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暖房

○大気汚染の問題
 我が家では、FFガスストーブを使っています。これは外気を取り込んで屋外に排気するタイプのストーブで、燃焼によって室内の空気が汚染されないのが特徴です。灯油FFストーブは、灯油や塗料の匂いで使えませんでしたが、現在使っているFFガスストーブは反応が少なくて重宝しています。(詳しくは「第2部 第6章 引越」に書きました。)

 今回はストーブのメンテナンスの話です。2010年頃から、黄砂・pm2.5などの越境大気汚染が強まってきました。それに伴い、私のアレルギー症状やCS症状は悪化の一途を辿りました。特に黄砂への反応が強く、鼻づまりや息苦しさの症状が出ます。黄砂は窓を閉めていても部屋に侵入してくるらしく、床や家具の上にザラザラとした砂状のものが降り積もります。ストーブなどの空調設備にも、ファンから吸い込まれた大気汚染物質が内部に侵入してしまうのでしょう。ストーブから出てくる温風が、いがらっぽくなって、アレルギー症状を起こすようになってしまいました。



 標準的なメンテナンスはきちんと行っていました。フィルターを定期的に掃除する。ストーブの外回りを掃除するなど。しかし、内部に入った粒子状の物質は、除去することができず、それが温風に乗って吹き出してきているようなのです。

 ストーブの取扱説明書を見てみたら、ストーブ下部に加湿用の注水皿があるということです。引っ張ってみたら、皿の中にはどっさりと綿埃や粉末状の汚れがたまっていたのです! 粉末は黄砂の粉のようでした。 「ここにこれだけ汚れがたまっているということは、ストーブの内部はどうなっているのだろう?」と身震いしました。

 FFストーブは背面のパイプ類で固定されていて、移動できるものではありませんでしたが、私は体を背面に回してみて、壁との間から吸気ファンを見てみました。ファンの羽根に細かい粉末状の汚れがこびりついています。ここを掃除機で吸いながら、歯ブラシでこすって、粉末を取り除いてみました。この粉を鼻で吸い込むと、はっきりとアレルギー反応が出たので、これが原因なのは間違いないようです。壁とストーブの間のわずかな隙間に体を入れて掃除しているので、念入りに吸い取っても、いくらでも取り残しがあるようでした。取れるだけ取ったのに、ストーブを運転してみると、ほとんどアレルギー反応は変わりませんでした。

 表面からのアプローチはやれるだけやったので、これ以上は、内部を見てみることになります。私はストーブの前カバーをはずしてみることにしました。分解する前に、電源を抜いて、ガス栓をしめることが必須です。安全第一です。

○注意点と自己責任
 暖房器具を分解するというのは、安全上大きな問題を伴うものです。火を使う器具なので、何か間違いがあれば火災や事故につながります。決して勧められるものではありません。私も危険を感じて躊躇しましたが、アレルギー反応がひどくてどうにもならないので、分解しました。作業中な慎重にも慎重を重ねた上で、機能に問題のないように処理する必要があります。やらずに済むならそれが一番、やむを得ずやるなら自己責任で行う必要があります。

 安全を考えるなら、専門の業者に頼むのが一番です。しかし、CS的には厳しい選択になります。業者にまかせると、次のような危険があります。

・洗剤を使って掃除する
・さび止めの塗料を塗り直してくれる
・油を差しなおしたり、グリースを塗り直したりしてくれる


いずれもCSにはリスクの大きいことばかりです。また、専門の業者がやってくれるのは、一般的な洗浄のみです。アレルギーが起きないところまで徹底的にカビやホコリを防いでくれるのかどうかは、わかりません。それを考えると、やはり自分で分解してみるしかないのかと決心しました。

○分解

 ドライバーでネジをはずし前面カバーを取ると、内部にも綿ボコリや粉状の汚れが積もっていました。ここをブラシでこすりながら、掃除機で吸っていきます。どっさりとホコリが取れて、ストーブはきれいになったように見えました。カバーを戻して、運転してみました。前よりもいくらかアレルギー物質は少なくなった感じがするものの、それでもまだ反応します。

