第1章  電磁波過敏症(携帯電話)その2


その1 
〔1〕電磁波過敏症の経緯――発症から現在まで (2011年10月30日更新)

その2
 〔2〕観察――電磁波の感じ方と症状の出方
(2011年10月 30日更新)
   a.中継アンテナへの反応
   b.症状
   c.携帯電話機(端末)への反応
   d.金属製品による症状

その3
〔3〕対策(2011年10月 30日更新)
   a.電磁波発生源を避ける
   b.金属製品の除去
   c.シールド




〔2〕観察――電磁波の感じ方と症状

a.中継アンテナへの反応
○中継アンテナの観察
 携帯電話の電磁波による症状を軽減させるために、本を読んで調べたり、実際に自分の体で観察してみたりしました。2003年頃から少しずつ外出できるようになったので、実際に携帯電話の中継アンテナを見に行き、自分の身に起こることを観察しました。4〜10月は農薬の影響でCS症状が出て、目の痛みが起きたり、体調の悪い日が続きます。秋〜春の農薬が少ない時期が格好の観察期間となりました。

 中継アンテナに近づいていくと、次第に頭痛が強まり、バチバチと火花が散るような刺激が強まっていきます。頭痛は頭全体が均等に痛むのではなく、頭に次々と長い針金が突き刺さっていく感じで、鋭い痛みがあちこちに起こりました。例えば、車で中継アンテナの左側を通り過ぎるときには、アンテナに近づくにつれ、右前方から右前頭部に刺激が鋭く突き刺さり、アンテナのちょうど左側にきたときには、右側頭部、通り過ぎて去るときは右後頭部といった感じで、突き刺さる位置が移動していきます。(図4)

しかし、これはアンテナから体までまっすぐ直線で来るのではなく、何かに邪魔されたり散乱されたりする感じで、やってくる方向にばらつきがあります。(図5)

頭痛と同時に筋肉の痛みも起こります。これも基本的にはアンテナの方向からまっすぐ来ますが、やはり方向にぶれがあり、散乱されたようにばらついた方向から来るように感じます。とおりすぎると強い頭痛や筋肉痛はおさまりますが、鈍い痛みが残ります。筋肉は、運動した後のような筋肉疲労と痛みが残ります。

 ふだんの行動半径を観察してみると、だいたい500m〜1kmおきに中継アンテナが配置されており、車で出かけると何本かのアンテナには出会うことになってしまいます。反応が強いところはなるべく避けて、ルートを決めるようにしていました。

○アンテナ自体の強度の差
 私の体感では、同じタイプのアンテナでも立地場所によって刺激に強弱があるように感じられました。また、アンテナの種類によっても刺激の強さが違うように感じました。
 種類別 大規模なタイプ(写真7)>中規模なタイプ(写真8)>普通のタイプ(写真9)
 

 



○時間による電磁波強度の変化
 同じアンテナを異なる時間に観察したときに、やはり刺激の強さに変化があるように感じました。このような観察の結果から、私が考え出した結論は、携帯電話の中継アンテナは、交信している携帯電話機(端末)の数によって、電磁波の強さが違うらしいということです。使用者が多く、たくさんの電磁波が中継アンテナとやり取りされているときは刺激も強くなり、使用者が少ないときは刺激も弱まるといったふうに。だから繁華街にある中継アンテナは刺激が強く、郊外にあるものは刺激が弱く感じられました。また、同じアンテナでも、日中や夕方は強く、深夜は弱く感じます。

 私は前述のように、中継アンテナから100mの木造住宅に住んでいました。私はこの距離で、家にいるときにもアンテナの刺激を感じていました。毎日、日記をつけて体調を記録していましたが、次第に電磁波影響の傾向がつかめるようになってきました。私が住んでいるところは住宅地だったので、昼間は仕事に出ている人が多いためか、電磁波はそれほど強くありません。しかし、夕方になると(買い物などの用事が増えるためか、「帰るコール」のためか)強度が強まってきます。それにつれて、頭痛や目の痛み・視界の点滅が強まっていきます。また、週末(土日)は、平日よりずっと強度が強く感じられました。目の前がチラついて頭痛がしてくると、夜あまり眠れなくなります。土日は充分に睡眠が取れない状態が続きました。

 さらに月末になると、ふだんより刺激が強まります。月末は人々の用事が増えて携帯電話の通話量も増えるためだと考えました。そして、1年でもっとも刺激が強まるのが年末年始です。体感ではふだんの100〜1000倍くらいの強度を感じます。これは携帯電話で年賀メールを送信する人が多く、大量の電磁波がやり取りされることと、ニューイヤーコールとして通話も増えるためと思われます。初詣や初売りに繰り出す人、年賀メールに返事を出す人など、とにかく日本全体で使用量が格段に高まるようです。

