ホームスモール・データ・バンク

公共交通機関

 

 CS患者は公共交通機関を利用する時に、様々な困難に出会うことがあるでしょう。他の乗客が身につけているもののにおいや、車体から出る化学物質が問題となります。各交通機関について、私が気づいた点と行っている対策について、書いていきたいと思います。

[新幹線]
 新幹線は、車両によって、車内の空気の質がかなり違います。東北新幹線では、新型車両(2階建てMAXなど)より、古い型の車両(200系)の方が体が楽だと感じていました。それで、新型車両が来たら、1台やり過ごして古い型の方に乗るようにしていました。しかし、新幹線のホームで何十分も待つのはつらいものです。機械油か何かのにおいが充満しています。以前は、タバコを吸う人の煙もつらかったのですが、2000年頃には(仙台駅では)喫煙所はホームの隅に追いやられていました。その後のことは確認していないのですが、多分、現在はホーム内は禁煙になっていると思います。

 もし、改札を通る前に車両の種類がわかれば、予定を立てやすくなります。できれば、時刻表を見ただけで車両の新・旧が見分けられればとても便利だと思いました。新幹線に乗る前に、駅員に時刻表を見せて、車両が新型か旧型かを問い合わせたことがあります。この時は、車両運行を把握していないのか、単に面倒だったのかわかりませんが、教えてもらえませんでした。「ホームで確認して乗ってください」と言われました。今思うと、車両がどうのこうのと駅員に詰め寄る私は、「鉄道オタク」だと思われていたようです。

 駅員に聞いても埒があかないので、次に新幹線を利用した時には、事前に本物の「鉄道オタク」に相談しました。時刻表の列車番号から車両の新・旧を見分ける方法を教えてもらいました。「これで対策は万全」と思い、安心して旅行当日を迎えました。しかし、当日ホームで待っていると、私の目の前にやってきたのは新型の車両ではありませんか! 「オタク」の友人の情報は間違っていたのです。仕方がないので、1台やり過ごして次の電車に乗りました。後でその友人に確認してみると、「最近は車両の変化がめまぐるしいから、全部は把握できなかったんだ。ごめん」と言われました。その後、新幹線に乗る機会がないので、この問題は謎のままです。

 私は当時、200系と呼ばれる東北新幹線開設当初の車両を選んで乗っていました。200系は新しいタイプの車両(E1,E2,E4)より車内のにおいが強くないので、体が楽だと感じていました。200系は、現在ではもうなくなっているかもしれません。2000年の時点で「200系は数年以内に廃止の方向」と本に書いてあるのを見ました。新幹線の車両はどんどん新しくなっています。

 私は現在北海道に住んでいるので、新幹線とは縁遠い生活をしています。ここに書いた情報は2000年頃のもので、現在では状況が違ってきているはずなので、新幹線に乗る予定のある人は、最新の情報を得て対策を立ててみてください。

 新幹線は、化学物質の他に電磁波の影響も大きいと感じています。

=東北新幹線=


[JR線]
 在来線も原則は新幹線と同じです。車両のにおいが強くて耐えられないと思われるときは、1本やり過ごして次の便に乗るようにしています。行き先によっては路線が重複していて、2本の車線が運行されていることがあります。この2つをA路線、B路線とすると、A路線の車両のにおいは苦手だが、B路線は比較的楽だというような傾向が見られることがあります。このような時は、いつも意識してB路線に乗るようにすると、有害物質を回避することができます。例えば、宮城県の<仙台> ←→ <岩沼>間は、「東北本線」と「常磐線」が同じ路線を走っています。2000年の時点で、私は「常磐線」より「東北本線」の車内の方が、体が楽だと感じていました。

 JR線は夏になると、線路に除草剤を撒くようです。線路の雑草が赤や黄色や灰色に枯れているのを目にします。2001年にCSが悪化する前は、夏でも何とか電車に乗ることができていましたが、2001年以降は全く乗れなくなってしまいました。激しい目の痛みが出るためです。電車に乗れないどころか、線路に近づくこともできません。その症状は現在でも続いています。車で出かける時も、夏は線路の近くを通らないようにルートを決めています。

