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寒さ対策

 

 CS患者にとって、冬は厳しい季節です。たいていの患者は、寒くても灯油を使った暖房器具を使うことが難しいなどの理由で、寒い冬を過ごすことになります。また、衣類や寝具など、寒さから身を守る衣料品についても、体に合わない素材があったり、購入しようにも新品の化学物質が問題になって、満足に使用することができません。そんな中でも、何とか工夫して、少しでも寒さをしのげるように暖を取っているのが現状です。

ここでは、私の冬の「寒さ対策」を書いていこうと思います。

 私は2002年に、それまで住み慣れた仙台の地を離れて、札幌に引っ越しました。札幌の寒さは、本州育ちの私にとっては、想像を絶するものでした。私は引越してきた年に、北国仕様の暖房器具(ストーブ)を購入しようとしましたが、いくら試しても体に合うものが見つかりませんでした。そのため、 今でも仙台から持ってきたポータブルの灯油ファンヒーターのみで、寒さをしのいでいます。小型のものなので、部屋が十分に暖まりません。このストーブも、灯油を燃やす匂いが体に厳しいのですが、ストーブなしで北国の冬を越すのは、大変難しいです。体をだましだまし、何とか使っています。(→詳しくはスモール・データ・バンク「暖房」に書きました。)

 小型のストーブだけなので、真冬の室温は10℃前後で、それ以上あがることはありません。寒いです。また、夜はストーブを消して寝るので、早朝の室温は氷点下まで下がります。外出時は、外気が−5℃以下の中を歩かなければならないこともあり、このときも寒さを防ぐ必要があります。

 暖房・防寒のための商品は数多く売られていますが、私が使えるものはごくわずかです。繊維製品は、綿のみ。ポリエステル・アクリル・シルクはにおいが強く、身につけるのは難しいです。ウール製品は、肌がかぶれます。CS患者の中にはフリース(ポリエステル)を使える方が多いようですが、私はどうしても匂いがダメで使えずにいます。綿素材を駆使して、少しでも暖を取ろうと、日々工夫しています。

 暖房器具については、子供の頃から電気あんかや電気こたつを使用してきましたが、電磁波過敏症を発症してから、使用できなくなりました。湯たんぽは、素材そのものが熱せられるので、においが強くなり、使用できるものを見つけるのが困難です。
 このような状況ですが、寒さを防ぐためにどのような対策をしているのか、書いていきたいと思います。

[室内での寒さ対策]
○服装の工夫
 小さなファンヒーター以外は熱源がないので、あとは自分の体温を逃がさないように工夫しています。とにかくひたすら厚着をして、体熱を保つようにします。

 服装のポイントは、
(1)重ね着をして、体熱が逃げないようにする。外の寒さが体に伝わらないようにする。
(2)衣類の隙間をなくし、体熱が逃げないようにする。

(1)はもちろんですが、(2)が特に重要だと感じています。

 私の冬の服装は、タマネギのようです。服を一皮むいても、さらに下に着ています。もう一皮むいても、さらにむいても、次々服が出てきます。マトリューシュカ人形とでも言えましょうか。十二単と言ってもいいでしょう。これだけ着込むと、けっこう暖かいです。でも、動くたびに全身が重いです。

 特に、下半身と腰の部分を冷やさないようにすると、全身の温かさが保たれるように感じます。お腹には自作の腹巻き(綿素材のもの)をして、下半身にはズボンとスカートの重ね履きをしています。ズボンは隙間から冷気を防ぐのに役立ちます。スカートは、足さばきを悪くすることなく、足や腰を温めるのに役立ちます。スカートは、2〜3枚はいています。靴下も2枚重ねると、1枚のときより格段に暖かいです。首筋から肩にかけての寒さもこたえるので、ここは「頭巾」のようなものをかぶって防いでいます。頭をすっぽり覆い、耳も首も外気から守られるので、熱が逃げずに暖かいです。(「頭巾」について詳しくは、後述します。)  指先が冷たいときは、室内でも手袋をしています。