○年末年始の反応
 12月は師走と呼ばれるように、人の活動が活発になる月です。私は12月になったあたりから、それまでよりずっと頭痛・目の痛みが強くなり、眠れなくなります。痛みが少しずつ強まっていき、1度目のピークが12月23日(天皇誕生日)〜12月25日に訪れます。その後いったんおさまった後、正月休みの12月29日頃からどんどん強まっていき、大晦日に12月でもっとも刺激の強い日を迎えます。そして、年の明けた1月1日の午前0時にいったん激烈なピークがきて1時30分頃まで続きます。(カウントダウン・ニューイヤーコール・初詣の通話と思われます。)三が日はずっと刺激が強いまま(体感ではふだんの100倍以上)の状態が続き、その後少し下がって1月4日から成人の日の三連休まで続きます。私は全身が押しつぶされるような圧迫感(深海に潜っているような)、目を開けていられないほどのまぶしさ・視界の点滅(フラッシュライトを当てられているような)・座っていられないほどの強い頭痛で、3日間、ほぼ寝たきりになります。それが、私の正月です。

 12月初め〜1月中旬の長丁場である上に、年明けの1週間は地獄のような苦しみなので、私はふだんから年末年始にとても強い恐怖心を感じています。今、この原稿を書いていても身が震えるほどの恐怖です。このような苦しみを回避するために、私が毎年とってきた対策については、 「第2章 携帯電話(年末年始 )」で詳しく書きたいと思います。

○年度末の反応
 年末年始と比べればずっとマシなのですが、3月末の年度末にも症状が強まります。3月15日の確定申告最終日の頃に、一度反応が強まった感じがあり、それがいったんおさまった後、月末に向けてまた反応が強まる感じです。2009年から札幌市内で自営業をしているのですが、通勤途中に税務署があり、確定申告の時期にはこの付近を通ると強い頭痛がします。

○イベント開催に注意
 週末・月末・年末と“末”がつくときに電磁波の刺激が強い傾向にありますが、他に市内でイベントが開催されているときも注意が必要です。人の大幅な移動や連絡が増加するときに症状が出やすいからです。イベントでは夏祭りや「よさこいソーラン祭」のときなど、注意が必要です。神社のお祭りの日、マラソン大会なども気をつけています。札幌は国際的なイベントをよく開催しているので、その日を把握しておきます。国際会議もよく行われます。注意しています。

 6月に「よさこいソーラン祭」が行われているとき、気づかず会場の近くの店に、買い物に行ってしまったことがありました。(会場は市内に何ヶ所かありました。)そのときは、強い頭痛と激しい腹痛の発作を起こしてしまいました。自宅にいても、近所の小学校で運動会が行われるときなどに頭痛が強まることがあります。

○選挙時のES反応
 他に、不定期で行われるものとして「選挙」があります。選挙期間中は年末年始に次ぐ体調不良期間となるので、警戒しています。選挙は告示日から投票日まで、たいてい2週間くらいですが、その間ずっと症状が続きます。最初に、告示日に少し強いピークがあります。その後1週間くらいは少し楽な時期が続き、次の1週間は次第に反応が強まっていき、木曜日頃から相当強くなります。金曜日はとてもつらく、土曜日には「“最後のお願い”コール」の日のためか、かなり頭痛が強まります。そして、日曜日の投票日にはだいぶおさまり、月曜日には終了します。議会の動きから、解散・総選挙の気運が高まると、私の気持ちも憂鬱になってしまい、何とか選挙を回避してもらえないかと祈ります。

 2009年8月の解散・総選挙のときは苦しかったです。任期が来て行う選挙は、告示日〜投票日までの問題ですが、解散のときは告示日までの約2週間もES症状が強まります。多くの人々が候補者擁立のために動いているのでしょうか。1ヶ月以上、症状が続きます。ここ数年は何かにつけ解散・総選挙をするという政治状況になりやすいので、そのたびにドキッとしてしまいます。思い起こせば、麻生政権のときにも、半年以上解散すると言い続けたので、心が安まりませんでした。選挙本来の目的を考えれば、このような感じ方は的外れに思われるのですが、これが私の率直な感じ方です。

 2011年3月11日の東日本大震災の後、4月10日投票の統一地方選挙がありました。私の住む札幌では、大音量での街宣活動は時宜にふさわしくないということで、自粛ムードの選挙戦でした。私にとっては、これまでになく体が楽な選挙期間となりました。体感では、ふだんの5分の1くらいの症状ですみました。街宣車もほとんど来なかったので、静かでよかったです。

 このように、携帯電話の使用者数・使用量が多ければ多いほど、症状が強まる傾向を把握しています。

b.症状
 携帯電話の電磁波によるものと思われる症状をまとめてみます。

◆頭痛
 大変強い頭痛が起きます。これは電磁波の強度が増すに従って、強くなっていきます。頭に針金を突き刺されたような鋭い痛みがあります。さらに強くなると、鉄板を差し入れたような頭痛になります。頭の中でフラッシュライトが点滅しているようなバチバチとした刺激があります。大音響の音楽をヘッドホンで聴かせられて、何が何だかわからなくなるような強い刺激があります。

