021:吸血鬼
「吸血鬼といえば、俺はポーの一族を連想するが。」
「いや、彼らは吸血鬼ではない。 永遠の時を生きる一族、バンパネラだ。 吸血鬼とバンパネラを混同することは彼らに対する冒涜となる。」
「……え? えらく気合いが入ってるな。」
「当然だ! ポーの一族といえば少女漫画の金字塔、その精緻な描写は全ての批評家の激賞するところだ。
むろん、私もその例外ではない。」
「わかった、わかった! それじゃぁ、吸血鬼というとやっぱりドラキュラだな。 特徴としては、ニンニクの匂いを嫌い、十字架に弱くて、朝日に照らされると砂になり、心臓に銀の弾丸を撃ち込まないと死なず、若い娘の血を好んで吸い、その犠牲者も吸血鬼になり、寝るときは棺の中、といったところだが。」
「う〜〜〜〜む、どれも好ましくない。 とくに棺から起き上がる気分は二度と経験したくない。」
「あ………ともかく、この世に好ましい吸血鬼なんていないんだよ、あきらめろ!」
「では、この項目はパスか?」
「う〜ん、それもなぁ………そうだっ! お前が美しい若い娘になって、俺は長身で冷たい美貌が冴えかえる青年吸血鬼になる。
で、お前はそれと知らずに俺に恋をして、とある夏の宵に逢引をし、そこで俺に首筋を噛まれそうになるんだよ。」
「えっ?!」
「でも、俺は美しいお前を吸血鬼にすることが気の毒になり、募る恋心を打ち明ける。 しかし、暗い夜にしか逢えないことにお前は不満を持ち、明け方の森の散歩に俺を誘うんだ。 何度も断ったがついに断りきれず朝日の昇るまでお前と一緒にいた俺は最初の朝日を浴びて、お前の目の前で砂になって消えてしまうんだよ。 どうだ、紅涙を絞らずにはいられないだろう!」
「ミロ………………それは、私がハーデス城で露の命を終えたときと同じだ………」
「あ………」
「あの時は………あの時の私は………」
「カミュ………」
「お前の来るのを待ち焦がれ………見えない目で、話せない唇で、感じない腕で、お前のことをどれほど探したか知れぬ………」
「すまない………カミュ…」
「逢いたかった………私の……ミロに………たとえ冥衣を纏っていても心はアテナの聖闘士であるとお前に信じて欲しかったのだ………ミロ……」
「わかっているよ………わかっている、なにもかも………ほんとうだ、俺の大事なカミュ………」
「もう二度と離してくれるな………私もお前を離さぬゆえ……」
「ん………誓うよ、俺の全身全霊を上げて誓う。 お前を二度と離さない。」
「ミロ………」
「こんなに、こんなに愛してる………」
022:仙人
「ぱふぱふ、だな。」
「………え? ぱふぱふとは、何のことだ?」
「知らないなら知らないほうがいい。 それに俺もそれに関しては興味関心はない。
それより仙人だが、具体的に誰か知ってるか?」
「具体的に………久米仙人しかいない。」
「久米仙人って?」
「大辞林の記述によると、大和国吉野郡龍門寺に籠もり仙人となったが、飛行中に吉野川の岸辺で衣を洗う若い女の白い脛
( はぎ ) を見て神通力を失い墜落。 のち法力を取り戻し、高市郡遷都の折、山上の材木を空中を飛ばせて運んだので、免田三十町を与えられ久米寺を建てたという。
今昔物語にも出ている伝説上の人物だ。」
「ふ〜ん………偉いような偉くないような……。 俺の知ってるのは亀仙人だ。」
「亀仙人とは?」
「あ〜、それも知らないんだ! ドラゴンボールの登場人物だよ。 かめはめ波の使い手で、実力としてはかなりのものだ。
ただ惜しむらくは女好きで、俗界に馴染みすぎている。 テレビを見たりコーラを飲んだり、アロハシャツを着てサングラスをかけてるところなんかは仙人のイメージからはほど遠い。
昔は雲に乗れたのに、色気を起こしすぎて乗れなくなってるんだぜ! 心のきれいな悟空はよい子だから雲に乗れるって設定だ。」
「ふうむ………私の知っている久米仙人も女性の素足を見て情欲を起こし、雲から落ちて法力を失ったというから、どちらもどちらだな。
おそらく久米仙人から亀仙人を導き出したのだろう。」
「情欲を起し………ずいぶんはっきり言うんだな。 大辞林の記述にはそこまでは書いてなかったように思うが。」
「そうか? しかし、意味するところはそういうことだろう。」
「ちょっと言っておくが、俺は小宇宙を失ったりはしてないからな!」
「……え? 何のことだ?」
「わからなきゃいいんだよ、わからなきゃ。 すると仙人なんて、ろくなものじゃないってことか?」
「いや、待て! 仙人を名乗ってはいないが、仙人としか思えぬ方がいる!」
「えっ? どこに?」
「老師だ。」
「あ………」
