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空気清浄機

2010年頃から、中国大陸からくる大気汚染に悩まされるようになりました。私が特に反応したのは黄砂で、pm2.5などの大気汚染物質よりずっと強い症状が出ました。息苦しさや、目・鼻・喉・皮膚へのアレルギー症状です。特に息苦しさはひどいもので、寝ても覚めても胸をかきむしるような苦しみがありました。室内にいても常に肩で息をし、夜眠ると溺れている夢を見ました。2014年に限界を感じ、空気清浄機を導入することにしました。

○空気清浄機に求める条件
 私はそれまで、CS対策で空気清浄機を使ったことがありませんでした。かつてCS専用の空気清浄機を検討したことがあったのですが、価格が高すぎたのと、効果が限定的に感じたので、購入には至りませんでした。しかし、このときは日々溺れるような苦しみの中で暮らしていたので、藁にもすがる思いで空気清浄機を探しました。

 ポイントはCS対策ではなく、黄砂対策だということです。CSでは、建材や生活用品から出るガス(気体)状の化学物質が問題となります。そのため活性炭などのフィルターで化学成分を吸着させるのがメインとなります。

 一方、私がこのとき問題としていたのは、はっきりと目にも見える黄砂の粒状の物質です。これはガス状の化学物質とは違い、物理的にフィルターで濾し取れるはずです。黄砂の大きさは平均4ミクロンメートル(1000分の4ミリメートル)、pm2.5が2.5 ミクロンメートル以下の粒子なので、pm2.5対策の空気清浄機であれば対応できます。2013年にpm2.5が注目されて以来、対応の空気清浄機が各メーカーから出ています。

 私にとって、CS・ES反応を起こしそうな成分・素材を避けて、空気清浄機選びをする必要がありました。大手電機メーカーの空気清浄機は、プラズマ・マイナスイオン・抗菌など、CS・ES反応が起きそうな機能がついているものが大部分でした。私はそういうのを避けて、ただ目の細かいフィルターがついただけのシンプルな空気清浄機がほしいと思いました。フィルターと部屋中の空気をかき回すような大風量のファンが付いた空気清浄機があれば理想です。

 また、私はけっこう頻繁に活性炭に反応を起こしていたので、できるだけ活性炭を使っていないものがほしいと思いました。活性炭の独特の炭の匂い(焦げたような匂い)が苦手で、頭痛が起きてしまいます。また、活性炭の粉末が飛散すると、目の痛みが出ます。

○空気清浄機を購入
 空気清浄機を探し回るうちに、私が求める条件に合いそうなものが見つかりました。バルミューダの「エアエンジン」という空気清浄機です。

この製品の特徴は、
・風量が大きい
・pm2.5対応
・フィルターは紙のフィルターに活性炭を合わせたもの
・この活性炭部分は取り外しができる(すばらしい!)

 一つ問題がありそうなのは、フィルターに抗菌加工をしているということでした。空気清浄機本体を買うと、抗菌フィルターがついてくることになっています。別売で抗菌のないフィルターも売っているので、もし本体についてきたものがダメでも、抗菌でないものを新たに買って試すことができると思いました。

 エアエンジンが家に届き、使ってみることになりました。各部を点検してみると、本体のプラスチック部分には、特に反応無し。フィルターはやはり活性炭の部分に目の痛みが出ました。活性炭のパーツをソーッとはずしてビニール袋に封入します。残った紙フィルターに活性炭の黒い粉がついていて、こちらにも目の痛みが出ましたが、掃除機でよく吸って黒い粉を取り除いたら、痛みはなくなりました。その状態でフィルターの匂いを嗅いでみると、特に問題はないようです。抗菌の成分に反応を起こすかと危惧していたのですが、何も感じませんでした。

 フィルターをセットして、いよいよ運転してみます。スイッチを入れてみると、静かな運転音で、微風が出てきました。これでは効果が期待できないので、マニュアル運転の「強」にしてみると、ゴーッという音と共に部屋の空気をどんどん取り込んでいくのがわかります。少しずつ少しずつ部屋の空気は濾過されていって、ざらついた粒子状のものが減って澄んだ感じになっていきました。それと共に、私の息苦しさも緩和され、肩で息をしていたのが、だんだんと通常の呼吸へと戻っていきました。「助かった」と思いました。それ以来、毎日休むことなく運転しています。

