが現れるのだということが、よくわかった出来事でした。私が現在住んでいる家(賃貸住宅)も、いずれ屋根塗装をすることになるはずなので、そのときは隣家で使ったものと同じメーカーのペンキを使ってもらおうと思っています。

[スプレー・ペンキ]
 2003年に、私は車を運転中に、駐車場の障害物に接触してしまい、車に傷をつけてしまいました。とても目立つ傷です。「みっともないけど、まあ、いいかー。」と思い、そのまま放っておくことにしました。そうしたら、隣の家の人がその傷を見て、親切にもペンキで塗ってくれました。その人はスプレー塗料を持ってきて、私の目の前で、いきなりその傷に吹きかけました。私はその瞬間、3メートルほど後ずさりました、後ろ足で。「あ、これはまずい」と思ったら、自然と足が動いていました。そのまま家の中に逃げ込みたかったのですが、それでは相手に失礼だと思い、何とかお礼を言った後、すぐに家の中に入りました。すでに強烈な頭痛が始まっていました。すぐに着替えて寝ました。シャワーをあびたかったのですが、ぐあいが悪くてとても無理です。2時間ほど死んだように寝て、その後シャワーをあびたら、少し楽になりました。スプレー塗料だったので、霧状になったものを直接吸ってしまったようです。そのためにこのような重い症状が現れてしまいました。

 その後、3日くらい車には近づかないようにして、家の窓も開けないようにしました。(庭に止めている車から塗料のにおいが家の中に入ってくるのを防ぐためです。) 3日くらいたったら、スプレー塗料のにおいは揮発して、かなり薄くなりました。ペンキは他の化学物質(農薬など)に比べて、揮発が早いような感じがします。

[回復のしるし]
 2004年夏に、庭でジンギスカンを食べていたとき、ふと上を見上げると斜め向かいの家で屋根にペンキを塗っているのが見えました。「全然気づかなかったけど、いつから塗っていたんだろう?」と思いました。よく見てみると、屋根のほとんどの部分を塗りおえています。何時間も前から塗り続けていたようです。私と夫は気づかぬまま1時間以上もジンギスカンを食べ続けていたのです。距離にして10メートルくらいでした。風向きや湿度などの面で、たまたま影響を受けにくい状況だったのかもしれませんが、何にせよ、びっくりする出来事でした。回復して、ここまで過敏性が下がったのだとわかって、うれしくなりました。

(2005.7.19)

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