◆目の痛み
 パチパチと火花がはじけるような強い刺激があり、目が焼けただれるような痛みになります。タマネギのみじん切りをすると、健康な人でも強い目の痛みを感じますが、あれより痛みは強い感じです。化学薬品や香辛料を目に注ぎ込んだような痛みです。痛みが強いと何も考えられなくなり、気が遠くなり、意識を失いそうになります。目の痛みが強いときに、目のあたりを指で探って確認してみると、目の縁の皮膚がヒリヒリしている感じがあり、特に目尻の方が強いです。それと同時に、眼窩のくぼみに沿って、頭蓋骨のあたりがジンジンと痛んでいる感じがあり、痛みがそこから頭蓋骨の奥の方に伝わっている感じがあります。脳自体に痛覚はないので、実際はその付近を走る神経や、顔の表面の筋肉が痛んでいるのではないかと思います。神経の走り(流れ)に沿って、バチバチと刺激を帯びている感じがあります。

◆視覚
 視界が点滅します。かつてテレビがアナログ放送だった頃、深夜の放送終了後に出ていた砂嵐の映像に似ています。また、蛍光灯が切れかかって点滅している様子にもよく似ています。テレビで、暗い風景を暗視カメラで撮ったものが放映されることがありますが、それにもとてもよく似ています。視界がザラついてドットに分割され、チラチラと揺れ動いて点滅している感じです。とても目や神経が疲れます。神経の休まるいとまがありません。このチラつきは前述のように、この10年間一度もおさまったことがなく、多かれ少なかれ存在し続けています。この視界の点滅は、携帯電話の電磁波発生源の近くに行くと明らかに増すので、原因の指標として大変わかりやすい症状です。

◆味覚の鈍化
 ES症状が進むと、味が鈍くなります。あまり味が感じられなくなります。そして、食欲が落ちてしまいます。これは特に、年末年始の長期ES症状期間に顕著になります。まさに砂をかんでいるような味気なさで、食べるものに困ります。

◆筋肉痛
 電磁波の強いところに行くと、筋肉の痛みが出ます。自分で筋肉を動かしたわけではなく、ただリラックスして座っている状態でも、体の筋肉が勝手に収縮している感じがします。以前、低周波治療機というマッサージ機を使ったことがあります。肩の筋肉に電極を貼り付けて、電気を流すものでした。スイッチを入れると、勝手に肩の筋肉が収縮・弛緩を繰り返します。それによって、コリがほぐれるというしくみでした。

 電磁波による筋肉の痛みも、このマッサージ機のように、自分の意志とは関係なく筋肉が収縮する感じです。ESの場合、収縮しっぱなしになっている感じがあります。そして、長時間その状態が続くと、その筋肉が何ともいえず疲れて、だるい感じになっていきます。電磁波発生源と自分の体の位置関係によって、収縮する筋肉の場所が変わってきますが、同じ姿勢で同じ位置にいると、ある筋肉ばかりが痛くなってくるので、姿勢を変えて別の筋肉に変えてやります。
2008年にタイ古式マッサージの仕事をしているCS患者と知り合い、個人的にマッサージをしてもらいました。その人は、仕事でこれまで何百人もの人をマッサージした経験がある人ですが、その中でも私の筋肉のコリは最も強いと言っていました。30分ほどかけて全身をもみほぐせば、普通の人なら何日間かコリのつらさから解放されるのに、私の場合は、もんだ直後からまた筋肉のハリやコリが始まってしまうといっていました。例えば、肩の筋肉を10分かけてほぐしたときのことです。右肩の内側から外側に書けて順番にほぐしていきましたが、外側の肩をもんでいるときには、すでに数分前にもんだ内側の筋肉は、元の固さに戻っているというのです。その人は、全身汗だくになってマッサージしてくれましたが、私の体は、あっという間に元の木阿弥になってしまいました。

 私はこの経験から、自分の筋肉の症状についてよく考えてみました。多分、何らかの原因があって筋肉が収縮してしまうのでしょう。そして、その原因は常に作用しているため、もみほぐしてもすぐに元に戻ってしまいます。常に強力に筋肉を収縮させる力が働いているということです。当時の観察から、それは通信用の電磁波ではないかと思いました。いくらほぐしても、常に降り注いでいる電磁波によって、筋肉が収縮を続けてしまうようなのです。