○体を内部から温める
 温かい飲み物や食べ物を摂ると、体が中からじんわり温まります。水分補給もかねて、頻繁にお湯を飲むようにしています。これは、思ったよりずっと効果があります。全身がぽかぽかする感じになります。

 飲み物についてですが、私はお湯を飲むようにしています。2002年11月まではコーヒーや緑茶など、カフェインを含む飲み物を飲んでいましたが、健康のことを考えてやめました。私はコーヒーがとても好きだったので、身を切られるような決断でしたが、やめることによって体調は確実によくなりました。

 それまでは、コーヒーを飲むと頭がスッキリと覚醒して、爽快になったので、飲むのが好きでした。しかし、全身の血管が収縮するような感じがあり、体が冷えて、熱が失われていく感じがしました。また、カフェインの利尿作用からトイレが近くなり、体から水分が抜けて、全身が乾いたような状態になっていたと思います。常に軽い脱水症状になっていたようで、そのためか体温の調節が悪かったです。体がほてったり、寒気がしたりしていました。

 カフェインをやめてからは、体温調節かよくなり、冬に体が冷えることが少なくなり、過ごしやすくなったと感じています。これは、人によって体質に差があるでしょうから、他の人にも当てはまるのかどうかはわかりませんが、心当たりのある方は一度カフェイン断ちをしてみてはどうでしょうか。私はやめてから今年で5年になりますが、これからもカフェイン断ちを続けていくつもりでいます。

 食べ物で体を温めるものは、お粥がいいです。私は2006年以来、歯の具合が悪く「ご飯」が食べられないのですが、代わりにお粥を食べるようになりました。これが、体の保温効果には、とてもよいのです! ご飯の何倍も体があったまります。量を食べるとのぼせてしまうほどです。これは、お湯を飲むより、ずっと体の保温力が高いです。

 また、私は圧力鍋でお粥を炊いているのですが、炊きあがった鍋を膝の上にのせて抱えると、本当に暖かいです。座って、ももの上に鍋敷きを置き、その上に圧力鍋を乗せておくと、お腹も体も全身暖まります。(火傷に注意。) また、熱いお粥をガラス製の保存容器に入れて、膝の上にのせておくのも、暖かくて好きです。以前、掲示板で「ラップに包んで冷凍しておいたご飯を電子レンジで温めて、 カイロ代わりにすると暖かい」という書き込みがありましたが*1、それの「お粥」版です。ご飯もお粥も、お湯より冷めにくく、長持ちします。

 鍋料理も、部屋と体を暖めるのに最適です。コンロを囲んで、アツアツを食べると、本当に暖かいものです。湯気が部屋を暖めてくれます。我が家は室温が低いので、炒め物などは、つくった直後から急激に冷めていってしまい、食べる頃には冷たい料理になっています。その点、鍋料理は熱いままを食べられるので、冬はしょっちゅう鍋をやります。

 卓上コンロにハロゲンコンロ(電気コンロ)を使うので、ガスの匂いに悩まされることはないのですが、電磁波過敏症があるので、加熱している間は離れているようにしています。また、湯気が部屋にこもって湿度が上がり、壁や窓が結露するとカビが生えるので、窓を3センチほど開けておきます。(ここから寒風が入ってくるので、鍋の温かさとのせめぎ合いになっています。) 本来なら、結露を防ぐために、 少し窓を開けて換気扇を回すべきなのでしょうが、暖房の貧弱な我が家は、それをするとあっという間に室温が氷点下になってしまいます。

 冬は食事をきっちりとった方がいいです。栄養が足りなくなり、体重が減ってくると、寒さに俄然弱くなります。私は歯の調子が悪く、食事が満足に摂れなくなって から、とても寒さに弱くなりました。前年と同じ気温でも、格段に寒く感じます。体が内部から凍えるという感じです。冬はたくさん食べて、体脂肪をつけておくと、過ごしやすくなるのではないかと思います。