○私流の使い方
 通常であれば、設定は「弱」や「オート」しておくもののようですが、それでは全然足りないので、常に「中」か「強」で運転しています。空気が比較的マシなときは「中」、汚染が強いときは「強」です。2015年は体調が悪く、ほとんど丸一年「強」運転にしていました。2017年は汚染も体調もマシになってきたので、たいてい「中」で運転しています。けっこう音がうるさいです。「強」だと耳障りでひどく、「中」でもそれなりに気になる音です。今は慣れて、「中」では気にならなくなりました。外の車の音などがけっこううるさいので、空気清浄機のホワイトノイズでかえって緩和されている感じです。

 部屋の空気が極まって汚れているときは、ジェットモードにします。猛烈な勢いで部屋の空気を吸ってくれます。急速に空気がきれいになる感じがします。しかし、ジェットモードはどうしようもなく音がうるさいのと、ふだん掃除しきれない部分(照明の傘やカーテンレールの上など)に積もったホコリを巻き上げてしまう感じがするので、あまり使わないようにしています。巻き上げたホコリを直接空気清浄機が吸ってくれるならかまわないのですが、その前に私の鼻に入ってしまう可能性もあるわけです。

 エアエンジンの底に滑り止めのゴムがついています。移動するときにいちいち持ち上げていましたが、けっこう重い(8kg)ので、底の四隅に「カグスベール」をつけました。これは、テフロン加工が施してあるプラスチックのプレートで、つけると滑りがよくなり、軽い力で動かすことができます。カグスベール自体の素材の成分や、粘着材に反応するかと思いましたが、私には大丈夫でした。その後、類似品の「スライドクッション」というのも使ってみましたが、これも反応せずに済みました。空気清浄機以外の家具にもあれこれつけて、移動しやすくしています。便利です!

 空気清浄機の前面に、運転状態を表示するランプがついています。この光が寝るときにまぶしいので、ここを厚紙で覆いました。運転モードを目で確認することができなくなってしまいましたが、ファンの回る音で判断できるので、問題なく使えています。

○様々な用途に!
 エアエンジンを自分なりに工夫して使っています。

・風向を変える
 特別に息苦しいときは、自分専用のクリーンな空気!通常の運転では、清浄な空気が上に吹き上がりますが、写真のようにビニールを設置すると、自分の顔に向けることができます。



設置のしかた
(1)空気清浄機の4カ所にひもでクリップをつける。クリップは「サスペンダークリップ」とか「フィッシュクリップ」という名称で売っているものです。手芸店のネット通販で買いました。1つ100円くらい。
(2)30×40cmのビニールを切り開いてクリップで留めます。


 黄砂や大気汚染がひどいとき、空気清浄機を回しても息苦しいときなど、浄化された空気を直接吸えるのでかなり楽になります。夏は涼しいので扇風機代わりにも! 普通の扇風機は、部屋に入ってきた黄砂やpm2.5を巻き込んで吹き出す恐ろしいマシーンになってしまいますが、空気清浄機なら粒子が濾し取られたきれいな空気を吹き出してくれます。夏は涼しくていいですが、冬はけっこう寒い! でも息苦しいときはそうも言っていられません。 幸い、体に近づけても、この空気清浄機の電磁波には、ほとんど反応が起きませんでした。

・ホコリっぽいものやカビっぽいものを扱うとき
 空気清浄機の吸込口の真ん前で行います。例えば、図書館から借りてきた本をビニールに入れて読むのですが、封入作業をするときに空気清浄機の前で行います。本のホコリやカビをきれいに濾し取ってくれるので、直接吸わずに済みます。本をビニールに入れて読む方法については、「スモール・データ・バンク2 読書」で書いています。

・他の機器とつなぐ
エアコンとつなぐ、除湿器とつなぐ、外気を取り入れるときに窓につなぐなど、様々な場面で空気を浄化してくれます。

(1)エアコンとつなぐ
 エアコン(クーラー)の内部にカビが生えてきて、吹き出した冷気でアレルギー反応を起こすので、空気清浄機を通してカビを濾し取ります。詳しくは「スモール・データ・バンク2 エアコン(クーラー)」に書きました。