 2008年頃から、全身の筋肉の痛みは次第に増して行って、2009年・2010年になると、普通に家事をするのも難しくなってきました。ものを持ち上げたり、階段を上ったりするのがたまらなくつらくなり、ときには座っていたり、ベッドで体を起こしているのもつらい状態になってきました。当時調べた中では、「慢性疲労症候群」や「繊維筋痛症」に近い症状だと思いました。その後、この体の痛みは耐えられないレベルまで強まり、生活も立ち行かなくなったため、最終的には木造の家から鉄筋コンクリートの建物に引っ越しました。鉄筋コンクリートの建物は、木造より屋内への電磁波の侵入が少ないようで、筋肉の痛みはだいぶ楽になりました。引越や建物のシールド効果については、後に詳しく記します。

◆不眠
 目をつぶっていても、まぶたの裏にチラチラという点滅が見えて、刺激が強く眠れません。暗闇で目を開けていても、闇がチラチラと点滅しています。神経が休まりません。また、筋肉痛の症状が強くなると、全身が疲労した状態になり、身の置き場のない怠さを感じて眠れません。

◆腹痛
 電磁波による症状で、もっとも激烈なのが腹痛でした。2002年〜2005年にかけて、しょっちゅう発作を起こしていました。年末年始の電磁波が強いときや、人の多いところに行ったときに、突然腹痛の発作に襲われました。発作時には、あまりの痛みにうめき声を上げ、転げ回ってしまうので、周囲の人々を驚かせてしまいます。夫は私のあまりの苦しみように、生きた心地がしなかったと言っています。救急車を呼んでもらわなければならないような強烈な発作です。発作時、私は苦しみの中で、「とにかくこの場所を離れるように」と夫にお願いしました。確かに原因となる電磁波発生源から離れると、強い腹痛はおさまっていきました。

 2003年元旦に初売りに行ったとき、人混みのお店で腹痛の発作を起こしました。前述した「よさこいソーラン祭」のときにも発作を起こしてしまいましたが、会場を離れるに従って痛みがおさまっていきました。

◆精神症状
 電磁波過敏症によって精神症状も現れます。これまでも書いてきたように、発生源からの刺激が強く、痛みやまぶしさ・視界の揺れを感じるので、精神にも影響が現れてきます。それはまるで目くらましにあっているような思考がかく乱された感じで、ものを考えられなくなり、意識も不確実なものになっていきます。頭の中が白く空っぽになるような恐怖心があります。そして、感情が希薄になってきます。抜け殻のようになって、自分の頭がおかしくなっていくのではないかと恐ろしくなります。

 また、症状が特に強いときには、発作のように感情が揺り動かされるときもあります。2005年に大通公園(札幌市の中心部)に行ったとき、そのような激しい発作に襲われました。大通の1〜4丁目は、NTTビルの屋上にある出力の大きい複合アンテナと札幌テレビ塔(テレビ塔)に挟まれて、私にとっては大変危険な場所です(図6)。

 

この時は、事情があって、バスで大通りに行かなければなりませんでしたが、下調べしていたのとは違って、終点のバス停が大通公園のど真ん中だったのです。私はすぐさまバスを降りて安全な場所に逃げようと思いましたが、間に合いませんでした。

 強烈な頭痛と目の痛みに襲われ、頭の中には轟音と共に巨大な振り子が揺れています。意識は遠のいてモザイク状になり、自分がどこにいて何をしているかもわからなくなりました。私はすぐさまアンテナが見えないビルの陰に隠れようとしましたが間に合わず、地下鉄に続く階段を駆け下りました。地下に下るにつれてだんだん刺激はおさまってきて、頭痛や目の痛みはおさまってきました。しかし、頭の中が空洞化した感じ・無感情の状態はその後30分近く続き、私は抜け殻のように呆然と歩き続けました。

 このような発作のとき、理由もなく激しい恐怖心に見舞われることがあります。これだけ激烈な発作を起こしているのだから、それに対して恐怖を感じるのは当然です。しかしこの反応はそれとは違う恐怖心のようなのです。脳には恐怖心を司る扁桃体(図7)と呼ばれる部位がありますが、ここが私の意志や外界の状況とは関係なく勝手に刺激されて、自動的に恐怖心がわき上がってくるといった感じなのです。

 私は後に「パニック障害」の本を読んで、私のこの発作がパニック障害にとてもよく似ていることに気づきました。電車や人混みの中で突然襲ってくる激烈な身体症状。「発狂か死か」という強い恐怖心。この恐怖心は人間の精神にとって根源的なもので、とてもぬぐい去ることのできない強い禍根を残します。パニック障害の人は、その後も発作が起こるのではないかという“予期不安”によって通常の生活を送ることができなくなるといいます。その気持ちが私にはよくわかりました。私の場合は電磁波が原因となって症状が起きていることと、原因から離れれば症状がおさまることがわかっているから、まだ理性を保っていられるのです。もし、いつどこで発作が起こるかわからなかったら、とてもまともな人生は歩めないでしょう。そのくらい破壊的な恐怖心なのです。パニック障害と呼ばれる人々の中には様々な原因の人がいると思いますが、その一部は、もしかしたら私と同じように、電磁波が原因で起きているのかもしれません。発作中の恐怖心はあまりにも強いので、私はおさまったとき、人目もはばからす泣き出してしまうことがあります。当初は恐怖から逃れることができた安堵感から涙が出るのかと思っていましたが、今では、それもまた脳にダイレクトに信号が送られて感情が引き起こされている“自動現象”の1つだと解釈しています。

