ホーム >> ブック >> ブックリスト2 >> 読書感想 >> No.1〜10
ミス・ビアンカのシリーズの1です。 旧のほうの版です。
絵が、ねずみ3匹、ミス・ビアンカ、バーナード、ニルスとそれぞれに書き分けていて目付きがそれぞれ違ってて。 ニルスの編み帽子もいいなー。走ってるニルスの長靴姿がかわいい。
猫のマメルークも顔は憎らしげだけど毛並みがフサフサでフカフカ。さわってみたい。 よく線だけであんな風に描けるなぁ。
ガース・ウィリアムズって、大草原のローラのシリーズの絵で知ったけど、こういう絵も描くんだ。 元気になる前の詩人の顔がちょっとこわいよ。
あの詩人はいったい、どういう人だったんだろう…?
チムはちいさなおとこの子。 海辺に住み、ふなのりになりたくてたまりません。 だけど、お父さんとお母さんはもっと大きくならないと、などと言って笑い、とりあってくれません。 かなしむチムでした。
でも仲良しのボートのおじさんが、 沖の船の船長と知り合いだからと、船まで連れて行ってくれました。 そこから、チムの冒険が始まります。
今まで絵本というものは読んだ経験が少ない。 ここ最近、興味が出てきて、いろんな絵本作家の名前や、また、アーディゾーニという人の名前を聞いて、読んでみたくなりました。
それに、瀬田さんの本を追っているわけではなくても(そういう面もある場合はあるけど)、 意識して探していない時でも、 こんな風に瀬田さんにぶつかってしまう。 児童文学にとって多大に貢献した人なのだ、と今更に思う。
「やあ、ぼうず、こっちへこい。なくんじゃない。いさましくしろよ。わしたちは、うみのもくずときえるんじゃ。なみだなんかは、やくにたたんぞ」
(略)「このせんちょうといっしょなら、うみのもくずとなろうとも、かまわないと おもいました。」
ここの部分はグっときました。迫力がある。 ここのところ原文はどんなか知らないけど、言葉の流れが美しいと思いました。
絵が、こってり描いた絵じゃなくて、ザザっと線で描いたような絵なんだけど、 怒られて冷や汗をかいたり、お仕置きに掃除を言いつけられておうちを思い出して泣いている様子とか、チムのようすがかわいいです。 コックのおじさんにココアを貰ってチョコンと座って飲んでいるチムの姿の小さいこと!
ジョン・ギルピンは洋服の生地屋さん。 奥さんは結婚20周年の記念に、ベル亭に行って食事をしましょうとねだります。 奥さんと子ども3人、奥さんの妹とその子どもが馬車にのると満員で ギルピンさんは後から馬で行くつもりです。 だけどやっと用事をすませて馬にのると、駆けるは駆けるはで、 腰にさげたワインの壷も割れたり、かつらはふっとぶし、 ベル亭も通りすぎてしまいます。
18世紀の詩人、ウィリアム・クーパーの詩をもとにした 愉快な絵本。
コルデコットはヴィクトリア朝時代の挿絵の名匠だそうです。 ほるぷクラシック絵本のシリーズのうちの一冊です。
最初のページに、作者と画家の紹介をしてお辞儀をしているギルピンさんの絵があって、<はじまりはじまり〜>という感じとか、絵が生き生きとしていて、表情があって、面白い。
ギルピンさんは頭のはげたおじさんだけど、奥さんを大事にしている様子がよくわかる。 最後にギルピンさんをぎゅ〜っと抱きしめている奥さんの姿とギルピンさんの表情がまたいいのです。
「ギルピンは おもいがけず とおくまでつれてゆかれたのに ぶじにもどれたというおはなし」
