第4章 効果的な解毒方法とは (Part 1)
〔1〕化学物質は体の中で旅をする
a.化学物質が体に入ってから外に出るまでの道のり
b.化学物質によってひきおこされる害
〔2〕化学物質過敏症の症状はなぜ起こるのか
a.中毒 VS 化学物質過敏症
b.化学物質過敏症の症状を抑えるには
※参考資料(資料一覧)
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第4章 効果的な解毒方法とは
この章では「解毒」について考えていきたいと思います。
化学物質過敏症における「解毒」について考えてみると、まず思い浮かぶのが「樽」のたとえです。
「体の中に樽があってそれに化学物質がたまって溢れれば発症。化学物質が減れば回復」というものです。このたとえについて考えてみると、様々な疑問がわいてきます。
・
体のどこに樽があるのか
・
化学物質はどこにたまるのか
・
実際にたまる場所があるわけではなく、「たとえ」に過ぎないのだろうか
考えていくうちに、結局、私は次のようなことが知りたいのだとわかってきました。
・
体内に入った化学物質はその後どうなるのだろうか
・
なぜ症状が起きるのだろうか
・
効果のある「解毒」方法とはどういうものなのだろうか
この疑問の答えを見つけるために、私は本を読んで調べていくことにしました。
調べていくうちに疑問に思っていたことの答えが見つかったり、また新たに疑問が出てきたりしました。数ヶ月間、書物と格闘しましたが、調べていくうちに、次第に謎解きのおもしろさにはまっていきました。そして、何度か、ボロボロッと目からウロコが落ちる体験をしました。
自分の身に起きている現象の本質を知ることは、心に深い安定感を与えます。私の味わった興奮と感動を皆さんにお伝えしたいと思い、この章を書きました。
前半は、化学物質が体の中でどのような経過をたどるのかをわかりやすく解き明かしていきます。後半は、それをもとに効果的な解毒方法について考えていきます。
この章は、ちょっと難しい内容を扱うことになるのですが、それをできるだけわかりやすく! 一度読んだだけでスンナリわかるようにかみくだいて説明していきます。
〔1〕化学物質は体の中で旅をする
a.化学物質が体に入ってから外に出るまでの道のり
◎体はがんばって化学物質を処理している
体には毎日、様々なものが入ってきます。ごはんを食べて、それを消化し、残りカスを体の外に出します。あるいは、呼吸によって酸素を取り入れ、二酸化炭素を出しています。人間はずっと昔からそうやっていろいろなものを取り入れて、体の外に排泄してきました。
化学物質過敏症で問題になる化学物質は、20世紀になってから増え始めたもので、人類史上から言えば、ごくごく最近現れてきたものです。それらは、かつては自然界に存在しないものでした。それなのに人間の体は、その目新しいものをうまいぐあいに処理して、体の外に排泄できてしまうのです。たいていの人は、これだけ多くの新しい化学物質に囲まれて暮らしているのに、体の調子が悪くなるということはありません。これは驚くべきことですが、実にうまいぐあいに環境に適応しています。
そのように適応しているにもかかわらず、健康な人でも、一度に大量の化学物質が体の中に入ってくると、体をこわします。これを「中毒」と言います。中毒になった人の特徴を調べたり、治療法を考えたりすることを「毒性学」と呼んでいます。この章では、初めに中毒の場合を例にとって、体の中で化学物質がどのように動いているのかを説明していきたいと思います。
化学物質過敏症の場合は、中毒よりもずっと少ない量の化学物質で症状が出ます。そのため、化学物質過敏症について研究したり、治療法を見つけるのが難しいのです。まずは中毒について学んでいきながら、それをもとに化学物質過敏症について考えていきます。
○ 化学物質の体内での道のり
化学物質は体の中にはいると、鼻や肺や腸の粘膜から吸収されます。そして、少しずつ体のあちこちに広がっていきます。その時、化学物質の量が多かったり、化学物質に特別弱い臓器はダメージを受けることがあります。体の中に散らばった化学物質はいつまでも散らばり続けるわけではなく、肝臓やその他の部分で化学的に処理されます。毒の強いものを弱いものへ変える働きを「代謝」と呼んでいます。毒の弱いものに変化した化学物質は腎臓・腸・肺・汗腺などを通って体の外へ出て行きます。こうして化学物質の旅は終わります。
○ コース別道案内
次に、化学物質の旅をコース別に見てみます。下の図は化学物質の体内での動きをチャートにしてみたものです。「むずかしそう」と思った人は、ちらっと眺めるだけでいいです。
〈口から入ったもの〉
口から入った化学物質は食道→胃→腸と進んで、その間に粘膜から吸収されていきます。特に小腸で吸収される量が多いです。吸収された化学物質は血液中に入り、全身に広がります。吸収されなかった分(食物繊維など)はそのまま直腸→肛門と進んでいって、体外に出ます。(図3)
