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ソーイング

化学物質過敏症だと、着るものを買うのが大変です。服の布の素材にCS反応を起こすことがあり、洗ってもその成分が取れなかったりします。できれば化繊を避けて、綿素材のものを買いたいものですが、綿でも加工する過程に使った薬品が残留していて、強く匂うものもあります。他に、私の場合はESがあるので、金属部品が付いていない衣類を選ぶ必要があります。金属を身につけると、その部分の筋肉が痛くなるからです。 

 衣類の店舗や通販では、婦人物は様々なデザインがあって、選ぶのが大変です。デザインが気に入っていても、買ってみるとサイズが微妙に合わなかったり、着にくかったり・・・服はけっこう値が張るので、買っても着られなかったときのダメージが大きいです。

 このような事情から、私はたいていの衣類を自分でつくっています。帽子・ブラウス・スカート・パジャマなど・・・。既製品を買うより、大丈夫な布を買ってつくる方が、私にとっては楽だからです。

 今回は、私のCS的ソーイング手順や注意事項について書いていきたいと思います。大まかな流れを書くと、〈布を買う〉→〈布を洗ってみる〉→〈型紙を用意〉→〈裁断〉→〈縫製〉→〈しっかりと洗濯〉→〈着用〉となります。作成の前後に都合2回洗うことになります。

○布を買う
 方法としては、二通り考えられます。店舗に行って買うか、通販を利用するか、です。どちらにも、メリットとデメリットがあります。店舗に行って選べば、実物を手にとって確認しながら買うことができるので、布の厚さや質感、色合いなどを具体的に検討できます。しかし、布を売っている店は、ホコリや化学物質で空気が悪いので、CS患者にとっては敷居が高いです。あまりに空気が悪いと、具合悪くなってしまって、布選びどころではありません。

 一方、通信販売は、店舗買いとは逆で、店内の空気にさらされることがないので、その点は安心ですが、実物を手に取ることができないので、届いてみないと、色合いや化学物質の様子がわかりません。

 かつては店舗で布を買っていたのですが、2013年頃から黄砂・pm2.5などの大気汚染の影響で、外出すると体調を崩しやすくなりました。アレルギー症状が増したので、生地店に行くと、くしゃみや息苦しさの症状が出るようになってしました。しかたがないので、ネット通販を利用してみることにしました。ネットショップでいくつか布を買ってみたのですが、結果として、この時期に買った布はあまりよいものがありませんでした。届いてみると、サイトで見たのとは全然違った色合いだったり、ペラペラと薄い布だったり、化学物質の匂いが強くしていたり・・・。総じて品質のよくない布が多かったような感じがします。やはり手にとってものを確認しないと難しいのかなぁ、と思いました。 

 その後は、体調のいい時を見計らって、何とか店舗に買いに行くようにしました。札幌では、大通にある「カナリヤ」という店が、品揃えが多くて便利です。

 初めて買う布は、最初は少量を買ってみます。一度洗って嗅いでみて、大丈夫なようだったら、必要な分量をもう一度買いに行くようにしています。一度大丈夫だとわかった布は、大量に買って様々な服を作るようにしています。

○布を洗ってみる
 買ったばかりの状態では、加工に使った化学物質の成分がついているので、まず洗ってそれを落とします。その後、裁断・縫製するので、布目を乱さないように、ソーッと洗います。私は化学物質がよく落ちるように、つけ置き洗いをしています。高温のお湯とせっけんをビニール袋に入れ、そこに布をつけて、トロ箱(発泡スチロールの保温箱)に入れます。一時間ほど置いたら、押し洗いをして(手洗い)、すすいで脱水して干します。(つけ置き洗いについて詳しくは「スモール・データ・バンク2  洗剤」に書きました。)

 乾いたら、嗅いでみて検討します。この段階でCS反応を起こす場合は、その布で服を作っても着られるかどうか怪しいです。大丈夫なら、作成作業に入ります。

 通常のソーイングでは、アイロンをかけながら布目をなおす工程が入りますが、CSのためアイロンを使えないので、地直しはやっていません。(アイロンについて詳しくは「スモール・データ・バンク アイロン」で書いています。)

 この段階は、布目を乱さないようにソッと洗っておき、洋服ができたあとにもう一回しっかり洗濯することにしています。ニット地は伸びやすいので、特にやさしく洗うようにしています。この段階で、多少化学臭がしていても、後にしっかり洗濯することを見越して、作成作業に入ることもあります。

○型紙を用意
 洋裁好きの方なら、様々なデザインを検討して、型紙を用意するのも楽しい作業なのかもしれません。私の場合は、趣味というより必要に迫られて作っているので、デザインもシンプルなものばかりです。型紙は、以前つくって体に合っていたものを繰り返し使っています。つまり、どの服をつくるときも型紙は一つだけ、ということです。布が変わっても、同じ型紙です!