 また、前述のように、私はお粥を常食にしているのですが、そのため急激に体重が減ってしまいました。ふつうのご飯を水で5倍に薄めたような食品なので、これで従来の栄養を摂るのは難しいです。おかずも満足に噛めないので、こんなことになってしまいました。お粥で体を内部から温める方法も、毎食ではなく、ときどき食べるのがいいのではないかと思います。逆に体重を減らしたいと思っている人は、ご飯の代わりにお粥を主食にしてはどうでしょうか。体もあったまるし、体重も減ります。「お粥ダイエット」。効果は私が実証済みです。

○住環境の工夫
 窓ガラスからの寒気を防ぐために、窓にエアキャップを貼りました。(エアキャップは、荷物を梱包するときに使う、プチプチとした緩衝材のことです。) これでいくぶん寒さは防げているようです。めざましいほどの効果はありませんが…。エアキャップはビニールの匂いがしますが、室温が低いので成分の揮発量は少ないようです。強い症状は起きていません。

 私の家は2重窓になっていて、外窓はアルミサッシ、内窓は木枠の窓です。この木枠の隙間から冷気が入ってくるので、ここに細長く折りたたんだ紙を挟み込んで防いでいます 。

スースーとした冷気が入り込んでいたのがやんで、部屋が暖かいです! 私は新聞紙に対して強い反応が出ないので、ここに新聞紙を使っていますが、匂いが苦手な方は、代わりに大きな紙を使えばいいと思います。北海道の古い木造住宅に住んでいる方は、ぜひ試してみてください。

 また、人から勧められて使ってみて、よかったものを紹介します。「窓際あったかボード」という、厚さ1センチくらいのスポンジ状のボードです。これを窓に立てておくと、 窓から入ってくる冷気が防げます。夫の部屋では重宝しています。これは、はっきりとした保温効果が感じられました。私はこのボードの匂いが苦手だったので、表面をビニールで覆って使っていますが、そうすると断熱効果は低いです。この ボード表面の小孔(発泡スチロールのような素材)が空気をとらえて断熱効果を発揮するらしく、表面をビニールで覆うとその効果がなくなってしまうようです。

 夫は、自室の窓に段ボールを挟み込んでいます。2重窓の間です。私は段ボールの匂いに耐えられるか自信がないのと、結露で段ボールにひどくカビが生えそうなのでやらずにいますが、これは暖かそうです。

[寝るときの防寒対策]
○寝具
 昼間、寒さをしのぐのも大変ですが、夜寝るときの寒さはもっと大きな問題です。真冬になると、室温が氷点下になるので、寒くて寝ていられず目が覚めてしまいます。吐く息は、白く濁っています。手足は氷のように冷たくなります。 「寝ている間にどれだけ暖を取れるか」ということが、私にとっては重大な問題でした。

 北海道の一般的な家庭では、ストーブを一晩中つけっぱなしにするのが標準のようです。我が家のストーブはポータブルの灯油ファンヒーターなので、3時間たつと自動消火装置で消えてしまいます。一晩中たくことはできません。私は自動消火装置が働くまでもなく、就寝時にはストーブを消すことにしています。寝ている最中は換気ができないので、開放型のストーブがはき出す排気に耐えられないからです。

 私が使っている寝具は、冬を越すのに十分なものとは言えません。掛け布団や毛布を何枚か重ねていますが、いずれも薄く、綿やポリエステルの素材なので、あまり暖まりません。新しいものを買いたいのですが、匂いの問題があって、なかなか買えずにいます。夫の寝具は、私のものより厚手のもので、アクリルの毛布も掛けているので、ずっと暖かいです。ときどき夫の布団に入ってみると、本当に暖かくて、私の普段の寝具がいかに貧弱であるかを思い知らされます。夫の布団は、化学物質の匂いがあって、私は長時間寝ていることができません。

 以前、私のこの状況を見かねた方が、親切に、古い綿の布団を譲ってくださったことがありました。何日も何日も日にさらして匂いを抜き、全面に掃除機を掛けて、私が使えるようにしてくれました。しかし、私はその布団も使うことができなかったのです。化学物質の匂いはよく抜けていましたが、とても古い布団だったため、ホコリやカビの匂いが内部から出てきて、息苦しさと痒みとで、眠れなかったのです。せっかくの善意を生かすことができず、申し訳なく思いました。