 夫が夏に道外に出かけたことがありました。帰ってくる時に、私が車で最寄りの駅まで迎えに行くことになりまた。前日に最寄りのJR駅に車で下見に行ってみたのですが、目が痛くなって近づくことができません。それで当日は、JR線ではなく地下鉄で帰ってくるようにお願いしました。私は、地下鉄の駅には近づくことができたからです。地下鉄だと乗り換えがあって面倒なのですが、他に方法がありませんでした。私は地下鉄の駅まで夫を迎えに行きました。不安がある時は、このように事前に下見に行ってみると状況がよく飲み込めてよいです。あらかじめ危険を予測できると、うまくそれを回避することができます。

 2004年12月からはJR線に乗れるようになりました。それまではJRで行けばすぐのところを、わざわざバスで行っていました。冬になると雪の影響でバスのダイヤが大幅に狂います。いくら待ってもバスが来なくなったので、仕方なしにJRに乗りました。最初に乗った時はドキドキしました。けれども乗ってみると、特に何の症状も起こりませんでした。拍子抜けするほどでした。2000年頃にJRに乗った時と比べて、体が回復して過敏性が下がったためだと思います。

 現在でもJR線に乗っています。そろそろ暖かくなってきて草が生えてきたので、線路に除草剤を撒き始めるかもしれません。もし除草剤を撒き始めたら、またバスに切り替えなければなりません。J R線は冬は大丈夫ですが、夏は乗るのが難しいです。

 JR線も電磁波が問題になります。現在は1回当たり5分くらいしか乗らないので問題ないのですが、長時間乗った場合、電磁波の影響にどれくらい耐えられるのか自信がないです。

[地下鉄]
 地下鉄は、施設が地下にあるので、換気をしているとはいえ、空気は汚れがちです。様々な物質のにおいがこもっています。札幌の地下鉄は車輪がゴムタイヤなので、ゴムのにおいも混じっています。最初に地下鉄がゴムタイヤだと知ったときは驚きました。「なぜ地下鉄にゴムタイヤ?」と思ったのです。 「車両の揺れが少ないから」という理由で導入されたようですが、乗ってみるとゴムが弾んでいるような変な揺れ方をします。

 仙台市に住んでいたとき(〜2002年)は、よく地下鉄を利用していました。自分がCSだと気づく前から(〜1999年)、地下鉄は苦手だと感じていました。ときどき乗り込んだ車両の中が独特のにおいがして、ぐあい悪くなってしまうことがありました。自分がCSだと気づいてからは、そのぐあい悪さが化学物質による反応だとわかりました。それからは車両のにおいでぐあい悪くなったときは、いったん降りて、1本後の車両に乗り換えていくことにしました。車両によってにおいがかなり違います。多分、私が反応していたのは車両の消毒剤だと思います。においは、ホテルのロビーや古めの温泉旅館の建物、バスやタクシーの車内のにおいに似ていました。

 反応が起きると、次のような症状が起きます。刺激のあるガスが鼻から進入したような感覚があり、胃がムカムカしてきて、思考力が低下し、だるくなります。私は月初めに乗ると、においの強い車両に当たるような気がしていたので、いっせいに車両消毒を行っているものだと思っていたのですが、仙台市に問い合わせてみると、そういうことはないそうです。順次車両を消毒していくので、常に消毒直後の車両と、そうでない車両が混在している状態だと言っていました。

 2001年に地下鉄に乗ると、猛烈な目の痛みに襲われるようになりました。洗剤か消毒剤が新しいものに変わったのではないかと思いました。仙台市に問い合わせてみましたが、このときは原因を特定できませんでした(→第5章〔3〕[資料活用の実践例]参照)。その後ずっと、地下鉄に乗れない時期が続きました。1年くらいして自分が電磁波過敏症(ES)であることに気づき、ESのことを学んでいくうちに、地下鉄で感じた刺激は、電磁波によるものではないかと考えるようになりました。丁度、私が地下鉄で反応を起こすようになる直前に、車内で「もうすぐ地下鉄で携帯電話を使用できるようになります」というアナウンスを耳にしていました。私が地下鉄に乗れなくなった時期と重なります。

