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抗菌製品

 

[「抗菌」製品の増加]
 1996年にO−157の食中毒事件が起きてから、日本中が抗菌ブームになりました。もともと「におわない靴下」などで抗菌製品は少しずつ出てきていましたが、ブームに火がついたのは、食中毒事件がきっかけだったと思います。店で売られている商品のありとあらゆるものが抗菌処理になっていきました。その頃から、私のCS症状も別の局面を迎えたように思います。1999年までは、自分が化学物質過敏症だと気づいていなかったのですが、1996年頃から衣類で肌に合わないものや、日用品で何となく調子が悪くなるものが増えました。

 1999年に自分が化学物質過敏症だと気づいてから、真っ先に対策を行ったのは、抗菌製品です。それらのものを生活から取り除いていくと、驚くほど体調がよくなっていきました。

[「抗菌」による症状]
 抗菌処理の方法は何種類もあるので、症状の現れ方も多彩でしたが、私が一番苦手なタイプの抗菌処理では、次のような症状が出ました。抗菌処理剤のにおいを嗅ぐと、目や鼻や皮膚に刺激を感じ、思考力が落ちて頭がボンヤリします。手足がだるくなります。

 1999年にあるデパートの靴下売り場に行ったとき、今まで感じたことのないようなぐあい悪さに襲われました。急に手足の力が抜けて気が遠くなり、その場に座り込んでしまいそうになりました。何とかその靴下売り場から離れてみると、ぐあい悪さは少しずつ回復していきました。現在でも靴下売り場に行くと、刺激を感じます。抗菌処理によるものではないかと推測しています。

[「抗菌」処理の現状]
 1999年に、抗菌製品を生活から取り除くに当たって、抗菌処理について本で調べてみました。わかったのは次のような点です。*1
○抗菌処理の方法はいろいろあり、種類が多い。
○どのような抗菌剤を使っているかは、製品に表示されていない。
○抗菌処理をしても菌が繁殖することはある。
○「抗菌」などの付加価値をつけないと商品が売れない時代になってきた。


 私が読んだ本には抗菌剤の一覧表が載っていましたが、本当にびっくりするほど種類が多いです。これらを鼻でかぎ分けるのはとても無理だと思いました。「抗菌」効果は、それほど大きくはないようなのですが、抗菌処理しないと商品の売れ行きが悪いので、とりあえず抗菌にしている、という印象の商品が多いように感じました。「とりあえず抗菌」という弱い動機だとしても、私にとっては商品の選択肢が狭まってしまっている結果になっているわけです。

[「抗菌」製品を避ける方法]
 その本には、抗菌製品を避ける方法も載っていました。目次を見たときに、「お! これは!!」と目を引かれました。抗菌製品をうまく見分けて避ける方法がわかれば、商品選択の重要な武器となります。しかし、本文を見てがっかりしました。次のような内容です。

抗菌製品を避ける方法
○昔からある伝統的な殺菌方法を選ぶ(加熱・日光消毒・乾燥など)
○菌との共生をはかる
○汚れを許容する(潔癖症にならない)

確かにその通りなのですが、現実に抗菌製品が溢れているのに、この方法ではそれを避けることはできないじゃないですか!!

 結局、商品を買うときは、「抗菌」表示のあるなしにかかわらず、鼻で嗅いでみてよさそうなものを買うようにしました。「抗菌」と表示してあるものの中にも使えるものはあるし、「抗菌」と表示してないものの中にも使えないものがありました。それを感覚で判断して選ぶことにしました。

[衣類の「抗菌」処理]
 しかし、過敏性が高かったときは、選ぶ商品のどれもが有害に感じられ、買えるものが1つもないという状態になっていました。一番困ったのが衣類です。多分、衣類には「抗菌」表示してないものでも、実際は抗菌処理されているものが高い割合で含まれているようです。あるCS患者は、衣類メーカーに問い合わせて確認しています。メーカーによって返答にばらつきがあるのですが、まとめると次のような内容になります。

「天然繊維であれば、ほとんどの衣類が抗菌処理されている。抗菌表示の有無は抗菌糸の混入率の違いによる。抗菌糸の割合が高いものは『抗菌』と表示し、低いものは表示なしとなっている。」 *2

 衣類はある時期からいっせいに刺激が強くなりました。(1990年代後半です。) 新しく買ったものが着られないので、古いものを何年も着回していました。2000年を過ぎたあたりから、古い衣類が次々にすり切れて着られなくなったので、着るものに不自由するようになってきました。その状態は、現在まで続いています。

[日用品の「抗菌」処理]
 調理用品や、バス・トイレ用品も「抗菌」してあるものが増えました。現在では、「抗菌」していないものを探すのが難しいくらいです。これらのものはなるべく「抗菌」表示のないものを選びますが、見つからない場合は、よくにおいを嗅いで一番刺激の少ないものを買うようにしています。「第1章〔4〕−c商品を購入する際の注意」でも書きましたが、無条件で返品OKというホームセンターを利用しているので、刺激のあるものは返品できて、とても助かっています。*3

 抗菌処理していないものを探すのに、外国産のものや100円ショップのものを探すことがあります。外国では日本のように“抗菌ブーム”が起きていないためか、抗菌処理していない商品が見つかります(→スモール・データ・バンク「まな板」参照)。また、100円ショップでも原価を低く抑えるためか、抗菌処理をしていない商品が見つかることがあります。100円ショップの店内は、プラスチックなどのにおいが強いので、CS患者には行きにくい所かもしれませんが、もしできるのなら探してみてください。

*1 「ここがいけない消臭・抗菌剤」花岡邦明/著 NCコミュニケーション/刊
*2 「ある日、化学物質過敏症」山内雅恵/著 三省堂/刊
*3 「ホーマック」北海道を中心に全国展開しているホームセンター

(2005.7.22)

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