 他のCS患者の方と話をしていると、「古くて化学物質の匂いが抜けているものなら大丈夫」という人と、「古すぎるものは、カビやホコリの問題があるからダメ」という人に分かれます。私は後者で、古すぎるものも新しすぎるものもダメなので、難しいです。住む家を探すときも、古すぎる家はカビの問題があり、新しい家は化学物質の問題があり、ちょうどよいものを見つけるのに苦労しました。

 現状、貧弱な寝具しか揃えられないので、その機能を最大限に生かすことを心がけています。私は掛け布団の上に綿の毛布を掛けているのですが、すそを折り込んで、敷布団の下に入れています。足元の三方向を折り込みます。 

寝返りをうつのに少し窮屈ですが、隙間から冷気が入りにくくなるので、足の冷えが緩和されます。これはとても効果のある方法です。毎晩、寝る前に掛け布団や毛布を整えて、きちんと折り込みます。

○湯たんぽ
 就寝時の暖房器具についてですが、前述のように、電気製品は使えません。また、使い捨てのカイロも使うことができません。それで、湯たんぽはどうかと思って、いろいろなものを試してみました。

 はじめに、金属製の湯たんぽを試してみましたが(2001年頃)、これは外も中もひどいにおいで、とても使えませんでした。錆止めの加工か何かがしてあるのではないかと思います。また、私には、金属自体のにおいも気持ち悪く感じられました。

 プラスチック製の湯たんぽは匂いそうで自信がなかったのでやめて、次に、陶器製の湯たんぽを試しました(2002年頃)。これは、私の窮状を知った方が、あまっている陶器製の湯たんぽを貸してくださったのです。そのため、費用をかけずに試すことができました。多分、陶器の素材には反応しなかったと思います。しかし、お湯を入れると湯たんぽ全体から、ピリピリと突きささるような刺激が立ちのぼりました。部品をひとつひとつ嗅ぎわけてみると、原因は、栓のところについているゴムパッキンだとわかりました。ゴムパッキンなしで蓋を閉めてみましたが、お湯が漏れてしまい、使い物になりません。ゴムパッキンを日に干したり、熱湯につけたりすれば、刺激は抜けるかもしれませんが、お借りしたものなので、それはできず、そのままお返ししました。

 布団のときもそうでしたが、人の親切を受けても、それを生かせないというのは、大変心苦しく、申し訳ないものです。私は過敏性が高く、多くのものに反応していたので、これまでこのような体験を数多くしてきてしまいました。人の好意を気持ちよく受けることができたら、どんなにすばらしいことでしょうか。

 次に、「ペットボトルを湯たんぽにする」というアイデアをどこかで聞いてきて、これも試しました(2002年頃)。ペットボトルなら、手元にミネラルウォーターのものがたくさんあります。普段ミネラルウォーターを飲んでいて、ペットボトルに強い反応はないので、気軽にできそうでした。ペットボトルなら、蓋のところにゴムパッキンがないので、よさそうです。
しかし、40℃くらいのお湯を入れてみると、ペットボトル全体からモヤッとした匂いが立ちのぼりました。鼻や呼吸器を圧迫するような重苦しい空気です。プラスチックの素材が熱せられて、立ちのぼってくる感じです。これで一晩寝てみましたが、朝起きると重苦しい頭痛がして、息苦しくなってしまっていました。これまで試してきた湯たんぽよりは、まだ反応は緩やかだったのですが、これを毎日使うのは難しそうです。

 その直後に、今度はガラス瓶を試すことにしました。義母(夫の母)が看護婦をしていたときに、患者のために、醤油や酒のビンを湯たんぽに使ったということです(1960年頃の話です)。50℃程度のお湯なら、ビンが割れることはないといっていました。ガラスなら大丈夫だろう…と思ったのですが、これにも反応してしまいました。やはり蓋の部分です。水漏れしないようにかませてあるプラスチックの素材が熱せられて、刺激を発していました。私は目がとても過敏で、少しの刺激でも強い目の痛みが起こります。私はガラス瓶の湯たんぽを一晩使ってみましたが、朝起きると、刺激で目が痛くなってしまいました。それで、ガラス瓶も私には無理だということがわかりました。

