ホーム スモール・データ・バンク2

エアコン

化学物質過敏症(CS)患者の中には、エアコンを問題なく使えている方もいるでしょう。しかし、化学物質の揮発が多い夏、エアコンも使えず、窓を開けることもできず、暑さに耐えなければならないCS患者もいることでしょう。そのような方に、いくらかでも参考になることもあるかと思い、私が窓用エアコン( クーラー専用機)2台を使ってみてのCS対策やカビ対策を書いていきたいと思います。

○エアコンの購入
 年々暑さが増していくようなので、札幌の我が家でもクーラーを買いました。2010年に鉄筋コンクリートのマンションに引っ越してから、木造の時とは違った暑さ(熱感)を感じるようになりました。昼間、日光に照らされてあたたまったコンクリートが、夜間、室内に熱を放出するらしく、むしろ昼間より夜の方が暑さを感じます。また、2007年頃から、pm2.5などの大気汚染物質が大陸から流れてきて、年々ひどくなり、夏場いつでも窓を開けていられるというわけにはいかなくなってしまいました。そのため、室内に風を取り込んで涼をとるのが難しくなったので、クーラーを導入することにしました。2014年のことです。

 クーラーを購入するときに重視したのは、カビの問題です。クーラーは内部で室内の水分を結露させる仕組みになっており、常に濡れているので、使っているとあっという間にカビが生えてきます。クーラーのカバーをはずして内部の金属部品やファンを見てみれば、真っ黒にカビているのが見えるはずです。私はカビに対して強いアレルギーがあるので、この問題がとても重大です。

  かつて、2002年まで仙台の実家に住んでいたときには、ときどき業者に頼んで、エアコンの洗浄をしてもらいましたが、内部から真っ黒な水が出てきて、ぞっとしたものです。そしてここが重要な点なのですが、業者に洗浄してもらっても、すべてのカビが取れるわけではないようで、私のアレルギー症状(息苦しさ、鼻づまり、皮膚のピリピリ感)は、すっきりとは良くなりませんでした。

○窓用エアコンを選択
 今回、札幌でエアコンを購入するにあたり、一番に決めたのは、工事が必要な据え付け型のエアコンではなく、窓に自分で設置できる窓用エアコンを買うことです。インターネットの情報では、「据え付け型は自分で分解洗浄できないが、窓用なら自分でメンテナンスが可能」と書いてあったからです。ネットでさらに詳しく調べて、窓用エアコンの内部構造や、分解の仕方、洗浄の方法などを、ひととおり頭に入れました。

 これまでエアコンは2台買っています。最初に買ったのは、トヨトミのTIW-A160F(W)です。これを選んだ理由は、ネットで詳しく洗浄方法を書いているサイトで扱っていたのが、トヨトミの窓用エアコンだったからです。(参考サイト:http://tkomatsu.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/tiw-a18k-cc07.htm) 1台目のトヨトミのマシンについては、カビ対策を詳しく書いていくつもりです。



 各部屋にということで、あとからもう一台買ったのが、ハイアールのJA-18P-Wです。こちらは、使用開始時にCS反応を起こしてしまい、対策が必要でした。分解して一つ一つの部品を検討し、原因を探りながら対策していった様を書いていきます。

○分解してみた!
 トヨトミのエアコンを購入して、まず最初に、本当に分解できるのかやってみました。いざカビが生えたときに、カビの胞子を吸いながら試行錯誤するのを避けるためです。ネット情報では、ネジをはずして引っ張ると、すぐにカバーがはずれるように書いてありましたが・・・。プラスチック同士をかみ合わせている爪ががっちり食い込んでいて、夫と二人がかりで引っ張りましたが、ビクともしません。爪のところにマイナスドライバーを押し込み、ぐいぐい引っ張ってみたところ、「バキッ」という猛烈な音と共にカバーが外れました。ドライバーで無理矢理引っ張ったので、カバーの縁がヘロヘロになっています。最初から覚悟の上とはいえ、これではっきりメーカの保証対象外となりました。当然返品もできません。

 カバーをはずしたので、内部構造が見えるようになりました。掃除するには、フィンにエアコン用洗浄剤を吹き付ければいいということですが、私にそのような洗剤が使えるでしょうか? 多分無理でしょう。これについては、よくよく検討してみなければなりませんでした。洗剤については、後ほど詳しく書きます。



