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第3章 電磁波過敏症(電化製品)



〔1〕発電所・変電所・高圧送電線
〔2〕家庭用電気配線、ブレーカーなど
〔3〕パソコン
〔4〕照明器具
〔5〕テレビ
〔6〕カーナビ
〔7〕モバイル機器のワンセグTV放送
〔8〕充電池
〔9〕洗濯機
〔10〕電子レンジ
〔11〕消防署・警察署
〔12〕公共交通機関
〔13〕レジ
◇電磁波基礎知識


*CS:化学物質過敏症、ES:電磁波過敏症


 第1章、第2章では、携帯電話による電磁波過敏症(ES)について取り上げました。私は携帯電話以外の様々なものにもES症状を起こします。発電所や高圧送電線などの電源設備、パソコンやテレビなどの家電製品、JRや地下鉄などの公共交通機関など、多くのものに反応します。この章では、それらのES原因による反応について、体験を交えながら、詳しく書いていきたいと思います。

〔1〕発電所・変電所・高圧送電線

○強い頭痛
 発電所や変電所、高圧送電線に近づくと強い頭痛がします。全身の筋肉が固くなる感じもあります。変電所のそばや高圧送電線の直下にいると、耐えられないほどの頭痛を感じて、その場にとどまっていることができません。だいたい300m以上離れれば、症状が出ずに済むようです。発電所は数が少ないので、近くに行く機会は滅多にありませんが、2003年に、北海道の西側の海岸をドライブしたときに、風力発電の風車がたくさん建っているのに出会ったことがあります。車で風車のそばに近づくと、割れるような強い頭痛がしました。風車の近くには、住宅や公共施設が建っていたので、過敏な人は私のように反応するのではないかと思いました。

 私が住む札幌市内の大型書店は、たいてい街の中心にあって、携帯電話の電磁波に反応する私は、なかなか行くことができません。人が多く集まる場所は、それだけ携帯電話を使う人の数が多くなり、空間を伝達する電磁波量が増すからです。1社だけ、大型書店でありながら郊外に店舗を構えている書店チェーンがあります。釧路市が資本の書店です。「これは私にも行けるかも・・・」と思ったら、市内の3店舗のうち、2店舗は高圧送電線の直下にあり、近づくことができませんでした。そのうちの1つの店には、根性で乗り切ろうと一度行ってみたのですが、あまりの頭の痛みに、本を見ることすらできず帰ってきました。

[書店の位置と送電線が通っている様子]

 他の1店舗は、高圧送電線からは離れているのですが、自宅から遠いところにあるので、なかなか行くことができません。というわけで、現在の私は大型書店に行くことができず、不便な生活を送っています。どうしても必要なときは、札幌駅近くの書店に行くことにしていますが、街の中心部にあるので、携帯電話の電磁波による症状が出てしまいます。

 発電所、変電所、高圧送電線による反応は、携帯電話などの通信用電波による反応とは異なり、動的な症状がありません。携帯電話など通信用電波による症状は、視界の点滅や、頭を揺すられるような頭痛など、刺激に満ちた動的な反応です。それに対し、高圧送電線などへの反応は、衝撃や揺れを伴わない静的な反応といえます。


〔2〕家庭用電気配線、ブレーカーなど

○オール電化住宅
 2002年まで仙台で住んでいた家は、オール電化住宅で、家中に電気配線がはりめぐらされていました。配電盤には、200Vのブレーカーが5つ、100Vのブレーカーが20個ありました。電磁波による影響を減らすために、使っていない配線のブレーカーを落とそうとしましたが、この家は多くの配線が複雑に配置されているようで、どのブレーカーを落としたらいいのかわかりませんでした。配電盤の前に立ってブレーカーを操作しているだけで具合が悪くなってしまいました。症状は、頭痛と吐き気です。

 家庭用の電気は、屋外の電線から家の中に引き込まれます。それは、配電盤のところまで来た後、家中に分散してはりめぐらされます。なので、屋外から家の中に引き込まれている箇所や、配電盤では強い送電量になっていて、過敏症の症状も強く出ます。私の場合、配電盤から各部屋のコンセントなどに運ばれる電気量は、それほどつらく感じられず、症状も小さなものでした。

○ブレーカーをおろす工夫
 2002年に札幌に越した後は、家庭内の送電網の影響を少なくするように工夫してみました。この家は、2階の北西の部屋に屋外から電気が引き込まれた後、1階廊下の天井近くの配電盤を通って、各部屋に配電されています。ブレーカーは3つありましたが、それぞれのブレーカーからどのように送電線が走っているのかを調べてみました。夫と2人で協力して確認します。夫がブレーカーを操作する係、私が各部屋の通電状態を確認する役です。

 初めに夫が1番のブレーカーだけをあげて2番、3番をおろします。私は各部屋のコンセントに電気スタンドのプラグをはめてみて、照明がつくかどうかを確認します。2番、3番のブレーカーについても同様のことを行いました。その結果が図です。

[自宅の配線図]

 ふだんブレーカーをあげていると、送電線を伝って、各部屋のコンセントのところまで、常に電気は流れています。コンセントに電化製品のプラグを差し込むと、家電製品にも電気が流れ、動き出します。つまり、電気製品を使わなくても、常にコンセントところまでは電気が流れているということです。壁の中の電線に電流が流れることによって、電線が周囲に磁場と電場をつくり出します。また、電線から期せずして漏れ出た電磁波のノイズなども、周囲に影響を与えます。電磁波過敏症の人は、普通の人が何も感じない微量の電磁波にも症状を起こしやすいのだと思います。

 家庭用電気配線の影響を少なくするために、ふだんは1番のブレーカーのみを上げ、2番と3番は使わないようにしました。そうすると、北西や南西、南東の部屋で、コンセントが使えなくなります。そのため、北東の部屋のコンセントから延長コードを伸ばして各部屋に行き渡るようにし、それで電化製品を使えるようにしました。2階の電気使用は、ほぼ北東の部屋の1つのコンセントに集中してしまうため、同時に多くの製品を使わないように気をつけていました。使いすぎると、ブレーカーが落ちてしまいます。特に2階にあったパソコンはブレーカーが落ちて急に通電しなくなると、電圧の変化で壊れやすくなるので、気をつけていました。

 1階は、ほぼ1番のブレーカーだけで必要な電気使用を満たすことができていましたが、調理の時だけは、2番のブレーカーも上げる必要がありました。調理の熱源がガスではなく、電気のものを使用していたからです。ポータブルのハロゲンヒーターを2台使っていました。当時は、「ガスを燃焼させるのは、化学物質過敏症にとって絶対に悪いはず」と思って、初めから使用するつもりはありませんでした。しかし、その後の経験から、ガスを使って料理をする選択肢もあったのではないかと考え直しました。この頃は、「調理は電気でするしかない」と思いこんでいました。

 リビングルームの電気は、配線を図のようにしていました。

[1階リビングの配線 ]

 2台のコンロを1番のコンセントにつなぎ、同時に使うとブレーカーが落ちてしまいます。1番と2番のコンセントを1台ずつ使っていました。
 

○対策の効果は? 
 ブレーカーを落とす効果は、家庭用電気配線が生み出す電磁場による全身の緊張や痛みが軽くなったことです。

 しかし、今振り返ってみると、家庭用電気配線による症状は、他の原因によるもの(携帯電話の電磁波など)に比べて軽いものだったので、ブレーカーを落とす効果も、それほど大きいものではなかったように思います。ブレーカーを落とす不便さと、そのメリットを比較してみると、不便さの方が目立ってきます。電気の使いすぎで1番のブレーカーが落ちると、パソコンが故障してしまうリスクに加え、冬期間は、ポータブルの灯油ストーブがストップしてしまうリスクもありました。