 いくつかの湯たんぽを試してみてわかったことですが、温度管理がとても難しいです。瓶やペットボトルでは、お湯は案外すぐ冷めてしまうので、寝る前に熱め(50℃くらい)のお湯を入れます。そうすると、布団の中が熱くて、汗をいっぱいかいてしまいます。しかし、3時間もするとお湯は冷えてしまうので、そのあと寒気が襲ってきます。また、たった2晩試しただけなのに、敷布団がカビました! 私はもともと汗っかきなので、布団の中が厚すぎると大量の汗をかいてしまうようです。それで、布団が湿ってカビが生えたようです。外から熱を与える方法よりも、自分の体温を逃がさない方法の方がいいのではないかと思いはじめました。

 湯たんぽについては、もう1つ試した体験があります。2007年にCS患者の方のブログを見て、電子レンジで温めるタイプの湯たんぽを試しました。これも、素材が熱せられるので自信がなかったのですが、試し てみることにしました。素材は、プラスチックのビニール袋に、中はゼリー状の素材が入っています。成分表示は、「ゲル化剤」となっています。これは、食品にとろみをつけるための素材と同じなので、それほど有害性は高くないのではないかと思いました。万が一、中身がこぼれたときに わかるようにと、このゼリー状の素材には、赤い色がついていました。この色素も少し気になりました が、色素の成分表示はありませんでした。

 はじめ、箱を開けたときに、段ボール箱の匂いなのか、それとも内容物なのかわかりませんが、刺激を感じました。中には、湯たんぽ本体と湯たんぽカバーが入っていたのですが、このカバーの方がにおいます。カバーは使わないことにしました。自分で簡単なカバーを綿の布で作りました。湯たんぽ本体は、そのものの匂いなのか、カバーの匂いが移ってしまったのかわかりませんが、少しピリピリとした刺激がありました。これを電子レンジで加熱すると、温まるごとにピリピリとした刺激がますます強くなり、目の痛みが強まってしまいました。(とにかく目が過敏なのです。) これを手製のカバーに入れて寝てみましたが、途中であまりにも目の痛みが強いので、寝室の外に出してしまいました。続けて使うのは無理そうでした。

 このように私は使えなかったのですが、電子レンジで加熱するタイプの湯たんぽは、電気を使うものではないので、ESの人でも使えますし、お湯を用意しなくてもいいので、手間がかからず便利です。使える方は重宝するのではないでしょうか。 CSの反応物質には、個人差があります。CS患者の中で、この素材に私ほど過敏でない方は、使えるのではないかという印象を受けました。よさそうだと思った方は、ぜひ試してみてください。

 たった数時間試しただけでしたが、湯たんぽの温度をそれほど高くしたわけではなかったのに(40℃くらい)、やっぱり私は体がほてってしまい、たくさん汗をかいてしまいました。何日か使っていたら、また布団にカビが生えていたと思います。私の場合は、外から熱を加えるより、自分の体温を逃がさない方法の方が合っているのだと思いました。

○服装の工夫
 重ね着をして寒さから身を守ること、服装の隙間をなくして体熱を逃がさないようにすることをポイントにして、就寝時の服装も工夫を重ねてきました。

 私が寒くてつらいと感じたのは、次の3点です。
(1)腰やお腹が冷えて、全身が寒い。
(2)布団から出ている頭や顔が冷たい。耳がちぎれるよう。衿元から外気が入って、肩まで寒い。
(3)足が氷のように冷える。


 (1)については、パジャマのズボンを2枚重ねてはき、さらにその下に腹巻きをすることで、何とか寒さを防いでいます。腹巻きは市販のものが使えなかったので、体に合う布で自作しました。パジャマのズボンも自作です。

 (2)については、はじめは帽子をかぶって寝てみました。頭を覆うだけでも、かなり暖かいです。しかし、帽子はすぐに脱げてしまうので、どうやって頭につけたままにしていられるかが問題でした。どうやっても、朝までには脱げてしまいます。また、2001〜2003年は、首もとにバスタオルをまいて寝ていました。これは、衿元からの冷気を防ぐ上で、とても効果がありました。布団と体との隙間を減らすことがポイントです。しかし、これでは耳のちぎれるような冷たさは防げませんでした。それで、頭も耳も首もとも全部覆えるような帽子を作れないかなあと考えました。