c.携帯電話機(端末)への反応
 携帯電話の中継アンテナ(基地局)への反応と同時に、携帯電話機(端末)への反応も出ていました。私自身は携帯電話を持っていないので、端末に触れる機会といえば、外出時、他の人が使う携帯電話でした。我が家には夫の携帯電話がありますが、夫が一人で外出するときの緊急連絡用であり、私と一緒にいるときは電源をつけることはありません。第2章で詳しく説明することになると思いますが、私は携帯電話の充電池にも反応しているらしく、強い目の痛みを起こします。普段の携帯を保管するときには、電話機を缶に入れて、それを車のトランクにしまっています。電源を切っていても充電池から放電しているようで、その電磁波に反応するからです。このように保管すると、体への影響を最低限に抑えることができます。

 外出時、他の人が携帯電話を使っていると、頭痛などの症状が出てしまいます。たいていは、あるていど距離をとると、影響を抑えることができます。2006年頃までは通話している人と5m、メールしている人と1.5m、電源を入れている人と1mほど離れれば、症状は少しですみました。携帯電話は電波の送受信をしなくても、電源を入れているだけで電波を発信しているそうです。位置確認情報として、常に自分がいる場所を直近の中継アンテナに知らせるため、数秒に1回電波を発信しているといいます。電源をつけている携帯電話は、強度は大きくないのですが、微弱な電磁波を発信していることになります。

 使用者と「安全距離」を取れると、強い症状を起こさなくてすむので、外出時はなるべく避けるようにしていました。しかし公共交通機関を利用するときは、間近で携帯電話を使う人がいるので、本当に困りました。車両が空いている時間帯は、他の人と適度な距離をとることができます。しかし、混んでいる時間になると、他の人々と体が密着するほどの状態になります。地下鉄やJRの車両では、3割以上(ときには5割)の人が携帯電話をいじっているので、これは私にとって危険な状態でした。なるべく混んでいる時間を避けていましたが、やむを得ず利用することもありました。そのときには体に刺さるような刺激を感じ、フラフラになってしまいます。乗り物を降りた後も、しばらくフラフラとする感じがとまらず、頭痛は一昼夜続きます。そういう日の夜は眠れません。頭痛と全身の痛みが強いからです。

 それでも2006年頃までは地下鉄やJRに乗ることができていました。2007年頃からは、携帯電話の電磁波が強まってきて、その種類も変化してきたように思います。それまでにない刺激を感じるようになり、公共交通機関を利用できなくなってしまいました。地下鉄・JRは全く無理になりましたが、バスだけは最後まで利用していました。空いているバスはあまり携帯電話を使用する人がいなかったからです。しかし、それも2008年までには難しくなり、以降は、ほとんどの移動を自家用車のみですませています。

○反応の変化
 2006年か2007年頃は、携帯電話で動画が送れるようになったり、ネットを長時間利用できるようになった時期だったと思います。人々の携帯電話の使い方も変化してきました。また、それまでは年配の人々は携帯電話を使う割合が低かったのですが、普及率がどんどん上がってきました。この頃、ワンセグでテレビ放送が見られるようになったことも、大きな変化でした。携帯電話をミュージックプレーヤーとして利用したり、ネットゲームを長時間楽しんだりする人が増え、通信だけでなくマルチ情報端末として性質が変化してきました。スマートフォンの発売で、はっきりと“携帯できる小型パソコン”の性質が出てきて、用途や位置づけも変化しています。

 2007年頃から、他の人が利用している携帯電話に近づくと、強い症状が出るようになってきました。それまでの安全距離では防げなくなり、過敏性が増してきました。通話している人とは20mくらい、メールをしている人とは10m、電源を入れている人と10m以上離れないと反応してしまう感じです。

 症状自体も強くなったので、行動範囲が限られるようになってきました。繁華街や人の集まるところには行けなくなりました。買い物や用事もすいている店ですませます。祭やイベントなどには、まず行くことができません。札幌では専門分野のお店は、ほとんど札幌駅か大通の繁華街にありますが、行けなくなったので不便に感じることがあります。やむを得ず行かなければならないときは、覚悟を決めて出かけるのですが、頭痛や全身の痛みのため疲れ切って帰ってきて、夜眠ることができません。1週間くらいは症状を引きずってしまうので、なるべく出かけないようにしています。

