■栗田 彰■
《“とくに面白い川柳”を拾い上げてもらうと………》

栗田さん、1981年秋に、人事異動で下水道局の広報係員となったが、都民から江戸の下水道について尋ねられるものの、ほとんど回答できなかったことから一念発起、「江戸の下水道」について調べ始めた。そして、いまなお続けている。
その延長で、「川柳は以前から面白いと思っていたし、川柳本も読んでいたので、江戸の下水道の資料として川柳を手がかりにした」というのは栗田さんならではの着眼だ。

数ある川柳の中で、とくに面白いと思った句は? と尋ねると、20代の頃に古本屋で買った『名句江戸川柳』(1948年刊行)という本に出会って、「面白いと思った句に印をつけた」とか。それらの中の一部を拾い上げてもらったのが以下のような川柳だという。

○寝づかれぬ 夜は家をたて  蔵をたて  
○夫とも   兄ともつかぬ  かゝり人
○親の恩   十四で知った  娘なり   
○鼻すじが  背中へ通る   ひき蛙
○母親は   もったいないが だましよい 
○書置きは  めっかりそうな とこへ置き
○子をもって やうやう親の  馬鹿が知れ 
○泣く泣くも うかとはくれぬ 形見分け
○琴になり  下駄になるのも 桐の運   
○知れている ものを数える  泉岳寺
○蝿は逃げ  たのに静かに  手を開き  
○美しい   顔で楊貴妃   豚を喰ひ
○死に水を  嫁にとられる  残念さ   
○瀬戸物屋  あたり近所に  損が知れ
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