 私は2002年〜2010年は、他の暖房器具が使えず、やむを得ずポータブル型の灯油ファンヒーターを少しだけ使っていたのですが、(→第1部 スモール・データ・バンク「暖房」参照)、ブレーカーが落ちて突然電気が来なくなると、このストーブは不完全燃焼を起こして、灯油が焦げたような強烈な異臭がしました。それを嗅ぐと肺が痛くなり、呼吸困難になります。一度不完全燃焼してしまったストーブは、その後しばらく焦げた匂いを発して、通常の生活を脅かし続けることになりました。

 当時は電磁波過敏症について調べてみて、ブレーカーを落とす対策を行っていたのですが、このようなデメリットと、得られる効果を考えてみると、デメリットの方が大きかったように思います。バランスを考えて対策することが大切だと思いました。

 発症して間もない頃は、調べた情報をそのまま鵜呑みにしてしまうことが多いですが、少しずつ知識や経験が増えてくると、自分に合った方法で対策ができるようになってきます。

 2010年秋に、新しい住居に引っ越してからは、ブレーカーの対策は行っていません。今のところ、2つあるブレーカーのうち、2つとも上げて暮らしていますが、体感では問題なく暮らせています。契約アンペア数が小さいことも、症状が出ない原因かもしれません。電磁波過敏症の体験談を読むと、「ブレーカーをおろす」方法が大きな効果をもたらしている方もいるので、そういう体質の方には、私の行った方法も参考になるかもしれないと思い、書いてみました。体感を見ながら対策を行っていくのは、大切なことだと思います。


〔3〕パソコン

○学生の頃からすでに反応
 パソコンによる電磁波過敏症の症状は、遡って記憶を辿ってみると、1980年代後半から出ていたと思います。電磁波過敏症はおろか、化学物質過敏症も知らない頃のことです。

 その頃、我家にも初めてパソコンがやってきました。私が高校生の時です。初めは兄が使っていましたが、私もときどき使うようになりました。しかし、奇妙なことに、パソコンの前に座ると、全身に何とも言えない気持ち悪さを感じて、短時間しか使えないのです。

 大学に入ってからもパソコンを使いましたが、やはり同じような気持ち悪さがありました。それに加えて、パソコンの前に座ると、頭の中がすーっと流れ出てしまったように感じ、思考力が働かないのです。

 当時、1990年代初めは、ワープロ専用機やパソコンのワープロソフトが普及し、文章の作成や編集が楽にできることが大きなメリットとなっていました。ダイレクトにワープロ上で文章を作っていき、段落の並べ替えや推敲なども簡単にできます。ところが、私はパソコンを使うと思考力が落ちてしまうので、あらかじめ紙に下書きを書いてワープロで清書する、という方法をとらなければなりませんでした。このスタイルは現在まで続いています。今でもパソコンを使うと、思考力がうまく働かない感じがするので、集中して考えながら文章を生み出していくという作業をするのは無理です。頭がボンヤリしてしまって言葉が出ません。このサイトの原稿も、すべて紙に書いたものをパソコンでタイピングしています。直接打ち込むのに比べて、時間がかかります。

○パソコンを隔離する実験
 1999年(28歳の時)に、自分の長年の体調不良が化学物質過敏症だとわかりました。当時はパソコンに対する症状も化学物質が原因ではないかと思っていました。それを前提で対策を行ってみました。しかし、不可解なことも多くありました。私は化学物質の影響を低減させるため、パソコンの設置場所を工夫しました。そのとき住んでいた家の構造を利用して、図のような設置状況にしたのです。

[パソコン隔離設置]


 透明なガラス戸で仕切られた2つの部屋があります。片方の部屋にパソコンとモニターを置き、片方の部屋にテーブルを起きます。パソコンからケーブルを引っ張ってきて、別室のテーブルの上にマウスとキーボードを置きます。カラス戸を閉めます。ガラス戸はケーブルの太さ分だけ閉まりきらずに隙間が空いてしまいますが、わずかなものなので、ほぼ2つの部屋の空気が分離できたことになります。テープなどで隙間をふさげば完璧ですが、このときはそこまではしませんでした。5mm程度の隙間があっても、空気の流入はわずかなものだからです。

 パソコン本体とモニターから発散される化学物質は別室(サンルーム)にとどまるはずです。しかも、私はサンルームの窓を開けていたので、適度に換気もされるはずです。私自身はマウスとキーボードがある別室にいるので、化学物質の影響はかなり抑えられるはずです。

 ところが、この実験は失敗に終わりました。パソコンを使うときの、あの独特の思考力低下、頭の中が真っ白になる感じは全く軽減されなかったのです。当時は原因がわからなかったのですが、現在では、それがパソコンの電磁波による過敏症状だったのではないかと思っています。化学物質はガラスで遮断されますが、電磁波はガラスでは防ぐことができないからです。


○木造の家での反応
 1999年に、私と夫は結婚しました。しかし、私のCSのために一緒に暮らす家が見つかりませんでした。

 2002年の春に札幌に引越し、ついに2人で暮らす生活がスタートしました。すぐに問題となったのが、夫のパソコンです。家の中で夫がパソコンを使うと、私はまた例の思考力の低下が起きて、頭が真っ白な状態になってしまいました。同時に、頭痛もしました。また、それ以前にはなかった症状ですが、2001年に目の痛みの発作を起こすようになってからは、パソコンにも目の痛みを感じるようになりました。びりびりと目の痛みを感じ、視界が瞬いているように点滅して見えました。私が1階にいて、夫が2階でパソコンを使っていても、強い症状が出ました。木造家屋なので、壁や天井を通り抜けて、電磁波が私のところまで影響を与えたようでした。

 私は夫にパソコンによる症状を訴えましたが、夫はよく飲み込めないようでした。CSに関しては、本当によく理解してくれて、引越までして私の危機を救ってくれた人です。しかし、電磁波が人に影響を与えて症状を起こさせるということは、知識としてもよく知らないし、実際にそのような起こることも考えられないようでした。夫は、本当にパソコンが私に影響を与えるのかを疑っていたのですが、私自身も、理解したり受け入れたりしがたい気持ちがありました。

 症状は、はっきり出ているのに、それを相手が納得できるように説明したり、説得したりするだけの根拠が示せないような気がしたのです。そういうわけで、5〜9月までの4ヶ月間は、夫がパソコンを使い続け、それに伴い、私の症状も出続けていたのです。その4ヶ月間、自分の症状と夫のパソコン使用状況を照らし合わせて、私は確信を深めていきました。2階でパソコンを使っていると、そこから波状のものが発散して、一階の私の身体にも到達し、全身が鈍い霧に包まれて、体の自由がきかなくなる感じがありました。そうして、頭の中から内容物が流れ出て、頭が働かないような感じになってしまうのです。

 パソコンからは、家庭用の100V電源の電気が作る電磁場の他に、もっと周波数の高い電磁波が発せられているように感じました。携帯電話などの通信用の電波に接触したときと同じ反応が出ました。

 そしてついに10月、自分の体の状況と電磁波の影響について夫に訴え、私が自宅にいるときは、パソコンの使用をやめてくれるようにお願いしたのです。今振り返ると、夫には大きな負担を強いてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱいです。夫がパソコンを使うときは、私は外出するようにしました。

