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新築建物
 

[建物の有害度をはかる]
 私は新築の建物になるべく近寄らないようにしています。新しい店がオープンしたという情報を耳にするといってみたくなるのですが、そこは我慢。デパートやスーパーなら、だいたい1年半〜2年たつと行けるようになります。

 新築建物のリスクを避けるために、次のような方法を行っています。今まで行ったことのない建物に入るときは、まず建物の外観をよく見て、新築かどうか見当をつけます。そして中に入ってみます。玄関を入ったときに、室内の空気を嗅いで有害度を判断します。玄関に入った時点で室内の空気に耐えられそうにないと思ったときは、すぐに建物から出て、引き返すようにしています。どうしてもすまさなければならない用事があるときは、急いですませるか、他の人に代わりに行ってもらうかしています。どちらの方法をとるかは、建物の空気を嗅いでみて決めています。

 建物を訪ねる前に、あらかじめ築年数を確認することもあります。1999〜2000年にかけては、旅行に行くときは、あらかじめ宿泊先に電話して、築年数を確認していました。また、ホテルガイドブックなどを見て、築年数を確認することもありました。たいてい築10年以上たっていれば大丈夫でした。(1泊程度の時間を過ごす分には、大丈夫だということです。)

 このように、ある程度長い時間を過ごす場所は、事前に確認しておくと安心です。友人の家を訪ねるときも、築年数を聞いて、大丈夫かどうか判断するようにしています。

 1999年に自分がCSだと気づいてから、数多くの賃貸物件を見て回りましたが、それによって築年数と室内空気の状態を関連づけて把握できるようになりました。どのくらいの築年数であれば化学物質の濃度がどのくらいか、ということが予想できるようになりました。不動産物件を見て歩いて、一般住宅(主に木造)の「有害度と築年数の関連スケール」が頭の中にでき上がってきました。

 公共の建物についても、同じようなスケールがあれば便利だと思いました。それで、1999年から2000年にかけての1年間は、出かける度にその建物の築年数を調べたり、職員に直接尋ねたりしていました。そのような経験が積み重なり、公共の建物についても、「築○年であれば室内空気の状態はこれくらい」ということが把握できるようになりました。もちろん建物によって有害度や汚染物質の種類は違うのですが、大まかな傾向がつかめるようになりました。このデータをもとに、自分にとって耐えられるのは築何年までの建物なのか、ということが建物の種類によって細かく予想できるようになりました。現在は、今までの経験をもとに行動しているので、うまく新築のリスクを見分けられるようになっています。また、体調が回復してきたので、以前よりはるかに、新しい建物に耐えられるようになってきました。

 2003年3月に、札幌駅前にビルがオープンしました。その中に大きな書店ができたので、私は行きたくてうずうずしていたのですが、新築なのでとても無理です。しかし、オープンしてから、1年半後の2004年9月には、その本屋に入れるようになりました。以前の体調では、1年半後では、とても入れなかったと思います。「本当に回復してきたんだなあ」と実感した出来事でした。

 半年ほど前に、札幌駅の西側に大きな本屋がオープンしたので、これも行ってみたいのですが、まだ無理です。あと1年くらいは待たなければ行けないようです。気長に待ってみます。

[ビルと住宅の違い]
 新築の建物は、化学物質の濃度が高いので、近づくことができませんが、デパートやスーパーなどの鉄筋コンクリートのビルだと、1年半でかなりにおいが抜けます。しかし、一般住宅はもっとにおいが抜けにくいように感じています。一番の違いは換気量の違いのような感じがします(→スモール・データ・バンク「換気」参照)。同じ築年数の鉄筋コンクリートの建物でも、ビルよりも住居(マンション)の方がずっと建材のにおいが強く感じます(生活空間にはビルとはちがう化学物質が存在するせいもあるかもしれませんが。例えば防虫剤など。) そして、木造の住宅は、鉄筋コンクリートとはちがう独特のにおいがします。まず一番鼻につくのは合板のにおいです。木造住宅は合板が大量に使われているので、そのにおいがとても強く感じられます。そしてビニール壁紙のにおいや畳のにおいが混じり合って、室内の空気相を作っています。

[北海道の住宅]
 札幌の木造住宅は、仙台のものより高気密なので、同じ築年数の住宅でもずっと有害度が高いように感じます。2004年11月に、築6年の友人宅を訪ねていったのですが、玄関を入った途端、鼻を突くような強烈な合板のにおいがしていました。仙台で木造築6年の建物といえば、短時間であればそこそこ耐えられるものだったので、そのつもりで出かけていったのですが、それは大きな間違いでした。入った途端、重苦しい頭痛がして、一気に思考力が落ちました。そこで数時間話をしたのですが、帰るときはぐったりしてしまいました。そして、その後2日くらい寝込んでしまいました。

 北海道で、完成したての建物に入ったことはないのですが、築7年であれだけの濃度があるなら、新築であればどうなってしまうのだろうかと怖くなります。その友人宅は24時間換気システムが入っていて、6年間運転しっぱなしなのに、それでもあれだけの有害度があるのです。

[マンションの動向]
 2004年6月と2005年2月に、夫は不動産会社が主催する「市内マンションツアー」に行きました。これはマンションを購入予定の人を集めて、市内の新築マンションを見学してまわるというものです。夫は「最近のマンションの動向を調べるのだ」と、意気込んで出かけていきました。

 夫が帰ってきて説明するには、最近のマンションは「シックハウス対策」を意識して、内装に合板をほとんど使用していないそうです。営業マンは「だからシックハウスの心配はないんですよ。」と言っていたそうですが、夫が言うには、やはり新築マンションは化学物質のにおいがとても強かったということです。ホルムアルデヒド対策は相当進んだようですが、他の化学物質については、対策はまだまだこれからのようです。

 夫がマンションツアーから帰ってきたら、体中に新築のにおいがついていたので、すぐに着替えてシャワーをあびてもらいました。持っていったカメラにもにおいがついてしまったので、2、3日干しました。

(2005.11.25)

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