という副題のようなものを見て、これも言ってみれば、行って帰る物語*、<ゆきて帰りし物語>だなあ…とか思っちゃいました…。でも、考えてみると、「行って帰る話」ってある意味ほとんどそうかなあ…(汗)
*行って帰る物語(参考:後述の、[13]『てぶくろ』を参照。)
コルデコット賞について。
この本の、解説のページに
「アメリカでは、1939年から、その年度の最優秀と見なされた絵本に、彼の名を記念して「コルデコット賞」を贈っている。」
とありました。
コルデコットってイギリスの人ですよね…? 賞はアメリカなのかな。
トム・ハンクスの映画の『ポーラー・エクスプレス』の広告をみてたら、 コルデコット賞という文字が見えてドキっとしました。 『急行「北極号」』という絵本が原作で、1986年のコルデコット賞受賞作なんだそうです。
(追記)
コルデコットについて関連記述:[51]『金のがちょうのほん』
カナダのトロントの公共図書館内にある、児童図書専門の「少年少女の家」の運営に携わり、活動を行なったリリアン H. スミス氏の本。
石井さんと瀬田さんと渡辺さんは、日本の児童文学について、確かなる指針となる本を探し訳するにあたり、それぞれ別にこの本に触れていたのに、この本を一致して挙げたのだそうです。
優れた児童文学とはどういうものか、深く追求した本です。 といっても、私にはちょっと難しいけど。
でも瀬田さんの「幼い子の文学」(参考:『幼い子の文学』(評論の項へ))などを読んでいたから、有名な絵本のこととか、タイトルくらいは聞いた事があるのが出てきた。
コールデコットの絵本の事で、絵が参考についていた。「ヘイ・ディドル・ディドル」の場面の絵は<お皿がお匙と逃げました
>の場面、お皿が伊達男だったので笑えました。
民話も「ノロウェイの牡牛」と「ミスター・フォックス」はわかった。「ミスター・フォックス」の中の「勇敢なれ、勇敢なれ」
(だったかな?)という言葉は有名なのだなー。英語圏の子どもは皆知っているのだろうか。
詩は、デ・ラ・メアはいい詩を書く人なんだということだ。
冒険小説や歴史小説は「宝島」も読んでないのに、まだまだいろいろと素晴らしそうなのがある。(参考:[34]『宝島』を後日読む。) 邦訳されているといいんだけど。
ビアトリクス・ポターはあちこちで褒められている人だ。凄い人なんだ。
この本は1953年(かな?)に出版されて、日本語訳も1964年と古いんだけど、その時代に、こんなにも児童文学のことを真剣に考えている人たちがいて、こういう優れた本が出されている。今でもきっと、指針となる本なんだと思う。
私は渡辺さんという人は存じ上げなかったんだけど…。「ミス・ビアンカ」シリーズを訳したかたでしょうか。三人とも日本の児童文学に尽力された人たちなんですよね…。
この本に挙げられているものを、少しでも読めたらと思っています。道は長い。
「指輪物語」の中にある詩を、物語の概要と注釈とともに、アラン・リーの絵の挿画の美しい本です。(詩以外の注釈などの部分は評論社編集部による)
「『指輪物語』の読後、もう少し「中つ国」をさまよっていたい読者に、そして本編は長大すぎるとためらっている未読者に本書を捧げる」
(帯より)
とのこと。
詩の部分は指輪物語本編を読めばいいといえばいいんですが、やはり詩だけ抜き出してくれてると助かるし、今までは詩のところはじっくり読んでなかったりするし、絵も綺麗だし、こんな本ほしかったです。
詩は、まだ日本語訳のほうもさらっと読んだくらいなんですが、もし原書のほうの英語で理解できたらいいだろうなと思っています。「トールキン・アンサンブル」という、中つ国の詩を演奏しているクラシックのグループがあるんですが、そのCDを聞いて英語は分らないながら楽しんでいるところです。