 当時はCSのために体調が悪かったので、一人で遠くに出かけることはできませんでした。家の近所を散歩して回りました。私が家に戻る時間をあらかじめ打ち合わせて、その時間内にパソコンを使ってもらうようにしました。

 2004年8月にこのサイト『化学物質過敏症 私の方法』を立ち上げましたが、サイト作成は夫がすべて行い、パソコン使用中、私は外出しなければなりませんでした。私がサイトの文章を紙に書き、それを夫がタイピングして、ページを作成してアップするという手順です。

 パソコン作業が長くなると、私の外出時間も増えました。体調が悪いときは、外出できず、サイトの更新が滞ってしまうこともありました。そういうときには、夫は友人の家を訪ねていって、そこのパソコンを使わせてもらって、作業をしたのです。そんな形で、一緒にサイトを作成してくれた夫と、協力してくれた友人に感謝します。

 雪の降る真冬でも、私は傘と本をもって、近所を歩きました。街灯の下で本を読みながら、作業が終わるのを待ちました。この頃、ちょっとおかしなエピソードがありました。インターネットで私のことが話題になっていたのです! 夫の話では、地域の掲示板に書き込みがあったそうです。
「今日、車で走っていたら、全身白ずくめの女が、雪の中、本を読んでいた! あれは何だったんだろう?」
私は当時、衣類の染料の匂いが苦手で、白っぽい服ばかり着ていたのでした。白い帽子、白いコート、白いスカート・・・。

 目撃者は他にもいたようです。
「俺も見た! 白い人が街灯の下でボーッと立っているんだ! 幽霊? 怖かったよー。」
「私も見たよ。吹雪の中、本を読んでいるんだよ! 何あれ!?」
夫は笑っていましたが、私は気恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。話はさらに尾ひれがついて、
「見た見た、白い着物を着た髪の長いおばあさんだろ、橋を渡ったところに立っていたよ!」

  私は恥ずかしかったし、万が一何かあったら大変なので、次からは人目につかないところに場所を移しました。それ以来、目撃情報は書き込まれなくなりました。

○サイトの開設と運営
 2005年頃、一人で遠出ができるようになると、長時間の外出が可能になり、サイト更新の作業もスムーズになりました。

 外出から帰る前にタイミングを見計らって家に電話をします。すると、私の帰宅時間までに夫は作業を終わらせて、パソコンの電源を切ってくれます。2004年8月にこのサイトを立ち上げたときには、私は自分のサイトを見ることができませんでした。夫がトップページをプリントしてくれて、それを見ながらお祝いしました。

 2004年の12月には、『化学物質過敏症 私の方法』のサイトに、ゲストブックをオープンさせ、2005年の2月には、掲示板を設置しましたが、私はパソコン上で直に見ることができないので、夫がプリントしたものを見せてくれました。書き込みに対して返事を投稿するときは、私が紙に書いたものを、夫がタイピングして、投稿してくれました。

○少しずつ使えるように
 2006年頃になると、CS・ESともに体調が落ち着いてきて、自分でもパソコンを使えるようになってきました。できるだけ症状を抑えるため、いろいろ工夫してみました。

 夫がパソコン本体(デスクトップのタワー型)からアースをとってくれました。アース線は2階の窓から屋外に垂らし、地中にアース棒を差し込みました。私はモニター(ブラウン管)を見ると、強い目の痛みが起こるので、刺激を抑えるために、モニター用のスクリーンフィルターを付けました。フィルターからもアースをとりました。

 アースの効果ですが、2010年に札幌市内で引越をしたとき、パソコン本体とモニターを新居に設置しました。引越屋さんの手違いで、モニター用のスクリーンフィルターが見つからなくなってしまいました。それで、しばらくフィルター無しでモニターを使っていましたが、強い目の痛みがありました。2週間後にフィルターが見つかり、モニターにつけてみると、目の痛みは少し軽くなりましたが、依然として強い目の痛みがあります。そこで、このフィルターにアース線をつないで、部屋のアース端子につないでみると、目の痛みが治まったのです! 引越前の家では、効果をはっきりと確かめずに使っていたのですが、これでこのフィルターとアースの効果がよくわかりました。引越後、パソコン本体からはアースをとってはいませんが、何とか使えています。いずれアースをとる実験してみようと思います。

 2006年には、目の痛みを抑えるために、モニターにフィルターをつけた上に、目には透明なサングラスとUVカットのゴーグルを付けて防御していました。眼鏡を二重につけると、ずいぶん楽になりました。2008年頃からは、まぶしさを感じやすくなったので、色つきのサングラスをかけるようにしています。モニター画面は調整で暗くしています。そうすると目が楽です。サイトを見るときなど、チカチカ動くアイコンやフラッシュで動くアニメーションなどがあると、目に刺さるように痛いので、動きを止めてみるようにしています。キーボードの[Esc]ボタンを押すと、動きが止まります。(これは、サイトの掲示板で教えてもらいました。ありがとうございます。)

 インターネットで情報収集するときには、必要なページを検索して開いた後、それをプリントして読むようにしています。長時間パソコンを使用するのが難しいからです。モニター上の文章を読み続けるのは、目に大きな負担となります。

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●プリントのしかた
 電磁波過敏症のため、パソコンを長時間使うことができないので、インターネットをじっくり見ることができません。長文のサイトなどは、紙にプリントして読んでいます。ワープロソフトの文書にコピー&ペーストして、プリントします。ただ貼りつけてプリントすると、紙もインクもたくさん使ってしまい経済的ではないので、貼りつけ方を工夫しています。その方法を説明します。(Word2003を使用)

◇ワードを開き、新規文書を作り、余白を5mmくらいに設定する。(※余白の最小値はお使いのプリンターに依存しますので、取説等をご確認ください)

◇サイトのページをドラッグするか、全文コピーして、ワードに貼る。
必要な部分だけをコピーしたいときはマウスでドラッグして[編集]→[コピー]、全部必要なときは、[編集]→[すべて選択]、[編集]→[コピー]する。ショートカットキーで[Ctrl]+[A]→[Ctrl]+[C]だと、すぐにできて便利。

◇ワードに貼り付ける。[編集]→[形式を選択して貼り付け]→[テキスト]で、文字だけ白黒で貼り付けられる。図や写真などが必要なときは、別にコピペする。

◇フォントの大きさを9ポイント、書体をMSP明朝体にし、行間を13ポイントにする。
行間の指定は、[書式]→[段落]→[インデントと行間隔]→[行間]→[固定値]と指定し、[間隔]のところに「13pt」と入力する。
文字色をグレー60%にする。

紙やインクを節約するための工夫です。
1枚の紙に2ページ印刷をすると、もっと節約できますが、字がかなり小さくなるので、読みにくくなります。

この設定で、プリントして読みます。
保存したいときは、A4封筒に入れて保存しています。閉じてファイルしたい方は、余白をもっと大きく取ればいいと思います。
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 このサイトの第2部についても、私は原稿を紙に書いています。2004〜2008年に第1部を更新したときは、夫がタイピングをしてくれましたが、現在は仕事で忙しいので、私自身がタイピングしています。パソコンを長時間使うと頭痛と全身の痛みがひどくなり、夜眠れなくなってしまうので、更新作業は体調と相談しながらやっています。ゆっくりとしたペースになってしまいますが、できるだけ定期的に更新していきたいと思います。