○携帯通話の音色
 外出先で携帯電話を使用している人を見たら、なるべく近づかないように気をつけています。2007年頃、携帯端末に強く反応するようになり始めたときには、いつどこで携帯使用者に出会うかわからないので、常に気を張り詰めていました。話し声がすると、携帯電話でしゃべっているのではないかとビクッとしてしまいます。声が聞こえるたび、ふりかえっていました。携帯電話で話している場合と、友達同士で直に話している場合がありました。最初の頃は、常に意識を研ぎ澄ましていなければなりませんでしたが、何事も回数を重ねると要領がわかってくるものです。4年ほどたった現在(2011年)では、携帯電話使用者が近くに来ると、勘が働いてわかるようになり、以前よりスムーズに避けられるようになってきました。後方で話し声がしたときに、携帯電話で話しているのか、サシで話しているのか区別がつくようになってきました。携帯電話を使用している人のそばにすると、鋭い刺激が頭に突き刺さる感じがあるので、そういうときは待避行動をとります。

 それと、これは私個人の感覚的なものなのですが、直に話している人の音声と、携帯電話で話している人の音声とでは、違う響きに聞こえます。もちろんコミュニケーションのスタイルが違うので、話し方や口調も声音も変わってくるでしょう。しかし、私が感じるのは、そういうコミュニケーションの違いではなく、物理的な音声の違いです。うまく表現しづらいのですが、携帯電話を使っている人の音声は、電気処理されたように無機質で、振動しているような響きに聞こえます。響きが水の中を伝わっていくような響きになります。そういった特徴を覚えることができたので、携帯電話使用者を要領よく避けられるようになってきました。それでも、不意に近くで携帯電話の電磁波に触れてしまったときには、ガツーンと鋭い頭痛に見舞われてしまいます。

d.金属製品による症状
○電磁波との関連
 2001年に始まった強い目の痛みの症状、それは農薬や水道水や金属製品に対して起こりました。また2003年までには携帯電話の中継アンテナに反応していたこともわかりました。私は金属に対する反応と電磁波過敏症との関連を疑っています。その後の観察によって通信電波のふるまいと金属への反応が連動していることに気づいてきたからです。

 2001年の夏頃から缶やアルミ箔・カトラリー・ヘアピンなどの金属製品を見ると、激しい目の痛みが起こるようになってきました。また、ヘアピンやカトラリーなどは、手で持つと指先からビリビリと刺激が伝わって腕全体に広がっていく感じがありました。握っていると筋肉がたまらなくだるくて痛くなり、疲れてしまって持っていられません。目の痛みの症状に関しては、特に面積の広い金属面を見ると起こってくるようになりました。アルミ箔や缶のふたなどです。スチールラックの棚板やアルミブラインドなどにも反応しはじめました。私はそれまでCS対策として、化学物質のふるまいや影響・対策について考えてきたので、同じような方法で対策できないかと考えたのですが、金属製品については、それが全く通用しないことに気づかされました。

 化学物質のふるまいは割合単純です。発生源からガス状・粒子状の物質が放射状に広がっています(図8)。

風が吹くと広がり方が変わります(図9)。

対策としては、表面を覆って化学物質の発散を抑えたり、干したり洗ったりして、化学物質自体を除去する方法が有効です。金属製品については、私は電磁波の影響などは思いもよらなかったので、初めは化学物質が原因に違いないと思い、ビニールで覆う方法を試してみました。例えば、缶の表面に塗ってある塗料の成分が発散して目の痛みを起こさせているのだとしたら、完全にビニールで覆うことによって発散を防ぐことができます。しかし金属製品をビニールで覆っても、目の痛みは全く取れませんでした。化学物質とは別の原因が作用しているのだと考えるしかありませんでした。

○反射の作用

 よく観察してみると、金属製品の影響はかなり奇妙でした。例えば、全く同じ金属製品が2つあるとします。金属のスプーンが2つあった場合、それらを離して置くと、片方は目が痛く、片方は目の痛みが起きません(図10)。1つのスプーンを手に持って動かしてみると、ある角度・位置では目の痛みが出るのに、別の角度・位置では痛みが出ません。

 特に反応がわかりやすかったのは鏡で、これはガラスに金属箔を蒸着させたものなので、広い面を持った金属板と考えてよいでしょう。2001年から、私は鏡面にも強い目の痛みを感じるようになってきました。キャス
ターのついたスタンドミラーを動かして、鏡の位置や角度を変えてみます。ある角度・位置になったとき、鏡全体から強烈な刺激を感じ、目が痛くなってしまいました。しかし、別の角度では痛みは弱いのです。