「中国五老峰の大滝の前に座すこと二百猶余年、常人には考えられぬほどの長寿を保ち、その実力・人格ともいまだに我ら聖闘士の鑑であられる。 老師を仙人といわずして、誰を仙人と言おうか!」
「なるほど、それは確かに!老師が女の色香に迷った話など聞いたことがないからな。」
「説話やコミックスを紐解かなくとも、我々の身近に仙人はいる。 なんと素晴らしいことではないか。」
「すると俺は仙人と一緒に露天風呂に入ったわけだ。」
「滅多にない経験だ、良かったではないか!」
「お前も仙人の腰をさすっただろう。」
「うむ、得がたい経験だった。」
「すると俺たちも長生きすると仙人になれるっていうことか?」
「私は、なる自信がある。」
「え? 俺は?」
「お前は俗念がありすぎる。 無理だと思うが。」
「どうしてっ??」
「でははっきり言おう。 お前からは常に 『 抱きたいオーラ 』 が出ているが、私は
『 抱かれたいオーラ 』 など出した覚えはない。 その差だ。」
「そ、そんなオーラは………」
「身に覚えがないと言うのか?」
「覚えは………ある…………で、でもお前だって!」
「私から誘うようなことは極めて稀だ。 このサイトの話の中で、そのようなケースを即答できるか?」
「………え? え〜と………」
「ゆえにお前は仙人にはなれない。」
「あ〜あ………お前ばっかり……」
「しかし、」
「……え?」
「お前を残して私だけが仙人でいるのは耐え難い。 よって、」
「……よって?」
「シベリアの永久氷壁の前で座禅をしていても、お前が天蠍宮で一人寂しく枕を抱いて寝ている姿を望見したら情欲を起こして仙人の地位を捨て、俗界に戻りお前と添い遂げるつもりだから安心するがいい。」
「ええと、それはありがたいけど、俺たちそのときは何歳だ?」
「20+243だ。」
「嫌だっっ!!!」
023:ダンサー
「dance + er でdancer、すなわち 『 ダンスをする人 』 だ。」
「わかるよ、 Bartender と同じことだろう。」
「英語ではダンスをする人を意味するが、ここでいうダンサーは職業的にダンスをする人、踊り手・舞踊家のことだと考えたほうがいいだろう。」
「ふ〜ん、舞踊家ね………武闘家なら知ってるが。」
「え? 何のことだ? 舞踏家か?」
「すまん、ダンサーとは関係ない。………いや、待てよ? おおいに関係がありそうだ。」
「え?」
「武闘家っていうのは武器を使わずに身体を使っての闘いをするんだよ。 武器を使わないっていうところは聖闘士と同じじゃないか。
そして、聖闘士で舞踊家に一番近いのは俺の思うに氷河だ!」
「えっ! 氷河が?」
「だって、そうだろう。 氷河がダイヤモンドダストを放つ前の一連のポーズは踊りに酷似してないか? 白鳥ダンスといっても過言ではない。」
「う………それを言われると…」
「前から疑問だったんだが、師のお前がダイヤモンドダストを撃つときはごく普通なのに、どうして氷河はああなんだ? 俺の思うに、あのポーズをつけている間に敵に攻撃されたらまずいだろうが。 技は一瞬で放つほうがいいぜ。」
「それについては私もほとほと困っている。」
「え? お前が?」
「むろん、私はあのような様式を教えてはいない。 しかし、幼かった氷河がダイヤモンドダストを放つまでに自己の小宇宙を高めるためには相当の集中力が必要で、そのためにあの動きが必要だったらしい。」
「あれが………必要?」
「氷河は案外と自己陶酔するタイプで、私が半日留守にして帰ってみると得意満面であのポーズのあとにダイヤモンドダストを撃って見せ、にこにこしながら 『 先生、とうとうできました! まだ未熟だけれど、僕にもできたんです! 』 と言ったのだ。 さすがにあのポーズには唖然としたが、慣れてくれば瞬時に撃てるようになるだろうと思い、その場は賞賛した。 せっかくできて喜んでいるのに、まさか、そのポーズはよせ、とは言えまい。」
「う、う〜む………」
「しかし技の精度と威力が増しても氷河はあのポーズに固執した。 お前の言うとおり、技は瞬時に放つのがよいとは言ったのだが、この一連の動きで敵の動きを封じ、究極にまで高めた小宇宙で一気にダイヤモンドダストを放つと言い切るのだ。 そもそも白鳥座なのだからそのほうが美しくふさわしいとも言った。 そこで今さら無理に変えさせてもかえって本人のためにならぬと思い、容認することになったのだ。」
「ふうん………あれって、自己陶酔から来てるのか。 自己陶酔といえばナルシストだよな。」
「そうとも言える。」
「すると、おのれの美しさに惚れこむタイプか? 氷河は。」
「え? そんなことは考えたことがないが。」
「そうだよな、美しさならお前がはるかに勝っているのは全宇宙公認の事実だ。 でも、待てよ?