〔4〕照明器具

○不可解な反応
 2001年に電磁波過敏症のことを知り、自分がそれまで患わされていた症状が電磁波過敏症によるものかもしれないと思い当たりました。

 まだはっきりと確信がなかった時期ですが、電磁波過敏症について調べてみて、蛍光灯がよくないらしいことがわかりました。蛍光灯を白熱灯に変えると、体が楽になるとの指摘がありました。それで、自室の電灯を蛍光灯から白熱灯に変えました。2002年2月頃のことです。

 私は2002年5月に仙台から札幌に引っ越したので、まだ仙台に住んでいるときでした。もともと使っていた蛍光灯の照明器具をはずして、新たに購入した白熱灯の電灯を設置してみました。すると、何と驚いたことに、蛍光灯を使っていたときより格段に具合悪くなりました。頭痛が強まり、体中の筋肉も痛み出しました。「これはどうしたことだろう?」と思いましたが、電磁波に関する資料には、確かに白熱灯の方が体に負担が少ないと書いてあります。それで私も自分に言い聞かせて、我慢して白熱灯を使おうと思ったのですが、どうしても無理で、もとの蛍光灯に戻しました。このときなぜ白熱灯に反応したのかは、それから約半年後にわかることになりました。

○蛍光灯を白熱灯に
 2002年の5月に札幌に引っ越しました。

 新しい家には各部屋に電灯が設置されていましたが、ほとんどが蛍光灯でした。点けてみると、特に台所とリビングの蛍光灯は、強い症状が出ました。強烈な頭痛のために点けていられません。頭の中に突き刺さるようで、頭全体がキリキリとさいなまれるような頭痛でした。

 私は仙台の体験のことはすっかり忘れて、「なるほど。やっぱり蛍光灯は電磁波過敏症に良くないんだ」と思いました。そして、仙台で購入した白熱灯の照明器具を、リビングの蛍光灯の代わりに付けました。台所の方は、蛍光灯の代わりに、白熱灯のスポットライトを付けました。クリップで挟んで設置するタイプのものです。他の部屋の蛍光灯も取り外し、白熱灯に付け替えていきました。

 引越後の生活は、新居のCS対策の連続で、息つく暇もありませんでした。古い住居だったので、新しい建材の匂いはほとんどしませんでしたが、家の中の掃除や、カビの対策、化学物質の対策など、多くの手入れが必要でした。洗剤に対する反応を恐れて、入居時のハウスクリーニングを断ったので、掃除をするだけでも一苦労でした。体調が悪い中、忙しく働いて、ようやく3ヶ月ほどで住環境を整えることができました。私が反応するものはCS・ESともたくさんありますが、その中でも数ヶ月暮らしてみて気になったのは、リビングで使っている白熱灯の照明器具です。この近くに来ると、頭痛が強くなるのです。

○謎を解明
 私はその頃、身の回りの金属製品と空間中の電磁波、自分の体調との関連を探っていました。そうして様々な観察と実験の結果、中華鍋のように金属が凹面状になっているものには、強い症状を起こすことがわかってきました。金属製のボールやザル、缶、鍋などにビリビリと振動するような刺激も感じました。その電灯の傘は金属でできていて、円錐形をしています。この傘が中華鍋と同じように、凹状金属製品と同じ作用を及ぼしているのではないかと思いました。円錐形がちょうどパラボラアンテナのように作用して、私の体に影響を及ぼしているのではないかと思ったのです。

[電灯の傘]

 それで、この電灯をはずして床に置いてみました。頭痛は止みます。次に、その電灯を持ち上げて、手で持ってみました。少し頭痛がします。これを手で持ち上げて、自分の頭の真上にもってくると、今度は強い頭痛がしました。一番頭痛が強かったのは、金属製の傘を帽子のように頭にかぶったときです。傘がまるでパラボラアンテナのように、空間中の電磁波を集めて、強度を強めているのではないかと考えました。それで、その傘ははずしてしまい、電球を傘なしで使うことにしました。頭痛は消えました。

 私は引越に備えて、仙台にいるときにリサイクルショップで同じ照明器具を5つ購入しました。それを札幌の新居で各部屋にそれぞれ設置してしまったのです。家中の電灯の傘がパラボラアンテナの役割を果たしているのではたまらないと思い、すべての部屋の電灯の傘をはずしました。そして、1階の倉庫の床に置きました。せっかく傘をはずしたのに、それをしまっておくのに、倉庫の上の棚に入れたり、天井につり下げたりしたら、また、それがパラボラアンテナとして作用してしまいます。2階の床に置くのもよくありません。1階の床に置くのが一番いいと思いました。

[電灯のしまい方]

 木造家屋の建材は電磁波を透過してしまうので、照明の傘を上図の赤色の位置に設置すると、パラボラアンテナとしての作用が起きて、私の体は反応してしまいます。1階の床材が電磁波を通さない素材であれば、完璧でしたが、木造でも高い位置に置くより床に置いた方(青色の位置)がマシです。

 仙台で蛍光灯を白熱灯に変えたときに頭痛が増したのは、パラボラアンテナ状の金属の傘に反応していたようです。
 

○蛍光灯への様々な反応
 蛍光灯についても謎がありました。私は、札幌の家の蛍光灯には耐えられないような強い頭痛を起こしましたが、仙台の家で使っていた蛍光灯には、それほど反応しませんでした。なぜなのでしょうか? 

 2009年春から、私と夫は札幌市内で、知人の会社を引き継ぎ経営することになりました。この事務所の天井には蛍光灯のシーリングライトがありましたが、私はこの照明にもあまり症状を起こしませんでした。このことからわかるように、一言に蛍光灯といっても、私に強い頭痛を起こさせるものと、そうでないものがあるようなのです。

 仙台で使っていた蛍光灯と、札幌の事務所の蛍光灯は、ほとんど症状を起こしませんが、札幌の家の蛍光灯は強い頭痛を起こさせました。札幌の家は古い木造住宅で、建てられてから35年くらいたっていました。蛍光灯も、その古めかしいデザインから察するに、1970年代に設置されたもののようです。古いタイプの蛍光灯には強い反応が出ますが、新しいタイプは軽くて済むようです。2010年に会社の事務所があるマンションに引っ越しましたが新居でも蛍光灯を使っています。ES症状は出ません。

 引越前に白熱灯を使っていたときは、とにかく電気代がかかりました。我が家にはほとんど電化製品がなかったので、1ヶ月にかかる電気代のうち、大半は照明の分でした。また、白熱灯は暗くて物が見にくいのも不便でした。電球はしょっちゅう切れるので、そのたびに取り替えなければなりません。私は子供の頃から蛍光灯を使って育ってきたので、白熱灯の暮らしになじむのは難しかったです。暗くて本が読みにくく、光が黄色いので、物の色がわかりにくかったです。

 引越して蛍光灯の暮らしになったとき、正直なところホッとした気持ちになりました。札幌の古い家に住んでいたときにも「蛍光灯はすべて害となるのではなく、反応するものとそうでないものがある」と気づいていれば、蛍光灯を使用できたかもしれません。しかし「電磁波過敏症には蛍光灯は良くない」という先入観が強くて、それを思いつくことはできなかったのです。知識で判断するのではなく、体感で確かめながら判断していくことの大切さを再認識しました。蛍光灯で暮らすようになってから、電気代が格段に少なくなって助かっています。蛍光管も長持ちします。物を見やすくなり、気持ちも明るくなりました。

○LED電球
 蛍光灯よりさらに優れた性質を持つLED(発光ダイオード)。家庭用の照明にも導入が進んできています。まだまだ価格が高くて手が出ないですが、私の電磁波過敏症には、どのような影響があるのでしょうか?