〈呼吸で取り入れたもの〉
呼吸で入ってきた化学物質は肺から吸収されて血中に入り、全身に広がります。肺から外に出て行く化学物質もあります。(図3)
〈皮膚から入ったもの〉
皮膚は割と強い構造になっているので、あまり化学物質の進入はないはずなのです。しかし、肌に傷があったり、強力な化学物質が接触すると、皮膚から体内に侵入することがあります。皮膚から吸収された化学物質は血液中に入り、全身に分布します。汗が出るときに、一緒に化学物質が外に出ることがあります。
〈腎臓は働き者〉
腎臓は、血液中に入った化学物質を濾過して、体に必要なものと不要なものをより分けています。不要なものは、尿と共に体外に出ます。
○ 順を追って見てみよう
次に、<吸収><分布><代謝><排泄>の仕組みについて、順番に説明していきます。
〈吸収の仕組み〉
先ほど、腸や肺などから化学物質が取りこまれるということを書きました。それでは、腸や肺の表面ではどのようなことが起きているのでしょうか。化学物質はどんな感じで体の中に入っていくのでしょうか。
小腸の場合で考えてみます。小腸の粘膜の表面はヒダヒダになっていて、栄養を吸収しやすい形になっています。イラストに、腸のヒダヒダを描いてみました。
人間の体は、60兆個の細胞からできていると言われています。つまり私の体は、どこをとってみても細胞です。
腸の表面も細胞の集まりになっています。つまり、外から中へ化学物質が移動していくということは、細胞の中を通っていくということです。
細胞の図も描いてみました。
こういうのが連なって腸の粘膜を作っています。外からやってきた化学物質は細胞の中へ入っていきます。そしてその細胞の外へ出て血管の中に入っていきます。血管の壁を作っているのも細胞です。化学物質は血管の壁の細胞に入っていき、最終的には血管の中に入ります。血管の中は水道のようなもので、水が流れています。その中に赤血球とか白血球とか(これも細胞です)、いろんなものが混じっています。血管に入った化学物質は流れに乗って全身に運ばれていきます。
細胞膜の秘密
難しい話が苦手な人は、ここをとばして、いきなり下のまとめへGO!
化学物質が血液中に入るまでには、いくつもの細胞を通っていかなければなりません。細胞は、風船の中に水が入っているような構造をしています。周りを囲む膜(風船のゴムの部分)を「細胞膜」と言います。化学物質がこの細胞膜を越えるときに、不思議な仕組みが働きます。
細胞膜は、脂肪でできている薄い膜です。大部分が脂肪なのですが、ところどころタンパク質の塊がはまっています。細胞膜を横から見た図を描いてみました。
青い柵みたいなのが、脂肪の部分、赤い門みたいなのがタンパク質です。この図はほんの一部分だけですが、実際には細胞膜はもっとずっと広く広がっていて、だだっ広い平原にところどころ岩が突き出ているみたいに、あちこちにタンパク質がはまっています。
タンパク質の部分は、栄養を運ぶために重要な役割を果たしています。このタンパク質の部分は関所で、門番がいるところなのだと想像してみてください。ここで栄養を取り入れるときは、門番がよく見張っていて、取り入れるものの種類と取り入れる量を調整しています。体に必要なものを選んで取り入れています。量が多すぎるときは引き締め、少なすぎるときは促す・・・というようによく調節しています。
しかし、脂肪の部分(青い柵の部分)は門番がいない部分です。そのため物質は、染み込むように間をすり抜けて細胞の中へ進入していきます。この部分は脂肪でできているために、脂肪に溶けやすい性質の化学物質は、ここから染み込んで体内に入っていきます。DDT(農薬)、ダイオキシンなど、よくニュースで耳にする環境汚染物質は、脂肪に溶けやすい性質なので、細胞膜を自由に通り抜けることができます。これは体にとっては不利な仕組みです。
【まとめ】
物質は細胞膜を通り抜けることで、体の中を移動している
通るものの種類によって、細胞膜での通り抜け方が違う
脂肪に溶けやすい化学物質は細胞膜を通り抜けやすい(例:DDT、ダイオキシンなど)
【さらにまとめ】
物質が体の中を移動するときには、その種類によって動き方が違う。
〈分布の仕組み〉
血液中に入った化学物質は全身に運ばれていきます。化学物質は全身に広がっていくのですが、広がり方には特徴があります。水槽に水がたまっている様子を思い浮かべてみてください(1)。ここに青いインクをたらすと、インクのシミは少しずつ広がっていき(2)、時間がたつと全体が一様に青く染まります(3)。