  分解するときは、ネジをなくさないように注意します。私ははずした順に紙に貼り付けています。同じ型の共通のネジでも、別の場所に使わない方がいいです。最近の電化製品は安普請の作りなので、分解や組立なおしのことは、あまり考えられていないようです。製造時に歪んでいても、無理矢理ネジどめされていたりします。はずしたとおりに同じネジを使わないと、はまらないことがあります。

*詳しい分解方法は、別ページにまとめました → 実践のためのトヨトミ窓用エアコン分解清掃方法

○トヨトミ・エアコンの使い心地
 だいたい分解の仕方がわかったので、カバーを戻し、運転をはじめました。初期不良などなく、部屋がちゃんと冷えるので安心しました。カバーをはずす(破壊する)前に、試してみるべきだったと思いました。

 このマシーンで、購入前に気になっていたのは、「銀イオンで抗菌」という唄い文句です。私はたいていの銀イオン製品で、強い目の痛みを起こすので心配でした。しかし、この製品は、ちょっとイヤな感じがするものの、何とか使うことができました。

○オリジナルの設置方法
 窓用エアコンを買うと、窓に設置するための金属の枠が付属品として付いてきます。しかし、この枠に設置してしまうとメンテナンスがしにくいので使わず、段ボールで枠を自作しました。段ボールを使ったのは、加工がしやすいからです。段ボールの匂いも苦手なので、部品をつくったあと、全面をビニールで覆いました。ベランダに面した掃き出し窓に設置しています。


各部の説明
(1)床から窓枠までの高さに合わせて、台をつくりました。雑誌を重ねて段ボールの箱の中にいれました。クリアホルダーを切り開いたもので表面を覆っています。側面は、私が使える粘着テープで段ボール面をカバーしました。

(2)エアコンの幅に合わせた段ボールのボードを窓枠に設置してあります。

(3)段ボールでつくった柱

(4)ビニール

(5)エアコンの背面をはめる段ボールの枠

使い方
(1)窓を開ける
(2)エアコンの背面を枠にはめる
(3)スイッチを入れる

スイッチを止めるときは、逆の操作をします。

○過敏性に配慮した使用方法
 たいていの人は、エアコンを設置しっぱなし、設定温度を決めて常にスイッチをつけっぱなしにしておくものなのでしょうが、私はその方法を避けました。使う度にスイッチを入れ、ある程度室温が下がったら、スイッチを切ります。つけっぱなしにするのは、いろいろと問題がありました。

(1)エアコンの電磁波の影響を受け続けることになり、電磁波過敏症の症状が出やすくなる。

(2)窓を開けっ放しにするので、エアコン本体や隙間から、外気の汚染物質が入ってくる。

(3)外の音がうるさく感じる。

(4)外からの電磁波の影響が続く。(我が家のマンションの窓には、鉄線が入ったガラスを使っているので、これがある程度シールドの役目を果たしています。開けっ放しにすると無効になります。)

 スイッチをオフにしたら、エアコン本体を室内に引き込んで、窓を閉めます。エアコンを枠に設置したまま窓を閉めると、背面の通気が悪くなり、カビが生えやすくなります。

 カビ対策として、背面の排水口にホースをつけました。窓用エアコンは排水しなくてもいいように、背面の放熱フィンから水分を蒸発させる仕組みになっています。しかし、排水せずに使うと、内部に水がたまりっぱなしになり、カビる原因になります。私は常にホースをつけて排水することにしています。


○分解洗浄のしかた
 このようにして2週間ほど使用していると、だんだんと吹き出し口から出てくる冷気がカビ臭くなってきました。目で見たところ、カビているようには見えないのですが、アレルギー反応が出ます。息苦しさが最も顕著に出た症状で、他に鼻づまりや、皮膚のピリピリ感が出ました。前カバーをはずして、冷却フィン(小さな金属の板がたくさん並んでいる部品)を歯ブラシでこすってみたら、目に見えるようなカビは確認できませんでしたが、ブラシにカビ臭い匂いが付きました。シロッコファン(室内に空気を送り込む部品)を歯ブラシでこすってみると、うっすらと黒いカビが付きました。(エアコンのシロッコファンは、カビが付いても目立たないように黒い樹脂でつくってある場合が多いです。もともとカビが生える前提のようです。)他に、排水ホースから出る水を観察してみると、茶色いゼラチン状の塊が混ざっていました。内部にもカビが生えているようです。