 2002年春、引越前に仙台でLEDのライトを使ったときには、強い症状が出ました。当時は目が過敏になって、頻繁に強い目の痛みを起こしていた頃です。私は階段を照らす足元ライトを買ってきたのですが、このライトに使われている小さなLED電球に強い目の痛みを感じたのです。それは目に突き刺さるような激しい痛みでした。その後、LED電球に接する機会がなく年月が過ぎていきましたが、2008年頃からLEDはエコ素材として脚光を浴びるようになり、私の身近な世界にも存在感を表し始めました。私はペンライトや懐中電灯に使われている製品を使用してみましたが、このときは、目の痛みを感じませんでした。しかし、中には強い目の痛みを感じさせるLEDもあり、警戒しています。夫が2007年頃に買ったLEDの電気スタンドには、目の痛みを感じました。どのような原因かははっきりしないけれども、どうやら私の身に安全なLEDと危険なLEDとがあるようです。これからその見極め方を探っていきたいと思います。


〔5〕テレビ

○テレビのない暮らし

 2002年に仙台から札幌に引っ越して以来、私はテレビを見るのをやめました。  引越後は家の中のCS対策のため、テレビを設置する余裕もなかったというのもあります。生活に必要な最低限の環境を整えるのにも四苦八苦していたので、娯楽的なものにまで気が回りませんでした。それに加えて、私はさらに積極的な意味でテレビをやめようと考えていました。理由は3つありました。

 (1)ES対策のため
  基本的に使用する電気製品は少ない方がいいだろうから、必要のない物を使わないようにしようと思いました。この時点で、数年前からテレビの騒々しさ、刺激的な音がつらくなってきていたので、やめるのにはよい機会でした。

 (2)団欒のため
  私たち夫婦は1999年に結婚しましたが、私のCSのため住む家が見つからず、それぞれの実家に住み続けていました。3年たってようやく同居が実現したのです。テレビのない空間で、夫婦の話し合いや団欒を大切にしようと思いました。食事中などテレビをつけていると、夫婦で黙ってテレビを見ているだけになってしまうので、テレビなしで会話を中心にした食事時間にしたいと思いました。

 (3)ニュース断ち
  以前本で読んだのですが、心身が弱っている人にとっては、マスメディアから流されるニュース類は、刺激が強すぎるのだそうです。犯罪や事故、災害など悪いニュースが多いからです。心理療法として、「ニュース断ち」というものがあるそうです。これは新聞・テレビ・ラジオなどを断って、ニュースに接しないようにするものです。2002年に引っ越ししたときは、私の症状はどん底で、社会との接点は全くないような状態でした。ニュースを断っても、何の不便もありませんでした。基本的にマスメディアの情報は、商業活動が根底にあります。そのメッセージは、「常に前に進むこと」「大量の消費」「飽くなき成長の追求」といったもので、療養生活とは相容れないものでした。私は立ち止まって、じっくり治療に取り組まなければなりませんでした。

○テレビへの反応
 リビングにテレビを設置しませんでしたが、夫は2階の自室にテレビを置いていました。引越の時に、実家からもってきたテレビです。しかし、夫が2階でテレビを見ると、1階で暮らしている私の体に症状が現れます。頭痛と全身の痛み、何とも言えない気持ち悪さ・・・視界がチカチカと瞬いている感じもありました。木造家屋なので、部屋が分かれていても、反応するようです。

 2階の夫の部屋は、テレビのアンテナケーブルを差し込むコンセントがないので、室内アンテナで見ていたのも、私の体には良くなかったようです。屋根に設置されているアンテナで受信して、ケーブルを通して部屋まで信号を引き込むのであれば、ある程度アンテナとの距離をとることができます。室内アンテナはテレビのそばで信号を受信するので、私の体への影響が大きく感じました。私が家にいるときは、夫にテレビを見ないでくれるようにお願いしました。

 私はこの木造家屋で、2002〜2010年の8年間暮らしましたが、その間、テレビを見る機会が2回だけありました。それぞれ20分程度の視聴だったのですが、強い症状が出てしまいました。目の痛みが強く画面をずっと見続けられません。画面がチラチラと瞬いているので、刺激が強く、神経が参ってしまいます。音もとても騒々しく感じられ、聞いていられません。頭の痛みや全身の気持ち悪さが強く出てしまいました。

 2010年に鉄筋コンクリートの建物に引っ越してから状況が変わりました。私たち夫婦は、マンションのワンルームの部屋にそれぞれ住むことになりました。ガラス窓には飛散防止のため鉄線が格子状に入っています。鉄筋コンクリートの壁とガラス窓の鉄線がシールド効果となって、携帯電話の電磁波によるES症状は軽くなりました。また、夫とは別々のワンルームにいるため、夫が自室でパソコンやテレビを使っていても、私はほとんど影響を受けなくなりました。夫は自由にテレビを見られるようになりました。しかし、新居では、アンテナの状況が悪いのか、テレビが古くなってしまって壊れてきたせいか、はっきりと映らないと言っていました。夫は長年の習慣から、あまりテレビを見ることはなくなったと言っています。すでに時代はインターネット中心となっており、テレビを見なくても情報を得ることができるようになったことも大きかったそうです。私自身はテレビが必要ないので、自分の部屋には置いていません。


〔6〕カーナビ

○レンタカーでの対策
 カーナビには強い頭痛を起こします。1998年頃、夫の車にカーナビを付けましたが、スイッチを入れると頭が痛くなってしまうので、私が乗っているときは使わないようにしてもらいました。

 夫は主に仕事でカーナビを使っていましたが、2002年に仕事を辞めて札幌に引っ越してからは、全くカーナビを使わない生活に入りました。私の体に配慮してくれてのことです。だから、日常生活でカーナビに触れる機会はなくなり、助かりました。

 私たちは2003年から年に2回くらい、春と秋に宮城県に帰省することにしていました。そのとき、移動手段として公共交通機関に乗るのが難しい私のために、レンタカーを借りることにしていました。私は新車の匂いに強く反応するため、レンタカー店で実際に何台か車を見させてもらって、一番匂いの少ないものを選びました(→ 第1部  第12章〔1〕仙台旅行記 参照)。

 車内の化学物質も大問題でしたが、電磁波の面でも注意が必要でした。2004年にレンタカーを借りたときには、初めに窓を開けて換気した後でも、強い頭痛がありました。この頃には、すべてのレンタカーにカーナビが搭載されるようになっていました。換気しても頭痛が止まないということは、これは化学物質による影響ではないと思いました。一番疑わしいのは、カーナビでした。カーナビのモニターをしまって、電源をオフにしてみましたが、頭痛が消えません。それで、近くの店でアルミ箔を買ってきて、カーナビのアンテナ部分を包んでみることにしました。ダッシュボードに設置されてあるアンテナはマグネットで貼り付けてあるので、はずして全体をアルミ箔で包みます。アルミ箔から発散される金属質の匂いにも反応するので、さらにそれをビニールで覆いました。こうすると、頭痛は和らいでいきました。なぜ、電源を入れていないカーナビのアンテナに反応するのだろうか? という疑問がありましたが、耐えられないような強い頭痛が出ている以上、やれるだけのことはやってみる必要がありました。

[カーナビアンテナにアルミ箔]