氷河がダンサーだとすれば、それもありなんじゃないか。 ダンサーなら舞台で踊るときは全身で踊る喜びを感じるものだと思うぜ。
踊りこそ命、踊っているときこそ生きている自分を実感するんだと思う。 自己陶酔して当然だ。 そして踊りは自己表現だ。
氷河は踊ることにより独自の技を身につけたということだ。」
「ふうむ………そういえば、たしかお前も足を後ろに高く上げた独特のポーズを有していなかったか?」
「………え? ええと、あれは……」
「氷河のことばかり言ってくれるが、私に言わせればあのポーズも隙が多く、敵の攻撃を避けにくいと思うが。」
「あ、あれはだなぁ、自分よりはるか格下の敵と闘うときにたまにやったことがあるだけだ。 余裕だよ、余裕!」
「自分を大きく見せて相手を威圧する目的か?」
「そう、そう、そういうこと!」
「すると、孔雀の雄が尾羽を大きく広げて他の雄を負かそうという示威行動と等しいな。」
「うんっ、それだよ、それ! で、美しさで圧倒して他の雄をしりぞけて意中の雌を我が物にするってわけ♪」
「あっ………ミロ、なにを!」
「だって、俺、孔雀の雄だから♪ 」
「でも、あの、どうして、ダンサーの話からこうなるのだ??………ミ………ロ……ああ……」
「お前を俺の腕の中で踊らせてやるよ………まずはチークダンスからだ♪ で、最後はランバダね♪♪」
「………」
024:使徒
「使徒って………エヴァンゲリオンの?」
「エヴァンゲリオンとはなんだ? エヴァンゲリストなら福音伝道者のことだが。」
「……は? そりゃ、なんだ? しばらく前に 『 新世紀エヴァンゲリオン 』 っていうアニメが物凄い人気を博したことがあるが、それに使徒っていうのが出て来るんだよ。」
「知らぬな。」
「ああ、俺も詳しいことは何も知らん、一度も見たことがないからな。 なんでも、使徒っていうのが攻めてきて、それを迎え撃つのが零号機とか初号機とかいう、たぶん巨大なロボット風の戦闘型モビールスーツみたいな乗り物で、それの操縦士に抜擢されるのが少年少女数人で、ええとたしか綾波レイっていう美少女がひどい怪我をして、それがものすごく人気になった筈だ。」
「………なぜ?」
「さあ、俺にもよくわからん。 ええと、たしか惣流・アスカ・ラングレー、とかいう女の子もいたような気がする。
俺が知っているのはそれだけだ。」
「………さっぱり要領を得ないな。 で、使徒というのは宇宙人なのか? それとも未知の敵の放った巨大ロボットかなにかなのか?」
「さあ?」
「さあ、って………、まあいい。 お互い知らぬことの話をしても益はない。 それよりもキリスト教の十二使徒の方が普遍的だろう。」
「十二使徒って?」
「諸説あるが、一般的にはキリストの教えを受け継ぐ十二人の高弟のことだ。
ルカによる福音書によれば、キリストの復活の証人であり、生前のキリストと行動をともにしたものでなければならないともいわれている。
有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた 『 最後の晩餐 』 はお前も知っているだろう。あそこに描かれているのが十二使徒だ。」
「ああ、あの絵なら知ってるぜ! キリストを売ったユダはどれでしょう? っていうのがよくクイズになったりしてる。
たしか最近画面の洗浄が行われて、描かれた当時の鮮やかさを取り戻したんじゃなかったか?」
「うむ、原画はミラノにあり、420cm×910cmの巨大なものだ。 使徒といえばヨハネやペトロやヤコブといったこの弟子達のことを考えるのが妥当だが、私たちがもし使徒になったら、という仮定そのものが成り立つ筈はない。
なにしろ2000年前のキリストの弟子のことなのだからな。」
「いや、待て!」
「え?」
「十二人といえば俺たち黄金聖闘士の数と一致するし、キリストとアテナを対比させることにより、使徒と俺たちの間には立派に共通点があるとは思わんか?」
「え? ……え?」
「とすると、キリストを売った、裏切り者の代名詞ともなっているユダはサガになぞらえることができるじゃないか!」
「えっ?!」
「考えてもみろ! 聖闘士は日本語でこそ聖なる闘士、つまり神に祝福された清らかな戦士という意味だが、Saint
という語の意味は聖人、聖者だぜ。 これってかなり使徒に近いんじゃないのか?」
「ううむ………宗教の教義は奥が深い。 一概に似ているというのはいかがなものか。」