また、日本語訳もとても言葉が美しくて、
「そのかみ王は、馬にて去りぬ。
いづちにか、知る人ぞなき。
むべぞかし、王の星おちて、
影の国モルドールに消えたれば。」
(ギル=ガラドの歌 より)
なんて、言葉づかいが素敵だな、と思っています。むべぞかし って意味わからないけど…。
また、興味深い詩は、主人公のフロドが躍る小馬亭で歌う歌は、マザー・グースの中の「ヘイ・ディドル・ディドル」というのがもとになっているらしいんですね。面白いのは、その歌が長い時を経て今の時代に受け継がれて今やその中の少しの言葉が残っている、という設定になっているということらしいです。
それで、マザーグースとか民話とか伝統あるものに興味持ったんですけど、まだまだ…。ゆっくりと楽しんでいきたいです。
やっと、サトクリフの、ローマン・ブリテンシリーズの第一作(?)を読みました。
例によってとても時間がかかったけど、やはり読んでよかった。
サトクリフは、実をいうと、もちろん読んでてすごいと思うけど、個人的にちょっと好きになれないところもある。それは登場人物とストーリーの成り立ちが各物語で似ているところがあるように感じていること…。
しかし、今度はそのことはそれほど強く感じなかった。今まで読んだのは少年(から少し成長したくらい)の主人公のが多かったし、今度のは若い青年とはいえ、舞台設定がより重厚感増しているのもあるのかもしれない。
二世紀はじめ(?)。ローマがブリテンを支配していた時代。
主人公マーカス・フラビウス・アクイラの父は、ローマの軍人であり、第九軍団の副司令官として、北のブリトン人の氏族の反乱を鎮圧するために出発した。しかし第九軍団と軍団の象徴である旗頭<ワシ>は行方知れずになってしまう。
その頃まだ少年だったマーカスも、やがて若き百人隊長として、南ブリテンの辺境の地に派遣される。そこそこ平穏だったその地に、しかしあるとき不穏な気配を感じるマーカスであった…。
ローマの支配は広かったのだなと思う。多くの兵が遠くの地に派遣されて、そして引退したあと、ブリテンに留まる者もいた。マーカスの叔父もそのひとり。家の床には暖房があるというのがすごい。その街にはローマのコロッセオには及びもつかないとはいえ闘技場もあって、その場面はちょっと映画の「グラディエーター」を思い出してしまった(そこまでショックな場面はない)。
そして、風や湖や雨や、自然の表現が読んでて身にしみるようで、まるでその世界にいるように感じる。二世紀の世界にとんでいって、登場人物が身近に感じる。フィクションではあるけれど、こうして個人の思いの積み重ねのうちに歴史はつくられていくんだな…。
それに、ストーリーはフィクションですが、このローマ軍団のワシそのものは、実際にあるんだそうです。
イギリスのレディング博物館のHPより
これのことだと思うんですが…。
(参考:[11]『銀の枝』、[18]『ともしびをかかげて』を後日読む。)
名作バレー物語シリーズ。 チェコスロバキア生まれの絵本です。 ルジェック・マニャーセックの絵が、独特な風合いです。
『火の鳥』は、ストラヴィンスキーの音楽は聴いた事があるけど、お話はどんなか知らなくて、こないだテレビでバレエをやっていたから、一度お話を読んでみようと思いました。
イワン王子は、腕はひじまで金、足は膝まで銀で、額は日の光を浴びて金色、月の光を浴びて銀色という。(どんなんだろう…?)