 トップスは、身頃と袖の型紙を用意し、ブラウスやパジャマの上着をつくるときに使っています。着やすいようにゆったりとしたデザインです。衿は、そのつどデザインを考えて作図します。シャツカラーやスタンドカラーなどです。手持ちの洋裁雑誌を見て、自分の作りたい衿のデザインに合うように作図します。一度作って良かったものは、何度も同じ型紙で作ります。他には、身頃の丈を長くしたり、袖丈を変えたり、用途に合わせて調整しています。この単純化した方法は、ファッションに興味のある方には耐えられないやり方かもしれませんが、私の場合はこだわりはなく着られればOKです。

 スカートの型紙はつくらず、布に直に書いて裁断します。パジャマズボン用の型紙もあり、何度つくっても同じ型紙を使っています。普段着は平織りの布で、パジャマはニット地でつくります。同じ型紙でも、伸縮性がある分、パジャマの方がゆったりサイズになります。

 ソーイングの本に付録でついてくる「実物大型紙」は、大きくて扱いづらく、写すのが手間なので、使いませんでした。大きさのスケールを把握するのも難しいと感じます。サイズを微調整したいときなど、不便です。「囲み式製図」が載っている本を見て、紙に自分で製図 しました。大きな紙を買うと管理が面倒なので、コピー用紙を継ぎ合わせて、型紙の大きさにしています。型紙は縫い代が付いた状態のものをつくります。縫い代なしのものより、断然便利です。

 原型を使って型紙を起こす方法は、上級者向けという印象で、敷居が高く感じられます。幸い、M〜Lサイズの標準体型なので、囲み式製図で対応できています。

○裁断
 布を無駄にしたくないので、型紙の10分の1サイズのものを紙で作り、10分の1の布幅を書いた方眼紙の上で、どう裁断するのか決めます。効率よく配置し、なるべく余り布が出ないようにします。毎回同じ型紙なので、布幅ごとに裁断パターンを記録して、次に生かしています。

 例として、パジャマズボンの配置パターンを載せます。ニット地(環になっていて、84p幅)で裁断するときに、ズボンを上下2つにわけて継ぐと、効率よく布を使うことができます。 使う布は、左図より右図の方が50cm短くてすみます。

 

 布に型紙を置いたら、それに合わせて切っていきます。私は印付けをしていません。縫い代込みの型紙なので、その通りに裁断します。縫うときは、縫い代の幅を考えながら、目分量で縫っていきます。たいていの縫い代は1cmなので、慣れれば目分量でもその幅で縫っていけます。前立て、裾など縫い代の幅が大きいところも、だいたいの分量で縫います。

 スカートやスタンドカラーなどは、布に直接作図して、裁断してしまいます。白っぽい布にはシャープペンで、黒っぽい布には白の色鉛筆で描いています。布の裏面に薄めに書くので、縫ってしまえば見えなくなります。

 一般的には縫製前に接着芯を貼る作業が入ります。しかし、私はアイロンを使えないので、接着芯は貼っていません。接着しない芯地もありますが、扱いが難しそうなのと、素材に反応する可能性があるので、手を出せずにいます。前立てや帽子のつばなど、布に張りが必要な部分は、共布を1枚よけいに重ねるようにしています。帽子のつばであれば、本来、布地2枚+接着芯という構成になりますが、これを布地3枚重ねにするということです。芯地でなくても、重ねるとけっこうしっかりします。

○縫製
 布を合わせてまち針でとめて、ミシンで縫っていきます。しつけは面倒なのでしません。縫製の道具について、私のCS・ES事情を書いていきます。


 新しいものを買っても目の痛みが出て、使えないことが多いです。古くから使ってきたものを大切にしています。待ち針は次第に数が減って、現在8本です。新しいものは金属部分に反応しているようです。メッキの成分が原因かな?と思うのですが、金属製品なので、ES的な反応なのかもしれません。縫い針も、新しいのは目の痛みを感じます。今使えるのは、2本だけです。

 新しく買った待ち針を干していたら、若干目の痛みが減った感じがするので、どうしても必要なときだけ干し場から持ってきて使っています。目の痛みは出ますが、そのときだけ我慢できるレベルです。使い終わったら干し場に戻します。