「一概でも二概でも、俺は、エヴァンの使徒よりも十二使徒の方が俺たちの立場に近いと思う。」
「ええと、それは確かに。」
「だろ♪ やっと意見の一致を見たな、嬉しいね。」
「だが、サガにはこのことは言わぬほうがよいだろう。 ただでさえ教皇僭称のことを気にしているのだ。 このうえユダになぞらえられたことなど耳に入ったら心的ダメージは計り知れない。」
「ああ、わかってる。 では、これを読んだ読者諸氏もけっして他言は無用。
サガにメールなど送らぬように留意願いたいものだ。」
「それは大丈夫だろう、サガのメルアドを知っているのはごく少数の親しい者に限られているからな。 」
「ふうん……俺は知らないが。」
「え? そうなのか?」
「……え? お前、まさか、知ってるのか??」
「むろん知っているが、ミロは知らなかったのか?」
「………ちょっとサガと話をつけてくるっ!!」
「あっ! ミロ! ミロ〜〜〜っ!!」
025:伯爵
「伯爵といえば、公・侯・伯・子・男の五爵位ではちょうど真ん中に当たる。
ちょっと訊ねるが、トゥールーズ伯爵とはどのような人物なのだ? やはり黄金の誰かになぞらえられているのだろうか?」
「さあ? 俺もまったく知らん。 馬車が着いてからのお楽しみだ。 もっともほんとうの楽しみはそんなことではないと思うぜ、わかるだろ♪」
「え………あのぅ………そ、そんなことより伯爵はどうする? トゥールーズ伯爵のイメージがないのだから他の伯爵というと……」
「むろん、モンテ・クリスト伯爵だろう! 知力・財力・権力・容姿、どれをとってもまったく問題はない。 とくにあの有り余る財力で不可能も可能にしてしまうところは、うん、溜飲が下がる!」
「確か、彼の幸運に嫉妬したフェルナンによって無実の罪を着せられてマルセイユの沖に浮ぶシャトーディフの牢獄に14年間も投獄されたのだったな。」
「そして、美しい婚約者のメルセデスを奪われ、青春の全てを冷たく暗い独房で過ごしたのだ!
許せんな!」
「しかし、ついに脱出し、牢の中で知り合ったイタリア人のファリア神父の教えてくれた通りに、モンテ・クリスト島で巨額の財宝を手に入れた。 そして彼は自分を陥れた者たちへの復讐を開始するのだ。」
「しかし、冷血漢じゃないぜ。 昔、世話になったモレル氏の息子には惜しみない援助をするし、彼が仇の娘と恋に落ちているのを知ったあとは、苦しみながらもついに二人の幸せのために尽力する。
獄中生活は長くても人の心は失わなかった。 そこがいいんだよ、復讐だけの人間じゃない。
苦しみながら最後には自分の幸せを手にするんだからな。」
「モンテ・クリスト伯も有名だが、作者のアレクサンドル・デュマは三銃士も書いている。
どちらが好みだ?」
「う〜〜〜む、そう訊かれても……どっちも面白いからな。 そうだっ、三銃士風の話は仏蘭西物語になっているんだから、今度はモンテ・クリスト伯の話ができればいいんじゃないのか? そうすれば比べるのは簡単だ。」
「え?」
「まず俺が主人公になって、お前がその恋人。 この場合はほんとうの女性がいいだろう。
で、俺の幸運をねたんだフェルナンは当然サガだ。 お前を奪ってうまく言いくるめて結婚までしてのけるんだから黒サガだな、こいつは!
まったく許せんな! で、俺は獄中でファリア神父ならぬ老師と出会い、財宝のありかを教えてもらう。 フェルナンの友だちでやつをそそのかした友人役はデスマスクだ。
きっと二つ返事で引き受けてくれるだろう。 俺の友人兼使用人兼相談役には当然アイオリアだ、うん、あいつはいいやつだからな♪ お前の息子は……」
「息子っっ!!!」
「だって原作では息子がいるんだからしょうがないだろ、我慢しろ。」
「我慢って………」
「う〜ん、14年間の獄中生活だとちょっと長すぎて、年齢が………よしっ、5年間に短縮すればいい。
べつにデュマも気にしないだろう。 すると俺とお前は25歳、黒サガが33歳だ、妥当だな。
で、息子が貴鬼だ、いろいろあったがお前の息子だ、可愛がってやるから安心してくれ。」
「貴鬼が息子っ!………それなら私ではなくてムウのほうが適役だろうに!」
「わかってないな、俺の恋人役なんだからムウじゃだめなんだよ。」
「しかしっ!」
「最終的には俺が黒サガを破滅させてお前をこの手に取り戻す。 紆余曲折の末に二人は幸せになるんだよ、どう?」
「う、う〜む………」
「大丈夫だよ、デュマはこの作品に関しては色艶シーンは入れてない。 」
「……色艶っ!]
