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マスク
 

 CS患者の方は、ほとんどの人が外出時にマスクをつけていると思います。しかし、私はマスクをほとんど使ったことがありません。なぜかというと、マスクの素材(布・活性炭)そのものに反応してしまうからです。その中でも、ほんのわずかな私のマスク体験を書いていきたいと思います。

[体に合うマスクが見つからない]
 1999年にCSだと気づいてから、情報収集するうちに、かなり早い段階からマスクのことを意識していました。症状が楽になるのなら積極的に使ってみようと思っていました。まず、体に合うマスクを見つけるのが大変でした。布や活性炭、耳にかけるゴムのにおいが有害だと、かえってぐあいが悪くなってしまいます。店でよくにおいを嗅いで、よさそうなものをいくつか買ってきました。布の部分をよく洗ってから、1つ1つ試してみたのですが、それぞれに有害なにおいがあり、長時間つけていることができません。外した方がずっと楽でした。

[呼吸が浅い]
 私はCSのために、常に呼吸が浅くなるという症状があります。そのため、いつも弱々しく息をしているのですが、マスクをすると息の通りが悪くなって、とても苦しいのです。重症だった時は、会話をする度に息が切れているような状態だったので、マスクをすると窒息しそうな息苦しさを感じました。

 現在も呼吸は浅いままです。重症だったときに比べれば、ずいぶんよくなってきているようですが、それでも一般の人と比べるとかなり浅いようです。呼吸が浅い状態は、長時間つづくとそれになれてきて、意識しないようになっているのですが、時々意識して腹式呼吸をしてみると、ふだんの呼吸がいかに浅いものであるかがわかります。そのため、現在でもマスクをすると、とても息苦しくなってしまいます。

[私のマスク体験]
 2003年に、人からクラレのキーメイトマスク(CS−5)をもらったので、試してみました。やはり息苦しくなってしまい、使えませんでした。このときは、マスクをしてもにおいや有害物質がそれほど取れたようにも感じられませんでした。

 2003年5月に、トイレでカビが大発生したとき、キーメイトマスクを使いました。カビの胞子を直接吸い込むのが怖かったからです。(私はカビアレルギーがあります。) 化学実験のような出で立ちで全身をカビからガードし、カビ掃除をしました。マスクのために息苦しくなったので、肩で息をしながらのカビ掃除でした。マスクは、カビやホコリには、ある程度、効くような感じがします。

 2004年9月に、バスに乗っているとき、強い刺激臭を感じたことがありました。原因はよくわかりません。このとき、キーメイトマスクを試してみましたが、この刺激は全く軽くなりませんでした。がっかりしました。活性炭では取り除けないような刺激物だったのでしょうか? 有害物質の濃度が高すぎたのでしょうか? それとも、私の過敏性が高すぎたのでしょうか? よくわかりませんでしたが、とにかくマスクをしてもしなくても同じだったので、マスクを外しました。

 2004年11月に幹線道路沿いを歩かなければならなかったときに、排気ガスがつらかったので、キーメイトマスクをしてみました。このときは、排気ガスのにおいが見事に取れたので感心しました。しかし歩いているうちに息苦しくて耐えられなくなったので、マスクを外しました。外した途端、排気ガスのにおいが一気に鼻に戻ってきました。活性炭はディーゼル車の排気ガスやホコリのように、粒子状のものはよく取れるような感じがします。しかし、このときもマスクをしているときより外した方が呼吸が楽なので、結局外して歩き続けました。

 2004年12月に、バスの乗客がいっせいに冬物のコートを着始めたので、車内が防虫剤のにおいでいっぱいになりました(→スモール・データ・バンク「バス」参照)。 このときも、クラレのキーメイトマスク(CS−5)をしてみました。防虫剤のにおいはマスクをする前とほとんど同じ濃度で、鼻に到達していました。のどが腫れて息苦しい上に、マスクのせいでさらに息がしにくくなったので、マスクを外しました。

 その後は、ほとんどマスクをしていません。大掃除をしてホコリを大量に吸いそうなときに、たまにするくらいです。しかし、やはり息苦しくなってしまうので、そのときの体調や状況を見て、するかしないか決めています。

[新しくなったキーメイトマスク]
 話はさかのぼりますが、2001年11月に北里研究所病院を受診したときに、予約時に資料とキーメイトマスクが送られてきました。この時点ではまだCS患者用のCS−5は発売されていませんでした。塗装作業などに使う一般向けのキーメイトマスクでした。このキーメイトマスクは密閉されていなかったので、様々な化学物質が付着してしまっていたのでしょう。使用する前からすでに、強い刺激がしていました。とてもそれを身につけることはできなかったし、そばに置いておくこともできませんでした。3ヶ月後に北里研究所病院を訪れたとき、院内の刺激とマスクに付着していた刺激が同じものだったので、病院のにおいを吸着してしまっていたのだと思います。(送られてきた資料の紙にも、同じ刺激物質が付着していました。)

 その後、CS患者向けのマスク(CS−5)が発売され、従来品の問題は改善されました。包装は密閉式のものに変わりました。耳にかける部分がゴムではなく紐になっているのも、とても親切なつくりだと思いました。「CS−5」の使用感は、これまで書いてきたとおりです。

[マスクとの遠い距離]
 活性炭マスクを使うときは、活性炭に吸着した汚染物質が飽和するのを見計らって、新しいマスクに替えなければいけないようです。しかし、私はマスクの効果を感じられないばかりか、活性炭が飽和していく様子も感覚では全然わかりません。そのため、交換の時期というのも、よくわかりません。

私のマスク体験は以上のようなものでした。

 なぜ私にはマスクの効果がないのかはわかりません。肺活量が低いというのは、原因の1つとしてあるでしょう。マスクを愛用している方へは、あまり参考にならない内容だとは思いますが、こういう人もいるのだという1つの情報として受け止めていただければと思い、書いてみました。

(2005.10.30)

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