今年の冬は暖冬と言われていますが、ここにきてやはり、ぐっと寒さを感じるようになりました。自然界では、寒さに備え、冬支度の季節です。動物たちは活動量が低下し、冬眠や休息期間に入ります。自然界も私たちも、冬は「蓄える季節」。春に備えて必要な生命力を養う大切な時期です。
腎
東洋医学では、冬は五臓の「腎」と関係の深い季節と言われ、その働きが弱まる傾向にあります。腎は、生命活動の源(腎精)を貯蔵し、全身に活力を与え、人間の成長や老化、生殖活動と深く関係しています。腎の働きが弱くなると、生命活動のエネルギーが衰えて、気力、体力、活動量とも低下し、元気もやる気もなくなります。老化のスピードが速くなり、白髪が増える、骨がもろくなる、全身が冷えやすい、不妊や生理不順といったトラブルも招きやすくなると言われています。また、腎は耳との関係も深く、腎の力が低下すると、耳鳴りなど耳の症状も出やすくなると言われています。
(※「腎」とは西洋医学の「腎臓」とは異なります)
<冬に起こりやすい症状>
風邪 冷え むくみ 貧血 膀胱炎 下痢 腰痛 関節痛 神経痛 足腰の衰え 耳鳴り 生理痛・生理不順の悪化 など
冬にとりたい食材
冬の食用状のポイントは、体を内側から暖めて気血の巡りをよくする食材や、腎の働きを補う働きのある「黒い食材」を取り入れることです。
★ 体をあたためる : かぶ かぼちゃ しょうが(加熱) ねぎ 鶏肉 羊肉
★ 腎を補う黒い食材 : 黒豆 ひじき 黒ごま 黒きくらげ
★ アンチエイジング食材: えび ほたて 長いも
【野菜】かぶ、白菜、にんじん、ブロッコリー、山芋、ねぎ、にら、かぼちゃ、くるみ、黒きくらげ、ごぼう
【果物】なつめ、ゆず
【海藻】ひじき、昆布
【炭水化物】黒米
【たんぱく質】黒豆、牡蠣、えび、ほたて、あさり、しじみ、鶏肉、牛肉、羊肉
【その他】黒胡麻、黒砂糖、黒酢、しょうが、にんにく、赤唐辛子、シナモン
腎をいたわり、ゆっくり、ゆったり生活
冬は働きの低下しがちな腎に合わせ、それを補う食事とエネルギーを温存した生活が大切です。無理はなるべくせずに、睡眠をしっかりとり、ゆっくり、ゆったり過ごして、素敵な春を迎えましょう。温泉で身体の芯からあたたまり、季節のおいしい食事をおいただく。そんな養生もおすすめです。
祥雲堂鍼灸整骨治療院 鍼灸師・栄養士 野中友恵
参考文献:ひとりごはんの薬膳レシピ 鳥海明子(誠文堂新光社)
春夏秋冬ゆる薬膳 池田陽子(扶桑社)
女性力を高める薬膳ごはん 鳥海明子(マイナビ)
からだに効く和の薬膳便利張 武鈴子(家の光協会) 他