副読本 その3 「ミロ、さらに神に祈る」


「 ふうん、登場人物が二人増えたな、いや、まてよ、三人っていうのか?」
ミロは首をかしげた。
「 さすがは獅子宮のアイオリアだ。 ペットを飼うといってもスケールがちがうな。 まてよ?昭王が実は蠍をペットにしてるなんてことはないだろうな? そいつは危険すぎるぞ、俺でも絶対にやらんlっ!」
「 それはあるまい。 蠍は熱帯・亜熱帯に分布する節足動物だ。 一月の平均気温 がマイナス4.6度、最低気温がマイナス十度にも達しようという薊では生息できるはずがない。」
さすがはカミュ、博識なことにかけては十二宮でも随一である。 よく平均気温まで頭に入れてあるものだ。
こういうことが苦手なミロは舌を巻いた。

   それとも、俺が蠍座だから、興味を持って特に詳しく調べてあったりして?

つい嬉しさがこみ上げてきて頬がゆるんでいるミロにカミュが言った。
「 ところで、よかったではないか、私の台詞はまだないが、お前の台詞は倍増だぞ。」
「 そうだっ、それだっ!倍増って言うが、一つが二つになっただけだぜ? そうすると 『 次は四です 』  じゃないだろうな?そんな増え方じゃ少なすぎるぞ。」
「 いや、その増加率はまずかろう。 それでいくと、第十回目で台詞の数が256になるからな。 第十二回目には実に1024になる。」
「 えっ!」

   絶対にそんな芝居はできない……。
   一、二と増えたのだから、次は三になってくれ!

ミロは密かに祈ったのだった。


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