(2)除湿機とつなぐ
 除湿機の内部にもカビが生えやすいので、エアコンと同様、空気清浄機でカビを濾し取ります。



(3)窓につなぐ
 換気したいけど外気が大気汚染で有害なとき、窓に段ボール板を設置し、そこに開けた穴にビニールをつなぎ、空気清浄機に接続します。外気が空気清浄機を通して室内に流れ込むので、大気汚染の物質(粒子状のもの)が空気清浄機のフィルターで濾し取られます。



・ドライヤー代わり
 洗髪のあと空気清浄機の風で乾かします。普通のドライヤーは室内の空気を取り込んで温めて吹き出すのですが、室内に黄砂やpm2.5などの汚染物質があると、ドライヤーの吹出口から髪に向かって直接吹き出されてしまうわけです。それを防ぐために空気清浄機で乾燥させます。温風ではないので時間はかかりますが、風量を大きくするとけっこう乾きます。

 他には猫舌なので、空気清浄機の上にビニールを設置して料理を冷ましたり・・・など、こまこまと使っています。まるでペットのように、いつも一緒です。でも冬は風が寒いから、ちょっと距離を置いています。

○フィルター交換について
 フィルターがけっこう高価なので、ランニングコストがかかります。1年に1回交換で、1万円くらい。うちは2台使っているので、2万円です。最初は1年後に交換しました。その後は、現在まで2年半使いっぱなしです。大気汚染の状況がマシになってきたので、もう少し持ちそうな感じです。

 日々のメンテナンスについて書きます。フィルターは、通常使用500時間(約3週間)の運転でクリーニングランプがつきます。汚れ具合ではなく、単純に時間の積算です。フィルターをはずして掃除機でガーッと掃除してまた設置し、手動でクリーニングランプを消します。私は500時間ではなく、もっと頻繁にフィルター掃除をしています。1週間に1回くらいです。うちの掃除機は吸引力が強いので、かなりきれいになります。それがフィルターの寿命を延ばしているのかもしれません。(掃除機については、スモール・データ・バンク2「掃除機」に詳しく書きました。)

○分解掃除
 4年近く使っていたら、吸気口のアミ状の部分が汚れてきてしまいました。パンチングメタルのように、プラスチックに小さな穴がたくさん開いています。毎回フィルター掃除のたびにここも掃除機で吸っているのですが、それでもだんだん汚れがついてきてしまいました。黒ではなく、黄砂色に汚れているのがイヤな感じです。水拭きしようにも、 小さな穴を一つ一つ・・・など、とても無理です。

 何とかはずして水洗いできないかとやってみました。本体を倒して、底の四隅のゴムを取ります。底面のネジを15本はずすと、アミ状の部分がはずせます。プラスチックの柔らかさを利用して、ずらしながら取り外す感じです。 気をつけないと、プラスチック部品が割れてしまいそうなきわどい作業です。

 洗剤を溶かしたお湯に入れて、つけ置き洗いをします。ブラシでこすってすすいで乾かしたら、きれいになりました。元通りに組み立てて完了です。

○バルミューダ・エアエンジンの適応について
 この空気清浄機は粒子状の汚染物質には効果を感じますが、CSの原因物質であるガス(気体)状の汚染物質にはあまり効果がないようです。私の場合は、活性炭フィルターをはずして使ってしまっているので、ほとんどニオイ物質は取れないのですが、もし活性炭フィルターをつけたままだったとしても、それほど吸着力はないようです。この製品の取扱説明書を見てみると、Q&Aのところに次のように書いてあります。



 これを見ると、ニオイ成分の吸着容量が少なくて、すぐに飽和し再放出する様子が見て取れます。CS患者が微量の化学物質に反応することを考えると、このくらいの活性炭の量では室内の化学物質の濃度を少ししか下げられないのではないかと思います。やはりCS対応には 、活性炭などの吸着剤がたくさん入った空気清浄機が適していると思います。私のように、粒子状の大気汚染物質に特に強く反応しているという方には、この空気清浄機は効果があると思います。

(2017年11月)

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