【トピックス】
◇天草でも“回分式プラントが動きだした!

【12月20日】
回分式プラント、正式には「沖縄型・回分式酸化溝(さんかみぞ)」という自然循環型の畜舎排水処理システムで、宇井純さんがヨーロッパ留学の際、オランダで技術を習得、沖縄在住中に沖縄の気候も考慮した“沖縄型”を完成させ、すでに数ヵ所で実用化されているプロセス。
宇井さんが天草でこの話を初めてしたのは2003年11月のこと。養豚業の平本末喜さんはその瞬間に「ひらめいた」とか。以来、宇井理論に独自の発想を加えて着工、12月も押し詰まっての試運転開始となった。結果は上々で、すでに近隣の同業者に口コミで広がっているとか。、「仲間が増えるでしょう」と電話口の平本さんの声は弾んでいた。

平本さんの豚舎全景 完成した回分式プラント全景 プラントに隣接した地下に設置したし尿の原水槽
プロペラ式の水車が勢い良く回り、流れを与えていた コーナーは水流を促すためカットしてある これから本格稼働に入る平本さんちの回分式プラント



【1月8日】
朝イチで平本さんの豚舎を訪ねた。すでに豚の世話をしていた平本さん、作業を中断して、敷地内に建てた回分式プラントに案内してくれた。
本格稼働して1ヵ月弱。稼動後はとくに問題なく、回分式プラントとバクテリア類は黙々と、粛々と仕事をしてくれているという。
同行してくれた松本さん、吉崎さんに加え、地元・五和町議の中井俊作さんもバイクで颯爽と駆け付け、合流。目敏い中井さん、早速傍らに無造作に置いてあった市販のウーロン茶のペットボトルに詰めてあった上澄み液に目をつける。色だけ見たらウーロン茶となんら変らない。開栓し臭いをかぐが、まったくと言ってよいほど無臭。好奇心旺盛な中井さん、やおら口に含む………。一種の度胸試しのようなもので、我々も真似る。(あとで宇井純さんに「菌やらウィルスは上澄み液とは言え生きているのであまり誉めたことではない」とたしなめられた………)
ちょっと気になったこと―現状では近所の子供たちが興味本意で近づいて(囲いがないので)誤ってはまる可能性があること、ウーロン茶まがいの上澄み液を万が一飲んだりしないような配慮もされたらどうかというような話をして辞去した。

なお、松本さんたちは近々、平本さんを講師に同業の人たちに集まってもらい、2回目の回分式の勉強会を考えたいとしていた。
滑り出しは上々と語る平本さん ウーロン茶に酷似している上澄み液 上澄み液を口に含む中井さん

<平本末喜さんの話>
宇井さん訪天の際に直接話を聞いた事が平本さん(左から2人目)が「回分式」に注目したきっかけになった  =2003年11月12日

実際の工事は11月27日から始め、12月12日には完了した。総費用は約300万円だった。約100平方メートルの土地に池を掘ったが、池の深さは160センチにし、汚水のかさは120センチと想定し、半分の60センチに水を張り、その中に豚の尿を入れた。
実は、発注した水車がプロペラ式のが来ちゃったのと、高さが高かったために汚水を完全に攪拌できなかったが、考えて水中ポンプを使ってつないだら汚水が動き始め、2日目には臭いも消え、色も変った。
水車は1日に4〜5回止め、5時間ほど停止しても大丈夫で、いまではスクリュー式2馬力1台でけっこういけると思っている。
ペットボトルに上澄み液を採取しているが、ほとんどウーロン茶並みの色で、臭いはない。これを畑の高菜に散布し始めた。春には田に水を張る際に応用してみようと考えている。
近隣の同業者が連日見にきており、天草町が活性汚泥で同じようなことをしているが、こちらの方が順調で、同業者の何人かはこの方法でやってみようと言っている。
宇井先生に最初お話を聞いた時は実は半信半疑だったが、汚水を流し込んで2日目に臭いがなくなった時には“宇井マジック”ではないかと思った(笑い)。とにかく、上澄み液はいろいろなものに使ってみようと思っており、それを考える時は実に楽しい。

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