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【メール・インタビュー】 |
“住民の意向反映され始めたが、まだまだ楽観できない”
環境NGO 植村振作さんに聞く |
外平海岸:ここ数ヵ月の働きかけで幾つかの成果は得た
姫戸ダム:残念だった市議会の短期的な判断での決議
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常に植村さんのフロアーからの発言は鋭い =2004年7月31日、「有明海・不知火海フォーラム」で |
天草に生まれ育ち、5年前に大阪大学大学院助教授を定年退官して、故郷に戻ってまず愕然としたのが天草の環境破壊だという。余生は天草の環境再生にかけようと「天草の海を考える会」を立上げ、独特の語り口で訴えかける説得力は相当なもの。天草の環境NGOの一連の動きの事実上の指導者と言っても過言でない。
その植村振作さんにメール・インタビューを行った。
オープンで話合い、物事を決めて行くようになったのは一つの成果
―最近の天草での動きをみると、みなさんの積極的な動きがようやく実を結び始めてきた感じがしますが………。
植村 12月17日でしたが、県地方振興局、上天草市と自治会長、漁協長、市議、ホテル組合等の地元代表者に私たちとを交えた検討会が開かれました。このような話し合いがもたれたこと自体評価すべきことだと思っています。
今まで、少なくとも天草では何時、誰が、どうして物事を決めたのかさっぱり分からなかったのに、オープンで話し合いをして決めて行くということになったのは一つの
成果だと考えます。
去年造られた突堤のために早くも砂の移動が起っている
―その席上でしょうか、象徴的な写真を示され、アピールしたようですね?
植村 まず、国土地理院が撮影した航空写真の半島部分の左上部の弓形の海岸が外平海岸で、カラー写真の砂浜に相当します。外平海岸で現在最も問題なのは、写真の中央部に写っているような3本の突堤(注=写真には中央の一本だけが写っており、残り2本は砂浜の両端にあり写真では見えない)だと私は考えています。これらの突堤の影響と思われる砂の移動が既に起こっています。突堤についての議論抜きでは、この海岸整備の話し合いには私は参加できないと思い、強く突堤撤去を主張しました。
県が「突堤の撤去」に言及したのも大きな成果
―先生の主張は、地元ではやや突出したように見られていますが………。
植村 一般的には国ないし県の予算で実施された事業を直ちに見直し、元に還す事はほとんど不可能だとの考えが皆に染みついていて、私ほど強く主張する人は少なかったのですが、結果的には「突堤の影響が明らかになれば、撤去もあり得る」ということを、県の担当部長に言わせました。これが、第一の成果です。
当初の目的は、護岸工事にかこつけた、海水場開設だったようですが、私の潮流測定結果から海水場としては不適であることが分かり、地元もこれまでのように海水場建設を強く主張しなくなりました。これも成果かも知れません。
土地交渉も難航して、当初の計画はほとんど崩れ、残るは壊れた護岸の整備だけが問題として残りました。
―行政側はこれまでの経過からすると、最大限降りてきたようですが………。
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植村さんたちが提出した「外平海岸の
自然観察公園イメージ図」 |
植村 地元の人たちは護岸整備については、基本的には物理的に崩壊しない護岸であればいいという考えですので、地元代表からは特段の注文はなく、私たちが出したスケッチが大筋で認められ、詳細については後日話し合うということで、検討会は終了しました。
ダンチクなど自然素材の活用や余分な構築物を設けない事でも合意
―それを受けて、12月21日にはさらに話合いがもたれたようですが。
植村 県地方振興局担当者と護岸方法についての話し合いがもたれました。県当局は、前(海)にも行けず、後退もできず(農地買収見通し立たず)挟み撃ちにあった状態で困っているという条件の下で、壊れた石垣をどのように補修するか、12月17日の話し合いの結果に基づいて、私たちと検討したということのようです。これも、17日の成果です。
話合いでは、先ず、私たちとの21日の話し合いは、あくまで、予備的・実務的な話し合いと位置づけ、最終的に決めるときには必ず地元の人たちが入った会で決めることを確認して、吉崎さんが撮ったダンチクの生えた海岸の写真を見ながら自然素材(ダンチク、自然石等)を生かすこと、砂浜に余分な構築物を設けないことなどを確認しました。外部にデザインを依
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安田・本渡市長(右)を宇井純さんらと訪ね懇談する植村さん =2004年7月5日、市庁舎で
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頼し、その結果についてまた話し合う事で終わりました。
今後は住民側もしっかり受け止め、対応する事が大事に
―そのへんをどう評価されていますか?
植村 私個人としては、突堤が直ちに撤去されないことには不満が残りますが、全体の流れとして話し合い路線が少しずつ定着して来つつあり、工事内容も良い方向に向いています。さらに話し合いを進めていけば、外平海岸をコンクリート固めの化け物屋敷にしなくて済みそうです。
あとは、大きな課題として、話し合い路線を市民側がしっかり受け止めて、如何に維持していくかということが残っています。これは、いろんな事柄を事例にして解決して行くより他にないと考えています。
市議会の「姫戸ダム推進」決議には唖然
―もう一つの問題に姫戸ダムがあります。姫戸は植村さんの生まれたところですね。
植村 姫戸ダムの最新の情報は、上天草市の12月議会の最終日の21日に「姫戸ダム早期建設促進の決議」が絶対的多数で決議されたことです。議会を傍聴していて、「烏合の衆」という言葉を思い出しました。カラスの方がもっと物事を順序だって
皆んなで、考えることができるのではないかさえ思ったほどです………。
多くの市会議員の頭の中には、票と金のことがよぎり、上天草市の将来や市民全体のことなどは考えることができなかったようです。
―で、今後どう取り組んでいかれますか?
植村 目下、ダムの計画書を詳細に検討しているところです。上道水が余っていることから、ダム建設の利水目的は水完全に消失しました。市民の財産と生命を守るためにダムが必要だといわれれば、誰も反論しにくいのですが、住民が期待しているという治水(防災)の目的も適わぬ事が最近計画書を検討して明らかになりました。このことはまだ広くは知られていません。早くみんなに知らせないといけないと焦っているところです。 また、ダム設計の基礎データにも疑いを持っています。もう少し時間を掛けて調べる必要がありそうです。
とにかく、やらないといけないこと、わけの分からぬ事ばかりです(笑い)。
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*「天草の海を考える会」代表 |
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