化学物質が体内に広がる時も、このようになるのでしょうか。ここで、人間の体のつくりを考えてみましょう。人間の体はたくさんのパーツに別れています(心臓、肺、脳など)。それぞれのパーツは別々の働きをするために、それぞれ性質が異なっています。あるパーツは水分が多く、あるパーツでは脂肪分が多い・・・というように違いがあるのです。そのため、化学物質が全身に広がるときには、臓器によってムラのある広がり方をします。
例えばPCB。「カネミ油症」事件で有名になった環境汚染物質です。環境問題の話になると、必ず出てくる物質で、「野生生物の体に蓄積」「食物連鎖で濃縮」といわれているものです。PCBをラットに与えて、全身にどのような広がり方をしたのか調べた実験があります。
*1匹あたりPCB250mgを経口投与し、3日後の体内分布を調べたもの。
参考資料:「毒の科学」水谷民雄/著 ミネルヴァ書房/刊
グラフを見ると、偏りが一目瞭然です。ダントツで多いのが皮膚・脂肪組織で、すごく少ないのが骨です。こんな風に全身にムラになって分布するのです。
PCBの場合はこんな分布でしたが、化学物質の種類によってムラのでき方が違ってきます。例えばカドミウムは、腎臓で特に高い濃度になります。腎臓がカドミウムを引き寄せやすい性質を持っているからです。
〈代謝の仕組み〉
全身に分布した化学物質は、ずっとそこに居続けるのではなく、体の外に出ようと動き始めます。人体には毒のある化学物質を安全なものに変化させたり、排泄されやすい構造に変えたりする働きがあります。この働きを代謝と言います。「代謝」は体内のあちこちで行われているのですが、その中でも一番働くのは肝臓です。肝臓の中で化学物質は「化学変化」します。「化学変化」とは、化学物質が他の化学物質と結びついたりして、形が変わることを言います。イメージとしては、中学の理科の実験で行った「赤い色水に粉を混ぜたら、青い色水に変わった」みたいな感じを想像していただければいいと思います。化学変化に大きく関わっているのが、「酵素」と呼ばれる物質です。「酵素」は「化学物質の毒性を下げるために化学変化を起こさせるもの」という感じでイメージしてみてください。
酵素=体内の化学工場での働き者
「酵素」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、この言葉はぜひ覚えてみてください。肝臓で化学変化を受けた化学物質はもとのものよりも体に害のない形に変化します。
裏目に出ることもある
たいていの化学物質は肝臓で毒の強いものから弱いものに作り替えられます。しかし、中には、肝臓で化学変化を起こした結果、もっと有害なものに変化するものもあります。
「お酒を飲んで二日酔い」。なぜ起こるのでしょうか。お酒の成分はアルコールです。これが肝臓で化学変化をすると、「アセトアルデヒド」というものに変わってしまいます。どこかで聞いたような名前・・・!? そう、シックハウス問題でよく耳にする「ホルムアルデヒド」の仲間です。「アセトアルデヒド」も体に悪いです。というわけで、お酒を飲み過ぎるとぐあい悪くなってしまうのです。いつまでも体に「アセトアルデヒド」があると、誰でも病気になってしまうのですが、時間がたつと「アセトアルデヒド」はさらに別の形に変化して、体の外に出て行きます。時間はかかるけど、二日酔いは治ります。
現在「発ガン性」と言われている化学物質には、お酒の場合と同じように、肝臓で変化して、元のものより凶悪化してしまうものが多いです。だから、化学物質の発ガン性を調べるときには、体の中でどう変化していくのかも、詳しく調べられています。
解毒能力の個人差
お酒に強い人と弱い人がいます。なぜでしょうか。これは人によって体の中での「代謝」の能力が違うためです。お酒に強い人は、体に悪い「アセトアルデヒド」を分解する力が強いのです。だから、「アセトアルデヒド」はスンナリ別のものに変わって排泄されていきます。これは“化学工場の働き者”「酵素」の働きが強いからです。その違いは生まれつきのものです。時々「酒をあびるように飲んで体を鍛えたから、酒に強くなったぜ!」という人がいます。しかし、もともとの「酵素」の力は生まれつき決まっているので、こういう人は無理して飲んでいると、内臓に障害が現れやすくなります。
お酒の場合を例にとりましたが、他の化学物質にも代謝能力に個人差があります。体内にはたくさんの種類の酵素があって、化学物質ごとにそれに合う酵素が働いています。体質の違いで一番わかりやすい例は薬の副作用です。体内に入ってきた薬をうまく化学変化させて体外に出すことができない体質の人は、薬の副作用が出やすくなります。化学物質過敏症の原因となっている様々な化学物質についてもこのような個人差があるのかもしれません。化学物質が体の中でどう変化するかは、1つ1つの化学物質ごとにいちいち調べなければならないのです。たくさんの化学物質があふれている現状では、まだよく調べられていない化学物質がいっぱいあります。
化学物質は排泄されやすい形に変化する