 さらに本格的に分解して原因を突きとめる必要があります。前カバーをはずしたあと、中央の炉のカバーをはずし、シロッコファンをはずします。ネジはなくさないように、元に戻せるように、はずした位置ごとに紙に貼っていきます。また、一工程ごとに写真を撮って、確実に元に戻せるようにします。迷ったりビビッたりしたら、その先には進まない方がいいです。元に戻せなくなったらその時点で終わりです。新しいものを買うにも、CS患者の場合は多くの困難があります。



 はずした部品、カバー類などを丁寧に掃除機がけし、水拭きできるところはきれいに拭いていきます。本体の横や裏の部品もはずしてきれいにしました。どんな部品も、内部には黄色い粉が付着していました。黄砂をはじめとする大気汚染の成分のようでした。ブラシは使い古しの歯ブラシと、 やかんの注ぎ口ブラシを使いました。後者はいろんなところが掃除できて、とても便利です。

 ホコリは掃除機で済ませるのですが、汚れがカビたところは、よく水拭きしてこすり落とさなければなりません。目に見えない汚れでも、水拭きするとうっすらと黒いカビが取れてくることがあります。ひたすらこすって、きれいにしていきました。

 ストーブで一番汚れるところは、空気を取り入れる機構、ファンです。ファンのボックスごとはずして見てみましたが、ストーブの背面からあれだけ掃除したにもかかわらず、手の届かないところには、大量に粉状の汚れが付着していました。ファンをボックスからはずして掃除したかったのですが、どうしても、この部分がはずれません。つけたままでも掃除できるところは徹底的に水拭きして、見た目はピカピカにきれいになりました。

 全部済んだら、元通りに組み立てて完成です。分解するより組み立てる方が大変です。疲れが出てくる工程ですが、注意深く丁寧に組み立てていきます。

 分解したので、壊れていないか心配でしたが、大丈夫でした。ちゃんと運転します。吹き出る温風もだいぶきれいになって、7割方、有害物質は取れたようなのですが、まだ反応します・・・。それでも、これ以上どうしたらいいのかわからず、このシーズン(2016〜2017年)は、そのままで使いました。温風が 吹き出す範囲を避けて、部屋の隅の方で暮らしました。けっこう寒かったです。

○さらに分解
 2017年の秋になって、再びストーブを焚くシーズンがやってきました。前年のことを考えると、またストーブを避けて寒い生活をするのは嫌だと思いました。ワンシーズンの運転でたまったホコリを掃除するためにも、もう一回分解してみることにしました。昨シーズン前に徹底的に掃除したこともあり、内部はほとんど汚れていませんでした。ファンだけは、やはり細かい粉状の汚れがこびりついていました。ここだけは、どうしても汚れやすいですね。

 各部を嗅ぎながら体の反応を見てみると、ファンの付近からは、特に強いアレルギー性物質を感じます。昨シーズン悩まされた物質も、ここから来ているのだと思いました。

 前年にばらせなかったシロッコファンをボックスの中からはずしてみることにします。夫に相談してみると、六角レンチではずす構造になっているとのこと。レンチを買ってきて力一杯回してみましたが、どうしてもはずれません。ネットで検索してみたところ、シロッコファンがはずれないのは、油やグリースが固まってくっついてしまっているせいで、ドライヤーで温めるとはずれるとのことでした。

 私はドライヤーの匂いが苦手なので、夫に頼んで熱してもらいます。はずれました! シロッコファンの回転軸のまわりに、モヤモヤと黒いカビ、黄色い粉がみっちりとついています。近づくと、例のアレルギー反応が起きます。これが原因だったんだな・・・と思いました。

 この汚れを掃除機と水拭きできれいにしていきます。ファンは拭いてもアレルギーっぽさがどうしても残ってしまうので、薄い洗剤を使って、水洗いしてしまいました。サビが心配なので、できるだけ水洗いは避けたかったのですが・・・。洗ったらすっきりキレイになりました。



 その後、ストーブを慎重に組立て直します。元通りになったら、スイッチを入れて運転してみました。あれだけ悩まされたアレルギー物質がほとんど感じられず、きれいな温風が出てきました! めでたし、めでたし。

(2017年11月)

「地震と停電」へ続く
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