「そのかわり最後のシーンで俺との世にも美しいラブシーンを採用することを約束する。」
「ミロ………」
「ん? なに?」
「私たちは双方とも男ゆえ、権利も義務も機会も平等だと思うが。」
「……え? それはそうだが。 それがなにか?」
「では、私がモンテ・クリスト伯になり、お前が恋人役になることを提案する。」
「なにっ?!」
「私が5年間獄中に入り老師に教えを受けている間、お前は黒サガと結婚し一児をもうければよい。」
「俺がサガとっっっ!!」
「黒サガが満足するまで存分に抱かれて、愛欲でも情欲でも肉欲でも勝手に起こさせるがよかろう。
女性になるという設定だから、なんの不自然なこともない。 どうだ?」
「どうって………そ、そんなことは……」
「嫌か?」
「嫌だ…」
「では、私も嫌だ。」
「………あ〜あ、俺が悪かったよ、うん。 すると伯爵になるっていう i f の話はパスか?」
「あとはドラキュラ伯爵とか。」
「う〜〜ん、この間も考えたがあまり感心しない。 お前だって棺から起きたくはあるまい。」
「うむ、御免こうむる。」
「……待てよ? いたいたっ、ドリンコート伯爵!!」
「あっ!」
「小公子セドリックの祖父が、たしかドリンコート伯爵だった! あの話はいい! 俺とお前でぜひやりたい!」
「私たちが伯爵でなくてもよいのか?」
「緊急避難措置だよ、ほかにいい伯爵がいないんだからしかたあるまい。 お前がセドリックで俺はお前と友達になる役がいい。
伯爵領の門から屋敷までは馬車でもかなりあるし、見渡す限りの土地は自分の領地だと伯爵が言っていた。 そういう舞台こそ俺たちにふさわしいというものだ。
お前がシックな紺のベルベットの服を着てサテンのサッシュを締めて、きれいな髪を長くして広い居間の暖炉の前に立っているところは最高に絵になるぜ!」
「そう…かな?」
「そうだよ、絶対だ! ああ、早くお前の小公子姿を見たいっ♪ 将来のドリンコート伯だ♪♪」
「ええと………」
026:ギャルソン
「コム・デ・ギャルソン、っていうブランドがなかったか?」
「Comme des Garcons 、フランス語で、少年のように、という意味だ。」
「ああ、お前のフランス語の発音ってほんとうにいいな! 心が、いや五体が震えるぜ♪」
「そうか?」
「そうだよ!そして、それを聞けるのが俺だけっていうのがまたなんとも………♪
ふっふっふっ、最高だ!」
「ええと、ギャルソンについてだが…」
「で、ギャルソンっていうのが少年なんだろ♪ で、フランス語なんだから基本的にはフランス人の少年のことだと解するべきだろう。
するとだ、かつて聖域に史上最高の美質を誇るギャルソンがいて皆に愛でられて、今は成年を迎えたがその美質にはさらに磨きがかかり、当然の帰結としてこの俺の腕の中で………!
ああっ、たまらんっ!!」
「ミロ! 一人で酔っていないでギャルソンのことを考えてくれないと困るのだが!」
「………え?考えてるつもりだが?」
「ギャルソンとは、現代日本ではフレンチレストランの男性の給仕、すなわちウェイターのことを指すことが多い。
料理を運ぶだけでなく、客の質問に的確に答えられるようにワインや食材に関する知識も必要とされる。」
「レストランねぇ………そんなところで俺とお前が給仕をするっていうのはあまり………あっ!!」
「どうしたのだ?」
「いたぜっ、気の効いたギャルソンが! 聞いて驚くな、西洋骨董洋菓子店のギャルソンだ! あれなら俺とお前にピッタリだね♪」
「西洋骨董洋菓子店とは?」
「えっ? 知らないの? よしながふみ描くところの傑作漫画だよ。 素晴らしい西洋骨董の食器を惜しげもなく使うケーキ屋で、そこに勤めている男達が揃いも揃って超美形!
で、そこの天才的パティシエは魔性のゲイという設定だ。」
「魔性の……なに?」
「いや、それはこの際いいんだけどさ、ともかくあそこみたいな店で働くんならギャルソン、おおいに結構だね! 俺とお前でぜひやりたい!」
「急に風向きが変わったな。」
「だって、ジノリとかウェッジウッドとかマイセンとかバカラとか、そういう最高級の食器にハイセンスなケーキが乗ってるんだぜ。
似合いすぎる! それを俺たちが運んでみろ! 客の視線は集中だ! ああっ、お前に惚れこむ奴がいるかもしれんっ、心配で夜も眠れない! いいか、手紙なんか貰っても握りつぶせ、お前には俺がいることを忘れるな!」
「手紙って、なんの?」
「だから、休みの日にお茶しましょうとか、閉店後に待ってますとかの誘いの手紙だよ。」
「私は手紙というものをお前以外から貰ったことがないので、初めて外部の人間から貰ったものを握りつぶすなどという不人情なことはしたくない。
きちんと読んで対応したい。」
「だめだっ!お前と一対一で会ったりしたら普通の人間は美しさに目がくらみ動悸が高まり心臓発作を起こしかねん!
