秩父夜祭は、京都祇園祭・飛騨高山祭と並び、日本三大曳山祭・日本三大美祭の一つに
数えられる祭りで300有余年の歴史があります。
中近・下郷・宮地・上町・中町・本町の6台の屋台・笠鉾が、国指定重要有形民俗文化財になっている。
埼玉県秩父地方には、各地で年間300を超えるお祭りがあるが、秩父夜祭はその中で勿論最大のお祭りである。
祭りの目的
秩父神社の女神(妙見様)と武甲山の男神(蔵王権現)が年に一度、公園の亀の子石で逢うのを祝う祭です。
以前は、「妙見様のお祭り」とも言った。
行事
12月3日の大祭には、絢爛豪華な四台の屋台と二台の笠鉾が独特の秩父屋台囃子の勇壮なリズムに
のって曳き廻されます。夜には、無数のぼんぼりに火が灯された6台の屋台・笠鉾が
神社から約1km離れた御旅所に曳き上げられ、その間、夜空に次々と仕掛け花火や
スターマインが打ち上げられ、祭も最高潮に達します。
祭りのポイント
最も盛り上がる12月3日以外でもいくつかのポイントがあります。
山車の組み立て
山車は屋台蔵に一年、バラバラに解体して保存してあったものを
釘を一本も使わずに一日かけて組み立てていきます。
山車の組み立ては最近、祭りの直近の日曜日に6台の屋台・笠鉾が組立てられます。
是非屋台の豪華絢爛な姿が完成していく過程を見学して見て下さい!
太鼓の練習「太鼓ならし」
夜祭の1〜2週間ぐらい前から毎日、山車を持つ各町内会で太鼓の練習をしています。
秩父神社例大祭「秩父夜祭」(重要無形民俗文化財)の本番を控え、秩父屋台囃子(ばやし)の
慣らし行事で、「太鼓ならし」と云われています。秩父屋台囃子の太鼓の音が至る所で聞こえてくると
♪秋蚕しもうて麦蒔き終えてぇ、秋蚕しもうて麦蒔き終えて、秩父なぁー、秩父夜祭あれさ待つばかり♪と
秩父音頭に歌われているように秩父夜祭の本番も目前に迫っているのです!
12月2日の宵祭り(宵宮・宵まち)
12月2日には中町・本町・上町・宮地の屋台が曳き回されます。宵宮ならではの「山車のすれ違い」は、
まさに宵宮見所の一つです。時間は、正午〜午後4時30分と午後6時〜午後8時頃までです。
この日は12月3日よりも人がだいぶ少ないので、間近でゆっくり山車を見ることが出来ます。
また、羊山公園で午後7時〜午後8時頃まで花火も打ち上げられるので、2日も結構お薦めですよ!
以前は、「宵まち」と秩父の人達は呼び、親しまれその呼び名を引き継いできた。
秩父夜祭例大祭(12月3日)のポイント
秩父の人は朝6時の大きな花火の音で目が覚める。今年もこの日がやって来た!
