有馬街道(国道428号線、神戸三田線、旧 天王谷越・湯乃山街道・黒甲越) (*21)(*22)(*23)(*17)(*26) (関連リンク、地図)
(写真)有馬街道 小部峠
惣山町の西を通る有馬街道は、もともとは天王谷越と呼ばれる狭く往来には危険な険路であった道を、明治7年に石井村(兵庫区石井町)の庄屋谷勘兵衛(関連記述)が有野村の田中狡兒(こうじ(*17)、別の資料(*23)では、俊児)とともに天王谷(地名の由来)から三田まで整備・開通させて以来、拡幅・改修が繰り返され、鉄道・自動車の無い時代から 山田地区の南北の交通路として大きな役割を果たしてきた現在山田地区で最も交通量が多い幹線道路。
有馬街道として整備される前の天王谷越の古道は、天王谷で幅1間(1間=6尺=1.8m)、その北側(鍋蓋山西麓−水呑−二軒茶屋−小部峠−箕谷(湯乃山街道に合流))はさらに狭く、天王谷では岸壁が迫り、天王川を飛び石伝いに何度も渡らなければならない道で、車や馬では通れなかった。このため、沿道には往来の安全を祈ったと思われる地蔵(やきもち地蔵(名前の由来)など)や宝篋印塔(小部峠宝篋印塔(写真・解説)など)が多く見られる。街道沿いには水呑(産物などの物々交換をする替え場があった)、二軒茶屋(昭和初期まで2軒の茶屋があった)などの地名が残っている。
現在は兵庫区のJR神戸駅付近から平野、天王谷、鍋蓋山の裾野を潜る小部トンネルから、小部峠を経由して下谷上の箕谷(みのたに)付近までが国道428号線(国道428号線はさらに北上し淡河町に向う)、箕谷から上谷上を通って、有馬口から三田市との市境近くの道場町までが県道神戸三田線(15号線)となっている。
明治7年の開通当時の有馬街道のうち、五社・三田間は、有野川沿いに道場へ抜ける現在の神戸三田線のルートではなく、現在の六甲北有料道路のルートに近い、かつての黒甲越の道(五社−柳谷−附物−八多−道場)であった。
地点別交通量(12時間当り、神戸市統計)
地点 | 昭和60 | 昭和63 | 平成2 | 平成6 | 平成9 | 平成11 |
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小部(国道) | 15,638 | 18,939 | 18,052 | 15,720 | 14,648 | 15,740 |
下谷上(国道) | 8,119 | 11,050 | 10,632 | 12,112 | 19,681 | 11,963 |
上谷上(県道) | − | 20,076 | 21,712 | 19,780 | 21,102 | 19,356 |
小部地点で平成以降減少ぎみなのは長田・鵯越方面から箕谷を結ぶ県道長田箕谷線の整備が進んだため?
有馬街道の変遷(*22)
(一部、下の年表と合わない部分がある)
「有馬街道」という名前の道は他にもあり、むしろ、『大阪から伊丹、小浜(宝塚)を経て西宮の生瀬(なまぜ、西宮市北部)を通り有馬に至る街道で、古代から湯治のために有馬温泉にむかう道』(*5)の方が有馬街道として名前が知られている。
年号 | 年 | 有馬街道とその周辺道路(*21) |
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明治 | 7(1874) | 石井村の庄屋谷勘兵衛と有野村の田中狡兒により開通 |
20(1887) | 兵庫道(後の神戸三田線)を県道に編入 | |
27(1894) | 第1次改修工事(33年間) | |
大正 | ||
昭和 | 9(1936) | 第2次改修工事(〜13年) |
31(1956) | 全線舗装 | |
50(1975) | 小部トンネル開通(天王ダム(関連リンク)建設(昭和56年完成)により迂回? | |
59(1984) | 山麓バイパス開通(天王谷で有馬街道と接続) | |
63(1984) | 長田箕谷線(泉橋〜山の街)開通(山の街で有馬街道と接続) | |
平成 | 2(1990) | 箕谷バイパス(箕谷トンネル)開通 |
2(1990) | 長田箕谷線(ひよどり以南)開通 | |
3(1991) | 国道428号 原野バイパス開通(箕谷で有馬街道と接続) | |
6(1994) | 長田箕谷線(泉橋〜北の谷)開通で有馬街道の山の街と 長田方面が全線開通 |
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8(1996) | 花山バイパス開通 | |
10(1998) | 有馬街道と平行する阪神高速北神戸線の箕谷〜柳谷間が開通 (箕谷、五社で有馬街道と接続) |