お前だって、初めて手紙をくれた相手が心筋梗塞を起こしたら困るだろう?」
「え? それはもちろん困るが。」
「だから、俺のことだけ考えて、俺だけを見つめてくれればいいんだよ、カミュ……」
「ええと………あの………するとギャルソンの件は?」
「やっぱりお前には向かない。 存在が輝きすぎてせっかくのケーキが霞むからな。
ずっと俺のそばにいてくれればいい。」
「するとお前の心臓は特別に強いと?」
「ああ。 小さいときから最高のギャルソンを見ていたからな、とっくに免疫が出来ている。」
「そういうものか?」
「そういうものだよ、でも夜のほうの免疫はまだできていなくて………ほら、こんなに心臓がどきどきしてる♪」
「あ……」
「だから免疫をつけるために今夜も………」
「でも……ミロ…あの……」
「いいから、いいから♪」
027:獣
「獣………! ああ、とうとうこの日が! ドキドキするぜ、 そうか、ついに獣か♪♪」
「お前がそれほど待ち焦がれているとは思わなかった。 自己のアイデンティティーを考察するにおいて、もし獣になったとしたら、という命題は避けて通れない。
私もそのことについては各種の文献を読み、真摯に考えてきたつもりだ。」
「そうか! お前もやっぱりそう思ってくれるか!それもいろいろな本まで読んでくれていたとは! ………なんだかじいんとしてきた……では、いいんだな? ほんとに俺が獣になっても♪」
「え? いいもなにも………お前が獣になる筈はない。」
「え? なる筈はないって………むろん、普段はならない、なる筈がない。 今までに一度もなったことはないつもりだ。 お前もそれはわかっているだろう?
でも、たまには獣になってみたいと思うときもあるってことだよ。 それはまあ、お前にはわからないかもしれないが。」
「獣はよくない。 人としての心を失い、荒々しい欲望に支配されてしまう。 友を悲しませ、妻子は路頭に迷い悲嘆に暮れることになる。
人は人として生きるべきだ。」
「……妻子っっ?! 妻子なんてものがどうして関係あるんだ? いったい、なんの話をしている??」
「むろん、『 山月記 』 だ。 」 ⇒ こちら (原文) ⇒ こちら (読みやすくなっています)
「……… 『 山月記 』 って………なに?」
「中島 敦の小説で、己の醜いあさましい心に打ち勝てず、ついには虎の身となってしまい孤独と絶望にあえぎ、最後には人としての心さえ失ってゆくだろう事を偶然めぐり合った旧友に嘆くという話だ。
人が獣になることの恐ろしさ、あさましさが描かれている。 高校の教科書では変わらぬ人気を保っている作品らしい。
八世紀の中国、楊貴妃との悲恋で有名な玄宗皇帝の治世の頃が舞台となっているので我々にも馴染みやすい世界だ。
お前もこのことを言っていると思ったが違うのか? 」
「…え? ええと………あ〜、あの 『 山月記 』 ! 荒筋は知っているが、あいにくまだ読んだことはない。 いや、俺が思っていたのは、ええと、ほら、あれだよ、 『 美女と野獣 』 のことだ! あれにも獣が出て来るじゃないか!」
「あ………なるほど! それは考えもしなかった。 『 山月記 』 は用語も難解で今の時代の若者が読むには難しすぎるのかも知れぬ。
その点、『 美女と野獣 』 はアニメでも有名で小さい子供にも理解しやすい。
人の姿を失って振る舞いも粗野になり、獣になってしまうことの哀しみや恐怖は充分にわかるに違いない。
『 山月記 』 には大人になってから触れるのも良いだろう。 」
「俺はお前ほどには日本の小説を読み込んでいないからな。 」
「『 山月記 』 は味わい深い。 獣になることの寂寥感、悲嘆、物狂おしさが胸に迫ってくるよい作品だ。
お前も今度読むがよかろう。」
「あ………ああ……そうさせてもらおうか。 でも、せっかく 『 美女と野獣
』 の話が出たんだから、お前が美女で俺が野獣ってことで今夜は愛させてくれないかな♪」
「……え?」
「だって、これは i f だし、お前だって、俺が 『 山月記 』 に出てくる虎で自分がその友人、なんて哀しいめぐり合いを実践したくはなかろう?
」
「ええと……」
「野獣はほんとうは王子様なんだから相手にとって不足はないはずだ。 でも、美女と王子じゃ普通の恋愛と同じだから、魔法が解ける前の、ちょっと獣っぽい王子様っていう設定でいいかな?
せっかくの i f だから特徴を出したほうがいいと俺は思う。」
「ん〜、………そうかもしれぬな。」
「じゃあ、それなりに獣っぽい愛しかたってことで今夜は過ごさせてもらう。 いつもとはちょっと違うと思うが、なあに、悪いようにはしない。
全てを俺に任せてくれる?」
「………獣っぽい?」
「ちょっとだけワイルドってとこかな? たとえば言葉使いとか動作とか。 俺もそういうのは初めてだから手探りしながら試してみたい。
なにごとも経験だよ。 経験は人を豊かにする。 そうだろう?」
「うむ、お前の言うとおりだ。」
「それじゃ、そういうことで♪」
028:堕天使
「堕天使なんて知らんが?」
「堕天使とは、天使として生まれながら神への反逆、堕落などの理由で天界を追放されているもののことだ。
一般的には悪魔と同一視されている。」
「悪魔って………とくになりたいとは思わないな、うん。」
「私もだ。」
「だろ? だからこの話は………あれ?待てよ?」
「どうした?」
「ほんとうの悪魔は困るけどさ、小悪魔ならいいぜ♪」
「小悪魔?」
「それも悪魔のミニ版じゃなくて、小悪魔的なお前♪ これならいい! うん、ぜひお願いしたい♪」
「小悪魔的な私とはなんだ?」
「ええとね、なんて言えばいいんだ? つまり、お前の初印象って天使みたいだったし、大人になった今も純粋で穢れを知らない素直さなんかは天使そのままだろ。 でも、時にはそんな自分ではなくて、ちょっと悪魔っぽくなって俺を誘ってくれたら嬉しいんだが。
………無理?」
「………え? 悪魔っぽく………なににお前を誘うのだ? 悪の道に誘うことなど金輪際出来ないが。」
「う〜ん、悪の道じゃなくてさ………恋の道。」
「え?」
「だから、ええと、お前ってほんとに生真面目で自分から俺を誘うことってないだろう?