 2003年2月に札幌から仙台に帰省したとき、1年半ぶりで仙台の地下鉄に乗りました。以前、大変な苦しみを味わった場所だったので、再び乗るのは勇気がいりました。1年半ぶりに乗った地下鉄は確かに目が痛かったのですが、以前のような強烈な痛みではなくなっていました。体調が回復して過敏性が下がったためだと思います。地下鉄のホームの天井から携帯電話とPHSの通信用アンテナがぶら下がっていました。そのアンテナに近づくと目が痛くなり、遠ざかると目の痛みが軽くなりました。「ああ、これが原因だったんだな」とわかりました。地下鉄は地下のトンネルになっているので、携帯電話などの電磁波が発生すると、外に逃げていかないのです。だから電磁波が強くなっているのだと思います。

 2002年に札幌に引っ越したときは、とても症状が重かったので、地下鉄に乗るどころではありませんでした。何度か試しに地下鉄の入り口から中に入ろうとしたのですが、そのつど刺激が強くて引き返していました。札幌の地下鉄に乗れるようになったのは、2005年1月になってからです。初めて乗ったときは緊張しました。地下はやはり独特のにおいがしました。炭坑跡や鍾乳洞に入ったときのひんやりとした感じに似ています。粒子状の物質がこもっているようなにおいです。ゴムタイヤのにおいと機械油のようなにおいも混じり合っています。最初に地下鉄に乗ったときは、乗る直前に服を着替えてから乗り、地下鉄から降りた後にもとの服に着替えました(→第1章〔3〕−d[有害物質の影響を減らすための衣服の着まわし]参照)。服に地下鉄のにおいがつくと、その後ずっとぐあいが悪いまま過ごさなければならないので、影響を最小限に抑えるために着替えをしました。はじめは、どの程度危険があるのか予測できなかったので、このような予防措置をとりました。地下鉄に何度か乗るうちに、冬の間は構内が寒く、それほどにおいが強くないので、着替えをしなくても大丈夫だということがわかりました。現在、私は車両の消毒のにおいにはほとんど反応を起こさなくなりました。むしろ車外の空気の方が苦手です。(仙台と札幌では車両の消毒剤の種類が違うのではないか、とも思います。札幌の方がずっと楽です。)

 2005年5月現在も、まだ地下鉄に乗ることができています。しかし、これから暖かい季節になると、いつか乗れなくなる日が来るのではないかと予測しています。気温が上がると、ゴムタイヤのにおいが強くなるはずです。それに、地下鉄の車両は手で窓を開けられるようになっているものがあります。この先、気温が上がり車内が暑くなると、窓を開ける乗客が現れるはずです。窓を開ければトンネル内の空気が車内に流れ込み、多分、私は耐えられなくなると思います。窓が開かない車両を選んで乗ってみることにするつもりです。

 地下鉄は、化学物質の他に、電磁波の面でも問題があります。CSのサイトが完成したら、ESのサイトを立ち上げる予定なので、そのときもっと詳しく書きます。

札幌にお住まいの方への情報
 札幌の地下鉄は、東西線と南北線とでは、においが違います。南北線の方が古いためか、においが強くて苦手です。南北線のホーム同士をつなぐ地下連絡通路は、カビがひどいので、カビアレルギーの人は通らない方が無難です。(東豊線は乗ったことがないのでわかりません。)


[地下鉄・その後]
 2005年6月末から、地下鉄の窓が開けられるようになりました。気温が高くなって、ゴムタイヤのにおいが強くなった上に、窓からトンネル内の空気が車内に流れ込んできます。ぐあいが悪いので、一時は地下鉄に乗ることを断念することも考えましたが、次のような対処法で、何とかしのいでいます。

 地下鉄の先頭車に乗ります。そして車両の一番前に立ちます。こうすると、窓が開いている部分より前に位置することになります。車両が動き出したときに、一気に車外の空気が入り込んできますが、先頭にいると、その風を直接あびることがないので、少しはしのぎやすいです。

 結局、車両の内外の空気はつながっているので、車内の空気は一様に汚染されてしまうのですが、先頭にいると比較的空気がよいように感じます。しばらくこの方法でしのいでいくつもりです。先頭車両に乗るために、地下鉄のホームを端から端まで、しょっちゅう走り回っています。

(2005.6.5)

ホームへ戻る
このページのトップへ
「抗菌製品」へ続く
スモール・データ・バンクの目次に戻る