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第6章 引越

(2017年 4月15日 UP)

目次

〔1〕古い家での生活

〔2〕生活環境の悪化

〔3〕引越に向けて

〔4〕引越の効果

注:この章では、2011年に書いた原稿を2017年にアップロードしています。

*CS:化学物質過敏症、ES:電磁波過敏症


第6章 引越

〔4〕引越の効果
○めざましい改善
 この引越によって、引越前の多くの問題点を解決・改善することができました。表にまとめてみます。

   

引越前

結果

引越後

水道

サビ

赤水が出て強烈な目の痛み。洗濯物がサビで染まる。

解決

サビ水はなし。目の痛みなし。洗濯は快調。

凍結

一冬に数回凍結。水抜きしても凍るので、凍結防止の策なし。

解決

一度も凍結なし。

せっけんカス

洗濯の度に大量のせっけんカス。汚れが落ちない。せっけんカスで目の痛み。仕上がりが脂ぎっていて、衣類に通気性がない。

解決

洗濯時にせっけんカスは出ない。

木造

カビ

2008年頃から高温多湿の気候になり、家中が猛烈なカビ。カビだらけで収納(押入など)が使えず。家の構造部分もカビていて対策のしようがない。家中カーペット敷きで、ダニやカビがいっぱい増える。掃除機をかけても取り切れない。

改善

新居は多湿ではなく、少しのカビ対策でOK。クッションフロアなので、掃除しやすい。

建材

床下の防腐剤が家の中まで漂ってくる。神経に症状が出るが防げない。

解決

室内のCS対策が奏功。

電磁波過敏症

木造なので、外界の電磁波を素通し。携帯電話の中継アンテナから100mの距離にあり、電磁波の影響を強く受ける。2008年頃からES症状が悪化し、全身お痛みや怠さで生活が不自由に。軽い家事をするのもつらい。

改善

鉄筋コンクリートの建物。窓に鉄線が入っていてシールド効果がある。かなりの電磁波軽減効果があり、体が軽く動かしやすくなった。

暖房

灯油

灯油の匂いに反応して、十分な暖房をできず、極寒の生活。灯油購入のたびに苦労。

解決

ガスFF暖房にCS反応なし。

寒さ

ストーブの塗料や灯油に反応して充分な暖を取れず。寒さのために水道が凍結、破裂。

解決

鉄筋の建物+ガスFF暖房で暖かい。

通勤

 

冬道の運転が危険。車のエアコンが壊れたので、暖房なしで運転。冬期はフロントガラスが凍り付いて危険。

解決

職住接近で、徒歩で通勤できる。冬道の運転の危険なし。


○夫の暮らしぶりも改善
 夫とそれぞれワンルームを借りて部屋を分けたメリットもありました。電磁波過敏症に関しては、夫はそれまで私の体質のために家で使えなかった電気製品を使えるようになりました。このマンションは鉄筋コンクリート造りで、窓に鉄線が入っており、ドアも金属製なので、シールド効果があります。外からの電磁波を低減させる効果があるようです。ワンルームの1つ1つが独立したシールド空間となっているので、同じ建物内であっても、夫は自室でノートパソコンなどを使えるようになったのです。木造の家では、私の体に強い症状が出るため、使うことができませんでした。引っ越す前は、私が外出中に家で使うか、夫が外出先(会社など)で使うしかありませんでした。携帯電話も自分のものを手近において、使えるようになりました。化学物質過敏症に関しては、夫は引越前よりかなり自由に料理をつくれるようになりました。前の家で台所を共有していたときは、私がいちいち食材に反応を起こすので、おっかなびっくり料理をしていたのです。自分でつくりたいものがあっても、1つ1つの食材について、私の反応を確かめなければならなかったので、億劫になっていたようです。引越後は自室で好きなものをつくって食べられるようになりました。私は炒め物をしているときの油煙や、オーブントースターの焦げ付いた匂いにもCS反応が出ます。これらのものを自由にできるようになったので、夫の料理の幅は広がりました。

○様々な変化
 他にも引越によって変わった点、気づいた点を書いてみます。新居の住環境について:集合住宅なので、他の居住者からの影響を受けることがあります。特に目立つのはタバコの煙で、夏場に窓を開けているときなどは、もろに浴びることになってしまいます。他の部屋でタバコを吸っている人がいると、その煙が窓から入ってきてしまいます。そのつど窓を閉めて対応しています。札幌は涼しいので、夏場もあまり蚊が発生しません。そのため、蚊取線香の煙や電気蚊取のガスに悩まされることはなく済んでいます。

 マンションの東側の道路に街路樹があるのですが、春から夏にかけて、殺虫剤散布が行われます。何度か行われますが、その都度2週間ほど窓を開けての換気ができなくなります。

 以前住んでいた家は札幌市の西側の山あいにありました。標高が高いので、冬は寒く、平地より3度くらい気温が低かったです。冬の冷え込みは大変強い地域でした。引越後は平野に住んでいるので、極端に寒くなることはなくなりました。かつての木造の家では、外気温がダイレクトに室内に伝わってきましたが、引越後の鉄筋のマンションは、もっとずっと断熱性があります。冬は暖かく、夏は涼しく感じます。もと住んでいたところは標高が高かったにもかかわらず、夏場は大変蒸し暑かったです。山や川がある自然豊かなところだったので、平地よりむしろ湿度が高かったような感じがします。気温も室温も平地と同じか、それより高くなりました。木造の家なので、湿気をもろに吸って、家中がジメジメしていました。引越後のマンションは、比較的乾燥しているように感じます。

 電磁波過敏症はとても楽になって、体を動かしやすくなりました。私は引越後しばらく自分の部屋で寝ることができず、会社の事務所で寝ていたのですが、毎日起きると、キャンプベッドをたたんで、オフィス中を掃除しました。引っ越す前の家では、体がだるくて痛みが強いため、掃除機を持ち運ぶのがつらくてしかたありませんでした。鉄筋コンクリート造りのこのマンションでは、毎日しゃきしゃきと動いて、掃除機をかけることができます。初めの頃は、掃除機をかけるたびに、ジワーッと湧き起こってくる喜びをかみしめていました。前の家のカーペットの床に対して、こちらはクッションフロアです。掃除機がけすると、汚れがきれいに取れてさっぱりします。部屋の空気も、以前のようなホコリやカビっぽさがなくて快適です。新居の自宅も、楽に掃除機がけができるようになりました。こまめに掃除ができるので、アレルギー症状も軽くて済んでいます。

○冬の水道問題も解決
 引越してすぐの冬、2011年の1月に、札幌は再び寒波に見舞われました。気象統計上、それまでにない長期間の冷え込みです。鉄筋コンクリートにガスFF暖房の新居では、水道の凍結の恐れも、寒さの心配もありませんでした。夫と2人で「もし引越していなかったら、大変だったね」と話しました。もし、もとの家に住んでいてこれだけの寒さが続いたら、必ず水道は凍結していたでしょう。私たちにそれを防ぐすべはありませんでした。あとで元の家の大家さんに聞いた話では、案の定、冬の間完全に水抜きをしていたにもかかわらず、空き家だった元我が家は、水道管が破裂したのだそうです。春になって、壁から水がしみ出てきたのでわかったと言っていました。直すのが大変だったそうです。

 
 引越から1年以上たった今でも、ときどき夫と「引越してよかったね」と話すことがあります。たくさんの困難を乗り越えてようやく実現した引越。まだまだ新居の暮らしでは課題もありますが、満足して暮らしています。

(2011年7月)


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