前に書きましたが、化学物質が体の中を移動するときは、細胞膜を通らなければなりません。その時、化学物質の種類によって通り抜け方に色々なパターンがありました。実は人間の体が様々な物質を体の外に出すときにも、同じように様々なパターンがあるのです。体にとって必要な栄養素は、外に出してしまうと損です。しかし、体にとって害があるものは、早く外に出したいものです。その選別を行うために、人体には精巧な仕組みがあります。
人工化学物質の中には、その性質によって、排泄されやすいものと排泄されにくいものがあります。〈吸収〉のところで書きましたが、「脂肪に溶けやすい」「溶けにくい」というのも化学物質の性質の1つです。どういうものが排泄されやすいかには、いくつかのパターンがあるのですが、大まかにいうと、次のような傾向があります。
・
脂肪に溶けやすいものは排泄されにくい
・
水に溶けやすいものは排泄されやすい
体の中には化学物質に化学変化を起こさせて、水に溶けやすい性質に変える働きがあります。水に溶けやすい物質は体外に排泄されやすくなります。
〈排泄の仕組み〉
排泄には様々なルートがある
さて、いよいよ、化学物質は体の外に出て行きます。排泄のルートは便・尿・汗・髪の毛・息などがあります。その中でも、排泄量が多いのは、便と尿です。
便は 肝臓→腸→便 というルート
尿は 腎臓→尿 というルートです。
肝臓→腸のルート
肝臓で化学変化を受けた化学物質は、胆のうで作られた胆汁と混ざり合って十二指腸に行きます。その後、小腸・大腸を通って、便となり体の外に出ます。
この時、化学物質の性質によって、スンナリ外に出るものと、なかなか出ないものとに分かれます。なかなか外に出ないものは、肝臓から小腸まで旅をした後、大腸まで行かずに小腸から体の中へ吸収されてしまう物質です。小腸から吸収された物質はどうなるのかというと、また血液の中に入っていきます。血流の流れに乗って、化学工場である肝臓に行きます。そして肝臓から胆のう・十二指腸を通って小腸に行きます。また小腸から吸収されます。また血液に行きます。肝臓に行きます。小腸に行きます・・・とグルグル回ってしまうのです。
このループにはまってしまった化学物質はなかなか体の外に出られないのです。これを専門用語で「腸肝循環」と言います。この言葉は覚えなくともいいです。覚えていてもこの先トクすることはないです。たいていの人はこの先、人生の中でもう二度とこの言葉に出会うことはないでしょう。「なんか、腸と肝臓でグルグル回っているやつがある」というイメージでいいです。
腸肝循環=体の中をグルグルまわってなかなか出ない
PCBとかDDT(農薬)、ダイオキシンとか「環境汚染物質」の話題で出てくるものが、グルグル回りやすいです。それが問題になっています。
脂肪に溶けやすいものは、排泄されにくいので、肝臓で「代謝」されて水に溶けやすいものに変化する必要があります。水に溶けやすい性質に変化できないものが、グルグル回りやすい物質です。
腎臓→尿のルート
腎臓は濾過装置です。体にとって必要なものは体内へ、必要のないものは体外へとより分けています。人工化学物質はいろんな種類があるので、腎臓でのより分け方によって、あっちに行ったりこっちに行ったりします。化学物質の分子の大きさとか、「脂肪に溶けやすい」とか、そういう性質によって選別されます。
スンナリ尿に出ていくものはいいのですが、なかなか出ていかないものもあります。腎臓がせっかく濾過したのに、また体の中に舞い戻るやつもいます。腎臓も細胞でできていて、細胞膜を通って化学物質は移動します。前に細胞膜の図を書いて説明しましたが、門番がいるとかいないとかの問題です。門番がいてよく管理されている物質と、門番がいなくて勝手に染み通ってしまう物質とがあります。そのため行く末に違いが出てきてしまうのです。
その他のルート
肺から呼吸と共に出るルートがあります。ガス状の化学物質の場合に多いです。汗と共に皮膚から出るルートもあります。その他には、ニュースで、「母乳からダイオキシン検出!」などと騒がれているように、母乳に出るルートもあります。様々なルートから排泄されて、化学物質の体内での旅は終わります。
b.化学物質によってひきおこされる害
これまでは、化学物質が体に入ってから体の外へ出て行くまでの道のりをたどってきました。ここで疑問がわいてきます。
「化学物質は体の中で、どのように害を与えるのだろうか?」
日頃、「化学物質が体によくない」という情報をよく耳にします。
「食品添加物に発ガン性がある」とか、「農薬が原因で神経がおかしくなる」とか、
「 化学物質=あぶないもの」
という話が溢れています。
しかし、そこで具体的に「化学物質はなぜ体に害を与えるのか」と考えてみると、それに答えてくれる情報は、思いのほか少ないことに気づきます。
ここでは、
・なぜ人工化学物質は体に悪いのか