許婚と運命づけられているワシリーサ姫を探しに旅に出ます。 蟻や魚、子ガラスの忠告を得ながら、魔法使い、不死身のコスチェイの城へ。
そこで火の鳥を捕まえたイワン王子。放してやる代わりに羽をもらいます。 コスチェイの3つの要望を果たさなければ殺される窮地に陥ります…。
火の鳥の、火に飛び込んでまた再生する美しさ、また、王子のために身を滅ぼして助けるところが再生するとはわかってても、美しいな、と思いました。
ハートランド編集「イングランドの童話民話集」
グリアスン女史の「スコットランドの童話集」
イエィツの集めた「アイルランド童話民話集」
ともとにしたものだそうです。
そして、底本が、昭和29年1月・創元社刊 『世界少年少女文学全集3』所収のものからだそうです。 最初は、フレア文庫って聞いたことないけど…と思っていたけど、イギリス児童文学関連の本に時々この元の創元社の本のことが出ているのに気がついて、これのことだったんだ、とラッキー。かなり分厚い文庫ですが値段も押さえ気味で嬉しい。
昔話とか民話とかって、今まであまりちゃんと読んだことがなかったし、勉強になりました。イギリスの人たちはこういうお話が幼い頃から身についているんだろうな。わらべ歌になっているのもあるだろうし、イギリスの本を読んでいく上でそういう事に一度触れてみたかった。
「ジャックと豆の木」
なんて、読んだのは子どもの時以来。「ビウティとビースト」
(美女と野獣)っていうのも昔話だったんだ。
怠け者の娘と糸紡ぎのお話など、各地で少しずつ違った形であることも、気づいた。
一番きれいだと思ったは、アイルランドの湖に、姿をあらわすオドノフ王の伝説のおはなし。
児童文学を載せていこうと思いつつ、さっそく普通のジャンルの本になってしまいました。
小さな、手のひらよりも小さな、でも黄金色をしたすてきな本を見つけました。
ヘレン・ケラーとか、アインシュタインとか、その他多くの、私の知らない人の、ことばがたくさん。 綺麗な絵と共に、勇気づけられるような考えさせられることばが載っています。
偕成社のHPで見てみたら、<手のひらのことば>というシリーズの一冊で、他にも、 『愛と優しさのことば』 『おもいやりのことば』 『希望のことば』 『知恵のことば』 『よろこびのことば』 『手をさしのべることば』 『美によせることば』 『簡素に生きることば』 『静けさを愛することば』 というのが出ているようです。
自分で買うというより、さり気なくプレゼントにもらったら嬉しいような種類の本かも。
『イギリス児童文学紀行』 定松正/著(玉川大学出版部)
という本を読んでいたら、イギリスの歴史と照らし合わせた本の解説になっており、その中に『アルフレッド王の戦い』と『アルフレッド王の勝利』があった。
同じくローズマリ・サトクリフの本についても書かれてあり、私はサトクリフの作品の中のローマン・ブリテンシリーズというものにも興味があるのだが、まだそれらはあまり読めていない。
サトクリフのローマン・ブリテンシリーズの主人公が<ローマの軍人でありながらブリトン人としての自分に葛藤し目覚める>といった様な場面があるらしく、そのストーリーについては他の評論で読んだこともあるのだが、その時はイギリスの歴史をよく知らず、意味が分らなかったのだった。だが、『イギリス児童文学紀行』を読んで歴史の背景が少し分ったことで納得できた。
評論や解説にばかり頼らずにまずは物語そのものに触れることが大切だと思うが、歴史などバックに流れているものを学ぶことも大切だとも思わされた。(と言っても未だ歴史はさっぱり苦手なのだが)
アルフレッド王の物語に話を戻すが、そんなわけで歴史物語に興味が沸き、これを読んでみた。
9世紀(?)のイギリスの話。北のヴァイキングに責めこまれて混乱状態になっている時代。ヴァイキングのデイン人との戦いの中で、幼いアルフレッドがやがて王になって力と知恵を発揮するまでの周りの思いとか策略とかも絡めて描かれます。
理知的なアルフレッド王が、かなりかっこいいです。こげたパンのエピソード*が効いています。
*こげたパンのエピソード(参考:ダイアリーの記述へ)
作者のホッジズは、サトクリフの[5]『第九軍団のワシ』の絵を描いている人の様です。
物語はヴァイキングの軍の方が悪く描かれているところがあって、実際はどうだったのかというところも感じることもありますが、それは置いて、物語を楽しみました。
出てくる角笛の名前が「天震丸」
だったりと、原文は何か分かりませんが、『指輪物語』の剣の名前にも通じるようなこの訳のニュアンスにはふと口元が緩んでしまいました。
それと、人物の名前が、<ウルフスタン
><ヘルム
><クネッバ
><セトウィン
(男性ですが…)><アスルヒア
>とか、何となく『指輪物語』の人物の名前に似ているような気がしました。『指輪物語』に関係のある古英語ってこの時代の英語のことなのかな、とかふと思いました。あともう一つ似ていると思ったのは、<エグバートの石
>のもとに兵士たちが集う、というのが、『指輪物語』の<エレヒの石>にも似ていると思ったことです。
(参考:[337]『アルフレッド王の戦い』を後日読む。)
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