 それまでもアンテナに反応することはありました。衛星放送のパラボラアンテナは、ベランダに設置しただけで、強い頭痛と全身の焼けるような痛み、振動を感じました。2003年のことです。このときは、アンテナを設置しただけで、まだコードをテレビにつないでいなかったし、テレビの電源も付けていませんでした。それなのに、強い反応が出ました。

 カーナビも衛星放送も、アンテナの形状が空間中の電磁波を集めやすくするためだと考えてみましたが、詳しいメカニズムはよくわかりません。反応するときは、何か対策を施してみて、効果があるようなら、それを継続するようにしています。思いこみや先入観によって、無駄な対策をしないように、体感で効果を良く確認して、行っています。

 カーナビのアンテナをアルミ箔で包んだときには、少しずつ頭痛が減っていくので、効果を緩やかに実感することができました。さらに効果がはっきりするのは、レンタカーを返却するときです。店のそばまで来たら、アンテナにかぶせてあったビニールとアルミ箔をはがします。その瞬間、強い頭痛が戻ってくるので、効果があったことがはっきりわかるのです。カーナビの対策は、このような形で、毎年帰省のたびに行っていました。レンタカーの他に、実家の車を借りることもありましたが、そのときもカーナビのアンテナに同じ対策を施しました。効果がありました。

○カーナビ使用で強い頭痛
 2008年に、緊急の用事で仙台に帰省したときに、実家の家族と一緒に行動することになりました。車を運転していた家族が、行き先を確認するためにカーナビを使いたいと言ってきました。短時間だけなら我慢できるかもしれないと思って、使ってもらいました。時間がたつごとに、頭痛が強まっていき、10分後には耐えられないほどの頭痛になりましたが、行き先が入り組んだ道の先にあるようで、なかなか目的地に着きません。20分ほど走っていたら、割れるような頭痛になり、意識が遠のいていきました。その直後に目的地に着いたので、ようやくカーナビの影響から逃れることができました。しかし、その後2時間ほどは頭痛が治まりませんでした。全身の痛みは1週間ほど続きました。

 カーナビは大変便利なものですが、自分の体がここまではっきり症状を起こすことに驚きます。車内に4人乗っていましたが、誰一人として、体の不調を訴える人はいませんでした。私の体のどこかがおかしくなっているのだと思います。 現在では、タクシーの車両にはすべてカーナビが搭載されているので、気をつけています。ほとんど乗る機会はありませんが、やむを得ず乗るときには、やはり頭痛の症状が出てしまいます。短時間の乗車であれば、何とか耐えられる感じです。

 前述のように、年末年始の携帯電磁波からの避難の時には、人のいない過疎地に行くことが多かったのですが、交通機関がないので、タクシーを利用することがありました。このときも短時間の乗車だったので、何とか耐えることができました。


〔7〕モバイル機器のワンセグTV放送

○強い全身症状

 携帯電話の電磁波によるES反応は、2001年頃からはっきりと現れるようになりましたが、2007年頃から、携帯電話に新たな反応を起こすようになりました。

 2008年のことだったと思います。私はこの頃、携帯電話に対する反応が強まったため、ほとんど公共交通機関には乗れなくなっていました。しかし、仙台の実家に帰省するときだけは、バス・鉄道・飛行機に乗らなければなりませんでした。バスや鉄道の車両で携帯電話を使っている人がいると、私は具合悪くなってしまいます。そのときは何とかやり過ごし、体にダメージを受けた分は、旅行後1週間くらいじっくり休んで、体調を回復させる期間を設けなければなりません。

 2008年は、実家で緊急の用事があったため、何度か帰省しなければなりませんでした。空港から市街地を結ぶバスの車内で、携帯電話の画面をじっと見つめている人がいました。私の座っている場所から1.5mくらい離れています。その人は携帯電話を使って何をしているのか、このときはわからなかったのですが、体に強い反応が表れました。その人は耳にイヤホンを当てて、画面にじっと見入っていました。じっとしたまま、1時間近く見続けていました。

 私は頭痛と同時に、全身の何と見えない気持ち悪さを感じました。全身の筋肉が痛んでだるく、身の置き場がない感じです。全身に濁った液体が循環している感じで、手足がだるく、ときどきけいれんするような動きがあって、じっと座っていられません。長時間マラソンや水泳をして、翌日強い筋肉痛に見舞われたときのような、どうにもならない怠さでした。腕や脚などを揉んでみたら、少し楽になる感じもしましたが、その苦しさの波は次々と押し寄せてきて、少し揉んでみたくらいでは全く追いつきません。早く目的につくことばかり、考えていました。

 家に帰って夫に聞いてみると、「きっと、その人が使っていたのは、携帯電話のワンセグ機能だろう。携帯電話でテレビを見ていたんだよ」と言いました。なるほど、耳にイヤホンを付けてじっと見ていたあの人の行動は、まさにその通りでした。夫が言うには、ふだんバスや地下鉄に乗っているときに、ワンセグでテレビを見ている人がいて、夫は携帯電話の電磁波には全く反応しないのですが、ワンセグ放送だけは不快に感じるそうです。ワンセグ放送を視聴している人のそばにいると、ピリピリとした刺激を感じ、気持ち悪くなってくる、と言っていました。「ワンセグは特に体に悪いような気がする」と言っています。

○夫も電磁波過敏症?
 夫は、ふだん通信電波を発する機器を使っていても、私のように具合悪くなることはありませんが、1つだけ強い症状を起こしたことがありました。2011年、自宅のパソコンにワンセグチューナーとアンテナをつないで、テレビを見ようとしていたときのことです。パソコンの電源を入れて、チューナーとアンテナをつないだところまでは全く問題はありませんでした。ところが、ワンセグ用のソフトを起動した途端、猛烈な頭痛に襲われたというのです。私は危険なので、その場にはいませんでしたが、後に夫が話してくれたところによると、それは「耐えられないほど強い頭痛だった。しばらく頭痛は消えなかった。なぜ、ソフトを立ち上げた途端に頭痛が出るのかわからない」とのことです。「タイミングがはっきりしているので、何らかの電磁的な影響を受けたに違いない」とも言っていました。夫はふだんから私の電磁波過敏症に理解を示してくれて、協力してくれていたのですが、実感としてはよくわからなかったようです。このとき自分が強い症状を起こしたことで、私の身に起きていることを、自分の身をもって体験することができた、と言っていました。


〔8〕充電池

 充電池にも目の痛みが起きます。製品によって強い痛みから、中程度のものまで、様々な反応があります。現在の社会では、充電池を使った製品が増え続けているので、反応を起こす場面も多くなりました。

○蓄熱ヒーターによる反応
 初めに強い反応を起こしたのは、2001年の12月頃、蓄熱ヒーターを買ったときでした。このヒーターは、電気で温風を出すというもので、灯油ストーブにCS反応を起こす私にとっては、良い製品のように思われました。購入後、コンセントにつなぐと、少しずつ目の痛みが起きてきて、数時間後には強い痛みになりました。とても耐えられないような痛みです。当時は、目の痛みの原因がわかっていなかったので、何に反応しているのかわからずに動揺しました。この製品は、スイッチを入れると、数時間で内蔵されているバッテリーに充電され、ためられた電気の力を使って、暖房を行うものです。その後、目の痛みの体験を重ねるうちに、このときの反応は、充電池に対する症状だったのではないかと思うようになりました。

