畳
私が建材の中で最も苦手なものは「畳」です。他にも有害な建材は数多くありますが、その中でも畳は群を抜いています。
1999年から2000年にかけて住む家を探していたときに、室内で一番の問題は畳でした。(これに床下のシロアリ駆除剤が加わって、二大問題となっていました。)
[畳による症状]
現在住んでいる家の畳は10年以上たっているものらしく、表面がささくれ立って、よく日にやけています。それでも鼻につく強烈なにおいがします。うまく表現することができないのですが、分類的にはハッカのようなにおいです。ハッカを苦くして重苦しくしたようなにおいがしていました。このにおいを嗅ぐと、鼻の穴がヒリヒリして痛くなります。のどと気管が腫れたようになり、息苦しくなります。神経にもダイレクトに影響が出て、手足がだるくしびれた感じになります。胃がムカムカして吐き気がしてきます。ゆらゆらした浮遊性のめまいが出ます。畳の裏には防虫紙がついていて、その成分による症状ではないかと思います。我が家の畳は、引っ越してきたときに、すべてビニールで包んで、有害成分が発散しないようにしました(→第1章〔2〕−C「覆って有害物質の揮発を抑える」参照)。
[イ草製品]
ホームセンターのイ草製品売場には近づくことができません。強い刺激がして、10メートル以上離れないと耐えられません。イ草自体が防虫処理されているのではないかと思います。夏期はイ草製品が店内にあるので、近寄れない売場があります。目的のものを買えずに帰ってきたことがありました。夫に頼んで、イ草製品売り場の近くの商品を買ってきてもらったことがあるのですが、その商品にもイ草製品のにおいがついてしまっていて、刺激が強くて使えませんでした。デパートでもスーパーでも、夏になるとイ草製品の売り場ができるので、近づかないように気をつけています。
[賃貸住宅を探す]
1999年から2000年にかけて賃貸住宅を探したときは、「前住人が退去したあと、リフォーム、ハウスクリーニングをしていないもの」という物件を紹介してもらいました。(→スモール・データ・バンク「家さがし」参照)
畳表が新しいものに替えてある部屋は、絶対に無理です。畳がすっかりやけている部屋でも、まだ有害だと感じる場合が多かったです。賃貸住宅を探しているときは、入居後に畳をビニールで覆ってしまうという前提で探しました。ビニールで覆わなくても私が耐えられる畳というのは、いくら探しても見つかりそうになかったからです。
現在住んでいる家は4LDKですが、和室は1室だけです。北海道の家は和室が少ないような感じがします。寒い地域なので、暖かい感触のカーペット敷きが多いようです。とても助かります。(カーペットはカーペットで、アレルギーにはすごく悪いのですが・・・。)
2000年頃、仙台で家さがしをしているとき、「畳替えをしていない家がある。畳はかなり年数がたっている」ということで、とても古い家を見に行ったことがあります。不動産屋に鍵を渡されて、私一人で見に行きました。
その家の畳は、確かに古かったです。すっかり日にやけてささくれ立っていました。しかし、いくら何でも古すぎです。畳表がところどころすり切れて、畳床が見えているではありませんか! いくら何でもこんな畳では暮らせない…いくら古いと言っても限度がある…と思いながら、ふと上を見ると、砂壁が水玉模様です。
「へー、こんなデザインもあるんだ。」
と思って、よく見ると、緑色の斑点はすべてカビでした! 私はあわててその家から飛び出しました。カビアレルギーがあるので、大量のカビと接触するのは恐怖なのです。
[神様の卵]
「新しい畳もダメだし、古すぎてもダメ。なかなか難しいなあ。」
私はトボトボと帰路につきました。
その後、私はちょっと不思議な体験をしました。呆然としながらうつむいて歩いていると、一人のおばあさんに会いました。そのおばあさんは手に卵を持っていて、それを見ず知らずの私にくれると言うのです。
「今、神様のところにお願いに行ってきたんだよ。この卵は神様からもらったものだよ。あなたにあげるよ。」
私は、その人とは一面識もなかったので、突然のことに驚きましたが、言われるままに卵をもらいました。私がお礼を言うと、そのおばあさんは、去っていきました。その卵を手に、私は家に帰りました。
もらってはみたものの、私は卵アレルギーがあるので、その素性のわからない卵を食べる勇気がありませんでした。見たところ、鶏の卵ではないような感じもします。結局、夫にあげて、夫の実家で食べてもらいました。
今でも、ときどきあのときのことを思い出します。あのおばあさんは一体誰だったのだろう? なぜ私に卵をくれたのだろう?