たまにはお前から誘ってくれたらいいと思うんだよ。」
「なにに?」
「………だから恋の道……じゃ、わからないんだよな………はっきり言わせてもらう!
お前からベッドに誘って欲しい!」
「えっっ!! い、いきなりなにをっ!」
「いきなりじゃないよ、ずいぶん前置きが長かったと思うがな。 つまり、いつも必ず俺からきっかけを作ってお前を誘っているのはわかっているだろう?
たまにはお前からきっかけを作ることがあってもいいと思う。 いや、ぜひそうして欲しい。」
「あ………きっかけ……ええと…」
「それも小悪魔風のが望みだな。 つまり、正面から俺を見据えて、『 ミロ、今夜は抱いて欲しいと思っているのだが、お前の予定はどうだ? 』 なんて言ったんじゃ風情もなにもあるまい?
明日に提出する報告書の話をしてるんじゃないんだぜ。 」
「では、どのようなのが小悪魔風なのだ?」
「そうだな………俺の好みとしては、先にベッドに入って向こうを向いたまま俺を待っていて、俺が近づくと肩にかかっていた毛布をすっとずらして溜め息をついて身悶えるとか♪」
「……え」
「風呂上りに目の覚めるような美しい光沢のタイシルクのバスローブをしどけなく羽織って現われて、俺が誉めると
『 脱がせるのはお前の役目だ……』 とか言って白い肌を染めながら上目遣いに俺を見るとか♪」
「………え゛!」
「まだ夕暮れ時なのに、ワインをせがんで頬が充分に赤らんだところで 『 ミロ………なんだか胸が苦しくて………さすってはくれまいか……』 と俺の耳元に熱い息を吹き込みながらささやいて、俺の手をやさしく取って自分の胸に差し入れさせて甘い喘ぎを聴かせてくれるとか……♪ ああっ、なんて素敵なんだ!
小悪魔的なお前はほんとうに………あれっ、カミュっ、カミュ〜〜〜〜〜っっ!!」
029:マフィア
「マフィアといえばイタリアだ。 仲間同士の名誉・信義をなによりも大切にし結束は固い。
身内のことは外部にはけっして洩らさない沈黙の掟も有名だ。」
「しかし犯罪者だ。 i f といえども我々が関与すべきではない。」
「ああ、俺もそう思う。」
「では、これで。」
「ちょっと待て! それではあまりに愛想がないだろう。」
「しかし、どうしようもないと思うが。 我々はマフィア映画さえ見たことがない。」
「それなんだよな、問題は。 たった一つ読んだのは、一条ゆかりの 『 有閑倶楽部 』 の 『 香港より愛をこめて 』 だ。 あれに香港マフィアが出てくるじゃないか、あれしか知らん。」
「ああ、あの………! 果たしてあれがマフィアの実態をどのくらい正確に表しているか?」
「なにしろコメディータッチだからな。」
「ふうむ………」
「決めた! 諦めよう! 」
「え?」
「無理なものは無理だ、なにも浮ばん!下手な考え 休むに似たりって言うじゃないか。
それよりは明日のことを考えたほうが有意義だ。 いわゆる予習ってやつ♪」
「ふむ、その前向きな姿勢は評価に値する。 で、明日は…」
「忍者だよ、忍者! 日本に住んでるからには欠かせない知識だぜ、俺もかなり詳しいからな♪」
「及ばずながら私も持てる知識の一端を明らかにさせてもらおうか。 忍者に関してお前の独壇場ではないことを広く世間に知らしめたい。」
「ほう! 大きく出たな、こいつは楽しみだ!」
「やはりマフィアより忍者の方が盛り上がるというのは、私たちがよほど日本人化していることの表れかも知れぬ。」
「忍者はアメリカ人あたりにも人気があるぜ。 日米を問わず、どこの親だって、子供がマフィアになりたいなんて言ったらギョッとして眉をひそめて説教するだろうが、忍者になりたいなんて言ったら、ニコニコして忍者装束セットを買ってやったり、
あちこちにある忍者屋敷に連れて行ったりして親子で楽しむと思う。 そのくらい、マフィアと忍者は違うってことだよ。」
「………忍者装束セット?」
「ほら、これだ。」
「………なにかちょっと違うような気がするが。」
「……あ、これは外人向けみたいだな。 正統派の日本人向けはこっちだ。」
「なるほど、たしかに!………待て! なぜ くの一、女装束なのだ?」
「だって、お前が着るんならこれに決まってるじゃないか♪ メッシュの胸元から白い肌をちらりと見せてるところも愛らしいし、二の腕のパーツがなくて白くやわらかい肌が無防備に晒されているのもドキドキするね♪
守ってやりたい気分が盛り上がるというものだ! おまけに着付けの手順まで載っている。
ああっ、早くお前に着付けてやりたいっっ!! その細い腰に帯をきゅっと締めるとお前がちょっと苦しそうにするので、少し緩めてやって、このくらいがちょうどいいか?って聞くと、頬を染めて恥ずかしそうに頷くんだよ。
で、俺はあまりのいとしさに、お前を敵陣に忍び込ませるのがつらくなって思わずぎゅっと抱き締める。
だめ……だめだから…と言いつつもお前だってその気がないわけじゃない。 忍びの里での色恋沙汰はご法度だが、いつしか人目を盗んで逢瀬を重ねる仲になり、ついにはそれが露見して、手に手を取っての逃避行!