○美容機器に対する反応
 同じ頃、充電式の美容機器に対しても、強い目の痛みを感じました。不思議なことに、この製品は、目の痛いときと痛くないときがありました。充電器に接続して充電が始まると、目の痛みが出てきます。充電し終えてバッテリーに電気がたまった状態では、激しい目の痛みが出ます。しかし、離れた場所で数十分スイッチを付けっぱなしにして、充電した電気を使い切ると、目の痛みは治まります。充電されたバッテリーに反応しているようなのです。これはどういうことなのでしょうか? 夫の話では、充電されたバッテリーからは、電気を使わなくても、少しずつ放電されているので、そういったものに反応しているのではないか、ということでした。しかし、放電されているのにはごくわずかな電気量なのではないでしょうか。それなのに、ここまで強い目の痛みを起こさせるとは、驚きです。

○ノートパソコンのバッテリー
 夫が2004年にノートパソコンを買ったときも、強い目の痛みが起きました。パソコンの電源を入れていなくても、目の痛みがあります。美容機器の経験から類推して、パソコンのバッテリーをはずし、缶の中に入れ、車のトランクにしまいました。そうしたら、目の痛みは軽くなりました。さらにバッテリーをビニール袋に入れた後、アルミ箔で完全に覆い、缶に入れて車のトランクにしまったところ、目の痛みはやみました。(アルミ箔に包む前にビニール袋に入れたのは、アルミ箔が直接バッテリーの電極に触れると、ショートして壊れるからだそうです。夫の解説より)

 例えば、充電池の化学物質に反応しているのだとしたら、バッテリーをビニールに包むだけで目の痛みは治まるはずです。しかし、ビニールだけでは、全く目の痛みは減ることがありませんでした。

 夫の友人で、電気工学に詳しい人の話では、「充電池類には、蓄電のためにコンデンサーがたくさん折り重ねられたように入っているが、蓄電率を高めるためにオイルが充填されている。そのオイルが揮発してCS反応を起こす可能性がある」とのことです。ところがその人に、「ビニールで覆っても反応は続くが、アルミ箔で覆うと収まる」ということを説明したら、彼も、「これは電気的なものに反応している可能性が高い」と言っていました。
 夫の友人には、電気工学や通信電磁波の分野で働いている人が何人かいますが、たいていの人は電磁波の安全性に疑問を持っているようです。「絶対に安全」という人はいませんでした。携帯電話の電磁波については、その分野で働いている人の中では「危険性があるらしい」との共通認識があるそうです。

○充電池を避けて暮らす
 最近では、小型でポータブルの電気製品が増え、充電池を使った製品が多くなってきています。2005年にデジタルカメラが壊れたので、新しいものを買いましたが、充電池に反応するのを恐れて、乾電池式のものを買いました。携帯電話やノートパソコンにもバッテリーが内蔵されています。私が携帯電話やパソコンに反応するのは、機器から発散されている電磁波や通信用の電磁波が原因となっているようですが、その他に充電池に対する反応も出ているようです。公共交通機関に乗ると、携帯電話使用者に囲まれてしまうことがありましたが、電話が発する通信電波の他に、充電池にも反応している可能性があります。症状は、目の痛みです。

 乾電池型の充電池にも目の痛みを起こすので、もっぱら使い捨ての乾電池を使っています。夫が言うには、使い捨ての乾電池からも、ただ置いているだけで、常にいくらかの電気が放電しているということですが、充電池ほどの強い反応は起こっていません。その辺のメカニズムは未知のものであり、私以外の人で、この世に充電池に反応する人がいるのかどうかもわかっていない、不思議な現象です。私自身、反応があるので、仕方なく対処しているのですが、なかなか理解しづらい現象だとは思います。

 夫が10年以上使っている電動ひげそりは充電式なのですが、これには目の痛みの反応は起きません。充電の仕組みの違いなどで反応が違ってくるのかもしれません。ただ、もしこのひげそりが壊れた場合、新しく買うひげそりの充電池には反応してしまうかもしれません。どの機械に強く反応が出るかは、1つ1つ体で確かめなければならないので、難しいことですが、何とか対処していきたいと思います。


〔9〕洗濯機

○離れて使う

 洗濯機にも反応が出ました。洗濯機のスイッチを入れて洗濯を始めると、そこから透明なさざ波のようなものが発散する感じがあり、頭の中がザワザワとしてきます。高い周波数の音を聞かされて、耳が小刻みに振動してチリチリする感じに似ています。思考力が落ちるので、本を読んだり文章を書いたりがしにくくなります。頭痛がして、胸が苦しい感じになるので、夫が洗濯機を使うときは、私は洗濯機のある場所から離れた部屋へ移動するようにしていました。私自身は、CSのため洗濯機が使えず、手洗いのみなので(→「第1部 第1章 有害物質を避ける方法 〔2〕 有害物質の影響を避ける方法 d.浄化する」参照)、洗濯機の電磁波が問題となるのは、夫が洗濯するときのみです。


〔10〕電子レンジ

○激しい発作

 電子レンジはスイッチを入れると、頭痛や全身の痛みの症状が出ます。そのため使用するときは夫が操作し、私は2m以上離れているようにしています。1分程度の使用であれば、耐えられます。

 2005年頃、私は携帯電話の電磁波で様々な症状を起こしていましたが、その中に強い腹痛の症状がありました。これは携帯電話の電磁波が強い場所に行くと、強烈な腹痛を起こすというものです。あまりの痛みに、大きなうめき声を上げながら転げ回ってしまうので、それを見た夫は「生きた心地がしない」と言っていました。

 2005年のある朝、起きたときに腹痛を感じた私は、牛乳を飲んでお腹を温めようと思いました。電子レンジで牛乳を温めようとスイッチを入れた瞬間、強烈な腹痛に襲われました。それまで何度か経験したことのある、あの強い腹痛の発作です。私はこのとき、自分で電子レンジを操作してしまいました。朝早く、夫はまだ寝ていたので、起こすに忍びなかったからです。スイッチを入れた瞬間、ぱっと飛び退いて離れた場所に逃げたのですが、間に合わなかったようです。激しい腹痛が襲ってきて、電子レンジを止めたかったけれど、近づくことができません。30秒ほど呻いていたら、電子レンジが止まったので、自分でスイッチを切る必要はなくなりましたが・・・その後もしばらく強い腹痛が続き、転げ回っていました。私の激しい呻き声を聞いた夫が目を覚まして駆けつけてくれました。腹痛の発作の時には、鎮痛剤を飲み、温めた牛乳をのむと収まります。夫はすぐに鎮痛剤を飲ませてくれて、牛乳を温めてくれました。電子レンジを使うのは危険なので、鍋で温めてくれました。それを飲んだら、少しずつ腹痛は治まっていきました。
 電子レンジからは周波数が2.4ギガヘルツの電磁波が出ています。外に電磁波が漏れないような作りになっていますが、いくらかは漏れるようです。この周波数は、携帯電話の電磁波に近いところにあります。私が腹痛の発作を起こしたのは、電子レンジの電磁波に反応したのではないかと思います。この後は、気をつけているので、電子レンジで激しい腹痛の発作を起こすことはなくなりました。


〔11〕消防署・警察署

○毎回同じ場所で起こる頭痛

 以前から、ある種の建物の近くに行くと、頭痛が起きることに気づいていました。2004年頃まで原因がよくわからなかったのですが、それまで頭痛を起こした場所を考え合わせてみると、そこには、消防署や警察署があることに気づきました。消防署などの建物から辺り一帯を覆うように、頭痛を起こす何かが発散している感じです。考えてみると、これらの施設は無線を使って通信しています。建物の敷地内にアンテナが設置してあります。それに反応しているのではないかと思います。私がよく行く交差点のところには、消防署があるのですが、私はいつもここで頭痛を起こしていました。インターネットの地域の掲示板には、この交差点に来ると、必ずラジオや電子機器に妨害電波が入るという書き込みがありました。機器にも影響を与えるほどの強い無線電波が出ているようです。私の体もそれに反応しているのではないかと思いました。


