【レポート】
「海岸保全基本計画」、「危険な石炭灰の扱い」………

地元・苓北に直結した問題点指摘される

実行委代表の原田正純さんのユーモラスな開会挨拶で場内は和んだ 会議は2人の女性によって仕切られた………
◇第21回「天草環境会議」
21回目を迎えた「天草環境会議」は2004年7月3日13:00から、苓北町の志岐集会所で開かれた。ことしの会議は、昨年で節目の20回目を迎えたことを機に、原点に戻り地元メンバーを中心にして実行委員会「はえん風」(代表:原田正純・熊本学園大学教授)が企画から準備を手がけた。
13:00からの開会式、町内視察のフィールドワークを終えて、15:00から3人の講師を迎えての記念講演が行われ、約100人が熱心に耳を傾けた。


御所浦への思い入れがあるだけに清野さんの話には心がこもっていた
清野講師:自然科学的データのほかに地域の古い写真も有効

最初の講演は、東京大学大学院総合文化研究所広域システム化学科助手の清野聡子さんが「海岸の地域と自然の再生−天草が教えてくれたこと」。
清野さんは1984年夏、学生時代にゼミのメンバーとして初めて天草・御所浦を訪れ、その後2度、総合学術調査の手伝いで訪れたが、心の整理がつかないため未認定患者に会う事が出来ず、もっぱら科学観光的に化石と海岸生物を満喫して帰ってきたという前置きから、現在は沿岸の人工化によって海岸や河口生態系がどのように壊れたかを研究しているとし、とりわけ自然科学的データのほかに地域の古い写真をもとに地域の人たちのヒアリングを中心に環境の変遷を解明するという手法をとっており、その結果、地域計画に関わることも多くなった。
そして、有明海・八代海の特別措置法に関する調査を通じて、熊本県はいままさに「海岸保全基本計画」を策定中で、このタイミングなら住民のみなさんの意見、声を具体的に反映できる。ぜひその方向に向けて動くべきだ、とアピールした。
多くの実例やエコ商品といわれるものの危うさを松田さんは順々と説いた
松田講師:電力会社の石炭灰の扱いは中途半端

2番目は、広島県芸南火電阻止連絡協議会事務局長の松田宏明さんが「海・川・山―今起きていること」と題して、地元とも関連の深い石炭灰をめぐる動きについて関わってきた各地の実例を上げ、石炭中の重金属が大気汚染の要因でありながら、電力会社は中途半端な対策しか講じず、さらにそれらの技術を中国など海外に輸出していると指摘した。
また、有効利用と称しエコセメントとして世の中に出されているが、セメント工場周辺ではカドミウム汚染が進んでおり、石炭灰そのものもセメント原料として韓国に輸出されるなど多くの問題をはらんだままになっており、ここ苓北でも苓北火電が石炭灰の貯蔵所を陸上部に造ることが検討されていると聞いたが、十分にウォッチする必要があると住民の喚起を促した。
川辺川ダムからダイオキシンまで豊富な実践経験からの森さんの舌鋒は鋭い
森講師:行政の“違法行為”見逃してはならない

そして3番目は、弁護士の森 徳和さんが産廃やダイオキシン騒動問題などを弁護士として扱った経験上から問題点を指摘、とくに「廃棄物の基準の見直しは不可欠」と強調した。
また、地元に関係の深い石炭灰について触れ、石炭灰と重金属は切っても切れない関係にあり、計画されているという苓北火電の石炭灰貯蔵所の建設で行政は「違法行為」をしてはならないと糾弾した。

その後、“恒例”のフロアーからの質問や意見が活発に出され、講師との間に緊迫したやりとりも行われ、18:00過ぎに終了、舞台を交流会に移した。


心配された台風も“遠慮”してか盛大に星空パーティー

日没寸前の美しい天草の空の下“星空野外パーティー”は始まった


台風の影響が懸念されたものの、進路の変更に救われ19:00から護岸に面した「あつまろう屋」特設会場で“星空野外パーティー”が行われ、漁民たち手作りの新鮮な魚介類などが豊富に振舞われ、講演会の聴衆を上回る!約200人の人たちが深夜まで歓談した。

翌4日は「町内体験」として、百姓の学校、海の学校、史跡を訪ねるの3グループに分かれて散策し、昼過ぎに全日程を終了した。


今年は「7月9〜10日」開催予定

関係者によると、次回22回は従来の7月の第2週に戻し、9〜10日に開催の予定。
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