 店頭やカタログで、ときどき首まで覆えるデザインの毛糸の帽子を見ることがありました。

素材はアクリルやウールのものなので、その製品を買っても、私は使うことができませんが、同じ形のものを綿の素材で自作できないかと思いました。それで、図書館に行って、このようなスタイルの帽子の型紙を探しました。いくつか見つかりましたが、ただ耳当てがついているだけのものが多く、後頭部から肩にかけての部分を覆うデザインが見つかりません。それで、型紙なしで、自己流でつくってみることにしました。基本的な考え方は、筒状のものがあって、顔の部分が開いていればいいわけです。使える布さえあれば、なんとかなりそうでした。
 

 それでいろいろ試行錯誤をしたあげく、次のようなものができました。

用意するもの:メリヤス地の下着(長袖) 通称“ババシャツ”、スナップボタン

作り方:(図5)
〈1〉下着の下半分を折りたたんで脇を縫う。ポケットのようなものができます。
〈2〉ひっくり返して頭をつっこみ、袖を体の前にたらす。
〈3〉頬の両脇の布を引っぱって、顎の部分に隙間がないように合わせ、ちょうどいい位置にスナップボタンをつけて、とめる。
〈4〉袖を結ぶとできあがり。
〈5〉オプションで、10×24cmくらいの布をスナップボタンでつけました。これで目を覆うと、アイマスクになり、真っ暗な中で安眠できます。

   

 すそを折りたたむ幅や、ボタンの位置は、つくりながら決めます。縫ったりほどいたり何度かやると、体に合うちょうどいいものができあがります。首の後ろの部分がスースーして寒いので、私はここにもスナップボタンをつけて、パジャマの衿の部分とつなげられるようにしました。

 はじめにこの帽子をかぶって寝たときは、それはあったかくて、あったかくて…。まだ冬の初めで気温がそんなに低くなかったこともあって、暑苦しいくらいでした。本当に 、この帽子には助けられています。これがなければ、真冬はとても寝ていることができません。

  この「頭巾」の見た目は、いいものではないので、家族に見られると、ひかれるかもしれません。でも、暖かさはピカイチです。寒い日は昼間もかぶっています。 その姿は古代エジプトを彷彿とさせるらしく、夫は私を見て「ファラオだ、ファラオだ!」と言って、喜んでいます。(ツタンカーメン・黄金のマスクの雰囲気。)

 (3)足元の冷えに対しては、靴下やブーツ状のもので対策しました。初めは厚手の靴下をはいていたのですが、これは締め付けられる感じがあって、寝苦しいです。ゆるめの靴下だと、寝ている間に脱げてしまいます。しかも、靴下だけだと、どうにも足の冷たさが防げない感じがしました。

 厚手のフワフワな布で、ブーツのようなものをつくることにしました(2003年頃)。型紙は、図書館の本を見たのではないかと思います。窮屈なのは嫌なので、型紙を拡大コピーして、ゆるめのものをつくりました。布は綿のキルティング地。中綿はポリエステルです。この布の匂いは少し気になりましたが、寒さには勝てず、これを使うことにしました。

 図6のようなものができて、さっそく履いてみました。暖かかったです! しかし、厚手なので、ゴワゴワして、履き心地があまりよくなかったです。また、すぐに脱げてしまうので、足首のところを布のベルト(自作)でしめて寝ていました。これも窮屈な感じがしました。パジャマのズボンのすそをブーツの中に入れていましたが、ここもゴワついて、感触がよくなかったです。すそがブーツから抜けてまくれ上がり、スースー と寒くなります。ブーツが分厚いので、パジャマズボンのすそを外に出して重ねることができませんでした。いろいろ不満はありましたが、これを4年ほど使いました。

 2008年になってからは、別の方法をとるようになりました。驚くほど簡単な方法です。

ゆるめの靴下(履き古したもの)を履く。
パジャマズボンを履く。
靴下とズボンのすそにスナップボタンをつけて、両者を連結する。おわり。

 

