■栗田 彰■

《こんなにあった! 江戸時代の“環境ビジネス”?》

江戸時代を〈環境〉というキーワードで栗田さんにくくってもらうと、「いまで言うリサイクル。再利用することが社会の仕組みとして上手く機能していたと思います」とか。いろいろな“環境がらみの職業”がピックアップできるという。
『守貞謾稿』の「生業」から】
◇古着店 富沢町(現・中央区日本橋富沢町)および橘町(現・中央区東日本橋三丁目・日本橋久松町)にあった。
◇刀屋 芝日蔭町(現・港区新橋二〜三丁目)にあり、刀・脇差・小道具とも古を専ら扱っていた。
◇古金絲買 女髪の飾りに用ひ古びたる金絲を買ひ集めて、これを焼きて金を取っていた。
◇羅宇屋
◇錠前直し
◇鋳鉄師 鍋釜の破損修理。
◇磨師
◇下駄歯入れ
◇眼鏡の仕替(しかえ)
◇印肉の仕替
◇瀬戸物焼接(やきつぎ)
◇紙屑買ひ
◇古傘買ひ 油紙を獣肉の包装に再利用。
◇灰買ひ 
◇還(かん)魂(こん)紙(し)売り 漉き返し紙
◇提灯張替へ
◇蝋燭の流れ買ひ 
◇はつり売り 木端(こっぱ)→材木の斧屑 焚付。
◇雪駄直し
◇渋紙売り 反古を重ねて張り、日除け、敷紙、荷造に再利用。
◇炭団売り 炭粉に泥を混ぜ炭の代わりに使う。
◇竹馬古着屋 古衣服、古衣を解いて、衿、裡(うら)など諸用の古物を売る。
◇払ひ扇筥(はこ)買ひ 年始礼の年玉に使われた扇筥、袋納扇を買い集め年玉用にまた売る。
◇墨渋屋 板塀、塀の腰板、板庇等を塗る。
◇竈塗り 中戸以上は出入りの左官に塗らせる。小戸のみ呼び来る者に命ずる。
◇払ひ合羽 武家の奴僕等が用いた古い紙合羽を買い、小民、雇夫等に売る。
◇樽買ひ 酒、醤油などの空樽を買い、明樽問屋へ売る。問屋は醤油屋へ売る。
◇銭蓙(ぜにござ)売り 銭蓙は反古紙を捻りて莚(むしろ)に編みて売る。両替店は必用す。その他銭を扱う店はこれを用ふ。
◇その他= 『守貞謾稿』には載っていないが、古鉄を買い集める「よなげ屋」が居た。
「ごみ捨て請負人」や、堀・川・下水浚いの泥を埋立地に運ぶ者が居た。
屎尿は近郊農村へ運ばれ、肥料として利用された。
盆には、精霊棚の道具を集める者が居た。

そして、こんな感想も―
 江戸時代ではないが、私が子供の頃にも鋳掛屋とか下駄の入れ屋などを見かけることがあった。盆には「お迎え、お迎え(オムカイ、オムカイといっていた)」が廻ってきた。
 私が若い頃には、靴も「半張り」や「踵の張替え」をして上革が破れるまで履いた。腕時計なども1、2年に1回くらいは分解掃除をしてもらった。昭和40年代後半に買った腕時計はいまも使っている。

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