「あのとき、神様からもらった卵を食べていたら、病気がとっくになおっていたのかもしれないな」
などと思ってみたりします。あのころは、何件も賃貸物件を見て回っていましたが、見ても見てもいいものが見つからず、落ち込んでいました。卵をもらったことで、その暗い気持ちが慰められたような気がしました。
[ホテルの畳]
2000年春に旅行したとき、泊まった宿が畳の部屋でした。しかも畳替えをしたばかりらしく、真っ青です。私はすぐにぐあい悪くなってしまいました。特にひどかったのが鼻水です。鼻の粘膜がやられてしまったらしく、洪水のように鼻水があふれ出てきました。一晩その部屋で寝たら、翌日にはぐあい悪さでぐったりしてしまいました。その宿には2泊することになっていたので、ホテルの人に事情を話して、2泊目は洋室にかえてもらいました。このとき以来、宿に泊まるときは、和室ではなく洋室に泊まるようにしています。
[実家の畳替え]
2003年に、私の実家(仙台)で、畳替えをすることになりました。もし、防虫紙つきの普通の畳にしてしまったら、私は実家に帰省することができなくなってしまいます。このときは、畳のことをよく調べて、安全な畳表を使ってもらうことにしました。
その結果、選んだのは、ダイケンというメーカーで作っている畳表です。イ草の代わりに和紙を原料にした畳表です。防虫処理はしていません。
実家で畳替えをしてから半年後に、私は帰省しました。そのとき、この和紙畳のにおいを嗅いでみましたが、とても刺激の少ないものでした。私は、和室に入ることができました。普通の畳表だったら、何年たっても和室に入ることはできなかったでしょう。2〜3時間なら、和室に居続けることができました。
この畳を自宅に置いたらどうなるだろうか?と考えてみると、結果を予想するのは難しいです。2〜3時間なら大丈夫なのですが、それ以上長時間になると、耐えられるかどうか自信がありません。実家は仏壇や防虫剤、シロアリ駆除の影響もあるので、畳だけの有害性を判断するのは、難しかったです。
[フェリーの畳]
2004年12月にフェリーに乗ったときには、特等船室に泊まりました。2等船室だと安いのですが、案内に和室だと書いてあったので、無理だと思い、特等にしました。(値段がとても高いです。1等はすでに満室でした。)
フェリーに乗ってから実際に目で確認してみましたが、2等船室はカーペット敷きになっていました。何年か前に乗ったときは確かに畳が敷いてあったのですが…。畳よりカーペットの方が管理しやすいということで替えたのかもしれません。畳が苦手な人で、フェリーに乗る予定がある人は、電話でフェリー会社に確認してみるとよいと思います。私が見た船はカーペットでしたが、船によってちがうかもしれないからです。
[飲食店の畳]
2005年2月に、和食のファミリーレストランに行きました。その店は何度も行ったことがあって、それまではあまり問題なく食事ができていました。しかしその日は店内に入った途端に、ぐあい悪くなってしまいました。息苦しさ、だるさ(全身の力が抜ける感じ)、手足のしびれ、ゆらゆらしためまい。これらの症状から、座敷席の畳を替えたのではないかと思い当たりました。
店員に聞いてみると、やはり畳を交換したばかりだということでした。ただし、すべての畳ではなく、一部の畳を替えただけだということでした。私は椅子席に座っていましたが、席を立って、座敷席の畳を見に行きました。その店の畳は、時間がたっても変色しないものらしく、古い畳でも青々としていました。色では見分けられないので、表面の風合いで判断することにしました。表面が毛羽立っているのは古い畳です。1枚1枚チェックしていくと、全部で20枚くらいあるうちの1枚だけ交換したことがわかりました。その畳は私の座っている席からずいぶん離れています(5メートルくらい)。たったこれだけで、こんなに症状が出るなんて…驚きました。畳で症状が出るのは久しぶりでした。2005年2月には、前と比べてかなり体調が回復していたので、畳に対する過敏性が下がったはずと思っていたのですが、やはり前と同じような症状が出ます。がっかりしました。家に帰ってから着ていた服を洗濯し、体をシャワーで洗い流しました。
それから1ヶ月後、同じ店に行きましたが、畳のにおいはずいぶん薄くなっていたので助かりました。建物の換気がよいせいなのか、と思いました。ほんの少し反応が出ましたが、大丈夫でした。
(2006.1.25)