・化学物質はどのように体に作用して、害を及ぼすのか
について、具体的に説明していきます。
この疑問に答えるためには、相当専門的な内容を扱うことになりますが、素人の私が、素人の皆さんにもわかりやすく! これ以上にないくらいかみくだいて説明していくつもりです。
ここでは中毒の場合を例にとって説明します。その説明をもとに、次項で化学物質過敏症について考えていく予定です。
○ 体は分子の集まりでできている
私たちの体は約60兆個の細胞でできています。それでは、その細胞はいったい何でできているのでしょうか。さらに細かい単位で見ていくと、細胞はタンパク質や脂質、水などの成分でできています。タンパク質は何でできているかというと、分子が連なって鎖のようになっているのです。
H・・・水素
C・・・炭素
N・・・窒素
O・・・酸素
R・・・アミノ酸の側鎖(分子)
いきなり化学式が出てきたので、ここで一気に引いた人がいるかもしれません。ちょっと待って!! この図の見方は簡単です。この図をボンヤリ眺めていると、ネックレスのように見えてきませんか。ネックレスの珠の1つ1つ(アルファベット)が原子です。「分子というのは原子がパズルのように組み合わさってできるもの」だとわかれば十分です。
分子=原子がパズルのように組み合わさってできている
原子の組み合わせ方で、いろいろな働きをする物質が生まれます。そして、
体は分子の集まりでできている
のです。
○ 毒物も分子でできている
さて、体に害を与える化学物質は何でできているのでしょうか。これも分子です。
ブロモベンゼンエポキシド
H・・・水素
C・・・炭素
O・・・酸素
Br・・・臭素
この毒物の原子が体の中に入って、タンパク質の近くに来たら、どうなるのか? というと・・・
化学反応を起こします。
毒物の分子というのは、たいてい今のままの形では満足できなくて、常に他のものと結びつこうと待ちかまえています。だから、ちょっど形がぴったり合うものを見つけると、すぐさま結合してしまいます。
体を形作っている分子に毒の分子がくっつくと、体は本来の働きをできなくなってしまいます。その結果、体に害が表れるのです。これが毒物が体に害を与える基本的な仕組みです。発ガン性物質がガンを起こさせるのは、遺伝子と間違った結合をしてしまい、遺伝子をおかしくしてしまうからです。
細胞の中の分子と結合すると、細胞がきちんと働かなくなって、死んでしまうこともあります。細胞が大量に死ぬと、その臓器がダメになってしまうことがあります。「劇症肝炎」といって、肝臓の細胞がどんどん死んでいって命が危なくなる病気があります。この病気は薬の副作用で起こることがあります。体内に入った化学物質が細胞を殺していった結果起こるのです。
○ 体の仕組みと毒の作用
人間の体は、毎日よく働いています。体が正常に機能するためには、体を常に一定の状態に保つことが必要です。体の中の水分が多すぎても少なすぎてもよくないので、一定の量になるように調整しています。体温も常に36度くらいに保たれています。この調整の仕組みが狂うと、体は正常に働かなくなり、ぐあいが悪くなったり、時には命が危険にさらされます。
例えば、体温調整について考えてみましょう。体温を調節するためには、脳と皮膚表面が共同して働くことが必要です。脳は体全体を管理する司令塔のようなもので、常に皮膚表面と連絡を取って、体温の状態を見張っています。暑いときに、体温が上昇すると、脳から信号がいって、汗をかくことで体温を下げます。寒くなって、体温が下がると、体を震わせることで熱を生み出し、体温を上げようとします。
このように、体温を正常に保つためには、
・
脳と皮膚表面がそれぞれ正常に働いている
・
脳と皮膚表面の連絡がよく取れている
この2つが必要です。
体は様々なパーツ(部分)で構成されています。様々な臓器・器官があり、それぞれが独自の働きを持っています。そして、各パーツがよく連絡を取り合って、体全体を正常に働かせるように調整しています。
つまり、体が正常に働くためには、次の2つのことが重要です。
・
体の各部分が正常に働いている
・
パーツ同士の連絡がよく取れている
この2つの働きをじゃましてしまうのが、毒物なのです。
化学物質による害の現れ方は、大きく分けて次の2つです。
・
それぞれのパーツ(臓器・器官)を壊す
・
パーツ同士の連絡を遮断する
このために体が正常に働かなくなります。
人工化学物質が細胞の中の分子と結びつくと、細胞が正常に機能しなくなり、細胞が死んでしまうことがあります。細胞がたくさん死ぬと臓器に大きな障害が現れます。
また、体のパーツ同士は、様々な方法で連絡を取り合っています。連絡の仕方は、電気信号や体が作り出す化学物質です。人工化学物質がこの連絡システムの物質と間違って結びつくと、連絡がうまく行われなくなり、体は正常に働かなくなります。こうやって人工化学物質による害は現れます。