あっけないほどです。しかし、これによってズボンのすそがまくれあがらず、ゆるめの靴下が脱げず、両者の間に隙間がないので、暖かさが保たれ、窮屈さはまるでありません。靴下は、ふつうの厚さのものですが、隙間がないというだけでこんなにも保温力が持続するものなのでしょうか。 キルティングのブーツより、効果は上です。2008年の冬は寒さが続き、室温が−2℃まで下がりますが、足は冷えなくなりました。

 このような服装の工夫で、就寝時の寒さをしのいでいます。使える布は綿だけですが(綿の中でも使えるものは限られています)、工夫次第で、暖かさを保つことができています 。

[外出時の寒さ対策]
 札幌の冬の外気はとても冷たく、昼間でも−5℃くらいのこともあります。もっと寒い地域に住んでいる方には、たいしたことがないと思われるかもしれませんが、仙台育ちの私にとっては、想像を絶するような寒さでした。

 私は2004〜2006年に自宅の車に乗れなくなり、外出はすべて公共交通機関を使っていました。吹雪の中、バス停でバスを待っているのは、とても体にこたえました。車で移動できると、ずいぶん寒さを防げます。

 外出時の服装について書きます。コートは、ウールやダウンのものを使えると暖かいのでしょうが、私は使えないので、キルティングのコートを着ています。中綿がポリエステルのものです。このコートは、1999年に買ってから、10年近くなります。本来、ドライクリーニングに出すべきもので、水につけてはいけないもののようなのですが、汚れるたびに浴槽で手洗いしていました。年を経るごとに、だんだん中綿がへたってきました。仙台にいるときは、これで十分でしたが、札幌では、このコート1枚では、寒さを防ぎきれないように感じます。しかし、代わりのものがないので、大切に着ています。

 これまで何度か、ダウンジャケットを購入しようとしてきましたが、その度に断念しています。夫のダウンジャケットをときどき試しに着させてもらうと、本当に暖かいです。外気が−5℃でもダウンジャケットを着ていれば、ほとんど寒さを感じません。ダウンジャケットは、外布の化学物質臭の他にも、ダウンそのものに対する反応があります。CS反応の他に、アレルギーのような症状が出ます。喉に粉っぽい感じがあって、むせてしまいそうになり、皮膚や鼻の粘膜に痒みを感じます。羽毛に対してアレルギーを起こしている感じです。私はそんなわけでダウンジャケットを使えないのですが、寒冷地に住む人は、ぜひダウンジャケットが着られるようにがんばって欲しいです。干したり、何とか匂いを抜いたりして、工夫してみてください! 本当に暖かいです!

 外出時の服装は…

◆スカート
 綿スムースのペチコート2枚をはき、その上に綿シーチングのスカートを2枚重ね履きです。どれも自分でつくったものです。外出時にズボンを履く習慣がないので、冬でもスカートです。スカートの下に、手製の腹巻きをしています。

◆靴下
 靴下を2枚重ね履きにしています。その上に、レッグウォーマーを着用しています(図8)。これは、綿100%の素材のものです。かつてルーズソックスが流行っていた頃(2000年頃)、足先の部分がない、レッグウォーマータイプのルーズソックスを買いました。においも少なく重宝しています。今は手に入らないと思います。綿だけのレッグウォーマーは、なかなか見つからない中で、いいものを買えました。

 ルーズソックスなので、放っておくとずり落ちてしまいます。「ソックタッチ」(靴下のずり下がりを防ぐための糊)は使えないので、膝下の部分に綿のバンド(自作)をしめて、ずり下がりを防いでいます。

 30代後半の女性が、今時ルーズソックスをはいているというのは、端から見てどうなのでしょう? ちょっと恥ずかしかったのですが、実際には、心配は無用でした。丈の長いスカートをはき、長靴を履いているので、レッグウォーマーの部分は、外からほとんど見えないからです。