ミシン
 母が使っていたものを譲り受けて使っています。私が子供の頃に買ったもので、すでに35年くらい経過していると思います。今でもちゃんと動きます。シンプルな作りで、ただ縫えるだけです。

 素材は、鋳物と古くなったプラスチックで、CS反応は起こしません。しかし、高速で縫うとモーターが加熱するのか、35年経った今でも機械油の匂いがします。私が使い始めて20年以上は、一度も油を差したことがないにもかかわらずです。とても調子のよいミシンで、油を差さずにきちんと動いてくれるので、本当に助かります。低速で動かしている分には、機械油の匂いもあまりしません。

 ES的には、けっこう強い症状が出ます。モーターが動くと、全身の筋肉が痛くなります。典型的な低周波の反応だと思います。筋肉が痛くなって、長時間使っていると頭痛もしてきます。作業中は仕方ないと諦めて、なるべく手早く作るようにしています。

手縫い
 ボタン付けやまつり縫いなど、手縫いで縫うことがあります。ESを発症してから、金属製品に反応を起こすようになり、針を手に持つとピリピリと痛みが出ます。指先からピリピリとした刺激が腕全体に伝わっていく感じです。時間が経つと、腕が疲れて、針を手に持っていられなくなります。だからなるべく手縫いは避けて、ミシン縫いにしています。やむを得ず手縫いをしなければならないときは、右手に綿手袋をして針を持つようにしています。素手より、格段に楽です! 最初は手袋をすると縫いにくいと感じていましたが、慣れると問題なく縫えます。針を素手で持つより断然ラクなので、いつも手袋をして縫っています。

ミシン押さえ金
 ニット地(ジャージー、スムースなど伸縮性のある布)をミシンで縫うと、伸びて波打つようになり、仕上がりが汚くて困っていました。仕方なく手縫いで縫ったりしていたのですが、手袋ごしでも長時間すると手が痛くなるので、何とかミシンで縫いたいと思っていました。

 ネットで調べてみると、「上送り押さえ」というミシンの押さえ金を使うと、伸びずに縫えるということでした。少々値が張るし、効果がなかったら嫌なので迷いましたが、決心して購入してみました。

 最初に買ったのは、無メーカー品の低価格のものでしたが、これは目の痛みが出てダメでした。私は金属製品に対して、よく目の痛みの症状が出ます。徹底的に洗ったり、1ヶ月ほど干したりしましたが、痛みがおさまらないので諦めて、別のものを買ってみることにしました。

 2つめは、ちゃんとしたメーカー品を買って、こちらは反応なしでした。使ってみると、本当に便利です! ニット地も伸びずにきれいに縫えます。ヘロヘロと波打ったりしません。スイスイ縫えます。これは、本当に買ってよかったと思いました。平織りの布でも、薄手の生地を縫うときは、この押さえ金を使うと、安定して縫えます。



 ニット地を買うときは、たいていスムース地を選んでいます。ニットは裁ち端がくるくると丸まってしまうものもあって縫いにくいのですが、スムースではそういうことがありません。裁ち落とした布端は、始末しなくてもほつれにくいです。面倒なので、スムース地の端の始末はしていません。裁ち落としたままです。裾や袖口など強度をつけるために2つ折りにして縫いますが、立ち端がほつれにくいので、3つ折りにする必要はありません。


 ニット用の糸は、フジックス「レジロン」がメジャーなものですが、私の場合は、目の痛みを感じてしまいます。同じナイロンの糸でも、旭化成「レオナ66」は、なぜか目の痛みがなく使えました。そういうわけで、いつでもレオナ66を使っています。

シームオープナー
 服つくりの工程で、縫い代を割ってアイロンで押さえるという作業があります。また、裾をあげたり、ポケットの周りを折って折り目を付ける作業もあります。アイロンが使えないので、その時には爪でこすって折り目を付けていました。時間や手間がかかる割には、きれいに折り目がつかず、難儀していました。

 その後、新たに便利な道具を見つけました。クロバーの「シームオープナー」という商品です。これは、先が平べったくなっている独特の形をしたヘラで、布を折ってこすると、きれいに折り目がつきます。洋服の裾を折って折り目をつけたり、縫い代を割るときに、アイロン代わりにこすって折り目を付けることができます。

 本当に便利な製品で、これを使うようになってから、作業が効率よく進むようになったし、仕上がりもきれいになりました。

 

 以上、縫製の道具について説明してきました。縫製が終わったら、ふだんの洗濯と同じように、しっかり洗って、化学成分の匂いを取ります。乾いたら、完成です!

(2017年11月)

「掃除機」へ続く
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