〔12〕公共交通機関

○乗車位置に注意
 鉄道・地下鉄・市電にもES反応を起こします。電気で動かしている電車は、乗ると頭痛や全身の筋肉痛の症状が出ます。高圧送電線や変電所の近くに行ったときの反応によく似ています。これは静的な反応で、通信電波や携帯電話の電磁波に接したときのような、刺激が振動している感じや、視界が点滅しているような感じではありません。継続して、同じ痛みが続く感じです。

 JRや地下鉄に乗るときには、体の反応を見て、できるだけ症状の少ない場所を選ぶようにしています。車両の上にあるパンタグラフの部分は、電磁波の影響が強く感じます。電車の車両はパンタグラフがついていないものを選んで乗っています。他の事情で(携帯電話を使っている人やCS原因などで)やむを得ずパンタグラフがついている車両に乗らなければならないこともありますが、その場合でも、直下は避け、位置をずらして乗るようにしています。ホームで電車が入ってきたのを見たら、どの車両のどの位置にパンタグラフがついているのか確認します。車内でCS・ES要因を避けて移動しなければならないときには、あらかじめ確認したパンタグラフの位置を思い出して移動するようにしています。体感では確かにパンタグラフの近くで、痛みの症状が強まるように感じています。

 札幌市の路面電車「市電」に乗るときは、パンタグラフを避けようにも一車両しかないので、どうしようもありません。地下鉄やJRに比べて、体の痛みを強く感じます。それでも、車両の中でなるべくパンタグラフの位置から離れたところに乗るように気をつけています。

○モバイル機器の影響
 2007年頃までは、そのような点を気をつけて乗っていましたが、2008年以降は、車内で携帯電話を使用している人からの電磁波の影響が強くなり、症状が強まってきたので、公共交通機関には乗れなくなってしまいました。本当にやむを得ない場合だけ乗車しますが、携帯電話による強い症状が出ます。

 乗車中は頭痛と全身の痛み、視界の点滅する感じ、全身のたまらない怠さがあり、居ても立ってもいられない感じです。帰宅してからも、1週間くらいはその症状を引きずってしまい、なかなか回復しません。全身の筋肉痛による体のだるさがひどく、夜は神経がたってしまって眠れません。最初の3日は起きていても何も手につかないような状態です。食欲も落ちてしまい、あまり食べられません。味覚も鈍くなります。どうしても公共交通機関を使用しなければならないときは、乗車後の症状を覚悟して、乗るようにしています。
 

○バス
 バスは、JR・地下鉄・市電に比べれば、電磁波の影響が少ない乗り物です。軽油や天然ガスなどで走っているので、車両からの電磁波症状はあまり出ません。

 2004年に、それまで悪かったCS症状が落ち着いてきたので、公共交通機関に乗ることにしました。ちょうどそのとき、私は自宅の車にCS反応を起こして乗れなくなってしまったからです。

 初めに試したのはバスでした。JR・地下鉄・市電は、体調に自信がなかったので、利用を見合わせていました。最初はバスだけでどんなところにも行っていました。札幌は地下鉄網を中心に、バス路線が組んであるので、バスだけで行くのには時間がかかります。それでも体調を優先して、バスのみを利用していました。このように比較的、体が楽なバスでしたが、2008年頃から、やはり携帯電話を使用する人たちの電磁波の影響で、乗れなくなってしまいました。やむを得ない事情の時以外は、なるべく乗らないようにしています。


〔13〕レジ

○意外なES原因

 最後にスーパーのレジについて書きます。私は2003年頃から、レジで会計しているとき、体がつらいと感じるようになりました。全身が痛くだるく、立っているのがつらくなってきます。頭痛もしてきます。初めはスーパーの店内の化学物質に反応しているのではないかと思っていたのですが、レジを通るときだけ特に症状が強まるので、レジの辺りにある電気製品の影響なのではないかと考えています。何とか耐えられるレベルですが、体調の悪いときや疲れているときは、強く症状が出るので、つらいと感じることが多いです。店によっては、レジのデータを無線で飛ばして、1カ所で集約するシステムがついているという話を聞いたことがあります。そういうシステムの近くにいれば、無線電波の影響を受けることもあるかもしれないと思います。実際に天井に無線用のアンテナがついているお店もあります。そのようなシステムがついていないような店でも、つらい症状が出るので、同じような現象が起きている可能性があります。

 以上、携帯電話以外の電磁波過敏症の原因や症状について、書いてみました。


◇電磁波基礎知識

   (調べた内容を簡単にまとめてみました)

 電磁波とは、電解と磁界が交互に伝搬していくエネルギーの波。1秒間に何回振動するか。振動回数が周波数です。周波数によって、電磁波の性質は異なります。

[電磁波の種類]

 日本の場合、家庭用電化製品に使われている電気の周波数は、50か60ヘルツ。電圧は100Vか200V。発電所で作られた電気は、高圧送電線で運ばれ、変電所で変換され、身近でよく目にする電線で各家庭に運ばれます。

[送電のしくみ]

 コンセントに電化製品のプラグをさすと、製品を使うことができます。このとき、電気が通っている物にはすべて、電界と磁界が発生します。
 高圧送電線のまわりにも、家の中の電気配線にも、電気コードにも、家電製品にも電流が流れ、その周囲に電界と磁界を発生させます。それに反応するのが電磁波過敏症です。完全に電界・磁界を外に出さない電線をつくることもできるようですが、家庭用の電気配線やコードなどは、電線がプラスチック素材で覆われていて、コードのまわりに電界・磁界ができます。鉄管の中に配線を通すと、外に電界や磁界が漏洩するのを防ぐことができます。

 このような電線による送電網とは別に、無線通信があります。これは空間中に電磁波(電界と磁界の波)を発生させて、それを送受信するシステムです。例えば、テレビの電波塔から発信した電波を、家の屋根に設置したアンテナで受信し、テレビ受像機に映し出して見ます。

[テレビ放送のしくみ]

 ラジオも同様のシステムです。テレビの衛星放送は、地球上空、宇宙空間にある人工衛星から電波を発しています。それを各家庭にあるパラボラアンテナで受信して、見ることができます。

[衛星放送のしくみ]

 携帯電話は各人が持っている電波の送受信機を使って、電波を飛ばしたり受け取ったりして交信します。遠くの人とも通信できるように、携帯電話機から一番近い距離にある共用アンテナのようなものに電波をとばし、そこを中継して、相手の電話機まで信号を送ります。

[携帯電話が通じるしくみ]

 携帯電話の場合、周波数は約800メガヘルツ〜2.1ギガヘルツ(8億ヘルツ〜21億ヘルツ)。 1秒間に8億〜21億回という高速で振動しています。(2014年現在)

 電磁波には様々な振動数のものがあり、それぞれ性質が違います。私たちがふだん目にしている「光」(可視光線)も電磁波の一種です。携帯電話よりも、ずっとずっと高い周波数です。私は携帯電話の電磁波の影響を考えたとき、それが光とよく似たふるまいをすることに気づきました。それは、光も携帯電話の電波も同じ電磁波の仲間だからです。


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