 このような観察を繰り返すうちに、私はこの現象が光の反射によく似ていることに気づきました。太陽が映った鏡はとてもまぶしくて見ることができません(図11)。

しかし、ほんの少し角度を変えて太陽が映らないようにすれば、まぶしさは消えます。私は金属製品について、それと似た現象が起きているのではないかと思ったのです。通信用の電磁波は、光のように目で存在をはっきりと確認することはできませんが、見えない刺激となって目の痛みを起こさせているようです。

○ブラインドへの反応
 広い面積を持った金属による反応は、あちこちで観察できました。角度によって反応が違うので、生活上困ったことを引き起こしていました。私は木造の2階建ての家に住んでいましたが、2003年にアルミブラインドを買ってきて、1階のリビングの窓につけました。その瞬間から強烈な目の痛みを感じました。そのため、このアルミブラインドを使うことはできませんでした。ところが、2階の夫の部屋にこのブラインドをつけてみたところ、私は目の痛みを起こさなかったのです。2010年に引越するまで約8年間、2階の部屋にこのブラインドをつけていましたが、その部屋に入っても目の痛みを起こすことがありませんでした。

 2005年にもう一度、夫の部屋からブラインドを持ってきてリビングにつけてみたことがありました。そのときにも、前と全く同じ反応が出ました。強烈な目の痛みで、目を開けていられません。すぐに夫の部屋に戻しました。


 2006年にスチールのCDラックを買ったときも、奇妙な現象が起きました。購入者が自分で組み立てる製品だったので、梱包を解いて、パーツをひとつひとつ組み立てていきました。横倒しで組み立てているうちは大丈夫だったのに、完成して立ててみたら、なんと強い目の痛みが起きたのです(写真10)。

どういう現象が起きているのか信じられませんでしたが、“光の反射”現象で考えれば、説明がつくような感じがします。電磁波の発生源と金属製品の角度がちょうど合って、強い反射が起きるときに、目の痛みが引き起こされるようです。

○アルミシートへの反応
 2001年、激しい目の痛みの発作を起こし始めた年の12月に、私は広い金属面によって焼けるような目の痛みを経験しています。私が実家に住んでいた頃のことです。家族がホットカーペットの断熱用下敷きを購入したのです。それは2m四方のアルミシートで、ホットカーペットの下に敷くと、床面への熱が逃げるのを防ぎます。ホームセンターで買ってきてリビングの床に敷いたら、私はその瞬間から強烈な目の痛みに襲われました。視界全体がバチバチとはじけているような衝撃を感じ、目を開けていられません。焼けただれるような目の痛みで、眼球がバクバクと脈打っています。その痛みが目から頭につながって、激しい頭痛を起こしました。私は苦痛のあまり気を失ってしまいそうでしたが、夫に急いで断熱シートを取り除いてくれるようにお願いしたのです。

 私はこの時点では、自分が何に対して激しい症状を起こすのか理解していませんでした。予想もできなかったので、症状はいつもこのように突然やってきました。ふだんから気の抜けないような強い警戒心と恐怖心がありました。なぜ断熱シートのようなものに反応するのかはわかりませんでしたが、とにかく家に運び入れたらすぐに激しい症状を起こしたのだから、それが原因に違いありません。

 夫は断熱シートをたたんで、店に返品しにいってくれました。そうしたら次第に目の痛みはおさまっていきました。目がとても過敏になっているので、痛みがおさまるのに時間がかかりましたが、断熱シートを敷いていたときのような強烈な刺激は去りました。
 この時は、まだ電磁波過敏症の存在も知らず、金属製品に対する反応も起き始めたばかりだったので、自分の身に何が起きたのか理解できませんでした。その後、金属製品に対する反応をいくつも観察していくうちに、どのような現象か、少しずつ理解していくことになりました。

 引越直前にCSコンサルタントの人が、新居の畳の部屋にアルミ箔を強いて、その上に石膏ボードを強いてくれました。CS対策として、畳から上がってくる化学物質を防ぐためです。私はこのアルミ箔にも強い目の痛みを感じました。上から石膏ボードで覆っているので、アルミの化学成分の発散は抑えられているはずです。化学物質による反応とは考えられませんでした。石膏ボードを持ち上げて、敷き詰められているアルミ箔を全部取り除いたら、燃えるような目の痛みはおさまりました。

 金属面でも平滑な面より、アルミ箔のようなシワのあるものの方が、より強く目の痛みを感じました。電磁波が均一に反射せず、バラバラの方向に反射するからでしょうか。光に例えれば、まるで水面に太陽の光が反射して、波紋によって光が散乱されているような感覚です。


○金網状の物への反応
 金網・パンチングメタル・メッシュ状のものにも反応しました。金網は光を透過させますが、携帯電話の電磁波は光よりずっと波長が大きいので、細かい編み目であれば、電磁波を反射します。そのため、金属製のザルや金網にも目の痛みを感じました。夫が言うには、衛星放送のパラボラアンテナも皿状の部分が金網で覆われているそうです(図12)。 全面を金属にしなくても電波を集めることができるからだそうです。