掃除の仕方
(1)前カバー、後ろカバー、フィルターは水洗いします。ジャージャー水をかけます。カビがひどいときは、洗剤で洗います。

(2)上部プレートは水拭きします。

(3)冷却フィン、放熱フィンは、いったん水をかけたあと、洗剤をつけた歯ブラシで丁寧にこすります。そのあとすすぎます。 紙コップに水を入れて、フィンの上からそーっと水をかけていきます。

(4)底部の水受け。ここは赤紫色のカビが生えやすいところです。常に濡れているからです。排水ホースをつけているにもかかわらず、排水しきれず、常にいくらか水が残っていてカビます。メラミンスポンジを薄く切り、割り箸で押さえながら、移動させてこすり洗いしていきます。洗剤を泡立てながらこすります。そのあとすすぎます。

*工程(3)と(4)は、同時にすすぎます。「冷却フィン→放熱フィン→水受け→排水口」と、水が流れていくからです。

(5)室内側と屋外側のシロッコファン。ブラシに洗剤をつけてこすり、水ですすぎます。

(6)断熱材の発泡スチロール部品は、メラミンスポンジに洗剤をつけてこすり、すすぎます。

 洗い終わったら、元通りに組み立てて終了です。

 以上のように、分解洗浄を行うと、格段にカビ臭さが減ります。カビがはえたと感じるたび(2週間に1回くらい)、分解洗浄を行っています。

洗剤について
 CS患者であれば、せっけんしか使えない方もいると思います。私もその考えで暮らしてきました。しかし、エアコンの掃除の際には、あえてせっけん以外の洗剤を使っています。理由は、せっけんを使うとカビやすくなるからです。詳しくは「スモール・データ・バンク2 洗剤」で書く予定ですが、せっけんはいくらすすいでも、すすぎきれずに残ります。せっけんが水道水のミネラル成分と結びつき、金属せっけんとなってエアコン部品に残ります。これがカビのもとになります。

 洗剤はいろいろ試して、最終的に「フロッシュ 食器用洗剤 パフュームフリー(香りなし)」に落ち着きました。合成洗剤の中でも、エコ洗剤と呼ばれている安全そうなのをいくつか試してみましたが、私が使えそうなのは、フロッシュだけでした。金属部品が腐食しないように、できれば中性洗剤を使いたかったのですが、フロッシュは弱酸性でした。今のところ、金属部品に影響は出ていないようですが、長期的にはどうでしょうか。少し心配です。


○エアコンを空気清浄機に接続
 このように、定期的にカビ掃除をしてきましたが、分解洗浄をしても完全にはカビを取りきれないようです。私が過敏すぎるのかもしれませんが、アレルギー症状を完全に抑えることができずにいます。問題は、フィンと水受けだと思います。フィンは複雑な構造をしていて、細かい金属板の集合体に、冷却ガスが通るパイプが張り巡らされています。ブラシが入りきらないところなど、カビを取り切れていない感じです。水受けは、掃除するなんてことは一切考えていない作りとなっており、いくら丁寧に掃除しても、どこかしらにカビが残ってしまうようです。もっと強力な洗剤を使えればまた違うのかもしれませんが、私にはこのくらいが精一杯です。

 1年目のシーズン終わり頃になると、だんだん過敏性も増してきてつらくなったので、エアコンを空気清浄機につないで使うことにしました。

アタッチメントの作り方
(1)エアコンの吹出口に合わせてボール紙を切り、組み立てる。
(2)空気清浄機の吸込口に合わせてボール紙を切り、組み立てる。
(3)20リットルの透明ビニール袋2枚の底を切り、筒状にしたものをつなげる。
(4)ビニールの筒の両端に1,2のボール紙部品を貼り付ける。


 空気清浄機については、「スモール・データ・バンク2 空気清浄機」に書く予定です。バルミューダのエアエンジンを使っています。黄砂やpm2.5の対策としてこの空気清浄機を買いました。