◆手袋
 白い綿の手袋をしています。ドライブ用の薄手のものです。真冬には2枚重ねにします。1枚のときより、格段に暖かいです。私が買っているものは、手首のところが短くて、ここらか冷気が入るので、手首の部分を覆う布をつけたして、丈の長い手袋にしています(図9−a)。また、夏用のドライブ手袋は、日焼け防止のために、肘までの長さのものが売られています。これを適当な長さにカットして、手首まで覆える手袋にしています(図9−b)。

 白い手袋は汚れやすいので、頻繁に洗濯しなければなりません。この手袋と1枚つけた上に、厚手の冬用手袋をつければ暖かいのではないかと思うのですが、素材のいいものが見つかりません。ウールやアクリルは、綿手袋の上につけても、チクチクして、どうもだめです。ナイロンかビニールのような素材のものを狙っていますが、手のひらの部分に、滑り止めの合成皮革がついているものが多いので、よいものを探せずにいます。白い綿手袋の上に、色の濃い手袋をつければ、汚れが目立たなくて便利だと思うのですが。

◆靴
 長靴を履いています。2002年に購入し、1年くらい直射日光にさらしていたものです。今はもうゴムの匂いはしませんが、材質が劣化してヒビが入ってきました。水たまりを歩くと、中に水が入ってきてしまいます。気をつけながら歩いています。ブーツ代わりに履いています。暖かいです。

◆マフラー
 襟元からはいる冷気を防ぐと、暖かさがぜんぜん違います。綿の布しか使えないので、ネル地を買ってきて、自作しました(1999年頃)。首に巻くと暖かいです。綿の中でも、ネル地は厚みがあって、表面が起毛しているので、暖かさがあります。これを6年ほど使いました。

 しかし、ネル地は、ウールやアクリルのマフラーのように柔軟性がないので、首へのあたりが強く、ゴワゴワした感じがします。また、フィット感も今ひとつで、隙間があきやすいです。そこから冷たい風が入り込んでしまいます。それで、だんだんマフラーをつけなくなってしまいました。コートの襟を立てると、スタンドカラーになるので、それで首からの冷気を防いでいます。

 もっといい素材で、いいデザインのマフラーを、いずれつくってみようと思っています。

◆帽子
 帽子は1年中かぶっている綿の素材のものを、冬も着用しています(自作)。頭を覆うと、暖かさがぜんぜん違います。かぶらないと、頭皮からどんどん熱が逃げていく感じです。車に乗れなくなって、バスで移動していたときは、頭があまりにも寒いので、2枚重ねにしていました。外出時にも、就寝時にかぶる頭巾のようなものが欲しいのですが、見た目の問題もあって、実現できずにいます。

 フードつきのジャケットやパーカーを着られる方は、フードをかぶれば首筋の寒さを自分防ぐことができるはずです。私は着られるものを見つけられずにいますが、あれば暖かいのではないかと思っています。

 これだけ厚着をしていると、外では寒さが防げてよいのですが、公共の建物や店舗などの暖房をたいている室内に入ると、暑くなってしまいます。その時は、靴を長靴からふつうの靴(持参)に履き替え、レッグウォーマーとスカート1枚を脱いで対応しています。北海道は、外気の寒さに引き替え、室内は暖かいところが多いです。暑いくらいです。だから、外の服装でいると、暑くて我慢できなくなります。下着を重ね着していると、すぐに脱げないので、上に着るもので調節できるようにしています。

 2006年くらいまでは、冬の室内温度が高すぎるので、つらかったですが、その後の灯油価格の高騰からか、2007年からは室内がやたらと暑い建物は少なくなったように感じています。とても助かっています。

 こんな感じで、私は寒さ対策をしています。本文の中には、私のよかったもの、ダメだったものを取り混ぜてかいてきましたが、CSは個人差の大きな病気です。私がダメだったものの中にも、解決のヒントがあるかもしれません。いろいろ試して、少しでも暖かい冬を過ごしましょう。
*1 「化学物質過敏症 私の方法」掲示板 過去ログ倉庫 [15]2006年3月16日の書き込み
http://www3.bigcosmic.com/board/s/board.cgi?id=dnalccet&log=ON&cnt=1 

(2008.2.4)

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