家から徒歩で秩父神社に向かう。
その頃には、秩父の街中に秩父屋台囃子の音が響き、山々にこだましている。
坂氷というところの坂を降りていくとそこから歩行者天国になっている。
秩父神社の周辺には、すでにいくつかの国指定重要有形民俗文化財の屋台・笠鉾が
囃子手や襦袢着の「ホーリャイ、ホーリャイ」の掛け声と共に曳き出されている。
正に 動く東照宮陽明門という別称で形容できる、豪華絢爛な山車である。
祭り好きの秩父の人にとって気分は最高である。数多くの露店が出ている。
1.秩父駅(じばさんセンター)前の坂を曳き上げられる下郷
下郷笠鉾は、高さ7m(笠をつけた場合 15.5m)重さ約20トンで祭の山車の中で最大です。
午前11時過ぎごろ秩父駅(じばさんセンター)前の坂をのぼって、秩父神社に宮参りにいきます。
このとき下郷は補助の4本の綱を張っていて、正にフィナーレの団子坂を連想させるかのような迫力である。
その坂をのぼりきると、90°の方向転換(通称"ぎりまわし")があり太鼓は、「たまいれ」という小太鼓のみの
演奏になる。方向転換は、てこの原理(2本のてこ棒)で屋台を持ち上げ(物理学の観点からいうと、
力のモーメントの問題である) 屋台の下、くぼみの位置に心棒というものを入れ、屋台を浮かせて方向転換する。
皆、真剣そのものである。(上町屋台が方向転換に使用するのが「キリン」と呼ばれている)
その後何回かの”ぎりまわし”を行なって、神社にたどり着く。下郷は午後7時過ぎの御旅所への曳き回しまで、
秩父神社内にその絢爛この上ない姿で置かれる年もあるが近年は秩父神社外である。
2.屋台歌舞伎
お昼過ぎになると、上町・中町・宮地・本町の当番制の屋台が張り出し舞台をつけて
見事な屋台歌舞伎を演じる。観光客は、その勇姿に皆大きな拍手を送る。
屋台歌舞伎は、国指定重要無形民俗文化財になっている。曳き踊りというものも行なわれる。
3.増えてくる人
これも1つのポイントとしてカウントすべき点である。午後6時ごろにはすでに街中が人の山と化している。
とにかく多くの人(3日が平日で20万人前後、土、日にぶつかると30万人前後)が夜祭に訪れる。
(2005年は、31万5千人という過去最高の人出を記録、2006年は29万1千人の人出でした。)
特に夜の秩父神社内は、身動きが取れない状態になってしまうので注意が必要。
秩父神社には、毎年御神馬が奉納されていて、御神馬が立派かどうかで次の年が占えるらしい。
神社には早めに行って御神馬も一緒に見ておいて下さい!
このころから団子坂を中心に規制がしかれ、警備も着々と進んでいく。 一般の人はお旅所内には入れない。
4.無数のぼんぼり
夜になると各屋台・笠鉾は、曳き回しに向け、数多くのぼんぼりを山車の至る所につける。
ぼんぼりをつけた山車の姿は、動く不夜城そのものである。
5.秩父駅前から神社前に移動
午後7時前後に各山車は市内を曳き回し、御旅所への出発は、今か今かという興奮状態になる。
このとき街角で、方向転換のぎりまわしが行なわれているのを見るのも、また昼間と違った
迫力・感動を味わえる。 以前は秩父神社前の番場通りをまっすぐに団子坂、御旅所へと向かうコースであった。
昭和52年から現在の本町通り〜上町通りのコースに変更され、より多くの観光客が山車・笠鉾の市内曳き回しを
見ることが出来るようになった。 いよいよ午後7時になると、中近・下郷・宮地・上町・中町・本町の笠鉾・屋台は
団子坂に向けて出発する。順番は必ず中近・下郷・宮地・上町・中町・本町の順番で出発する。秩父夜祭の
楽しみ方は色々ありますが、午後7時に中近笠鉾が神社を出発して午後10時過ぎに本町屋台がお旅所に曳き
上げられるまでの3時間余りのドラマが私は子供の頃から身体も魂も揺り動かされる最高の時間帯である。
6.「ベスト電器秩父店」前に移動
ここはお勧めのポイントである。というのは、御旅所に向かう6台の山車が比較的見やすい場所だからです!
また、この後に団子坂にいくことを考えると、宮地屋台がここを通過するのを見てからでも間に合うのです。
ただし、団子坂まで行くのに最短の道を通るのは地元の人でないとルートはわからないので注意。
団子坂付近を目指しても、はじめて来た観光客では、おそらく団子坂に近づくのは困難と思って下さい。
ベスト電器手前の番場町に「諏訪本宮」があります。 この諏訪神社の女神が武甲山の男神の正妻なんだ
そうです。以前、山車の牽引コースが「番場通り」だった頃から諏訪神社の近くを山車が賑やかに牽引されると
諏訪神社の正妻が嫉妬して災いが起きるという言い伝えがあります。そこで現在の牽引コースでも諏訪神社
近くに山車が通りかかると秩父屋台囃子を止め(屋台囃子を切る)、又囃子手もお囃子を止めて山車が
静かに牽引されます。下郷笠鉾は笠鉾の牽引も止めて笠鉾に乗っていた全員が降りてしまいます。
ベスト電器前の見物客が山車が見えているのになかなか来なくてやきもきしますがちゃんとした理由が
あるんですね。諏訪神社には12月2日に、本祭の神幸祭の安全を神職と各町会代表が出向き祈願します。
秩父夜祭にかかわる祭事はその他にも沢山あるようです。興味のある方は是非勉強して下さい。。
7. 桟敷って最高!