使い方
(1)アタッチメントの両端をそれぞれエアコンの吹出口と空気清浄機の吸込口に、マスキングテープで留める。
(2)エアコンと空気清浄機のスイッチをつける。
(3)エアコンと空気清浄機の風量を調整して、空気がスムーズに流れるようにする。



 これでカビの影響を最小限にでき、アレルギー反応を起こすことなく使えています。バルミューダはCS専用の空気清浄機ではないので、ガス状の化学物質を浄化することはあまり期待できません。カビのような粒子状のものであれば、かなりきれいになります。エアコンから発散するガス状の化学物質に悩まされている方でも、CS対応の空気清浄機につなげば、症状が楽になるかもしれません。

○2台目のエアコンでCS症状
 トヨトミの窓用エアコンは、運転音がうるさいのと、大きくてかさばるのが不便で、次はハイアールのものを買いました。コンパクトで、音も静かです。1台目で分解に慣れていたので、ハイアールの方も難なく分解できました。
(分解の方法・参考サイト:http://修理方法.com/eakonn.html

 このエアコンは、届いて箱を開けた瞬間から目の痛みを感じました。「内部に金属部品があるから、多少の目の痛みは仕方ないのかな・・・」などと考えていました。(私は金属製品で目の痛みの症状を起こすことが多いです。詳しくは、第2部 第4章 目の痛みの症状 をご覧ください 。)

 運転してみると、確かに目の痛みは感じるのですが、だんだん慣れてきて「大丈夫かな? 問題の物質は排出されて薄れたのではないか」と考えていました。しかし、1日半ほど運転していたら、今度は首筋の痛みや、頭痛、胃のむかつき、吐き気の症状が出てきてしまいました。まるで車酔いの症状に似ています。食欲がなくなって、何も食べられなくなりました。

○対処法
 原因を究明するために、エアコンを分解してみることにしました。前カバー、後ろカバーをはずし、それぞれの匂いを嗅ぎます。上部プレート、シロッコファンもはずし、これもそれぞれ嗅いでみます。分解できる部分は、バラすだけバラして、別々に嗅いでみるのがコツです。

気になった点
(1)前カバーの裏側に貼ってある緩衝材のウレタンが化学成分を発していて、吸い込むと頭痛がします。

(2)シロッコファンの上部にグリースが塗ってあって、これを吸い込むと目の痛みや頭痛がします。


(3)全体的にムカムカする化学成分が発散している感じがします。しかし、どこから発生しているのかは確認できません。


対策
 まずはじめに(2)から対策することにしました。2つのシロッコファンをはずして、上部のグリースを拭き取ります。上部プレートの軸受けもよく拭きます。グリースの代わりにワセリンを塗りたくって、もとのように組み立てます。ワセリンは普段肌に塗って使っているもので、私にとって安全なものです。

 運転してみました。少しマシになったような気がするものの、あまり変わりません。原因は他にあるようです。

 もう一回分解して、再び各部分を嗅ぎます。やはり前カバーの緩衝材は頭痛がします。ゴムのような匂いで、胸がムカムカします。ここをビニールとテープで封入していきます。 (写真は上下逆さまになっています。)



 組み立てて運転してみました。少しマシになったような気がするものの、あまり変わりません。原因は他にあるようです。

 さらに各部を嗅いでみると、どうも冷却フィンのあたりが怪しい感じで、気持ちの悪い匂いがしています。すでに体調が悪いので、その中で原因部分をかぎ分けるというのが難しく感じられます。冷却フィンが原因のような気もするし、他の部分が原因のようにも感じられます。冷却フィンを洗浄してみればいいのだろうか? けっこう大がかりな作業になってしまいます。

○原因を突き止める
 その前に、それまで手をつけていなかったコンプレッサー室を開けてみようと思いました。コンプレッサー室のカバーをはずして、内部を露出させます。するとその瞬間、鋭い目の痛みが起きて、思わず後ずさってしまいました。強烈な目の痛みです。

 コンプレッサー室には様々な部品が所狭しと詰め込まれています。はずれる部分ははずして嗅いでみることにしました。



 カバーの裏にはウエスが貼ってあります。嗅いでみると少し目の痛みが出るものの、それほどではありません。コンプレッサーを取り巻いているウエスもはずして嗅いでみました。それほどの刺激はありません。あとはバラせない部分なので、鼻を近づけて嗅いでいってみると、銅製の配管から目の痛みを起こさせる物質が発散しているようです。私は金属が腐食しているものに強い目の痛みを感じることがあるのですが、それと同じ反応のようです。銅管は各所に張り巡らされていて、かなりの分量です。これに対策なんてできるものなのだろうか?と悩みました。

 さらに念入りにかぎ分けてみると、銅管の全体が問題ではないことがわかってきました。どうやら銅管のうちのごく一部、写真の四角でかこんだ範囲が問題のようです。ここだけ何らかの理由で表面がうっすらと腐食して、目の痛みを起こさせる物質が発散しているようです。胃のむかつきも車酔いのような症状も、この物質が原因のようです。



 ためしに粘着テープでこの部分を覆ってみます。形状が複雑なので、うまく覆いきれないのですが、できるだけ覆ってみました。この日は、目の痛みがひどくてうまく効果を判定できないので、そのままカバーをかぶせて、1日置くことにしました。

 次の日、眼痛の症状が若干治まった感じなので、また分解してコンプレッサー室を開けてみました。前日よりは、開けた瞬間の目への刺激は少なくなったように感じました。しかし、まだ痛みがあります。このまま運転するのは難しいでしょう。また車酔いの症状が起きてしまうに違いありません。

 ためしに前日貼った粘着テープをはがしてみると、徐々に目の痛みが強まりはじめ、全部はがし終わる頃には、強烈な痛みになってしまいました。間違いなくここが原因のようです。はがした粘着テープに黒っぽい粉が付着していて、ここから強い刺激物質が発散しています。銅管の表面が腐食してサビのような物質ができているようです。

○問題部分を被覆
 私はじっくりと考えて、ここにアクリル絵の具を塗って封入してしまうことにしました。粘着テープでは、複雑な形状に対応しきれず、どうしても隙間ができてしまいます。絵の具を塗れば、アクリル樹脂の皮膜ができるので、うまく有害成分を封入できるのではないかと思いました。アクリル絵の具そのものにも反応してしまう可能性もありますが、かつて2010年の引越の時に使った白いアクリル絵の具をとってあり、これにはCS反応を起こさないことがわかっていました。(絵の具については、第2部  第6章 「引越」〔3〕 をご覧ください。)

 問題は、あの複雑な形状の銅管に隙間なく絵の具を塗ることができるのか?ということです。筆を使って塗るにしても、まわりの部品が邪魔になって筆先が入らない部分が出てきます。実物を見ながら塗り方を考えたのでは、目の痛みが強くて無理なので、問題の部分を写真にとって、パソコンの画面で拡大しながら、どこをどう塗るのかシミュレーションしました。

 さて、作戦決行日になりました。またエアコンを分解して、例の銅管を露出させます。道具は、クリアホルダーをはがき大に切ったパレットと、プラスチック製のナイフ、アクリル絵の具です。ナイフに絵の具をつけて、銅管にペタペタ塗っていきます。ナイフの他に、一部、厚紙を切ったものも使って塗りました。裏側に絵の具をつけるのに苦労しましたが、何とか全体を樹脂の膜で覆うことができました。

 2時間ほど乾かして、もう一回重ね塗りしました。乾かすときは、アクリル絵の具の匂いを嗅ぐのがイヤなので、エアコンを廊下に出して、そこで乾燥させました。



 大変見苦しい仕上がりですが、しっかりと表面を覆うことができています。完全に乾いたら、組み立てて完成です。

 この状態で運転してみたところ、まだ若干目への刺激は残るものの、吹き出す空気は前と比べ格段によくなりました。長時間運転しても、ほとんど症状を起こさないレベルです。対策が功を奏したようで、ホッとしました。

 CS対策の手順としては、
(1)なるべくバラして各部をかぎ分け、原因を探り当てる。
(2)対策を施してみて、その効果を判定する。
(3)効果がないようなら、原因は他にあるので、(1)に戻って、もう一回やり直し。
これを繰り返しているうちに、いずれ真の原因を探し当てることができ、それに対して対策ができ、効果が現れるはずだと信じています。

(2017年8月)

「火事」へ続く
「スモール・データ・バンク2の目次」に戻る
このページのトップへ
ホームへ戻る