人工化学物質による害は体の様々な部分に及びます。
・
神経への害
・
免疫への害
・
ホルモン系への害
・
遺伝子を傷つける
・
次世代の子供に害が及ぶ
などがあります。ここでは、神経・免疫・ホルモンへの害作用について取り上げてみます。
〈神経への害〉
○ 神経の仕組み
神経は体の様々な感覚や運動の機能を担っています。神経は脳が司令塔になっており、全身に編み目のように神経繊維が張り巡らされています。
これは電線のようなもので、ここを電気信号が伝わっていくことで連絡を取り合っています。この電線をさらに拡大してみると
こんな感じになっています。これは神経細胞です。この図では、2つ並んでいます。トゲトゲの部分と、びろーんと長くのびた部分がセットで1つの細胞です。前にイラストで描いた細胞の図とは随分違いますね。細胞はその働きによっていろんな形をしています。神経細胞は効率よく働くためにこのような形をしているのです。形は違っていても、細胞の基本的な作りは一緒です。その証拠にこの長―い神経細胞にもちゃんと核が入っています(細胞の中の青い丸)。その他の細胞成分も、ちゃんと入っています。
この神経細胞の中を電気信号が伝わっていきます。その早さは1秒間に100メートルにも及びます。ところが、信号を伝えるのは電気だけではないのです。上の図の細胞と細胞の隙間。ここは電気が流れていかないところです。この隙間の部分は、電気ではなく体が作り出す化学物質によって信号を伝えています。拡大して描いてみました。
この継ぎ目のところは、化学物質のつぶつぶが隣まで到達することで、情報を伝えています。つまり、神経信号の伝わり方は二本立て。
・電気信号
・化学物質による信号
となります。
○ 神経への害
毒物が神経に害を与えるときには、2つのパターンがあります。
・神経細胞を壊す
・神経の信号伝達をダメにする
鉛などの重金属は、神経細胞そのものを壊します。私たちの体の中では、ナトリウムやカルシウムなどの金属が重要な働きをしています。ところが、そこに鉛などの重金属が入ってくると、その働きが崩れます。もともと体の中で働いていた金属の代わりに、間違って鉛が働いてしまうのです。そうすると、体は本来の働きをできなくなり、細胞が死んでしまうのです。神経細胞が死んでしまうと、体が麻痺したり、感覚がなくなったりします。神経細胞は一度死ぬと二度と再生しないので、麻痺はずっと続きます。
もう一つのパターンは、神経の信号をダメにする場合です。有機リン系の農薬は、筋肉が正常に働くための信号伝達をじゃまします。これは、神経細胞同士の隙間のつぶつぶの部分で起こります。体を動かそうとしたときに、脳からは「動け!」という指令が出ます。それに従って体は動きます。筋肉が縮んで、関節を動かすことで、体が動きます。
その後、脳からは「動くのやめ!」という指令が来ます。用が済んだら元の状態に戻っていいということです。有機リン系の農薬は「動くのやめ!」の指令をじゃまします。「やめ!」の信号がうまく到達しないために、筋肉は縮みっぱなしになります。
筋肉が縮みっぱなしということは、言い換えれば「麻痺している」ということです。有機リン系の農薬を(自殺するために)飲み込んだり、神経兵器の「サリン」をあびた人は、呼吸の筋肉が麻痺して死ぬことがあります。
〈免疫への害〉
○ 免疫の仕組み
免疫は、体の外からの進入物に対して身を守るシステムです。病気の原因となるウィルスや細菌が体の中に入ってくると、それを捕まえて殺します。血液中の白血球が外敵と戦っています。免疫が自分の体を攻撃すると困るので、
・
自分のもの
・
自分じゃないもの
をよく区別しています。自分は攻撃せず、外的だけを攻撃する仕組みになっているわけです。
○免疫系への害
アレルギーの症状は、この免疫のシステムと深い関わりがあります。アレルギーは花粉やカビに対して、免疫系が働いて症状が出ます。本来ならば、スギ花粉は体に害がないはずのものなのですが、免疫系はそれを外敵と判断して攻撃してしまうのです。その結果、目や鼻に炎症が起きて、「目がカユイ」「鼻水ズルズル」になるわけです。アレルギー反応は、免疫系が間違えて働いてしまった結果起こったものだと言えます。
「アレルギーの原因は免疫力の低下」という話を耳にします。しかし、実際は免疫力は低下しているどころか、過剰になっています。アレルギーは「免疫の暴走」とでもいうものです。
免疫系が細菌を殺すのも、アレルギーを起こさせるのも、標的となる「敵」はタンパク質です。人工化学物質はタンパク質ではないのに、アレルギー反応を起こすことがあります。なぜなのでしょうか。
その秘密は・・・。
人工化学物質は血管の中を泳いでいるときに、血液の成分であるタンパク質と結合してしまうことがあるのです。
そうすると、免疫系は、このくっついたものを外敵だと判断して攻撃してしまうのです。タンパク質とくっつきやすい化学物質とくっつきにくい化学物質があります。くっつきやすいやつが免疫反応を起こします。
アレルギー反応の他にも人工化学物質の害はあります。化学物質のせいで体の免疫機能がおかしくなってしまった結果、自分の体を攻撃してしまうことがあるのです。
・
自分のもの
・
自分じゃないもの
を区別する機能がおかしくなってしまうのです。その結果、自分の体を攻撃して、炎症を起こします。これを「自己免疫」といって、けっこう辛い症状がいっぱい出ます(膠原病など)。薬の副作用で自己免疫の病気が出ることがあります。
〈内分泌(ホルモン)系への害〉
○ 内分泌系の仕組み
体の中にはホルモンで情報伝達する仕組みがあります。ホルモンは、脳・副腎・甲状腺・膵臓などの臓器から出て、血液の中を通って伝わっていきます。ホルモンの働きは、体を正常な状態に保つことです。
例えば、膵臓から出てくるインシュリンというホルモンは、血糖値を調整します。ご飯を食べたあとは一気に血糖値が上がってしまうので、上がりすぎないように調節しています。また、ホルモンには次世代の子供を産むための働きもあります(性ホルモン)。
ホルモン系は、
・
ホルモンを出す臓器
・
ホルモンによる信号伝達
で成り立っています。臓器から分泌されたホルモンは、血液の中を通って、他の臓器に伝わります。
○ 内分泌系への害
人工化学物質による害は、
・
ホルモンを出す臓器を攻撃する
・
ホルモンによる信号伝達をじゃまする
の2つがあります。
最近よく話題になる「環境ホルモン」は「信号をじゃまする」方です。環境ホルモンは、私たちの体が作り出すホルモンやそれを受け取る部分と、形がよく似ています。そのため、体は間違って人工化学物質の方と結びついたりします。そうすると、体の調整がうまくいかなくなり、ぐあいが悪くなってしまいます。
〔2〕化学物質過敏症の症状はなぜ起こるのか
a.中毒VS化学物質過敏症
○ 中毒と化学物質過敏症の違い
これまでは中毒の場合を見てきました。それでは、化学物質過敏症ではなぜ症状が現れるのでしょうか。中毒と化学物質過敏症を比較すると、大きな違いがあることに気づきます。その違いを表にまとめてみました。
中毒と化学物質過敏症の違い |
|
中毒 |
化学物質過敏症 |
化学物質の種類ごとに特徴のある症状が現れる | 様々な化学物質に対して、特徴のはっきりしていない様々な症状が起きる |
化学物質の量が増えれば症状が重くなる | 個人差が大きく法則性がわからない |
同じ化学物質に対しては、誰でも同じような症状が出る | 同じ化学物質にさらされても人によって違う種類の症状が現れる |
なぜ毒性が出るのかが、ある程度わかっている | なぜ毒性が出るのかが、わからない |
原因物質と症状の因果関係がわかる(検査などで) | 原因物質と症状の因果関係がわからない |
治療法がある程度わかっている | 治療法がわからない |
中毒の場合は、これまでの中毒事件の患者を観察したり、動物を使って実験したりして、その仕組みが詳しく解明されてきています。しかし、化学物質過敏症の場合は、中毒の仕組みでは説明できない様な症状の現れ方をします。化学物質過敏症という病気が知られてきたのはごく最近のことです。そのため、まだよくわかっていないことが多いのです。
誰もが一致して認めるのは、化学物質過敏症の症状の原因となる化学物質の濃度が、とても低いことです。これまでの研究から、このくらいの濃度では、中毒症状を起こさないことがわかっています。実際、実験動物にこのくらいの低濃度の化学物質を与えても、中毒症状は起こしません。そのため、化学物質過敏症では中毒とは全く違うメカニズムが働いているのではないかと考えられています。
これまで見てきたように、化学物質が体の中に入り、体から出て行く様子は、中毒でも化学物質過敏症でも同じです(吸収→分布→代謝→排泄)。しかし、全身に広がった化学物質がいざ体に害を与えようとしたとき、中毒と化学物質過敏症では違うしくみが働いているのではないかと考えられています。
○ 化学物質過敏症症状はなぜ起きるか
それでは、化学物質過敏症ではどのような仕組みで、体に害が表れるのでしょうか。これについては、現在様々な研究が始まっていますが、具体的なことは、まだよくわかっていない状態です。化学物質過敏症の症状が起こる仕組みについて、研究者たちが「ああじゃないか」「こうじゃないか」「こう考えてみたらどうだろう」「これで説明がつくかも」と提案している段階です。様々な仮説が提唱されていますが、決定的なものはまだ現れていません。
例えば次のような仮説が提案されています。
・
免疫の異常が関係あるんじゃないだろうか
・
細胞のエネルギー代謝に異常があるかも
・
神経伝達に問題があるかも
・
呼吸器の炎症が原因かも
・
化学物質の小さな刺激が積もり積もって、過敏になっているのかも
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嗅覚の異常が原因かも
この中で、まだ化学物質過敏症の仕組みをトータルに説明できているものはありません。また、その仮説を支持する決定的な証拠が見つかっているものもないです。この中から、有力な仮説が出れば、研究者はみんなその説に集まって、集中的に研究が行われるようになるはずですが、まだその段階に至っていません。
○ 化学物質過敏症の研究の現状
化学物質過敏症の研究の流れを図に書いてみると、次のようになります。(読みにくいときは、チャート図をクリックするとpdfファイルが開きます)
現在はまだ、上から2つ目の段階です。こうしてみると、「先は長いな」と思いますね。がっかりしましたか? 治療法が見つかるのはまだまだ先のことになりそうですが、私はそう落胆することはないと思っています。「医学的に認められる確固たる治療法」「誰にでも通用するような治療法」がまだ見つからない段階でも、今、自分でできることを見つけていって、工夫して行えば、「ゴール(治癒)」に近づくことはできるのではないかと思うからです。
b.化学物質過敏症の症状を抑えるには
化学物質過敏症については、決定的な治療法がないのが現状です。それでも、考えられるよさそうな方法があれば、積極的に行っていきたいですね。「解毒」に焦点を当てて、症状を抑える方法を考えていきます。
○ 体の中で化学物質の濃度はどう変化するか
化学物質が体に入ってくると、体内の濃度はだんだん上がっていきます。ピークに達すると、少しずつ下がっていって、いずれ体からなくなります。グラフに書いてみます。
縦軸が体内濃度、横軸が時間の経過です。体に入ってくる化学物質の種類や量、その人の代謝排泄能力によって、このグラフの形は変わります。
薬でも毒でも、大量に入ってくると、体に害を与えます。けれども、その人の耐えられるレベルを超えなければ、害が出ることはありません。「症状が出るライン」というのを横棒で書いてみました。このグラフは山が横棒の下にあるので、症状が出ていない状態です。
中毒の時はどうなるのかというと・・・
こんな感じ。「症状が出るライン」を越えて、体内濃度が上がってしまいます。こうなると、体に様々な害が表れます。化学物質過敏症の場合も、かつてはこのようなモデルが考えられていたようです。患者は一般の人より解毒能力が低いために、化学物質の体内濃度が上がってしまい、症状が出ると考えられていたのです。
しかし、化学物質過敏症患者の体を調べてみても、体内濃度が上がっているようなデータは得られませんでした。現在では、中毒とは別の仕組みが働いていると考えられています。体内の化学物質の濃度がそれ程高くはないのに、症状が現れるという考え方です。グラフの山の大きさは一緒なのに、一般の人に比べて「症状が出るライン」が低いのです。そのため、化学物質の濃度は一般の人と変わらないのに、症状が出てしまいます。その様子をグラフに書いてみました。
化学物質過敏症の場合は、中毒の100から1000分の1の濃度でも症状が出ると言われています。赤い線の1000分の1を書こうとすると下の黒い線に重なってしまうので、目盛りの取り方を工夫しました。普通のグラフは目盛りが12345・・・と増えていくのですが、ここでは、1,10,100,1000・・・と10倍ずつ増えていってます。つまり、それだけ微量でも症状が出てしまうと言うことです。
○ 症状を抑えるには
これを元に化学物質過敏症の治療法を考えてみました。
〈1〉「症状が出るライン」をあげる
〈2〉解毒のスピードを上げて、グラフの山を小さくする
〈1〉はどうしたらいいのかというと・・・難しいのですが、私の第3章の体験がこれに当たるのではないかと思います。「体力をつける」「体調を整える」ことで、このラインを上げることができると思います。
〈2〉は、体に入った化学物質を早く外に出すこと。つまり、代謝排泄の効率をよくすることです。
図で書くと・・・
こんな感じ。でも、横棒があまりにも低いと、それを下回るような解毒スピードを実現するのは難しそうです。化学物質過敏症患者は一般の人の100分の1とか1000分の1とかの低い濃度でも症状が出るようなので、100倍、1000倍というのは・・・無理かもしれません。
それでも、今より少しでもスピードが上がれば、症状が軽くなる可能性はあります。
何事もLet’s try!
〈1〉と〈2〉を合わせて、「横棒を上げつつ、山は小さくする」という方針で行ってみましょう。「解毒のスピードを上げるにはどうしたらいいの?」については、〔4〕「解毒の方法」で書く予定です。その前に「化学物質の体内への蓄積」について、次項で考えてみます。
(2005年8月)