車の運転はまだしない。納得出来るまでに身体が回復しなければ、ハンドルを握らないと固く誓った。けれどこの日和、
桜も一生懸命咲いて私を招いている。

自家用車がダメなら電車やバスがあるんじゃない？　思い立ったら即実行にますます磨きがかかてます。
夕食に山菜ちらしをつくり置き十時過ぎの特急バスに乗って岡山駅へ。
山陽本線を下り尾道の桜を初めて見ることにしよう。途中の車窓風景も楽しみだ。
尾道に着いたら、まずフェリーで向島へ渡り対岸から眺めて、「好き眺めじゃ」と声を出して言ってみた。
尾道水道の向こうに桜をちりばめたまさに春は好き眺めじゃった。林芙美子もここらあたりで、
時を忘れペンをはしらせたに違いない。

町へ戻ったら、ロープウェーで千光寺公園の山頂へ空中散歩。
いつ乗ってもゴンドラは楽しい。今日は格別の感あり。山頂では満開の桜を見下ろし堪能した。
美術館側はピンクのじゅうたん。文学の小道にある投句箱に早速一句､『このさくら　われにおくりて　決心す』

まずは下り道を歩くこと、決心しました。　いちだんいちだんゆっくりと。
見かねた何人にも愛の手をさしのべられ、嬉しさとお断りするしんどさを同時に味わい、うれしさが勝った充実感を忘れまいと決心する。
あっという間に下りきったのは三年前の五月のことだったのが、足がもつれそうになるたび浮かびました。

尾道駅までゆっくりと商店街を歩きながら、持てないから買えないさみしさも味わった。治るまではがまんガマン。

岡山まで、往きとは反対側の座席をとり違う景色を楽しんだ。金光駅のホームの桜が見事だ。宗教絡みもこんなのは悪くない。
新倉敷で快速に乗り換えたとき、なんだか若い頃の旅のパターンを思い出し､遅ればせながらワクワクしてきた。

岡山駅から宇野線に換え一路宇野へ。各駅停車も茶屋町からが楽しさをます。夕暮れの桜もそれなりにいい。宇野駅に着いてからの路線バス待ち時間が約一時間には力が抜けてが、駅前の書店で立ち読みをしながら、
（制服姿の高校生活はここでデートもしたっけなぁ）と、この一時間は早かった。

やっと最後のバスを降りた。バス停から家までが思いがけなく、いやいや最高！。なんと、夜桜が周りの明かりに浮かび、
素晴らしく素晴らしく素晴らしさだったのです。あたりまえの桜を気づくことのなかった私､決心しました。
桜花はここに始まりここで名残惜しむことを誓います。

二日後、ご近所の奥様方とお宅の庭でお花見を開催。
道路下法面の桜が満開で、丁度目の位置に桜の海が広がっている。丹精こめて咲かせて下さった花々をを愛でながらのお弁当
桜餅で抹茶をいただく、なんとしあわせなこと。
この団地に途中からですが仲間入り出来て、ほんとうによかったです。
目も口も堪能して御開きとなりました。

我が家に戻り決心しました。今年の花見はもう一回。
赤穂線に揺られて、『ねてさくら　おきてさくらの　歴史知る』　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり