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集合住宅

2010年に一軒家からマンションに引っ越しました。集合住宅は何軒もの住人が密集して住んでいるので、CS・ES的に、一軒家とは違う注意が必要になります。ここでは、その違いや気になった点を書いてみます。過敏症の方が住宅選びをする際の参考になればと思います。

○タバコ
 北海道は全国でも喫煙率が高いところです。約25%で、全国第一位です(国民生活基礎調査、2016年)。私が住むマンションも同じくらいの喫煙率です。自分の部屋にいる分にはタバコの煙に悩まされることはありませんが、マンションの廊下がタバコ臭いことがあります。(北海道では雪の影響があるので、マンションの廊下は、たいていの場合屋内になっています。)ときどき歩きタバコで廊下を通る住人がいて、そのときは廊下中がタバコの匂いに包まれてしまいます。しかし、それも年数回といったところです。

 基本的に、住人が自室で吸うタバコの匂いが廊下に漏れてくることはありませんが、季節的変化によって影響を受けることがあります。毎年秋口になると、室内から廊下に向けて気流ができるようで、喫煙者の部屋からは、少しずつタバコの煙が漏れてくる感じがします。微量なので「匂うかな」と感じる程度のことが多いですが、時にはつらく感じることもあります。タバコの成分に過敏な方は、集合住宅に住むのは難しいのではないかと思います。私は何とか折り合いをつけています。

 夏になると、エアコンがあまり普及していない札幌では、たいていの人がベランダの窓を開けます。そうすると、別室で喫煙した煙が、もろに自分の部屋に入ってきます。このときはさすがに耐えられないので窓を閉めますが、煙に合わせて開けたり閉めたりするので、せわしないです。夏のタバコの煙と、pm2.5などの大気汚染に悩まされるようになったので、2014年にエアコン(クーラー)を買いました。窓用エアコンで、簡易に設置できる小型のものです。このエアコンについては、「スモール・データ・バンク2 エアコン(クーラー)」で詳しく書きました。

 真夏の暑い日になると、ベランダの窓だけではなく、廊下に通じる玄関のドアを開ける人が出てきます。2カ所の出口を開けることで、部屋に風が通り抜けるようにするためです。こうなると、タバコの煙が廊下にも漏れ出てくることになり、廊下を歩くたびにさらされてしまいます。これは自室の対策だけでは防げないので、困っています。幸いなのは、常時喫煙しているヘビースモーカーはいないということと、廊下を歩く時間が短い、ということでしょうか。何とか折り合いをつけて過ごしています。

○灯油
 私が住むマンションは、ガスFFストーブが標準装備になっています。たいていの住人はガスストーブを使っていますが、中には、わざわざ灯油を買ってきて、灯油ストーブをつかう人もいます。ガス代がとても高いのです! 北海道は本州に比べて寒いので、1シーズンの暖房代がバカになりません。ストーブを焚く期間は、標準的にいって、10〜4月の7ヶ月間に及びます。暖房代を浮かせようと、灯油ストーブを使うわけです。

 その人たちが部屋でストーブを焚いている分には、私の体への影響はほとんどありません。しかし、中には、ストーブに給油するのに、廊下で作業をする人がいます。そのとき、廊下に灯油をこぼしてしまうのです。直後から、廊下中に灯油の匂いが漂い、しばらく消えてくれません。頭痛や、胸のむかつき、息苦しさなどの症状が出てしまいます。

 幸いなことに、灯油の成分は半日くらいで揮発して匂わなくなります。乾いてしまえば、症状は治まります。私の場合はこのくらいですが、灯油に強い過敏性を持った人にとっては、厳しい環境だと思います。

 ある時、ふだんの量を超えて、灯油を大量に廊下にこぼされたことがありました。このときは、廊下中に灯油の匂いが立ちこめて、たまらない具合悪さになりました。自室のドアを閉めても、強い灯油臭は部屋に流れ込んできました。強い頭痛や吐き気でフラフラになりました。とても耐えられないので、玄関のドアをマスキングテープで目貼りしてみました。若干灯油の臭いは抑えられたものの、まだ耐えられるレベルにはなりません。今度は大判のビニール袋を切り開いて貼り合わせ、玄関ドアの大きさにして、ドア全体を覆うようにマスキングテープで貼り付けてみました。この対策によって、灯油の匂いはほとんどしなくなり、症状を抑えることができました。翌日までには、大量の灯油は乾いて、ほとんど匂わなくなっていました。1日でどれだけ多くの揮発成分が廊下に充満したことでしょうか・・・。

 このときはさすがに問題だと思って、マンションの管理会社に連絡しました。管理会社の人がこの住人に電話して注意してくれたようです。その後、大量に灯油をこぼすことがなくなって、助かりました。

 秋口に、灯油ストーブの人たちが暖房を使い始めると、一時的に廊下に古い灯油の匂いが漏れ出ることがあります。私にとって苦手な匂いですが、それも新しい灯油を使い続けると、マシになってきます。ガスストーブの人たちの部屋からも、シーズンはじめはホコリが燃えるような匂いが出てきます。それも焚き続けるうちに収まってきます。初冬の風物詩です。

○リフォーム
 マンションから退去者が出ると、すぐにクリーニングとリフォームの業者が来ます。部屋を掃除し、壁紙の貼り替えなどをしていきます。そのときに業者が部屋のドアを開けると、廊下までものすごい化学臭が漂ってきます。しかし、部屋の気密性が高いせいでしょうか、ドアを閉めるとほとんど匂ってきません。とはいえ、あんなに化学物質の匂いが強い部屋に、人が住んで大丈夫なのかと勝手に心配したりします。

 2011年頃までは、退去者が出ると、直後に完全に部屋をきれいにしていましたが、すぐに入居者が決まらなかったりで、だんだんと緩くなってきた感じがします。退去しても部屋をそのままにしておき、入居者が決まってから直すようになってきました。新しい人が入居しやすくするために、部屋をあまり直さず、その分家賃を下げて貸しに出すケースも見られるようになってきました。大家さんも空室が多いと困るからでしょうか。このような動きはCS患者にとっては、わずかながら朗報と言えるのではないでしょうか。経済状況の変化によって、この後も変わっていく可能性がありますが、直後にリフォーム一辺倒ではなくなってきたことを表しています。選択の幅が広がったかもしれません。

○改修工事
 2013年に、私が住むマンション全体を大規模改修工事する計画が持ち上がりました。内容は、外壁全体を洗浄して塗り直す、ベランダの防水工事、故障箇所の修理など、とにかく建物全体を徹底的に直すという計画です。この工事が私の体にどれだけの影響を及ぼすのか?と思うと、身震いしました。洗浄剤や塗料が大量に使われることも懸念しましたが、何よりも怖かったのは、外装の金属部品を切断、補修することによって、金属の粉が飛び散ることです。私は粉末状の金属に対して強い目の痛みを起こします。(詳しくは「第2部 第4章 目の痛みの症状〔2〕様々な原因物質への反応 f.金属の粉末」をご参照ください。)

 ベランダの防水工事にしても、防水シートを接着剤で貼っていくとのことなので、大量の接着剤やシーリング剤などが、どれだけ影響を及ぼすのか想像がつきませんでした。とにかく不安だらけの状況でした。

 ところが!! この計画が決まりかけた直後に、2020年東京オリンピック開催が決定されました。それに伴い、北海道中の建築従事者が東京に向かって移動し始めました。オリンピック関連の建築ラッシュが始まるため、実入りのよい仕事を求めてのことです。北海道内の建築従事者は減少し、工務店や建築業者は作業員を確保するのに大変です。そのため、あらゆる建築工事の費用が上がってしまい、うちのマンションの修繕計画も、その例外ではありませんでした。当初の2倍以上の工事費用がかかることになり(管理会社の説明では、突然の値上げを要求されたそうです)、この計画は頓挫しました。私にとっては「助かった!」というラッキーな展開でした。

 しかし、うちのマンションは1980年代に建てられたもので、築30年以上経っています。あちこちガタが来ているので、補修しないと、どうなっていくのか心配ではあります。

 その後、補修計画の話は立ち消えになったかのように思われましたが、2014年の夏になって、ほんの小規模な修理工事が行われました。外壁の壊れているところを補修し、そこだけペンキを塗りました。他はベランダの手すりに塗料を塗り直しただけです。(前の塗料を落としたり、サビを落とすこともせず、ただ重ねて塗っただけです。) 塗装した日は1日だけ匂いましたが、夏だったので、すぐに揮発して翌日には収まりました。

 東京オリンピックが終わったら、本格的な大規模改修工事が行われるのでしょうか? その懸念がないわけではありませんが、あれから5年の月日が経ち、経済状況も変化し、このマンションも管理業者や大家が変わったりしたので、かつての計画通りの工事が行われることはないように思えます。

 この出来事に関連して思い出したのですが、ここ数年、2017年の現在に至るまで、近隣で建築工事をすることがほとんどなくなりました。「スモール・データ・バンク2 火事」で書きましたが、火事のあと空き地になった近所の土地も手つかずのままです。ほとんど意識せずに過ごしていましたが、CS患者にとってはありがたい状況であります。しかし、東京オリンピックが終わったら、東京に行っていた建築作業員たちがドッと北海道に戻ってきて、一気に様々な工事を始めるのかと思うと、今から戦慄を覚えます。

(2017年11月)

「浄水シャワー」へ続く
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