物音に怯え、迫り来る追っ手を返り討ちにしながらほんのわずかの時間にむさぼるように互いの身体を求めるっていうのがまたなんともいえず……♪
闇に紛れて繁みの中にお前を横たえて漆黒の忍びの衣装を脱がせていくと、夜目にも匂うがごとき白い肌が俺を迎えてくれて、そのときだけは世の中に背を向けて生きねばならないお互いのつらい宿命を忘れて愛しあう。
敵には鋭い刃を向けるお前も俺に抱かれたときだけは別人のようにこのうえなくしなやかになまめかしく俺に尽くしてくれて……あれっ?
カミュっ、カミュ〜〜〜〜〜っっ!!」
030:忍者
「再開にあたり最初に言っておく事がある。」
「え? なに?」
「前項のマフィアでは諸般の事情から忍者の話になり、先ほど3ヶ月ぶりに読み返してみてあまりに色艶の色彩の強いのに驚いた。 よって、今日の忍者の i f はその方面には触れぬことを要求する。」
「え〜、そうなの? 俺としては…」
「ミロ!」
「ああ、わかったよ、最善の努力をさせてもらう。」
「忍者といえばやはりナルトだろう。 岸田斉史の作品で1999年からジャンプで連載されている。」
「それなら知っている。 NARUTOについてはこのときに学んだからな。 しかし、なぜ忍者の名前がナルトなのだ? 妙ではないだろうか。」
「え? 名前の由来か? たぶんラーメンが好きだからじゃないのか、俺はそう解釈してるが。」
「それは論理的でない。 赤ん坊のときに名付けられただろうに、そんな幼いときにラーメンを好んでいた筈はあるまい?」
「俺にそう言われてもなぁ………NARUTOに出てくる忍者にはカカシとかイルカとか、とても人名とは思えないものも数多い。
本名ではなくて通称かもしれん、気にしないほうがいいと思うが。」
「カカイルという名前も妙だ。」
「えっっ!」
「イルカカというのもあり、あまりにも命名が安易ではないかと思うのだが。」
「ええと………そんな名前をどこで覚えた?」
「以前にNARUTOのことを調べてサイトをめぐっているときに、
『 このサイトはNARUTOのカカイル推奨サイトです。 同人的要素 (女性向表現)を多く含んでいます。
この意味のわからない方はブラウザを閉じてお戻りください。 』
と書かれているサイトに遭遇し、意味もわからぬし、むろん私は女性ではないので指示されたとおりブラウザを閉じたことがある。
同様にイルカカ推奨サイトとかサスナル愛好サイトとか………そうそう、暁サソリという項目もあったのでお前に教えようと思っていて失念していた。
興味があるなら見てみると良い。 暁の赤とサソリの赤を組み合わせた美しい名称だと思う。」
「いや………俺はべつにそれには興味がない。 ふうん………決まりきった注意書きだと思って軽視していたが、こんなふうに役立っているとは思わなかったぜ。」
「え? なにが?」
「いいんだよ、べつに。 で、ナルトの得意技にハーレムの術なんてのがあるのを知ってる?」
「いや、知らぬ。 チャクラと小宇宙の共通性については考えたことがあるが、技については詳しくない。」
「あれをお前バージョンでやられたらその場で悶絶するね、確率200%で惨敗を喫するのは確実だ。
知らなきゃ、あとでゆっくりと教えてやるよ、楽しみに待っててくれ。」
「ではナルトはお前より強いとでも?」
「いや、ナルトはお前バージョンはできないからその心配はない。 できたら世界が震撼するよ。」
「??」
3ヶ月ぶりに書いた i f 。
何度か書き直してやっとアップできました、ちょっと安心。