NTTの後ろと団子坂と御旅所に桟敷があり有料ですが、やはり、お金を払っただけの価値はあるものです。
以前、NTTの桟敷(矢尾商店のすぐ近く)で見ましたが、上から見下ろして山車が次々に通過していくのを
見ることが出来るのです。
山車の引き手が「わっしょい、わっしょい」と酔っ払いながらの盛り上がりや、もみ合いも見ることが出来る。
桟敷の前では山車が止まってくれる可能性が高く、観光客と引き手、皆で盛り上がることも出来る。
また、打ち上げ花火も右手にしっかりと見えるのも大きな特徴!ただし桟敷席の多くは事前に予約が必要。
団子坂周辺や、お旅所内の桟敷は勿論人気度は高いが、場所によっては花火が全く見えない所もあるので
事前によく確認が必要だ。あまり 贅沢は言えないかも知れませんね。
8.最高の盛り上がり”団子坂”
団子坂直前に、秩父鉄道の踏み切りがあります。12月3日の夜は屋台が通行できるように、
架線を取り外します。踏切の架線は秩父夜祭りのために、取り外しができる特殊な架線を
つけているのです。18時頃にはその架線を外し、 その直前から架線の送電を停止します。
夜祭り終了後に すぐに架線を繋いで再送電します。今宵ばかりは列車よりも 夜祭りが優先です。
従って、20:00頃から秩父鉄道「お花畑駅」での列車通行はなくなり、上りは秩父駅からとなります。
団子坂では6台の山車が、結構急な坂を曳き上げられるのですが、これが横から見ていると
なかなか山車が見えてこないので各山車の名前が描かれた提灯が最初に見え、しばらくして
山車の先頭が見えてくると、やっと来たかっていう感じになります。お旅所内は立入り禁止の為、
団子坂上の両サイドの狭い所が、かなりの人出でごった返します。お年寄りや小さいお子様は
近づくのは避けたほうがいいでしょう。十分に注意して下さい。遠くで見るのが精一杯でしょう。
また、団子坂を曳き上げるとき、小太鼓は速い調子に、大太鼓はずうっと連打になります。
(連打はかなり疲れます!) 団子坂の急坂の曳き上げは、かなり危険を伴います。時には大きな
事故になることもあります。降雨等でコンディションが悪い時は、山車の団子坂曳き上げが中止に
なることもあります。平成10年は降雨により、又、昭和27年は降雪により中止されてます。
また平成21年も降雨の為、中近笠鉾と下郷笠鉾が団子坂曳き上げが中止となりお旅所には
屋台4台のみが並びました。
1台1台の山車がゆっくり引き上げられると共にスターマインも打ち上げられ、大きな歓声があがり
ペンにも言葉にも尽くせないほどの感動を覚えます。秩父夜祭のまさにクライマックスです。
秩父夜祭って最高ですね!
尚、 団子坂を曳き上げられた6台の屋台・笠鉾は、お旅所内で武甲山に向かい、「亀の子石」前に
置かれた「神輿を要」にして扇形に並べられている。午後10時30分頃になると、お旅所の立入り禁止も
解除される。そして、「亀の子石」の所で斎場祭の祭典がしめやかに行われるのです。
9.夜祭を彩る美しい花火
秩父夜祭といえば、全国でも珍しい価値のある「冬の花火大会」です。
2日の夜には単発花火とスターマインが1時間程度打ち上げられ、3日には大スターマインが
20:30〜22:00まで何発も打ち上げられます。
2005年・2006年の花火は、日本芸術煙火協会の協力により優れた技術をもつ花火職人作成の
花火が打ち上げられ、全国でも例をみない花火大会になりました。本当に半端じゃなくすごかった。
国道140号が車両通行止め(19時から23時まで)になるので、そこからゆっくり見られます。
我が家は花火の打ち上げ会場のすぐそばなので、花火の音が真上に聞こえ、家が揺れます。
当日の風向き次第では煙の流れが変わる為、花火の見え方がかなり違います。
いつもあまり煙の影響を受けないことを願っています。風が強い日は中止になることもあります。
冬の夜空に打ち上げられる秩父夜祭の花火の美しさは言葉を失うほど群を抜いていますよ。
以前は、打ち上げ花火や山車の団子坂引き上げは、かなり遅い時間帯でしたが、西武鉄道の
秩父乗り入れ後に現在の時間帯に変更され、より多くの観光客が見られるようになりました。
10.秩父夜祭の夜は長いよ
夜祭は6台の屋台・笠鉾が団子坂を曳き上げられ御旅所に勢ぞろいした後も、御斎場祭という行事があり、
その後、11時30分頃から団子坂を曳き下ろすのです。団子坂のこの曳き下ろしも見られる人は見て下さい!