 2001年に引越したとき、スチール製のベッドを運び込みました。これは布団を敷く面が金属製のメッシュ状の金網になっていました。ベッドを1階の部屋に運び込むと、大変強い目の痛みになりました。しかし隣の部屋に、このベッドの網を立てかけておくと、目の痛みは起きません。このベッドは自室で使うことができず、もうひとつのスチールベッドを使いました。こちらは布団を敷く面が5センチ幅の格子状になっており、目の痛みは起こりませんでした。格子が粗いので、電磁波が反射されず、透過していったものと思われます。

 このように位置によって目の痛みが起きたり起こらなかったりするので、金属製品を購入するときは大変緊張しました。もし売場で見て大丈夫でも、家に運び込んだときに目の痛みを起こすこともあるからです。私は当時、木製品に強いCS反応を起こしていたので、薬剤処理のない天然木100%の製品も使うことができず、たいていプラスチック製品か金属製品を使っていました。そんな中で、金属製品に反応しはじめたのはこたえました。プラスチック製品は強度がないため、ベッドなどの製品については代替品が見つからないからです。床に直接寝ると、空気より重い化学物質やホコリをたくさん吸ってしまって、苦しくて寝られませんでした。

○凹面への反応
 広い面を持った金属製品の他に、様々な金属製品に反応を起こしていました。特に、中華鍋のような凹面には強い反応がありました。パラボラアンテナのように電磁波を集めるからではないかと思います(図13)。

金属製のザルやボールは目の痛みのため使うことができなくなり、プラスチック製のものに買い換えました。また、凹面鏡(拡大鏡)が2001年から使えなくなってしまいました。あまりにも強い目の痛みが出るためです。特に強い反応が出たのはUVカットの日傘で、布の表面にアルミが蒸着してあるものです。それを広げると全身が焼けるような刺激と熱感を感じました。それは恐ろしい体験でした。大きなパラボラアンテナの形状をしているためと思われます。

 このように、金属による反射や形状による変化などを、観察によって把握できるようになってきました。

○発生源と反射・散乱・回折の関係
 太陽の光源は、発生源が1つで、目に見えるものなので、反射の現象を確認することは容易です。室内の電灯についても、2,3個までなら、反射の現象をとらえやすいでしょう。しかし、携帯電話の電磁波の場合は、目に見えない上に発生源も多くあるので、現象をとらえるのは容易ではないと感じました。私は携帯電話の中継アンテナからの電磁波、携帯端末からの電磁波に反応していましたし、それに加えて、テレビやラジオの電磁波や衛星放送、GPSなど、携帯以外の電磁波にも反応している可能性がありました。それぞれについて自分がどのような反応をするのか把握できていませんでした。だから、発生源と自分の症状との関連をきちんと法則化できずにいます。角度や位置によって反応が変わるのはわかるけれども、なぜ、そうなるのかはっきりと説明できないことが多いです。また、この形状の金属製品をこの位置に置いたらどういう反応が起きるのか、ということも予測できていません。私は大変複雑な現象の一端をおぼろげながらつかんでいるといった有様で、この状況をコントロールするには遠く及びません。電磁波に対する反応の他に化学物質に対するCS反応もあり、事態をさらに複雑にしていました。わからないことがたくさんありましたが、激烈で耐え難い症状が頻繁に起こるので、わかっている範囲内だけでも、対応していかなければなりませんでした。

 私が現在暮らしている世界は、携帯電話をはじめとして、様々な電磁波に満ちています。それがとめどもなく大量に混じり合って、まぶしい世界をつくっています(図14)。少しでも状況を把握して対処していけることを目指しています。

○金属製品による筋肉症状
 目の痛みの症状と共に強く表れているのが金属製品による筋肉の痛みです。これも生活に大きな影響を与えています。金属製品を手でつかんだり身体を接触したりすると、そこの筋肉が痛くなってくるのです。それと同時に筋肉に波状に振動が伝わる感じがあります。筋肉が勝手に収縮して、緊張と疲労を起こさせます。金属製品をつかんでいると腕の痛みが強くなってきて、それを持ち続けることができなくなってしまいます。金属製のフォークやスプーンは使えなくなり、プラスチックや磁器製のものに変えました。カトラリーについては、ビリビリとした刺激の他にも症状がありました。カトラリーが舌に触れると、ゾッとするほど金属の味がして耐えられなくなるのです。困ってしまうのは、スチール製のベッドやパイプ椅子などで、これらのものに寝たり座ったりすると、全身がたまらなく痛くなってしまいます。代わりのものを見つけられるときと難しいときがありました。
 


第1章 〔3〕対策につづく

このページのトップに戻る
第2部第1章〔1〕電磁波過敏症の経緯に戻る
ホームに戻る