6台の山車がそれぞれの屋台収蔵庫に帰還するのは山車によっては午前2:00以降になるものもあります。
その後屋台・笠鉾は、各パーツごとにバラバラに解体されて、1年後の祭りまで収納されます。
11.数多くの露天商
毎年、秩父夜祭には、1000軒を超える露天商が出店します。
日本の祭りに露天商の出店は、欠かすことができない一種の風物詩のようになっています。
秩父夜祭の長い歴史で一度だけ、主催者側と露天商間のトラブルによって出店が一軒も
出されなかった年がありました。大変さみしい秩父夜祭だった記憶があります。
夜祭の帰り、いつも定番のジャガバター、ジャンボたこやきを買って、我が家に帰ってきます。
あったかくって本当においしく、豪華絢爛な山車の団子坂の曳き上げと打ち上げ花火を
見た後の身体の冷え込みを和らげてくれます。
12.秩父の寒さ
何と言っても秩父の冬の寒さは厳しいものであり、夜祭の日の夜は、身を切るような寒さに襲われます。
陽が落ちると、盆地独特の冷え込みになります。過去の気温を参照下さい。
秩父の12月3日の平年気温は、最高気温が12.9℃、最低気温がマイナス0.9℃です。
昨年(2007年)の12月3日は、最高気温が12.4℃、最低気温が0.0℃、午後11時が3.0℃でした。
山車を待っている時間が長いので、この厳しい寒さは身にこたえます。甘酒などあったかい飲み物や
食べ物が非常においしく感じますよ。ホッカイロはもとより、周到な防寒対策をして来て下さい!
又、トイレを探すのが大変です。特に女性の方は早めに用足しをして下さい。長蛇の列になりますから。
13.六日まち
12月1日〜6日まで秩父神社例大祭です。昔の秩父夜祭は12月1日からの6日間、
祭りが行なわれていました。しかし、今でも1日〜6日まで、何かしら行事があるので、
是非、秩父に来て見て下さい!
詳細は、毎年度「秩父夜祭・観光祭行事表」等を参照して下さい。
14.追記(写真のポイント)
私は写真の技量がないので残念ながらいまだにいい写真(特に夜)が
撮れていませんが、写真のポイントを挙げておきます。
秩父夜祭はその名の通り、やはり「夜」の写真が注目されます。ポイントは、山車・人・花火です。
@12月3日夜7時頃の秩父神社の中、山車が出発する直前。ただし、大変な人ごみの為、
中に入れないか、入っても今度は脱出するのが大変なので覚悟が必要。
A 団子坂を引き上げられる山車。ここは桟敷席でもないとなかなか写真が撮れません。
B 夜空を彩る冬の花火。 山車に気をとられていると見逃してしまうかもしれません。
C秩父公園に引き上げられ、揃った6台の山車、スターマインが背景にあれば最高級写真。
115.12月3日の宿泊施設と鉄道ダイヤ
毎年12月3日の秩父地方の宿泊施設は、かなり前から「空室なし」になってしまいます。
あらかじめ秩父旅館業協同組合のホームページ宿ネットちちぶで宿泊状況をご確認下さい。
又、12月3日は、臨時列車が増発されます。
秩父鉄道、西武鉄道各社のホームページで3日当日のダイヤは、お確かめ下さい。
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